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2012年3月 2日 (金)

アルディシア・ピラミダリス

 京都府立植物園の温室で昨年の今頃撮ったアルディシア・ピラミダリスです。 この植物、私たちのよく知っている植物にたいへん近いのですが、さて、その植物とは何でしょうか。

Ardisia110305_1

 ヒントを交えながら、アルディシア・ピラミダリスについての概略をまとめておきます。 その前に一般論として知っておいてほしいのは、水も温度も生育に十分な所では、近縁の植物は大きくなる場合が多いとも言えますし、暖かい所に分布の中心を持つ植物のグループが日本のような場所に進出するにあたっては、常緑樹が落葉樹になる他、大きくならない種が林床で生きるという方法があるということです。
 アルディシア・ピラミダリス( Ardisia pyramidalis )は、フィリピン原産の常緑小低木で、フタバガキ林の林床などに生えます。 茎は太くはなりません(ヒントその1)が、大きくなるので、分枝はよくします。 葉は細長く、枝先に密生(ヒントその2)します。 花は3月~6月ごろ、枝先に円錐花序を出し、写真のような淡いピンク色の花を咲かせます。 花や種子は魚料理などの香辛料に利用され、若い葉は食用にもされます。

 ここで大ヒント、花の拡大をお見せします。 特にこの葯、見覚えはありませんか? ちなみに属の名前は、ギリシア語の ardis(「矢や槍の先端」の意味) に由来し、この葯の尖った形に由来します。

Ardisia110305_2

Ardisia110305_3

 ではそろそろ正解を・・・。
 もちろん学名に詳しい人なら、はじめからお分かりでしょうが、Ardisia はヤブコウジ属です。
 ヤブコウジ属の植物としては、ヤブコウジやマンリョウなどがあります。 マンリョウの花と比べてください。 とてもよく似ていると思いませんか。
 マンリョウのところで、花に見られる小斑点について書きました。 アルディシア・ピラミダリスの花にも、オシベやガクに、この小斑点がついています。

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コメント

ハイ 昨年、同じ時期に・・・
マンリョウのお花のことで
マンリョウは赤い実にばっかり、気がいって、
未だにお花には気づいてないです
7月ごろなんですね、要注意です。

ところで、このお花、どっかで??
京都府立植物園の温室で出合ってました、
ちゃんと写真も撮ってました
けど、通りすがりのような出合いでした。
こうして、読ませていただくと、ふんふんふんです。
そうすると、マンリョウのお花もぜひ・・・となりました。

投稿: わんちゃん | 2012年3月 3日 (土) 00時29分

東南アジアと日本の植物を比較すると、似た仲間が気温の変化と共に少しずつ形態を変えるという連続性があり、ほんとうにおもしろいものがあります。
これがヨーロッパだと、緯度的には琉球列島がアフリカ北部になるのですが、それより南はサハラ砂漠、北は地中海が横たわり、その北はヨーロッパアルプスという冬場は雪と氷の世界となり、熱帯-暖帯-温帯と変化する時の植物の変化を見ることができません。

投稿: そよかぜ | 2012年3月 3日 (土) 20時21分

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