ナギ
ここで書くナギはマキ科の常緑高木です。 畑健二郎の漫画の三千院ナギのことではありません(googleの画像検索では三千院ナギばかり・・・)。
奈良公園の春日大社周辺にはナギが多く、一部では純林を形成し、この純林は大正12年に国の天然記念物に指定されました。 しかしこのナギは自生ではなく、持ち込まれたもののようです。 日本の自生地は四国・九州と山口県で、紀伊半島や伊豆半島にも生育しているのですが、これも古い時代に持ち込まれたのではないかと言われています。
春日大社でナギが純林を作った理由としては、ナギの林の中はたいへん暗くなり、いちど林になってしまうと、他の樹木が育ちにくいこと、ナギは他の植物の成長を抑制する化学物質を出す(アレロパシー)こと、鹿がナギを食べないこと、ナギの林がたいへん暗くなることと関係するのですが、ナギを神様の憑代(よりしろ)として大切に扱ってきたことなどが複合的に作用したものと考えられます。 春日大社では古くから、他の神社ではサカキを用いるところを、ナギを神事に用いてきました。
最初に、ナギはマキ科に分類されていることを書きました。 つまり裸子植物です。 しかし、葉を見ても裸子植物らしくはありません(下の写真)。
でも、葉をよく見ると、やはり被子植物の葉とは違い、中央脈はなく、多数の平行脈があります。 この葉の繊維はたいへん強く、ひっぱってもなかなか切れません。 昔の人は嫁入り道具の鏡の裏にナギの葉を彫刻したり、鏡の底にナギの葉を入れ、夫婦の縁が切れないように願ったそうです。
ナギは雌雄異株です。 小さな花は5月頃に開花し、10月頃には青白色の毬果が見られます(下の写真)。 裸子植物ですので、子房が変化してできる果実ではありません。
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コメント
ナギの葉っぱは確かに千切れにくかったです
縦にちぎるとスッと千切れました
横にちぎると千切れにくく葉っぱの上下の両端を引っ張ったらほとんどの葉脈がコレデモカというくらいくっついてました。
>昔の人は嫁入り道具の鏡の裏にナギの葉を彫刻したり、鏡の底にナギの葉を入れ、夫婦の縁が切れないように願ったそうです。
う~ん お金と縁が切れないようにお財布にナギの葉っぱを入れておくとか?
投稿: わんちゃん | 2011年11月12日 (土) 22時34分
お金は財布から出入りして活躍するもので、仲間を連れて戻ってくることもあるでしょう。
お金と財布が切れない縁で、お金が財布から動かないようでは死に金で、これはナンギなことですよ。
投稿: そよかぜ | 2011年11月13日 (日) 11時33分