ニンフホソハナカミキリ
ナツツバキの花に来ていたニンフホソハナカミキリです。 5月~8月に見られるハナカミキリで、頭部と胸部は黒く、上翅は褐色の地色に黒条が複雑に入ります。 触角は黒く、8節の途中から10節までは黄白色です。
よく似たものにタテジマホソハナカミキリがいます。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
ナツツバキの花に来ていたニンフホソハナカミキリです。 5月~8月に見られるハナカミキリで、頭部と胸部は黒く、上翅は褐色の地色に黒条が複雑に入ります。 触角は黒く、8節の途中から10節までは黄白色です。
よく似たものにタテジマホソハナカミキリがいます。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
ゾウムシ上科オトシブミ科オトシブミ亜科マダラオトシブミ族のゴマダラオトシブミです。 大きさは7mm前後、分布は全国、5~8月に、クリ、クヌギ、コナラ、ブナなどのブナ科や、ヤシャブシ、ヤマハンノキなどのカバノキ科の樹木などで見られます。
前に同じ族のヒメゴマダラオトシブミを記事にしましたが、その時に、ヒメゴマダラオトシブミにも前胸背面や上翅が“ごまだら”模様の個体もいると書きました。 このゴマダラオトシブミも、写真の個体は黄褐色の地色に黒紋が散りばめられたきれいなごまだら模様ですが、黒紋が小さく数も少ない個体から、黒紋が発達して大部分が黒色になる個体まで、さまざまな色彩変異があります。
| 固定リンク
| コメント (3)
| トラックバック (0)
み。さんからのアシダカグモ情報が届きました。 今回は子グモの誕生です。 前回の記事では無精卵でしたが、今回は無事に子グモが産まれれました。
アシダカグモは子グモが出てくるまでは卵のうを持ち歩きます。 もちろんその間、食事はできません。 そしていよいよ子グモ誕生となると、卵のうを壁などに貼り付けます。
今回は母グモが卵のうを持ち歩いているうちから少し子グモが卵のうから出はじめ、卵のうを貼り付けるや否や、たくさんの子グモが卵のうから出てきたということです。
子グモたちは、白っぽい部分と黒い部分がはっきりしていて、なかなかかわいいものです。 この子グモたち、もちろんまだゴキブリを捕らえることはできません。 何を食べてどのように成長していくのか、楽しみです。
これまでに み。さんからいただいたアシダカグモ情報を元に作成した記事の一部を、下にリストアップしておきます。
・アシダカグモの越冬
・アシダカグモ動き出す
・アシダカグモのゴキブリ退治
・アシダカグモの脱皮
・アシダカグモの産卵とその後
| 固定リンク
| コメント (10)
| トラックバック (0)
ネムノキの名前は、その葉が夜に“眠る”からです。 下は7月下旬の夜7時半に撮ったものですが、葉が閉じて垂れかかっています。 この変化は「睡眠運動」と呼ばれています。
葉の垂れるしくみは、葉柄や小葉柄の基部にある「葉枕(ようちん)」と呼ばれている膨らんだ部分(下の写真)がコントロールしています。 葉柄にある葉枕と小葉柄にある葉枕を区別する場合には、前者を主葉枕、後者を副葉枕と呼んでいます。 なお、小葉の基部にも小さな葉枕があり、小葉枕と呼ばれています。 これらの葉枕の部分の細胞内の圧力(「膨圧」)が変化し、膨圧が下がると葉は閉じて垂れます。
ネムノキの葉はなぜ夜に“眠る”のでしょうか。 いろいろな理由が考えられます。
この中に正解はあるのでしょうか?
