アマナ
アマナの花がたくさん咲いている所がありました。 下の写真(クリックで拡大できます)で、白い花は全てアマナです。
アマナは、東北地方南部以南に分布し、早春に可憐な花を咲かせます。 花は、陽がよく当たらないと、花が開きません。 花茎は地上15cmほどの小さな植物ですが、球根は地下深くにあり、以前河内長野市の田の畦で1株だけ測定した時は地下17cmの所でした。
つまりアマナの育つ場所は、小さなアマナの上を覆う植物などが無くて陽のよく当たる場所で、土の深い場所です。 土が深いと他の植物もよく育ちますから、アマナがよく見られるのは、春先に草刈りや野焼きなどが行われている、田の畦や上の写真のような堤防などということになります。 しかも、そのような条件が長期間続いてきた場所でなければなりません。 アマナは球根植物ですから、どこからか種子が運ばれてきて急激に増えるようなことは考えられません。 ですから、葉から浸透して地下部にダメージを与える除草剤が使用されると、球根がやられてしまい、アマナは生きていけません。
「○○ナ」という名前の「ナ」は多くの場合「菜」で、食べられます。 アマナは「甘菜」で、球根が甘くおいしい食べられる植物という意味でしょう。 食料になったということは、たくさん集めることができたということです。 つまりアマナも昔は身近でたくさんあった植物だったのでしょう。 しかし、土地の管理体制が変化したり、除草剤が利用されたりで、アマナは急激に減り、上の写真のような光景を見ることは、ほんとうに難しくなってしまいました。
アマナはチューリップに近縁で、以前はチューリップと同じ属( Turipa属 )に入れられていたこともありました。 花も野生の花被の尖ったチューリップにそっくりです。 しかし、花茎の途中に苞があることなどから、今ではチューリップとは別のアマナ属( Amana属 )として扱われることが多くなっています。
アマナは2枚の細長い葉を地上に出し、その間から花茎を伸ばします。 多くの場合花は一輪のみです。 花茎の途中には1対の苞があります。 下の写真で、Aの花茎の苞にはaを、Bの花茎の苞にはbを書き込んでみました。
アマナと同じ属の植物にヒロハノアマナがありますが、ヒロハノアマナの葉は、その名のとおりアマナより少しだけ幅広で、葉の先端はアマナより丸みがあり、通常は3枚の苞があります。 分布もアマナよりも狭く、本州の関東から近畿にかけてと四国に限られます。
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