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2011年8月26日 (金)

サルスベリの花

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 サルスベリは中国南部原産だけあって、夏の暑さにも負けず、まさしく夏の花と言えるでしょう。
 サルスベリの花は、双子葉植物には珍しく、6の数を基本としています。 ガクは合生して筒状になっていますが、先端では6裂していますし、花弁は6枚です(下の写真の黄色い番号)。 オシベは花の中央付近に葯の黄色いオシベはたくさんありますが、その周辺にある長いオシベは6本です(下の写真の水色の番号)。 メシベは下の写真の花では右下の方に伸びています。

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 中央の黄色い葯は虫を呼ぶためにあり、稔性のある花粉は長いオシベの目立たない色の葯から出す、というしくみは、ツユクサなどと同じです。 そこでもう少し、訪花昆虫を利用する花側の工夫について、ツユクサの花とサルスベリの花を比較してみることにします。
 どの方向から虫が来てもいいようにしておくのか、虫の来る方向を想定しておくのかで、花の基本的なつくりは決まります。 ツユクサの花のつくりには、上下、左右、前後がありました。 ツユクサの花は、特定の方向から来る虫に効果的に花粉媒介してもらえるように、左右相称の花のつくりになっています。 では、サルスベリの花はどうでしょうか。
 サルスベリの花は、一見放射相称の花に見えます。 でも、注意して見ると、必ずメシベは片方に寄っています。
 サルスベリの花弁とオシベの配列をもう一度注意して見ると、花弁は1枚がメシベの下に来て(上の写真の黄色の6番)、他の5枚はその反対側に寄り気味です。 そして長いオシベは、逆にメシベ側に寄っています。 サルスベリの花は左右相称の花になろうとしているのかもしれません。
 花のつくりは花粉媒介者との関係で考えなければなりません。 しかし自生のサルスベリは日本にはありませんし、日本のサルスベリは品種改良で自生の状態とは花も少しは異なっているかもしれません。 自生地ではどのような花粉媒介者が活躍しているのでしょうか。 なお、このことと関連して、サルスベリの花のガクは、日本のサルスベリを訪れる昆虫を考えるなら、少し丈夫すぎるような気がします。
 それともうひとつ、気になっていることがあります。 それは花の終わりになると、オシベとメシベがクルクルと縮れることです(下の写真)。 この点もツユクサによく似ています。

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 この動きの中では当然メシベの柱頭は長いオシベの葯に触れることが予想されます。 そのまましおれてしまうのではなく、わざわざクルクルと運動するのは同花受粉を狙ってのことではないでしょうか。
 サルスベリの花は同花受粉で種子形成ができるのか、あちこち調べてみましたが、残念ながらこの答を見つけることはできませんでした。 機会があればぜひ調べて見たいと思います。
 サルスベリの花とツユクサの花が種子形成に似たしくみを持っているのは「他人の空似」でしょう。 しかし効率よく種子を生産しようと“他人”が同じ目的で同じ方向に進化したとも言えます。 サルスベリとツユクサ、同じ暑い夏に咲く身近な花の類似点がおもしろく、記事にしてみました。

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コメント

こんにちは。
サルスベリとツユクサの類似点を興味深く拝読しました。とても面白いですね。

投稿: 多摩NTの住人 | 2011年8月28日 (日) 16時39分

ありがとうございます。
でも日本に自生していない植物は、生態的な疑問を感じても、確かめようが無いので困ります。

投稿: そよかぜ | 2011年8月28日 (日) 23時25分

あ~ぁ
ツユクサもサルスベリもウチの庭で頑張ってます・・・けど。

投稿: わんちゃん | 2011年8月29日 (月) 08時53分

そんなに落ち込まなくても・・・。
思考は既に持っている知識を使って行われます。知識が増えれば思いつきも増えるのでしょう。
思いつきで終わらせてはいけないのでしょうが・・・。

投稿: そよかぜ | 2011年8月29日 (月) 23時25分

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