死環①
昨日はソヨゴの葉を熱すると爆ぜることを記事にしましたが、それよりも控えめに、ほんの少し(1~2秒)ソヨゴの葉の一部を熱すると(下の写真)、
1分も経たないうちに、熱した周囲がリング状にジワ~ッと褐色になってきます(下の写真)。
これは熱により葉の一部の細胞が死ぬときに見られる環ということで「死環」と呼ばれています。 昨日も書きましたが、この褐色の部分は、でき方からしても、焦げたものではありませんし、もちろん煤(すす)がついたわけでもありません。 褐色に見えるようになったということは、褐色の物質が新しく作られたからだと考えられます。
植物でも動物でも、生体内で起こっている化学反応は、ほとんど全て酵素反応です。 褐色の物質が作られたということは、褐色の物質を作る酵素反応が進行した結果だと考えられます。
死環のでき方は次のように考えられます。 まず、一般的に酵素は熱に弱いものですから、熱せられた場所では酵素はその活性を失ってしまいます。 つまり化学反応は進まず、葉は緑のままです。
しかし熱せられた周辺では、熱による細胞の破壊により、細胞内外の酸素が葉の中の物質を変化させ、褐色の物質が作られるのだと考えられています。 この反応は、化学的にはかなり複雑なようですが、褐色の物質になる元の物質は水溶性のタンニンで、これが変化して難水溶性のタンニンを作るためだと言われています。
このように、死環は葉の内部で起こる反応ですから、片方から熱しただけで、葉の表でも裏でも(葉の内部でも)同じ死環を見ることができます(下の写真)。
死環②に続く
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