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2011年7月19日 (火)

ゴボウと花と面ファスナー

 私たちにとっては身近な食材であるゴボウですが、この根菜であるゴボウは、日本と、一時日本が統治していた朝鮮半島、台湾、中国東北部の一部以外では食材とされません。 ヨーロッパなどでは、ゴボウの若葉をサラダにするくらいです。 ですから、第二次大戦中に日本が捕虜に当時高価なゴボウを食事に供したところ、木の根を食わされて虐待を受けたと、終戦後に問題になったとか・・・。
 そんな話があるほどの“日本の食材”であるゴボウには豊富な食物繊維が含まれており、その効果も注目されています。 水溶性食物繊維であるイヌリンにはコレステロール値を下げる効果がありますし、不溶性食物繊維であるリグニンには腸内環境正常化(発がん物質・老廃物の除去)の効果があります。 この他にも、ポリフェノールの抗酸化作用による老化防止や、酵素ペルオキシダーゼによる消臭効果なども期待されます。

 前振りが長くなりましたが、私たちになじみのあるゴボウは根の部分で、その花を見る機会はあまりありません。 花が咲くまで放置していると、根に蓄えられていた栄養分が花と種子生産に消費され、根は木質化し、それこそ木の根のようになってしまい、とても食べられません。 ただ、ゴボウの種子は牛蒡子(ごぼうし)と呼ばれ、生薬や漢方薬として知られており、この種子を採取するためには花を咲かせる必要があります。
 そのゴボウの花についてですが、以前、アメリカオニアザミにいたゴボウゾウムシのことを記事にしましたが、ゴボウはアザミに近縁の植物です。
 下がそのゴボウの花です。 キク科ですので、頭花(=頭状花序)で、たくさんの小花(=ほんとうの1つの花)が球形の総苞に包まれて、果実になる子房部分が保護されています。

Gobou110702_1

 そして、下がその花の拡大です。 総苞を形成している個々の総苞片にピントを合わせてみました。

Gobou110702_2

 アザミの総苞片の先端は尖っていますが、ゴボウの花の総苞片の先端は、よく見るとカールしています。 何かに似ていませんか?
 じつはスイスのジョルジュ・ド・メストラルはこれをヒントに面ファスナー(商品名はマジックテープ)を開発し、1955年に商品化されています。
 彼はイヌの散歩で野生のゴボウの種子(そのように伝わっています)がイヌや自身にくっつくことから、そのくっつくしくみを調べ、面ファスナーの開発に至ったということですが、種子(=牛蒡子)がくっつくことは無いでしょう。 日本には野生のゴボウはありませんが、私が想像するに、ゴボウは花が終わって種子ができても、アザミやタンポポのように風に乗って種子を散布させるのではなく、ゴボウの種子は総苞の中に留まるのでしょう。 そしてゴボウは枯れ、球形の総苞は、たくさんの種子を入れたまま、動物の体などにくっつき、運ばれるのでしょう。 もしかしたら運ばれる途中で、少しずつ種子が総苞からこぼれ出るのかもしれません。
 こうなると、野生のゴボウの種子の入った総苞を見てみたいものですね。

(以下、7月22日追記)
 この記事を見ていただいたパンダさんから、花が終わってからの栽培ゴボウの種子散布についてお知らせいただきました( 詳しくはこちら )。 それによると、種子ができたゴボウの総苞は、総苞単位ではずれやすく、その総苞は動物の体などにオナモミのようにしっかりとくっつくようです。 そして、くっついた総苞を取ろうとすると、総苞がくずれ、種子がこぼれ出るしくみのようです。 おそらく野性のゴボウでも、総苞の大きさは異なるかもしれませんが、このしくみは同じでしょう。 総苞がくずれて中から種子が出るというのは、オナモミなどとはまた違った、キク科の特徴をうまく利用した種子散布の形態で、たいへんおもしろいと思いました。

 タイトルについて
 「ゴボウ花と面ファスナー」ではなく、変なタイトルにしましたが、ゴボウについては花だけでなく、いろんなことを書いていますので、語呂の良いこのタイトルにしました。
 ちょうど氷川きよしの「あの娘(こ)と野菊と渡し舟」が流れていた頃で、そのタイトルの影響が無いとは言えません

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草1 合弁花」カテゴリの記事

コメント

そよかぜさん、おはようございます。
長崎の台風は過ぎ去ったようですが、そちらは大変なことになっていませんか?

