ヌルデ
昨日、一昨日と、互いによく似たヤマウルシとヤマハゼを取り上げました。 これらとヌルデは、区別は容易ですが、奇数羽状複葉であるなど、似てなくも無いので、取り上げておくことにします。
ヤマウルシやヤマハゼなどとの明確な違いは、複葉の葉軸に翼があることです。 写真の葉は小葉がきちんと揃っていませんが・・・。
果実の表面は短毛を密生しています。 下の写真で、果実の表面の所々で白い物質が分泌されています。 これはリンゴ酸カルシウムで、秋口の一時期、この分泌がたいへん盛んになる時期があります。 このリンゴ酸カルシウムを分泌する意義は、少し調べてみましたが、よく分からないようです。
リンゴ酸カルシウムは吸収されやすいカルシウムで、舐めると塩味がします。 人が舐めてもおいしく、鳥が好むのも確かなようですが、果実を食べてもらうために表面にリンゴ酸カルシウムを分泌するにしては、リンゴ酸カルシウムの最もよく分泌される時期は、種子の完成からすると、早すぎるようです。
ヌルデの名前は、幹を傷つけると白い汁が出て、これを塗料に使ったことに由来するようです。 また、私はそんなに太いヌルデの木を見たことは無いのですが、材は白く、材質は柔らかく、木彫の材料などに使われるようで、聖徳太子が物部守屋の戦いに際し、ヌルデの木で仏像を作り戦勝を祈願したとの伝承があります。
もうひとつ、ヌルデが生活に利用されてきたものに五倍子(ごばいし)があります。 これは下の写真のような、ヌルデシロアブラムシが作る虫えい(虫こぶ)ですが、この虫えいにはタンニンが豊富に含まれていて、黒色染料の原料としてや皮なめし等に使われた他、昔の女性のお歯黒もこれを材料にしていたようです。
いろいろ書いてきましたが、ヌルデも人によってはかぶれることがありますので、ご注意を。
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コメント
おはようございます
お歯黒の時代に生きてなくてよかった
虫コブは面白いですが自分の歯に塗るのは躊躇しますね
虫歯予防の効果もあったんでしょうか
投稿: エフ | 2011年11月30日 (水) 08時18分
ヌルデの虫こぶを割ってみましたことがありました。
ヌルデシロアブラムシと教えていただきました
取りあえずはそのヌルデシロアブラムシを追い出して・・・
黒色染料を・・・とはちょっと想像がつきません
投稿: わんちゃん | 2011年11月30日 (水) 19時45分
エフさん、美的観念も時代と共に替わるものですね。
今川義元がお歯黒をしていて、そんな貴族の真似をしているから桶狭間の合戦で破れたんだという人もいますが、実際のところは、きちんとした(?)武士は、首を打たれても見苦しくないようにと、戦場に向かう身だしなみだったそうですよ。
虫歯予防の効果はあったようですね。
わんちゃん、ヌルデシロアブラムシは五倍子を熱湯に浸けて殺すそうです。
もちろんそんなことを一人ひとりが行うのではなく、チップにした五倍子を売る業者がいたのでしょう。
投稿: そよかぜ | 2011年11月30日 (水) 23時40分