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2011年11月11日 (金)

アブラチャンの果実

 私たちが日常生活で「果実」というと、おいしい果汁たっぷりのいわゆる「くだもの」のことですが、生物学的にはこのような果実は「液果」とよばれ、果実のほんの一部です。
 生物学的な「果実」とは、花の子房が発達・変化したもので、種子が完成するまで子房壁は内部を保護し、種子ができあがると、子房壁は果皮となりますが、この果皮の機能は、果汁を蓄えて鳥に食べてもらおうとしたり、たくさんの種子を入れておく袋として機能したり、トゲを生やしてひっつき虫となるなど、植物の種類によって様々です。

Aburachan111026_2

 アブラチャンの果実は種子が完成しても緑のままで、果皮は上や下の写真のように破れ、種子を地面に落とします。 種子は大きく、地面に落ちた種子は、たぶん野ネズミなどの貯蔵用の餌として運ばれ、食べ残された種子が運ばれた先で芽を出して分布を広げる、という戦略なのでしよう。
 アブラチャンはクスノキ科の落葉低木です。 クロモジダンコウバイなどはアブラチャンと同じ属( Lindera属 )なのですが、これらの果実が液果であるのに対し、アブラチャンの果皮は大きな種子の保護に徹しているようです。

Aburachan111026_1

【アブラチャンに関するメモ】
 アブラチャンを漢字で書くと、「油瀝青」です。 「瀝青」はタールやピッチなどのことです。 アブラチャンは油分が多い木で、昔は樹皮や種子を絞り、灯油として利用していたようです。 また、油分が多いために生木でも燃えやすく、薪材として好まれました。

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