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2012年3月31日 (土)

アマナ

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 アマナの花がたくさん咲いている所がありました。 下の写真(クリックで拡大できます)で、白い花は全てアマナです。

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 アマナは、東北地方南部以南に分布し、早春に可憐な花を咲かせます。 花は、陽がよく当たらないと、花が開きません。 花茎は地上15cmほどの小さな植物ですが、球根は地下深くにあり、以前河内長野市の田の畦で1株だけ測定した時は地下17cmの所でした。
 つまりアマナの育つ場所は、小さなアマナの上を覆う植物などが無くて陽のよく当たる場所で、土の深い場所です。 土が深いと他の植物もよく育ちますから、アマナがよく見られるのは、春先に草刈りや野焼きなどが行われている、田の畦や上の写真のような堤防などということになります。 しかも、そのような条件が長期間続いてきた場所でなければなりません。 アマナは球根植物ですから、どこからか種子が運ばれてきて急激に増えるようなことは考えられません。 ですから、葉から浸透して地下部にダメージを与える除草剤が使用されると、球根がやられてしまい、アマナは生きていけません。
 「○○ナ」という名前の「ナ」は多くの場合「菜」で、食べられます。 アマナは「甘菜」で、球根が甘くおいしい食べられる植物という意味でしょう。 食料になったということは、たくさん集めることができたということです。 つまりアマナも昔は身近でたくさんあった植物だったのでしょう。 しかし、土地の管理体制が変化したり、除草剤が利用されたりで、アマナは急激に減り、上の写真のような光景を見ることは、ほんとうに難しくなってしまいました。

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 アマナはチューリップに近縁で、以前はチューリップと同じ属( Turipa属 )に入れられていたこともありました。 花も野生の花被の尖ったチューリップにそっくりです。 しかし、花茎の途中に苞があることなどから、今ではチューリップとは別のアマナ属( Amana属 )として扱われることが多くなっています。
 アマナは2枚の細長い葉を地上に出し、その間から花茎を伸ばします。 多くの場合花は一輪のみです。 花茎の途中には1対の苞があります。 下の写真で、Aの花茎の苞にはaを、Bの花茎の苞にはbを書き込んでみました。

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 アマナと同じ属の植物にヒロハノアマナがありますが、ヒロハノアマナの葉は、その名のとおりアマナより少しだけ幅広で、葉の先端はアマナより丸みがあり、通常は3枚の苞があります。 分布もアマナよりも狭く、本州の関東から近畿にかけてと四国に限られます。

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2012年3月30日 (金)

ジムカデの仲間2種

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 一昨日のトビズムカデと昨日のイッスンムカデに続いて、今日はジムカデです。 これらのムカデの分類学上の関係は昨日書きましたので、そちらを見てください。 
 ジムカデは名前のように主に土の隙間や枯葉の間などに住み、トビムシなどの小昆虫などを餌にしています。 細い体や短い脚がたくさんあることは、隙間に入り込むのには便利なのでしょうが、動きはトビズムカデなどのようには素早く動けません。

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2012年3月29日 (木)

イッスンムカデ

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 ケヤキの樹皮の下にいたイッスンムカデです。 体節は15で、脚も15対、触角は20個の節からなります。 体は光沢が強く、全体的に暗い赤褐色をしています。
 「一寸」の名のように、ムカデの仲間にしては体節が少なく幅のわりには短い体をしています。 オオムカデ目(下の分類を参照してください)のトビズムカデと並んで、よく人目につくムカデです。

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 分類学的にはイシムカデ目イッスンムカデ科に分類されます、と書いてもピンとこないので、足の多い仲間(多足類)のことを、下に少し整理しておきます。

 多足類は、私たちの日常的な分けかたからすると、ムカデ、ヤスデ、ゲジ(通称ゲジゲジ)に分けられます。 ムカデは体節に脚が1対ずつ付き、ヤスデは体節に脚が2対ずつ、ゲジは脚が長く、速い動きを見せてくれます。
 これを分類学的にもう少し丁寧に整理すると、次のようになります。

節足動物門 多足亜門
 ムカデ上綱
  ムカデ綱(唇脚綱)
   ムカデ亜綱(整形亜綱:雌雄同形で自由生活ステージでは変態しない)
    ジムカデ目 Geophilomorpha
       体は細く、脚は短くて27対以上、種類によっては181対を超える
    オオムカデ目 Scolopendromorpha
     オオムカデ科
       大型、脚は21対
     メナシムカデ科
       小型で眼は退化、脚は21対または23対
   ゲジ亜綱(改形亜綱:増節変態をする)
    ナガズイシムカデ目
       (日本未産)
    イシムカデ目
       孵化した幼体の脚は7対、脱皮毎に増え15対になる
     イッスンムカデ科
     イシムカデ科
     トゲイシムカデ科
    ゲジ目
 ヤスデ上綱
  コムカデ綱(結合綱)
  エダヒゲムシ綱(少脚綱)
  ヤスデ綱(倍脚綱)

