ヒメユズリハ
ユズリハの仲間は、縁起の良いものとして、正月や祝い事の飾り物として用いられてきました。 ここで言う「ユズリハの仲間」とは、ユズリハとヒメユズリハのことですが、両者はよく似ていて、同様に取り扱われているようです。
「ユズリハ」の名前は、春に若葉が出そろってから、その葉にゆずるように前の年の葉が落葉することからです。 この様子を、親から子へと家が代々続き栄えていく願いに結びつけたのでしょう。 最近は「家よりも個人」という考え方や、親と子の同居形態の減少、少子化などの影響もあるのでしょうか、お正月にユズリハの仲間を見かけることは少なくなりましたが、ユズリハの仲間をウラジロやダイダイなどと共に、しめ飾り、床飾りや鏡餅の飾りなどに使う伝統は、まだあちこちに残っているようです。
ところで、常緑樹は年中緑ですが、葉はもちろん落葉します。 つまり年中緑だということは、どの常緑樹も、若葉が出てから古い葉が落ちます。 ただ、ユズリハの仲間は短い期間に古い葉がまとまって落ちるので、落葉が目立つだけのことでしょう。
さて、ヒメユズリハについてです。 ヒメユズリハは、本州中南部と、四国、九州の海岸を中心に自生する常緑広葉樹です。 雌雄異株で、花は5月に咲き、雌株にできる果実は、はじめは紅色ですが、後に写真のように黒藍色になります。 葉柄は、特に冬の時期は赤色を帯び、なかなか美しいものです。
最初に書いたように、ヒメユズリハに似た植物にユズリハがあるのですが、こちらは山中に自生し、葉はユズリハより少し大きく、葉柄の色は、特に夏場はヒメユズリハよりも赤いようです。 また、生育環境によっても違いはあるでしょうが、ユズリハでは葉も実も垂れ下がる傾向にあるようです。
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