ところで、ネムノキの花では蜜を節約するつくりになっているとネムノキ(2)で書きました。 しかし一方では葉にも蜜腺(花外蜜腺)があります。 蜜腺は2枚目の写真のように葉柄の基部近くにもありますが、先端の小葉柄の基部にもあることがあります。 下は3枚目の写真の左上部分を拡大して撮ったもので、小葉柄基部の副葉枕と花外蜜腺が写っています。
葉の花外蜜腺は蟻を呼び、葉を食べる虫から葉を守ってもらおうとしているのでしょう。 蟻は翅の無い蜂、蜜は葉のボディガートとして働く蟻に支払う給料と言えるのではないでしょうか。
| 固定リンク
| コメント (12)
| トラックバック (0)
この記事はネムノキ(1)からの続きです。
上の写真のネムノキの花には、ヨツスジハナカミキリでしょうか、遠くてよく分かりませんが、とにかくカミキリの仲間が来ています。(写真はクリックで拡大します)
でも、細いオシベでは足場にするには頼りなく、かなり悪戦苦闘しているようですが・・・。
花に虫が来るのは、蜜または花粉を求めてです。 ネムノキの花はどちらを提供しようとしているのでしょうか。 細いオシベの先の葯は小さく、そんなにたくさんの花粉があるとは思えません。 蜜を貯めておく事も難しそうにも見えますが・・・。
ネムノキの1つの花のように見えるのは、じつはたくさんの花の集まりだと昨日書きましたが、その花の集まりの中に、少数ですが、他とは違った形態の花(上の写真の緑の矢印)が混じっています。 この花の花冠は他の花に比べて長く、このことは大きくなったツボミの時から違っています(上の赤い矢印)。
下はもう少し拡大した写真です。 多くの花はメシベもオシベも上方に伸びて、両者の区別は難しいのですが、この花冠の長い花については、メシベはまっすぐ上に伸びています(黄色の矢印)が、オシベは水平方向に広がっています。 これだけ長い花冠であれば、その中に蜜をためておくことはできそうです。 オシベが水平方向に広がっているのも、蜜を吸いやすくしているのだとも考えられます。
ネムノキの花は、蜜を入れた少数の花を用意しておき、その蜜を求めて飛来する昆虫にたくさんの花の花粉媒介を頼るしくみなのでしょう。 長いたくさんのオシベは、メシベやオシベの先端と蜜のある場所との距離を一定に保っています。 つまり、この蜜を利用できるのは、オシベの長さの口を持った昆虫ということになります。 夜に花が咲いていることも考えれば、ネムノキの花は、空中でホバリングして長い口を伸ばすスズメガの仲間に花粉媒介をしてもらうことを期待しているのではないでしょうか。 虫がとまるのには頼りない細いメシベとオシベは、他のいろんな昆虫には蜜を盗られたくないという“意思表示”なのかもしれません。
上のように考えると、ネムノキの花は、そのしくみは違いますが、カラスウリの花と同様の結果を“期待”して進化してきた花だとも言えそうです。 しかし、もしそうであれば、カラスウリの花同様、白い花の方が夜には目立つでしょうし、昼間に咲いている必要もありません。
ネムノキの仲間は熱帯に多く分布します。 下は京都府立植物園の温室で撮ったボリビア産のオオベニゴウカンですが、熱帯に育つネムノキの仲間には鮮やかな色の花を咲かせるものもたくさんあります。 ネムノキの花を理解するには、これらの花の花粉媒介者のことを知る必要があるのかもしれません。
【 ネムノキ(3)に続く 】
| 固定リンク
| コメント (4)
| トラックバック (0)
象潟や 雨に西施が ねぶの花 芭蕉
象潟(きさかた)は、秋田県にかほ市にあります。 西施は、中国四大美女の一人で、春秋時代の人です。
以前から美しいネムノキの花の写真をこのブログに載せたいと思いながら、なかなか満足のできる写真が撮れず、今日に至ってしまいました。 ネムノキの花は、光の具合が良くないとなかなかいい色が出ませんし、夕方から開いて翌日にしぼむ花は朝に撮らないとシャキッとした姿は撮れません。 ただし、メシベとオシベはよく似ていますから、メシベを見分けようとすれば、オシベがだらんとした後になります。
ネムノキはマメ科の落葉高木です。 花が終わると、ちゃんとマメができます(下の写真)。
しかし、マメ科といっても、エンドウやスイトピーなどのいわゆる蝶形花とは、かなり様子が違っています。 そこで分類学的には、マメ科をマメ亜科、ネムノキ亜科、ジャケツイバラ亜科に分けたり、体系によってはネムノキ科という独立の科とされることもあります。