 ムカデは「百足」などと書かれますが、ほんとうに百足あるのはジムカデの仲間だけです。 咬まれて怖いのはトビズムカデなどのオオムカデの仲間で、写真のイッスンムカデの分類上の位置は、このオオムカデよりも、むしろゲジに近い仲間と言えます。

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2012年3月28日 (水)

トビズムカデ

 名神高速道路を東に進むと、栗東付近で、近江富士とも呼ばれる美しい姿の三上山が正面に見えます。 伝説に、俵藤太(たわらのとうた:藤原秀郷の異称とされている)が、この三上山を7巻き半する大ムカデを、龍神の頼みを受けて退治したという話があります。 昔、米朝さんは、「ナナマキハンは大したことはないんで、ハチマキよりもちょっと短い」と、落語の枕でよく言っていました。 鉢巻よりもちょっと短くても大々ムカデですが、東南アジア一帯には体長が30cm近くにも達するムカデが実際にいるそうで、これもトビズムカデの亜種です。

閑話休題。

 下は、いわゆるムカデの代表、オオムカデ科のトビズムカデで、よく見かけます。 大きいムカデですが、体長は普通8~15cmで、20cmを超えることはありません。 漢字で書くと「鳶頭百足」、つまり頭が鳶色(トビの羽のような色)のムカデです。

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 トビズムカデにはアカズムカデ(赤頭百足)とアオズムカデ(青頭百足)という亜種がいます。 アカズムカデは頭と足が赤色で、アオズムカデは少し小型で、頭と胴体は暗緑色、足は黄色または赤色をしています。
 下はアカズムカデで、脚の間から見える頭も赤い色をしています。

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 私たちがいちばん多く見るムカデは、このトビズムカデでしょうが、ムカデにもたくさんの種類がいます。 次回はムカデの仲間を少し整理してみる予定です。

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2012年3月27日 (火)

オジロビタキ

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 2008年の冬に堺市の公園にいたオジロビタキのことを書きました(こちら)が、この冬も堺市内の公園にオジロビタキがいてくれていました。
 やはり人によく慣れて、かなり近づいて撮ることができました。

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2012年3月26日 (月)

イヌガシのトゲキジラミ(?)

 前にトゲキジラミについて書き、トゲキジラミがいた植物としては、ブログ上では圧倒的にシロダモが多く、そこでは卵から成虫までの各ステージが見られることを書きました。 ただ、宮武頼夫氏が1970年に「大阪市立自然史博物館研究報告」に書かれたものには、トゲキジラミが育つ植物としてカナクギノキ、ヤマコウバシとホソバタブが挙げられており、シロダモは成虫が吸汁するが幼虫は見つかっていないと書かれています。 似た種がいるのか、まだまだフィールド観察が必要ということなのか、とにかく、関係する植物はクスノキ科です。
 そこで、同じクスノキ科のシロダモ属( Neolitsea )で、奈良公園にはたくさんあるイヌガシではトゲキジラミは育っているのか、3月にいちど調べてみたいと思っていました。 3月に、というのは、イヌガシの花も見たいということ以外に、ブログ上では2月や4月のトゲキジラミの報告例はたくさんあるのですが、どういうわけか3月は、トゲキジラミがあまり観察されていません。
 3月24日に奈良公園のイヌガシを見に行くと、あちこちの葉の裏に、トゲキジラミが作った白いロウ物質が見られました(下の写真)(^-^)v

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 上の写真でもよく見るとオレンジ色の小さな点がたくさん見えますが、これを拡大すると下のようになります。

Togekijirami120324_1     (写真はクリックで拡大します)

 よく見ると、成虫は見当たらないものの、卵も幼虫の各ステージも揃っているようです。 下は上の写真の一部を切り取ったものに、幼虫の齢が異なると思われるそれぞれの段階に番号をつけてみたものです。 なお、0は卵です。 5の番号を付けたものが5齢幼虫で、これから成虫が羽化するものと考えています。

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※ 写真の幼虫はトゲキジラミの幼虫だと思うのですが、成虫が撮れていませんし、似た種がいるかもしれないということで、とりあえずタイトルには(?)を付けています。

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2012年3月25日 (日)

