アリノトウグサ
アリノトウグサは、日当たりのいい山野でみられる多年草で、そんなに珍しい植物ではありません。 ただ、小さな植物で、高さは20cm前後にはなりますが、小さな葉はその下部に集中していますので、他の植物に上を覆われないような場所、つまり湿地で大きな植物が育たない所だとか、日当たりのいい山道の脇などで見られます。 といっても、ほとんどの人はこの1~2mmほどの小さな花に気付かずに通り過ぎてしまっているのではないでしょうか。 むしろ気づくのは、対生で卵円形の葉が紅葉した時かもしれません。
名前は茎に点々とつく花を、茎にアリが登っている状態と見立てたものでしょう。
アリノトウグサ科は南半球で栄えていますが、日本では、アリノトウグサ以外には、水草のフサモの仲間があるくらいで、近縁の植物のいろんな花を見る機会がありません。 ですからアリノトウグサの花は、私たちの目には“個性的な”花のように見えます。
上の写真は、たくさんの花のついている茎の一部を拡大したものですが、一番上はツボミです。 ガクは筒になっていて、その先は緑色で4裂しています。 赤い4枚の花弁がしっかり内部を保護しています。
上から2番目と3番目の花は雄性期です。 オシベは8本で、4枚の花弁は反り返っています。
そして上から4番目と5番目の花についてですが、これは上に書いた状態の花がオシベと花弁を落とし、その後、羽毛状の柱頭が伸び始めたところです。 雌性期の始まりです。 柱頭は4本に分かれています。
下の写真は、上2つが雄性期、3番目の花は、オシベは落ち、花弁も落ちかけている状態です。 そして4番目と5番目の花は、柱頭の毛を大きく広げています。 毛が重なり合っていて、柱頭が4本に分かれていることは分かりづらくなっています。
メシベの柱頭は、下のようにほとんど白に近い色の場合もあります。
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