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2011年8月22日 (月)

フタオビコヤガ

 フタオビコヤガ(二帯小夜蛾)というイネの害虫がいます。 写真のように2本の帯状の模様がある蛾です。

Futaobikoyaga090816_1

 もちろん、稲の葉を食べるのは、その幼虫(下の写真)で、イネアオムシとも呼ばれています。 昔からいたイネの害虫ですが、最近全国的に発生が多発するようになってきたということです。 田への薬剤散布が減少したことも原因しているのかもしれません。

Futaobikoyaga090816_2

 フタオビコヤガは蛹で越冬し、春先に羽化した成虫が水田に飛来し、イネの葉に産卵します。 その後は羽化と産卵を年数回繰り返します。 イネ以外の幼虫の食餌植物は、現在のところ見つかっていません。 蛹はイネの葉を折りたたんだ中にいます。
 このフタオビコヤガの幼虫(=イネアオムシ)に寄生するハチにホウネンタワラチビアメバチというのがいて、このハチの蛹が豊年俵だということは、以前記事にしました。
 ところで、最初の成虫の写真をよく見ると、この成虫はカビに侵されています。 昔、養蚕が盛んだった頃、フタオビコヤガはカイコの害虫とされていました。 フタオビコヤガが増えると、それに寄生する菌類が増えます。 この菌がフタオビコヤガ以外の蛾にも感染することができる菌ならカイコにも感染する(例えば緑きょう菌)というわけです。

 田を舞台にした生き物たちの複雑な関係の一例を紹介しました。 「風が吹けば桶屋が儲かる」のは、生き物たちの世界では、ごくあたりまえのことのようです。

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