イヌガシの花のつくり

 イヌガシの花が雌雄異株であることは昨日書きました。 しかし、小さな花が集まって咲くイヌガシの花は、肉眼では何が何やら・・・。カメラで撮って拡大して、やっと花のつくりが分かります。

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 上は雌花です。 花被片は4枚(番号をつけておきました)、退化して葯も無くなったオシベ(仮オシベ)が6本、上の写真では、そのうちの5本を示しておきました。 メシベの柱頭には白色の粒状突起がびっしりとついています。 黄色く写っているのは腺体で、4つあります。
 下は5つの雌花の集団をほぼ真上から撮ったものです。 左下の花を見ると、4つの腺体が確認できます。

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 次に雄花です。 雄株の花は、雌株の花よりたくさん集まって咲く傾向があり、花の大きさも、雌花より少しだけ大きくなります。
 下がその雄花です。 花被片は4枚で、隣の花の花被片と紛らわしいので、雌花同様、1~4の番号をつけておきました。 オシベは外側に4本(①~④の番号をつけておきました)と、その内側に2本(⑤と⑥)の、計6本あります。 内側の2本(⑤と⑥)の左右に腺体があります。 メシベも存在しますが、果実はできないようです。

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 イヌガシの花のオシベでは、4ヶ所の葯壁が花粉と共にめくれ上がります(下の写真)。 めくれ上がる場所の配置や数はいろいろですが、このようにして花粉を出すのはクスノキ科の花の特徴です。 ダンコウバイタブノキの花と比較してみてください。

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2012年3月24日 (土)

イヌガシの花

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 例年なら2月下旬から咲き始めるイヌガシの花ですが、今年は季節の進行が少し遅れぎみ、それでもあまり遅くなりすぎるときれいな花は撮れないし、日曜は用事があって・・・ というわけで、今日、奈良公園に行ってきました。 ところが予想以上の雨で、風は強く雹まで降ってくる天候、雨の日には雨の日にしか撮れない光がある、とは言っても、カメラが濡れるのが心配で・・・。

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 しかし、もうツボミはほとんど残ってなくて、落ちてしまった花もあり、やはりこれより遅い時期だと元気な花を撮るのは、次第に難しくなるでしょうね。

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 イヌガシはカシという名前が付いていますが、ドングリのなるブナ科のカシではありません。(だから「イヌ」なんでしょうか・・・) 離れて葉の1枚を見ると、たしかにカシの葉に似ていますが、よく見ると葉脈は三行脈があり、クスノキ科の特徴を示しています。
 クスノキから樟脳が作られることに代表されるように、クスノキ科には特有の化学物質を持つものが多く、特有のにおいがする葉を持つ木もたくさんあります。 イヌガシも鹿が嫌うのか、奈良公園にはイヌガシがたくさんあります。
 イヌガシは雌雄異株ですから、両方の花を見ようとすれば、たくさんのイヌガシを見ることのできる場所が便利です。 ただし、日当たりの良い所ではたくさんの花をつけていますが、木の茂っている所ではあまり花をつけていません。

 明日はイヌガシの花のつくりについて書くつもりです。 そして、イヌガシを見たかった理由は、もう1つあります。 それは明後日に。

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2012年3月23日 (金)

スミレモ

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 上の写真の橙色のものは、地衣類などに混じって木の幹に付着して育つスミレモです。 木の幹以外にも、よくコンクリートブロックなどについているのを見かけます。
 スミレモは陸上に生える藻の一種です。 空気中に生える藻ですので、「気生藻」と呼ばれています。
 湿度の高い所を好むとはいえ、水中ではなく空気中で藻類が育つというだけでも意外ですが、スミレモは分類学的には緑藻だと言われると、どこが緑だ! と言いたくもなります。 しかし観葉植物などでも、緑色ではない葉で光合成をちゃんとやっている植物もたくさんあるわけで、光合成を行っている植物はみんな葉緑素を持っているのですから、要は葉緑素も存在するが、他の色素の色が緑に勝っているというだけのことでしょう。
 拡大してみると、所々枝分かれした糸状の体をしています(下の写真)。 顕微鏡で観察すると、細胞が一列に並んでいるようです。

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 ところで、スミレモの名前ですが、色がスミレの花の色、ではありません。 じつはスミレモを標本にするために紙に包んで(=乾燥させて)保存しておき、何ヶ月かしてから紙を開けると、かすかにスミレの香りがします。
 なお、スミレモは1種ではありません。 ここで書いた内容も、正確には「スミレモの仲間」とすべきものです。

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2012年3月22日 (木)