アカシア、オジギソウ、ギンネムなどがネムノキに近い仲間ですが、花弁は退化し、目立っているのは糸状のオシベです。 小さい花が集まって1つの花のように咲くことは、ツボミの様子を見れば分かりやすいでしょう。
本日から3日連続で、ネムノキについて書いてみたいと思います。
【 ネムノキ(2)に続く 】
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
大阪付近で見ることのできるカメムシのうちで、大きさ、色、形などから「カメムシの王様」を選ぶとするなら、私はオオキンカメムシを選びます。
オオキンカメムシの体長は2~2.5cmあります。 体色は朱色~赤に黒い模様なのですが、光線の角度によっては紫色が見えます。 この紫色を写したくて、いろんな角度から撮ってみたのですが・・・。 ただし、この美しい色は、死ぬとその輝きは失われます。
オオキンカメムシはキンカメムシ科に分類されます。 同じキンカメムシ科に属するものとして、以前このブログでアカスジキンカメムシを記事にしましたが、このようにこの科のカメムシには派手な体色のものが何種類かいます。
キンカメムシ科は熱帯を中心に多くの種が見られます。 オオキンカメムシも、越冬は成虫で行うのですが、越冬できるのは本州南部以南です。 集団で越冬しますので、この美しい虫が数十頭集まっているところは、いちど見てみたいものです。
ところで、このオオキンカメムシは、夏にはかなり北でも見つかっていて、北海道でも採集されています。 かなりの長距離を移動することが可能なようですが、寒い所では冬は越せません。 昆虫における死滅回遊の例です。
この記事の写真は、堺市にあるフォレストガーデンで、アラカシにいるところを撮りました。 オオキンカメムシは、かつてアブラギリがよく植えられていた頃には、この実によく集まっていたのですが、本来の宿主はセンダンやクチナシではないかと言われています。 写真のオオキンカメムシのいたアラカシも、じつは3mほどの高さのクチナシの木に接して生えているアラカシでした。
| 固定リンク
| コメント (5)
| トラックバック (0)
西国三十三箇所第四番札所の槇尾山の参道でヤマユリが咲いていました。
ヤマユリは、日本特産の野生のユリで、その花の大きさはユリ科の中でも最大級で、花の香りも濃厚で、「ユリの王様」ともいわれています。 花が大きすぎて、この写真のように花の重みで傾いてしまうこともしばしばです。
こんな立派な花を咲かせるには時間もかかり、発芽から開花までには5年以上はかかるとのことです。 また山地の、ある程度日当たりのいい場所でしか育ちません。
昔はたくさん見られたユリでしたが、育つのに時間がかかり、生育地が限定され、またこのような大きな花は目立ちますので盗られてしまうこともあり、自然の中でこの花を見ることは少なくなってきました。 槇尾山でこの花が咲くことができたのは、手の届かない崖に咲いていたことと、神聖な参道で盗りにくいためだったのでしょう。
ヤマユリの分布地は、近畿地方以北ですが、北海道、関東地方、北陸地方には見られません。
花は7~8月頃に咲き、白い花被の内側には黄色いラインが走り、盛り上がった紅色の斑点が散らばります。 花の径は20cm以上もあり、株が古いほど多くの花をつけます。
ヤマユリがたくさん見られた頃には、その球根は、百合根として食用にもされてきました。 また、1873年のウィーン万博で紹介されて以来、ヤマユリは注目を浴び、大正時代までその球根は主要な輸出品のひとつであり、西洋でのユリの園芸品種の母株としても重用されました。
| 固定リンク
| コメント (4)
| トラックバック (0)
このブログの左上にあるアクセスカウンターが、本日30万を超えました。 このブログをスタートさせたのが2007年1月20日、以後、'09年2月17日に10万人を超え、'10年6月2日に20万人を超え、'11年7月20日に30万人を超えたということになります。 ありがとうございました。
最近は忙しく、30万人突破特別企画を計画する暇も無く、気付いたら超えてしまっていた、というのが実情なのですが・・・。
ちなみに、この1ヶ月(6月21日~7月20日)の1日平均アクセス数は516件で、昨年度の同時期と比較すると、昨年度の7月の1日平均アクセス数が240件ですから、おかげさまで順調に推移してきたと言えるでしょう。
なお、この左上のカウンターは、サイドバーに設置している「マイフォト」に検索などで直接訪問いただいた方はカウントされていませんので、この数を加えると、累計アクセス数は今日現在で 40,2600件を超えています。
