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2011年12月27日 (火)

ハンカチノキ

 大阪府河内長野市の岩湧山麓にある岩湧寺の近くにハンカチノキが植えられていて、たくさんの実がなっていました。

Hankachinoki111221_1

 ハンカチノキは中国の四川省・雲南省の高原に自生する木で、標高約500mのこの地がよく合うのか、毎年たくさんの花を咲かせ、実をつけます。
 下は上の写真の一部を拡大したものですが、私が気になったのは果柄がまっすぐに果実についていないことと、果実のつけ根の膨らみ(下の写真の赤い矢印)です。 この膨らみは何でしょうか。

Hankachinoki111221_3

 果実の分からないところは、果実の元である花にヒントを求めるのも1つの方法です。 下は京都府立植物園で撮ったハンカチノキの花です。 白いのは苞で、「ハンカチノキ」の名前は、この苞を白いハンカチに見立てたところからです。

Hankachinoki110506_1

 下は2枚の苞の中央に位置する花を拡大したものです。 この花のつくりはどのようになっているのでしょうか。 たくさんあるのはオシベでしょうが、花被は? メシベは?・・・斜めについている!!

Hankachinoki110506_2

 ハンカチノキは、遺伝子を元にした新しいAPG植物分類体系ではヌマミズキ科に分類されています。 このヌマミズキ科はミズキ科に近縁です。 例えばミズキ科のハナミズキでは4枚の苞の中央に花の集団があります。 ハンカチノキの2枚の苞の中央にある球形のものは、球形の花托にたくさんの花が咲いている状態のようです。 同じヌマミズキ科に分類されているカンレンボクも、たくさんの花が球形に集まっていました。 ただハンカチノキの花の集団は、ほとんどがオシベばかりの雄花で、雌花は1つだけのようです。

 1つの雌花の子房が膨らみ、1つの果実になっていくのですが、雌花も球形の花托に咲いていました。 雌花の子房が果実になるとき、その果実には球形の花托のなごりがくっついているはずで、それが2枚目の写真の矢印の部分でしょう。


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コメント

今年のこと、ハンカチノキに初めて出合って
夢中でいっぱい花の写真を撮りました。
花が咲いたんだから実が生るんですよね、
初めて出合ったハンカチノキにも今頃はこんな実がいっぱい生っているんですよね・・・


投稿: わんちゃん | 2011年12月30日 (金) 20時57分

果実が生っていれば必ず花が咲いたと言えますが、花が咲いたからといって、必ず実ができているとはいえません。虫がどれくらい花粉を運んでくれたのか、木に果実を完成させる“体力”があるのか、など、いろんな要素が満たされてはじめて果実が実ります。
ハンカチノキに関しての私の今の関心事は、種子散布の方法です。自生地ではこの実を食べる動物がいるのでしょうか、それとも・・・。
わんちゃんも、この実を手にとって、大きさや重さを実感して、どのように種子散布されるのか、考えてみてください。

投稿: そよかぜ | 2011年12月31日 (土) 00時54分

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