ごぼうの花は見てみたい花でした。ですから、このブログを見てニッコリ!それから最近花後なんですけれど偶然畑に残っていて、持ち主さんに撮らせていただきました。また数日中にはヘツカニガキの花を撮りに行きますので、残っていたら中の様子まで写真に収めてきますね。よかったら見てください。

http://photozou.jp/photo/album/157455

私のフォト蔵です。インターネットに公開する設定にしています。

投稿: panda | 2011年7月19日 (火) 07時39分

追伸
野生のごぼうがご覧になりたかったのでしたね、ごめんなさい (^_^;)ゞ

投稿: panda | 2011年7月19日 (火) 07時41分

blog友の菜園でゴボウを植えてはりました。
ゴボウの花を見たいので花を咲かせてもらえませんか?と
思えば無理なことを・・・
そしてホンマに花を咲かせて写真を送ってもらったことがありました。

ナルホド、アザミに似てるなぁと思ったモンでした。
紫色が少し残ってました。

投稿: わんちゃん | 2011年7月19日 (火) 22時04分

pandaさん、ぜひ総苞の中の様子、お願いします。それと、栽培のゴボウでも総苞単位でちぎれやすいのかもお願いしますね。

わんちゃんへ
漬物などとして売られている「山ごぼう」もアザミの根ですものね。
そのよく似ているアザミとゴボウで、種子散布の方法が全く違う、そこがおもしろいと思っています。

投稿: そよかぜ | 2011年7月20日 (水) 07時30分

はじめまして。いつも拝見しています
多種多様な写真、詳しい説明にいつも勉強させていただいています。先日 奥飛鳥の道路際で
ど根性ごぼうの花を初めてみました。
5センチくらいのコンクリートと土の隙間から花を咲かせていました。毎年咲くそうです。
嬉しくなってコメントさせていただきました。これからも楽しみに拝見させていただきます。

投稿: あすかのやさい」 | 2011年7月21日 (木) 19時33分

そよかぜさん、こんばんは
今日はゴボウの観察をしてきました。
ゴボウは総苞単位でボロッとはずれます。そしてオナモミのようにしっかりとくっつきます。それをはずそうとすると総苞がくずれて、中から種子が出てきます。今からブログにまとめてみます。もしよかったら、フォト蔵にも画像を追加しますので見てくださいね。
それから、リンクもよろしくお願いします。

投稿: panda | 2011年7月22日 (金) 01時16分

あすかのやさい」さん、いつもご覧いただいているとのこと、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
食べるゴボウは、本来は来年芽を出すための栄養分を蓄えておく部分ですから、そのままにしておくと、毎年芽がでるわけですね。

pandaさん、ありがとうございました。記事に追記させていただきました。被験者のクマちゃんにもよろしく。
フォト蔵の画像も、皆さんに見ていただけるよう、いただいたコメントからそちらに移れるようにリンクを張らせていただきました。

投稿: そよかぜ | 2011年7月22日 (金) 07時11分

2012年6月30日、なぜだか分かりませんが、この記事が大ブレイク、この日1日だけで、この記事に549人に訪問いただきました。これはこの日の全訪問者数の46%にあたります。
誰かがどこかでPRしてくれたのでしょうか?
「ヤモリの指から不思議なテープ」が出版されたことと関係あるのでしょうか?

投稿: そよかぜ | 2012年7月 1日 (日) 09時38分

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