ヒメコバチ科の一種 Pediobius atamiensis

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 近くの公園のアラカシの葉の裏にいました(2月24日撮影)。 ヒメコバチ科の Pediobius atamiensis だと思います。 ヒメコバチ科のハチには緑色の金属光沢を帯びる種が多いので、少し心配ですが・・・。 体長は、触角を含めず、翅端までで2mmです。
 種の同定の根拠にしたのは、おちゃたてむしさんにある上条先生からのコメントで、触角先端の3節よりなる繋節の1節が遊離しており、これは P.atamiensis だけの特徴だという点です。
 ヒメコバチ科のハチは寄生蜂ですので、この種の幼虫も何かの昆虫に寄生して育つのでしょう。 つまり、もし宿主が農業害虫であれば、この蜂はその天敵となり、生物農薬となる可能性もあるわけです。 というわけで、この蜂の種名の atamiensis は、1900年頃に米国農務省の調査で、 Albert Koebeleさんが、熱海や箱根で採集したことに因むということです。(そらさんへのezo-aphidさんのコメントより)
 この蜂については、BABAさんが深度合成ですばらしい写真を載せておられます(こちら)。 私のブログは、身近な所にもいろんな生物がいることを記録しようとしています。 そして、自然の中で生きている姿を撮ることと、拡大するにしても、ルーペで見える程度までということにこだわってきました。 でも、こんな写真を見ると、このこだわりも少しゆらいでしまいます。

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2012年3月21日 (水)

カラスハエトリ(オス)

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 写真はハエトリグモの一種のカラスハエトリ(オス)です。 黒っぽい体に白い模様があります。 「カラス」の名は、この黒っぽい体の色からきているのでしょうが、公園の黒っぽい偽木の上にいたので、体の輪郭がはっきりしなくなってしまいました・・・。
 カラスハエトリの特徴のひとつとして、頭胸部の平べったいことが挙げられます。 下のように正面から見ると、そのことがよく分かります。
(写真は2枚とも、クリックで拡大します。)

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 なお、メスは薄い褐色で、体の色はかなり違いますが、頭胸部の平べったい特徴は共通です。

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2012年3月20日 (火)

メタセコイアの花

 今年は季節の進行が少し遅れ気味ですが、メタセコイアの花も、やっと咲きだしました。 雌雄同株で、雄花序は枝先から長く垂れ下がり、雌花は短枝の先に1個ずつつきます。

Metasequoia120319_1    雄花序 この花序では、まだ花粉は飛ばしはじめていないようです。

Metasequoia120319_2    花粉を飛ばしはじめている雄花序の一部の拡大。

Metasequoia120319_3    雌花 長さ5mmほどのやや長い球形で、緑色をしています。

【関連項目】
・メタセコイアの紅葉と球果 → こちら
・メタセコイアの1枚の葉は? → こちら

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2012年3月19日 (月)

フサヤスデ

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 下はフサヤスデの一種です。 フサヤスデは、名前のとおりヤスデの仲間ですが、背面や尾部に剛毛の束を持ち、体も柔らかく、外見はヤスデらしくないヤスデです。 日本のフサヤスデ目としては、2科3種が知られています。
 このフサヤスデ、どこにいたかと言うと、昨日記事にしたマダラマルハヒロズコガの巣の中です(下の写真)。

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 上の写真は、マダラマルハヒロズコガの巣を開いたところですが、この写真をどう理解するのかは、難しいところです。 幼虫か蛹の表皮の内側にクモの巣のような白いものが作られていて、マダラマルハヒロズコガの殻には大きな穴が開けられています。 そして水色の矢印の所にフサヤスデがいます。
 たぶんマダラマルハヒロズコガは寄生されていて、巣に開けられた穴は、寄主が脱出時に開けたものだと思うのですが、どうでしょうか。
 とにかく、フサヤスデは生物の死骸などを食べているようですので、ここに何らかの死骸(の一部)があったのか、脱皮殻なども食べるのか、それとも単に越冬場所として潜り込んでいただけなのでしょうか。

 日本のフサヤスデは5種または3種2亜種が知られています。 上のフサヤスデの種名は分かりませんが、下記の3種は別の記事にしています。
   ハイイロチビフサヤスデ  ウスアカフサヤスデ  イソフサヤスデ

 

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2012年3月18日 (日)

マダラマルハヒロズコガの幼虫

 ケヤキの根元近くの樹皮の下に、マダラマルハヒロズコガの幼虫がいました。 成虫は開張2cmほどの、特別変った所の無い蛾ですが、幼虫は「ツヅミミノムシ」という別名がピッタリで、下の写真のような鼓型の扁平な巣を作ってその中で暮らし、巣から体を少し出して周囲の樹皮や朽木を食べて育ち、移動時もこの巣をひきずって動きます。

