フレイキネティア・ムルチフローラ
このところ植物の記事が少ないので、春を感じさせてくれる温室の花をひとつ。
上の写真、オレンジ色の花弁、と思ってよく見ると、オレンジ色の先端が緑で葉のような印象、そしてその中を見ると・・・。
この緑色の球形のもの、もちろんオシベでもメシベでもありません。 たくさんの花が集まったもの、つまり花序です。 このような花序を肉穂花序と呼んでいます。 ですからオレンジ色のものは、複数の花序を囲む「苞」ということになります。
この植物は、タコノキ科に分類されていて、和名がつけられていないので、学名の Freycinetia multiflora を、そのままカタカナ読みしています。 写真ではよく分かりませんが、木本性のツル植物です。 フィリピン原産ですが、美しい植物なので、ハワイなど暖かい場所でよく植えられています。 また、この植物から取れる繊維は、マットやバスケット、サンダルなどに加工されます。 なお、属名の Freycinetia は、フランスの海洋探検家フレシネの名にちなんだものです。
この肉穂花序は春に形成されます。 この写真は、じつは昨年の3月5日に京都府立植物園の温室で撮ったものですが、今年ももう咲いている頃でしょう。
Freycinetia属は熱帯アジアからポリネシアを中心に分布し、世界で100種以上があります。 日本ではツルアダンが八重山諸島の石垣島と西表島、小笠原諸島の父島と母島に分布していて、5~6月に黄色い苞が見られ、肉穂花序が立ち上がります。 また、西表島にはヒメツルアダンが分布しています。
下は西表島のツルアダンです。 細長い葉がそうですが、12月に撮ったので、残念ながら花はありません。
なお、ツルアダンなどの繁る西表島の亜熱帯照葉樹林の様子は、こちらに載せています。
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コメント
こんにちは。
温室は色鮮やかな花が多いですね。
なかなか見る機会が無いので参考になります。
投稿: 多摩NTの住人 | 2012年3月 1日 (木) 09時11分
温室では日本で自生している植物からは想像できないような植物もあり、おもしろいものです。
投稿: そよかぜ | 2012年3月 1日 (木) 20時16分