ブログというものの性格上、多くのブログでは、トップページつまり新しく載せた記事に対するアクセス数が多くなります。 ところがこのブログは、過去の記事や、記事と関連した「マイフォト」をご覧いただいている方がたいへん多いのが特徴となっています。 これは、このブログは同じ種を何度も載せることを意識的に避けるようにしていますし、1つの記事の内容は原則として1種に限るようにしていますので、図鑑的に利用していただいたり、検索で訪問していただいている方も多い結果だと思います。 ちなみに最近の3ヶ月で、訪問者の最も多かった記事は、'07年10月23日のマダラカマドウマですし、最も多く訪問いただいたマイフォトはアシダカグモで、いずれも数年前に載せたものです。
これからもサイドバーの「バックナンバー」( 「バックナンバー」のクリックで、2007年1月までの月ごとの記事をご覧いただけます )やその下の「サイト内検索」をご利用いただくなどで、このブログを有効に使っていただければと思います。
また、これからもより多くの人に訪問いただけるブログを目指したいと思いますので、質問や要望等、何でもコメントなどで連絡いただければと思っています。 また内容の誤りの指摘などもありましたら、よろしくお願いいたします。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
私たちにとっては身近な食材であるゴボウですが、この根菜であるゴボウは、日本と、一時日本が統治していた朝鮮半島、台湾、中国東北部の一部以外では食材とされません。 ヨーロッパなどでは、ゴボウの若葉をサラダにするくらいです。 ですから、第二次大戦中に日本が捕虜に当時高価なゴボウを食事に供したところ、木の根を食わされて虐待を受けたと、終戦後に問題になったとか・・・。
そんな話があるほどの“日本の食材”であるゴボウには豊富な食物繊維が含まれており、その効果も注目されています。 水溶性食物繊維であるイヌリンにはコレステロール値を下げる効果がありますし、不溶性食物繊維であるリグニンには腸内環境正常化(発がん物質・老廃物の除去)の効果があります。 この他にも、ポリフェノールの抗酸化作用による老化防止や、酵素ペルオキシダーゼによる消臭効果なども期待されます。
前振りが長くなりましたが、私たちになじみのあるゴボウは根の部分で、その花を見る機会はあまりありません。 花が咲くまで放置していると、根に蓄えられていた栄養分が花と種子生産に消費され、根は木質化し、それこそ木の根のようになってしまい、とても食べられません。 ただ、ゴボウの種子は牛蒡子(ごぼうし)と呼ばれ、生薬や漢方薬として知られており、この種子を採取するためには花を咲かせる必要があります。
そのゴボウの花についてですが、以前、アメリカオニアザミにいたゴボウゾウムシのことを記事にしましたが、ゴボウはアザミに近縁の植物です。
下がそのゴボウの花です。 キク科ですので、頭花(=頭状花序)で、たくさんの小花(=ほんとうの1つの花)が球形の総苞に包まれて、果実になる子房部分が保護されています。
そして、下がその花の拡大です。 総苞を形成している個々の総苞片にピントを合わせてみました。
アザミの総苞片の先端は尖っていますが、ゴボウの花の総苞片の先端は、よく見るとカールしています。 何かに似ていませんか?
じつはスイスのジョルジュ・ド・メストラルはこれをヒントに面ファスナー(商品名はマジックテープ)を開発し、1955年に商品化されています。
彼はイヌの散歩で野生のゴボウの種子(そのように伝わっています)がイヌや自身にくっつくことから、そのくっつくしくみを調べ、面ファスナーの開発に至ったということですが、種子(=牛蒡子)がくっつくことは無いでしょう。 日本には野生のゴボウはありませんが、私が想像するに、ゴボウは花が終わって種子ができても、アザミやタンポポのように風に乗って種子を散布させるのではなく、ゴボウの種子は総苞の中に留まるのでしょう。 そしてゴボウは枯れ、球形の総苞は、たくさんの種子を入れたまま、動物の体などにくっつき、運ばれるのでしょう。 もしかしたら運ばれる途中で、少しずつ種子が総苞からこぼれ出るのかもしれません。
こうなると、野生のゴボウの種子の入った総苞を見てみたいものですね。
(以下、7月22日追記)