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 巣と共に移動する点ではミノムシに似ていますが、ミノムシの仲間ではありません。(ミノムシの仲間はミノガ科に、マダラマルハヒロズコガはヒロズコガ科に分類されています。)
 少しかわいそうですが、巣を開いて、幼虫の姿を見せてもらいました(下の写真:幼虫を詳しく見たい場合は、写真をクリックして拡大してください)。 黒っぽい部分の先端が頭で、移動時はこの黒っぽい部分だけを巣から出して移動します。

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 この冬はマダラマルハヒロズコガの巣を何度も見ました。 多くは朽木の中で、1月に巣の中で蛹になっているのも見ましたので、冬の間の生育状況には、かなりの幅がありそうです。 なお、成虫の出現時期は6~8月です。
 下は、別の場所にいたマダラマルハヒロズコガです。 巣材が違えば色も違ってきます。

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2012年3月17日 (土)

新旭水鳥観察センター周辺の鳥たち

 ザゼンソウを見に行った時、その近くの新旭水鳥観察センターにも立ち寄りました。 冬鳥たちも北に戻りはじめていて、特に珍しい鳥もいなかったのですが、3月中旬に観察センター周辺でみかけた鳥として記録しておきます。

オオバン いちばんたくさんいました。
 帰りに白ひげ浜にも立ち寄りましたが、ここでも大盤振る舞いのオオバンでした。
ヒドリガモ オオバンに次いでたくさんいました。
カンムリカイツブリ 10数羽の群を作っていました。
 いろんな段階の夏羽になりかけたものが混じっていました(下の写真)。

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その他、数羽~1羽いた水鳥
 ホオジロガモ(メス)、キンクロハジロ、マガモ、コガモ、カイツブリ、
 アオサギ、ダイサギ、セグロセキレイ
小鳥類
 イカル、ツグミ、ホオジロ(下の写真)、カシラダカ、カワラヒワ、スズメ

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2012年3月16日 (金)

ザゼンソウの花のつくり

 ザゼンソウは、たくさんの花が集まった肉穂花序(にくすいかじょ)が、褐紫色の仏炎苞で覆われています。 仏炎苞や花序の色は違うものの、花のつくりはミズバショウとよく似ていますが、子房内の胚珠のつき方などに違いがあり、別の属とされています。

 下は今津のザゼンソウ群落地にあった、ザゼンソウの花のつくりを示した解説板の一部です。

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 これを実際の花の写真で見ていくことにします。
 下は肉穂花序の一部を撮ったものです。 花が遠くにあったので、大トリミングの結果、少しぼやけた写真になっていますが・・・。
 ザゼンソウの花は雌性先熟です。 下の写真で、個々の小花の中心から少し突き出したように見える白っぽいものは、メシベの柱頭です。 オシベの存在はほとんど確認できません。 雌性期です。

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 その後、ザゼンソウの花は、短い両性期を経て雄性期になります。 下の写真では、オシベの葯がメシベを取り囲むように伸びてきて、花粉を出し始めています。

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 花序全体を見れば、花序の上の方が花の咲き始めるのが早いようです。 下の写真の花序では、上は雄性期でさかんに花粉を出していますが、花序の下部の花はまだ雌性期です。

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 なお、昨日書いた花序の発熱については、雌性期と両性期で顕著で、雄性期になると急速に発熱量は低下するとのことです。

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2012年3月15日 (木)

ザゼンソウ@今津

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 滋賀県高島市今津のザゼンソウ群落に行ってきました。 ここは自然の湧水地に育つザゼンソウを、町の皆さんが保護に努めておられます。

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 ザゼンソウの多くは、冷帯や温帯の山岳地の湿地に生育し、開花時期は、生育地の雪の量などにも影響され、早い所では1月下旬から咲き始め、遅い所では5月でも花が見られます。
 今津では、例年2月~3月に花が見られ、今年も2月25~26日に「今津ザゼンソウまつり」を計画していたところ、今年は雪が多く、2月下旬はさすがのザゼンソウも、多くは雪の下だったようです。
 ザゼンソウは、開花の際には発熱することで周囲の雪を溶かすとともに、ハエの好きな匂いを放ち、早くから動き出すハエなどを引き寄せ、花粉媒介をしてもらおうとの戦略を持った植物のようです。 上に書いた「ザゼンソウまつり」でも、赤外線スコープで発熱の様子を観察することも行われているようで、23℃くらいになるとのことです。 しかしまだこの時期に活発に活動している虫は少なく、写真を撮っている間に観察できた虫はいませんでした。

