ナチシダ
奈良公園では、鹿の食べない植物が残るため、他の場所ではそんなに多くないのに奈良公園ではよく見ることができるという植物がいくつかあります。 ナチシダもそんな植物で、暖かい地方ではよく見ることのできるシダですが、奈良あたりの気温ではそんなに多くないはずが、よく繁っています。 ちなみに、和名は和歌山県の那智山に由来し、熱帯にまで分布しているシダです。
ナチシダは大型で常緑ののシダで、1枚の葉を上から見ると全体として5角形という特徴的な形をしていて、他のシダと見間違うことは、ほぼありません(下の写真)。
1枚の葉がこのような特徴的な5角形になるしくみをもう少し詳しく見ていくと、次のようになります。
ナチシダはイノモトソウ科イノモトソウ属のシダです。 胞子のうのつき方を見ても、葉の縁が折れ曲がって胞子のうを保護する様子などは、イノモトソウやオオバノイノモトソウなどとよく似ています(下の写真)。
身近なオオバノイノモトソウと羽片の様子を比較しますと、オオバノイノモトソウの1枚の葉は中肋の左右に複数の羽片(側羽片)が並び、いちばん先には頂羽片があります。 ナチシダは3羽片、つまり頂羽片と1対の側羽片からなります。 羽片の分岐点を見ると、たしかに3つに分かれています(下の写真)。
3つの羽片がどうして5角形にみえるのか。 じつは左右の側羽片の外側の最下片が長く延びているのです。 下の図で、頂羽片を青色で、側羽片を水色で、側羽片の外側の最下片を黄色で示しておきました。
| 固定リンク
「植物(種子植物以外)」カテゴリの記事
- チャボヒラゴケ(2014.03.12)
- ヒロハツヤゴケ(2014.02.09)
- タチヒダゴケ(2014.01.29)
- カラフトキンモウゴケ(2014.01.28)
- イワヒメワラビ(2013.08.09)
コメント
全部のシダが一緒のモンに見えていたころ
シダにも個性があります、って教えていただいて「どうしよう??」
「ルーペで見てみましょう」
シダって葉っぱの裏側が個性的
ルーペで覗いて観るとオモシロイってことが解りました。
投稿: わんちゃん | 2011年10月28日 (金) 19時32分
ブツブツがいっぱいの気持ち悪さにも慣れてしまえばおもしろいものでしょう。
投稿: そよかぜ | 2011年10月28日 (金) 23時14分