リョウブの冬姿
林を歩くと、サルスベリに似た幹のリョウブに、たくさんの朔果が垂れ下がっています。 朔果というのは乾果の一種で、果実が成熟した時に縦に割れ目を生じ、中の種子をこぼすタイプの果実です。
下は上の写真の一部を拡大したものです。 長いメシベがそのまま枯れて残っている朔果の表面には毛が密生し、その中には黒い種子がたくさん入っています。
この朔果はほぼ上を向いています。 これは果実が裂開した時に、種子がいちどに下に落ちるのではなく、風などにゆすられて少しずつあちこちに散らばって散布されるのに適した形態です。
この向きをツボミの時から追跡してみると、おもしろいことが分かります。 花が葉の陰で咲くことにならないようにと、ほぼ上に伸びる花序の軸に対して、ツボミは自身の重さによるものなのか、下を向いています。 それが花が咲く頃になると、次第に花柄がしっかりしてきて、虫たちにどちらの方向から来てもらってもいいよとでもいうのでしょうか、花は果序の軸に対して横向きに咲きます。(以上の様子はこちらをご覧ください。) そして花が終わると、子房をガクで守るかのように、また下を向いてしまいます(下の写真)。
上の写真で、花序の軸はほぼ上向きで、子房は下向きです。 この花序は秋になり、もう上向きである必要もないとばかりに、重力にしたがって垂れ下がります。 すると結果として、子房から変化した果実は、種子散布に適した上を向く形態をとることになります。
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