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2011年11月13日 (日)

カニクサ

 カニクサは本州中部以南に分布するツル性のシダ植物です。 名前の由来は、子供が蟹を釣るのに使ったとか。 このツルは丈夫で、駕篭を編む時の結び目などに使われます。
 ところで、下の写真には何枚の葉が写っているでしょうか。

Kanikusa111029_1

 じつは上の写真全体が、1枚の葉の一部です。 カニクサの茎は地下茎で、そこから出た葉がどんどん伸びたものです。 株が充実してくると、1枚の葉の長さは2mを超えます。
 以前記事にしたウラジロコシダは、1枚の葉が年ごとに伸びていきました。 カニクサの葉も原理的にはこれらと同じく、葉の先端が無限成長していくのですが、カニクサの場合は1年のうちにどんどん伸びます。
 ところで、前にクマワラビでは葉に胞子をつける部分とつけない部分があることを書きました。 カニクサも同じで、最初の写真の上の部分では胞子をつけていて、下の部分では胞子をつけていないのですが、1枚の葉が長いため、まるで胞子葉と栄養葉の2種類の葉があるように見えます。
 このことをもう少していねいに見ていくことにします。

Kanikusa111029_2

 上は胞子がついていない部分です。 説明のために、軸に沿って、線を引いておきました。 水色の部分は葉の主軸です。 この主軸にたくさんの羽片がつきます。 黄色が羽片の軸です。 各羽片は1対の小羽片をだします。 小羽片に分かれた中央には小さな芽がありますが、通常はこの芽は伸びることはなく、ここで羽片の生長は止まります。 つまり羽片は1対の小羽片のみからなるのですが、この小羽片は、さらにいくつかの裂片に分かれます。 小羽片の軸を赤い線で示しておきました。

 下は胞子のうをつけている部分です。 通常は上方の羽片に胞子のうがつきます。

Kanikusa111029_3

 下は胞子のうをつけている部分の拡大です。 胞子のう群は包膜に覆われています。 包膜の辺縁には不規則な凹凸があります。

Kanikusa111029_4

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コメント

お早うございます。
今日はつる植物を見せて頂きました。
百科辞典のようで楽しかったです。

投稿: かーこ | 2012年2月13日 (月) 04時19分

かーこさんは、やはり植物専科ですか?
私は逞しく生きる自生植物に関心があり、美しい栽培植物はあまり取り上げていませんが、これからもたくさん訪問してくださいね。

投稿: そよかぜ | 2012年2月13日 (月) 21時41分

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