シイタケの胞子紋
胞子紋とは、キノコのひだにある胞子を紙の上に自然に落下させてできる紋様のことです。
キノコの同定には胞子の様子、つまり胞子の形態や大きさ、色が大切になってきます。 また、ひだの様子も大切な要素です。 これらのために、胞子紋を取る方法がよく用いられます。
キノコの標本は乾燥させて作りますが、乾燥させるとみじめな形となり、色も変わってしまいます。 大阪市立自然史博物館などでは、フリーズドライで標本を作ったりしていますが・・・。
ですから、キノコの記録には、標本と共に、スケッチや写真、胞子紋を取る事等を組み合わせて行われます。
新鮮なシイタケをいただいたので、このシイタケの胞子紋を取ってみました。
傘を紙に密着させるため、柄を少し残す程度にして切り落とします。
↓
傘を紙の上に置きます。 今回は黒い紙を使いましたが、白い胞子以外の場合は、白い紙を用います。
↓
胞子が落ちる時に風に影響されないよう、容器をかぶせておきます。
1日置いた後の結果が下です。 1日でこれだけの胞子が落ちるのですね。
シイタケのようなキノコでは、若いうちはひだは内被膜で覆われて保護されています。 今回用いたシイタケは採られてひだを上にして置かれているうちにかさが開いたのでしょうか、所々内被膜がひだにくっついていて、その部分だけは胞子が紙に落ちてきていません。
このシイタケはお正月の鍋に使われる予定です。 良いお年を。
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コメント
「胞子紋」初めて知りました。
魚拓みたいで面白いですね。でも魚拓のように墨を塗らなくていいから簡単そう。一度試してみたいと思います。
このブログで居ながらにして生物のことをたくさん教えていただきました。ありがとうございました。
今年もよろしくお願いします。
投稿: 夕菅 | 2012年1月 1日 (日) 17時18分
いつも見ていただいて、ありがとうございます。
キノコの胞子1つひとつは目に見える大きさではありませんが、けっこうたくさん落ちてきています。美術的に美しい胞子紋を取ろうと思えば、あまり長時間置かない方がいいかもしれません。
今年もよろしくお願いいたします。
投稿: そよかぜ | 2012年1月 1日 (日) 22時13分
はじめまして。
胞子紋で検索してたどりつきました。
息子がきのこが好きで自由研究で胞子紋をとろうとしましたが、全滅で結果が残せませんでした。今年は暑いせいか近くの里山にもあまりきのこが生えていず、仕方なくスーパーで買ったものを利用したんですがだめでした。
こちらの椎茸の胞子紋がとても綺麗な画像でしたので、せめて胞子紋はこういうものだよ‥という意味で画像をお借りすることはできないかと思いまして、失礼とは思いましたが、コメントさせていただきました。
検討よろしくお願い致します。
投稿: spring | 2012年8月22日 (水) 10時26分
どうぞお使いください。
市販のきのこで胞子紋が取れなかったとのことですが、胞子が既に飛んでしまっていたことも考えられますが、室内で生産されるキノコの場合は、室内に胞子がたくさん飛びますので、栽培従事者の健康を考えて、できるだけ胞子の少ないきのこの品種を育てようとしています。
投稿: そよかぜ | 2012年8月22日 (水) 21時25分
画像つかわせていただきました。ありがとうございます。
やっぱり市販品は胞子を少なくしているんですね。また山で採取した際にはリベンジしてみたいと思います。
投稿: spring | 2012年9月 3日 (月) 23時39分