 明日はこのザゼンソウの花のつくりについて、もう少し詳しく見ていく予定です。

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2012年3月14日 (水)

アリグモの1種の巣

 アリグモと言った場合、アリグモという種を指す場合と、これを含むハエトリグモ科アリグモ属のクモを指す場合があります。 日本で見られるアリグモ属は8種ですが、このうち大阪付近で見られるのは、アリグモ、ヤサアリグモ、クワガタアリグモ、タイリクアリグモ、ヤガタアリグモの5種のようです。
 いずれにしてもアリによく似たクモで、クモですから、頭胸部と腹部に分かれているはずなのですが、頭部と胸部が分かれているように見えます。
 これまでこのブログで何度か書いたアリグモは、ハエトリグモの仲間らしく、全て歩き回っているものでした。 しかし私のこれまでの観察例では、繁殖活動を行う場合や、冬季には巣の中にいるアリグモを何度か観察しています。

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 今回のアリグモは2月24日に撮影したもので、巣の中にいることもあって、種名までは確認していません。 撮影していると、威嚇のためか、出てきました(下の写真)。

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 ところで、今回のアリグモ、どこに巣を作っているかといえば・・・。

 じつはアラカシの殻斗(いわゆるドングリのお椀)です。 なかなかいい場所を見つけたものです。

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2012年3月13日 (火)

トキワトラノオ

 コンクリートブロックの間に生えていたトキワトラノオです。

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 トキワトラノオは、東北地方南部以西の日当たりのよい山野の岩上などに生える、チャセンシダ科のシダです。
 似たシダに近縁でやはり常緑のコバノヒノキシダがありますので、下に比較して書いておきます(自分のためのメモです)。 なお、両者の間には雑種があり、アイトキワトラノオと呼ばれています。

トキワトラノオ
・葉は革質で厚く、光沢がある
・下部羽片はやや短くなり、最下羽片は幅と長さがほぼ等しい
・葉柄基部の鱗片は褐色で背に毛がある

コバノヒノキシダ
・葉が紙質で光沢が無い
・最下羽片の長さは幅の倍以上ある
・葉柄基部の鱗片は黒褐色で密生する

 他に似たシダとしては、イワトラノオ、アオガネシダ、コウザキシダなどがあります。

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2012年3月12日 (月)

カシトガリキジラミの羽化

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 カシトガリキジラミについては、前に5齢幼虫を中心に、生活環などについても書いています(こちら)が、その羽化が、陽のよく当たる暖かい場所で始まっていました(3月11日撮影)。 まだ幼虫の方が多いのでこれからどんどん羽化してくるのでしょう。
 上の写真より下の方が褐色が淡いようですが、上の方が羽化してからの時間が経過しているのだと思います。

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2012年3月11日 (日)

トゲハネバエ科の一種

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 写真はトゲハネバエ科の一種で、センチトゲハネバエかもしれません。 トゲハネバエ科は翅の前縁に毛が生えているのですが、この毛は種によって、名前のようにトゲのように見えるものから見えにくい細く短い毛まであるようで、写真のものは、上の写真ではなんとなく毛があるようですが、光の当たり方で、下の写真ではほとんど毛の存在は分かりません。
 ハエ目では毛の生え方が同定の大切な要素ですが、体の各部の毛の様子を写真に撮るのは、なかなか大変です。

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2012年3月10日 (土)

ヤブニッケイシロカイガラムシ

 ヤブニッケイの葉の裏にいたヤブニッケイシロカイガラムシです。 分類学的にはカメムシ目ヨコバイ亜目(同翅亜目)カイガラムシ上科マルカイガラムシ科シロカイガラムシ族に分類されています。

Yabunikkeisirokaigaramusi120219_1     (この写真はクリックで拡大できます)

 この虫もなかなか正体が分からなかったのですが、おちゃたてむしさんの記事にezo-aphidさんがコメントされていますので、そこに若干の私の想像を加えて整理してみましたが、想像を加えたことで間違いがあるかもしれません。

 写真の中央の円いのがメスの成虫です。 メスは2齢幼虫を経て成虫になりますが、マルカイガラムシ科の虫体は、体表の腺から分泌される物質で、体の上を屋根のように覆い、その下で生活しています。 この被覆物は「介殻」と呼ばれています。 写真で、メスの体の下方にあるのが1・2齢幼虫の脱皮殻なのでしょう。

