カシトガリキジラミの5齢幼虫
キジラミとは「木につくシラミ」で、木の汁を吸って生きています。 とは言っても、シラミは咀顎目でキジラミはカメムシ目ですので、両者は系統的にはかなり違う昆虫です。 このブログで取り上げたキジラミの成虫としては、ムクノトガリキジラミやヤツデキジラミなどがあります。
この時期、アラカシの葉の裏を見ると、あちこちのアラカシでカシトガリキジラミの5齢幼虫を見ることができます(下の写真)。
5齢幼虫の体長は2~2.5mmほどです。 体の周囲には、ロウ物質を出す毛がたくさん生えています。 体は写真のようにペチャンコです。 ちなみに、ヤツデキジラミの幼虫もペチャンコです。
このカシトガリキジラミの生活史については、当時の大阪府立大学農業短期大学部の宗林正人氏が詳しく調べられています(昆蟲27(3),1959)。 それによると、5齢幼虫は、大阪付近では多くは3月中旬に羽化します。 羽化した成虫は、アラカシの未展開新葉の隙間から葉面に産卵します。 卵は4月下旬に孵化し、0.4mmほどの1齢幼虫は活発に歩行し、固着する場所を探します。 そして4月下旬から5月上旬に脱皮して2齢幼虫になります。 2齢幼虫は動かないまま夏を越し、12月上旬に脱皮して3齢幼虫に、12月中旬に脱皮して4齢幼虫に、そして12月下旬に脱皮して5齢幼虫になります。 最初の写真には脱皮した後の殻も写っています。
葉面にくっついたままの生活で、排泄物はどうするのかというと、幼虫の腹面の排泄孔の周囲にはロウ物質を出す孔があり、水滴状の排泄物は薄いロウ物質に包まれて筒状になり、幼虫の体にくっつくことなく放出されます。 下の写真では、この排泄物の入った筒状のものが腹部の下に写っています。
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