Yabunikkeisirokaigaramusi120219_2

 雄は3齢幼虫を経て成虫になります。 成虫は翅も脚もありますが、交尾のためだけに羽化するようなもので、寿命は数時間から数日程度ということですので、写真には写っていないようです。
 雄の介殻は小型で細長く、背面に3本の縦稜があります。 白いロウ物質も、この稜に沿って分泌されているようです。 なお、オスの3齢幼虫は擬蛹と呼ばれています。 これは完全変態昆虫の蛹に該当しますが、体内構造は完全変態昆虫の蛹とは大幅に異なっているとのことです。
 このように、ヤブニッケイシロカイガラムシの幼虫は雌雄異型を示しますが、これがはシロカイガラムシ族においては一般的なことだということです。

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2012年3月 9日 (金)

イクビゴケ

 ここにあった記事は、加筆してこちらに引っ越しています。

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2012年3月 8日 (木)

ナシミドリオオアブラムシ

 シャリンバイの葉の裏にいたナシミドリオオアブラムシです(2月12日撮影)。 周囲にあるのは卵です。

Nasimidoriooaburamusi120212_1

Nasimidoriooaburamusi120212_2

 ナシミドリオオアブラムシは、その名のとおり、ナシやナナカマドの葉などでもよく見られるアブラムシですが、冬の間は同じバラ科で常緑のシャリンバイやビワの葉の裏にいます。
 秋に有翅型が現れ、有性生殖を行い、卵を産んで、基本的には卵で越冬するのだと思っていたのですが、写真のように2月に成虫もいるし、おちゃたてむしさんのブログでは、2月24日撮影の孵化の様子が載せられていますし、BABAさんのブログでは1月22日の撮影で小さな幼虫が載せられています。

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2012年3月 7日 (水)

ハラビロクロバチ科 Synopeas属の雌

 2月24日に近所で撮影した、体長2mmのハチです。 アラカシの葉の裏にいました。

Harabirokurobachi120224_1

 よく見ると、腹部の一部が細長く伸びていて、翅からはみ出しています(上の写真の赤い矢印)。 上から撮った下の写真でも、翅をとおしてうっすらと腹部の様子が分かります。

Harabirokurobachi120224_2

 このハチは、おちゃたてむしさんのブログ(明石・神戸の虫 ときどきプランクトン)の2011年1月5日に載せられているものと同種またはかなり近い種だと思われます。
 このおちゃたてむしさんのブログに載せられているハチは、Kurobachiさんやezo-aphidさんたちによって、ハラビロクロバチ科のSynopeas属の雌ということになっていますので、このブログでもタイトルをそのようにさせていもらいました。

 タマゴクロバチ上科のハラビロクロバチ科のハチは、個体数としてはたくさんいるようです。 なかには、第1背板から長い突起を頭部まで伸ばす種や、腹部がもっと長く伸びている種もいるようです。 これらの長く伸びた中には産卵管がしまわれていて、タマバエ類の幼虫や昆虫の卵などに内部寄生する(寄主の体内や卵の内部に卵を産みつける)とのことです。

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2012年3月 6日 (火)

ネコヤナギ

Nekoyanagi120303_1

 いろんなところで、目に見える変化として、春が近づいてきていることを示してくれています。
 ネコヤナギの花芽も、芽鱗の帽子を脱いで、白い猫の尻尾になろうとしてきました。
 (3月3日、富田林市の錦織公園にて撮影)

Nekoyanagi120303_2

※ ネコヤナギの花の様子はこちらに載せています。

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2012年3月 5日 (月)

Euplectromorpha nigromaculatus

Nigromaculatus120224_1

 自宅近くの公園のアラカシの葉の裏にいたヒメコバチ科の Euplectromorpha nigromaculatus だと思います。 1枚撮ったところで逃げられ、写真はこれ1枚です。 成城の動植物明石・神戸の虫 ときどきプランクトンに載せられていて、ヒメコバチ科の研究をされている石崎剛氏などにより検討されているものと同種で間違いは無いだろうと思います。 日本の Euplectromorpha属は、これ1種ということのようです。

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2012年3月 4日 (日)

カンキツヒメヨコバイ

 カンキツヒメヨコバイはヨコバイ科ヒメヨコバイ亜科に分類されていて、その名前は、秋に柑橘類の果実に集まり、害を与えるところからですが、冬には常緑樹の葉の裏で越冬します。

Kankitsuhimeyokobai120219_1

 写真の個体はアラカシの葉の裏にいたのですが、写真を撮っていると、飛んで指にとまりました。

Kankitsuhimeyokobai120219_2

 春にはクズや大豆などのマメ科植物の汁を吸って個体数を増やしていくようです。

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2012年3月 3日 (土)

歩いているコミミズクの幼虫

 今日は暖かな一日、ウメの花もかなり咲いていました。

Ume120303_1

 虫たちも動き出しました。 しかしこうなると、葉の裏にいる虫はすぐに逃げるし、写真に撮るのもたいへんです。

 そんななか、コミミズクの幼虫も歩いていました。 以前このブログに載せたコミミズクの幼虫は、木の枝にピタリとくっついて、木の枝がそこだけ少し膨れているようにしか見えなかったのですが、歩いてくれると、体の下側も見ることができます。

Komimizuku120303_1

 歩いている所を撮ったので少しブレていますが、体の腹面って凹んでいたんですね。 だから断面の丸い木の枝にピタリとくっつけるのか、と、妙に感心してしまいました。
 飛んで逃げないし、歩くのもそんなに速くないし、コミミズクの幼虫って、撮影していて楽しい虫ですね。

※ コミミズクの成虫の写真はこちらに載せています。

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2012年3月 2日 (金)

アルディシア・ピラミダリス

 京都府立植物園の温室で昨年の今頃撮ったアルディシア・ピラミダリスです。 この植物、私たちのよく知っている植物にたいへん近いのですが、さて、その植物とは何でしょうか。

Ardisia110305_1

 ヒントを交えながら、アルディシア・ピラミダリスについての概略をまとめておきます。 その前に一般論として知っておいてほしいのは、水も温度も生育に十分な所では、近縁の植物は大きくなる場合が多いとも言えますし、暖かい所に分布の中心を持つ植物のグループが日本のような場所に進出するにあたっては、常緑樹が落葉樹になる他、大きくならない種が林床で生きるという方法があるということです。
 アルディシア・ピラミダリス( Ardisia pyramidalis )は、フィリピン原産の常緑小低木で、フタバガキ林の林床などに生えます。 茎は太くはなりません(ヒントその1)が、大きくなるので、分枝はよくします。 葉は細長く、枝先に密生(ヒントその2)します。 花は3月~6月ごろ、枝先に円錐花序を出し、写真のような淡いピンク色の花を咲かせます。 花や種子は魚料理などの香辛料に利用され、若い葉は食用にもされます。

 ここで大ヒント、花の拡大をお見せします。 特にこの葯、見覚えはありませんか? ちなみに属の名前は、ギリシア語の ardis(「矢や槍の先端」の意味) に由来し、この葯の尖った形に由来します。

Ardisia110305_2

Ardisia110305_3

 ではそろそろ正解を・・・。
 もちろん学名に詳しい人なら、はじめからお分かりでしょうが、Ardisia はヤブコウジ属です。
 ヤブコウジ属の植物としては、ヤブコウジやマンリョウなどがあります。 マンリョウの花と比べてください。 とてもよく似ていると思いませんか。
 マンリョウのところで、花に見られる小斑点について書きました。 アルディシア・ピラミダリスの花にも、オシベやガクに、この小斑点がついています。

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2012年3月 1日 (木)

ナラムネアブラムシ

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 写真はアラカシの葉の裏にいたもので、2月24日に泉北ニュータウン内の茶山公園で撮影したものです。 いろんな大きさのものがいますが、大きさは、いちばん大きいもので0.7mmほどです。 当初コナジラミの幼虫かと思っていましたが、Hepotaさんとezo-aphidさんに、アブラムシ科の Parathoracaphis setigera だと教えていただき(詳しくはコメントを見てください)、タイトルも記事も大幅に変更しました。
 ネットで Parathoracaphis setigera を調べると、大阪府環境農林水産総合研究所の「大阪府の生物多様性」の大阪府野生生物目録(2000)や大阪市立自然史博物館の大阪府生物目録などにも、ナラムネアブラムシの和名でリストアップされていました。

Konajirami120224_2

 Parathoracaphis setigera については、北海道大学農学部昆虫学教室の紀要 INSECTA MATSUMURANA 22(1-2).1958. に記載されています。
 TAKAHASHI, Ryoichi (1958) Thoracaphis and some related new genera of
 Japan (Aphididae, Homoptera)

 これによると、写真のものは Parathoracaphis setigera の無翅型胎生のメスで、脚も短い触角も腹面にあるのですが、背面からは見えないようです。  食餌植物はアラカシやシラカシで、西日本各地で採集されていますが、特に大阪付近では普通種で、よく大発生しているようです。 無翅型は通年観察されますが、有翅型は見つかっていないとのことです。

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