この記事を見ていただいたパンダさんから、花が終わってからの栽培ゴボウの種子散布についてお知らせいただきました( 詳しくはこちら )。 それによると、種子ができたゴボウの総苞は、総苞単位ではずれやすく、その総苞は動物の体などにオナモミのようにしっかりとくっつくようです。 そして、くっついた総苞を取ろうとすると、総苞がくずれ、種子がこぼれ出るしくみのようです。 おそらく野性のゴボウでも、総苞の大きさは異なるかもしれませんが、このしくみは同じでしょう。 総苞がくずれて中から種子が出るというのは、オナモミなどとはまた違った、キク科の特徴をうまく利用した種子散布の形態で、たいへんおもしろいと思いました。
タイトルについて
「ゴボウの花と面ファスナー」ではなく、変なタイトルにしましたが、ゴボウについては花だけでなく、いろんなことを書いていますので、語呂の良いこのタイトルにしました。
ちょうど氷川きよしの「あの娘(こ)と野菊と渡し舟」が流れていた頃で、そのタイトルの影響が無いとは言えません
| 固定リンク
| コメント (8)
| トラックバック (0)
ヒメオトギリは湿った所に生えるオトギリソウ科の1年草です。 「ヒメ」は「小さい」ことを意味し、草丈は15~40cmほどで、花の径も7~8mmと、以前記事にしたオトギリソウなどと比較すると、かなり小さな植物です。
花は6~8月に咲き、オシベは10~20本です。 このヒメオトギリによく似てさらに小さいコケオトギリがあり、区別が難しいのですが、後者のオシベは5~10本です。 また、前者の苞葉が普通の葉より細いのに対して後者は普通葉とほとんど同じです。 また、これは私の印象で、いつもそうなのか自信は無いのですが、前者のオシベは寄り添っていますが、後者ではばらけているように思います。 なお、オトギリソウの仲間の同定には葉の油点が役立つのですが、ヒメもコケも明点のみです。
下のヒメオトギリは花弁が6枚あり、奇形ぎみです。
| 固定リンク
| コメント (7)
| トラックバック (0)
ハッチョウトンボのいた湿原の周辺部で咲いていたノハナショウブです。 ハッチョウトンボのいた場所は、いつも水に浸かっていて土の中の酸素が少なく、水にも栄養分が少ないのでしょう、ノハナショウブのような大型の植物は育っていませんでした。
ノハナショウブの花は6月から7月で、赤紫色の大きな外花被片(=ガク片)は楕円形で先が垂れ、内花被片(=花弁)は狭長楕円形で直立しています。 外花被片の基部には黄色のすじが入るのが特徴です。 花はカキツバタに似ていますが、カキツバタではこの黄色のすじの部分が白色または淡黄色です。
園芸種であるハナショウブは、江戸時代中頃より各地に自生するノハナショウブの変わり咲きを元に改良されてきたもので、様々な花の色の品種が作られています(下の写真)が、この外花被片の基部に黄色のすじが入るという特徴は、失われていません。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
ハッチョウトンボは体長約2cm(1円玉の直径とおなじくらい!)の、日本で最も小さなトンボです。 見られるのは、5~9月、ミズゴケ類やモウセンゴケ類などの生育する、水深のごく浅い水域の広がっている場所です。 下は今回の写真を撮った場所です。
これだけ小さなトンボですから、逃げられてもそんなに遠くに行きませんし、飛び続けるトンボでもありませんから、撮影は楽です。
オスは、若い時は橙褐色ですが(上の写真)、成熟すると鮮やかな赤色となります(下の写真)。
メスはは茶褐色で、腹部に黄色と黒の横縞模様があります(下の写真)。 オス、メス共に、翅の付け根付近は橙黄色です。
ハッチョウトンボの「ハッチョウ」は、名古屋市にある昔の地名に由来し、ここで最初にこのトンボが発見されたことによります。
| 固定リンク
| コメント (6)
| トラックバック (0)
コバノトンボソウは湿原に生育するラン科の多年生草本で、亜高山の湿原に生育するホソバノキソチドリの変種とされています。
花は6月~8月に咲き、トンボが並んでとまっているように見えます。 少し上にカーブした長い“トンボの腹部”は、花弁でもガク片でもなく、蜜を入れた距です。 ちなみに、ホソバノキソチドリは、この距がもう少し短く、下にカーブしています。
ラン科の植物の根の細胞には、菌類が共生していて、この菌類が植物に栄養を供給しています。 そのため、光合成を行う葉に比較して大きな、または、たくさんの花をつけるランも多いのですが、このコバノトンボソウも、下の写真のようにたくさんの花をつけていても、葉は1枚です。
※ 明日は湿原の本物のとんぼを記事にする予定です。
| 固定リンク
| コメント (4)
| トラックバック (0)
カキランは湿原など日当たりの良い湿り気のある場所に自生するラン科の多年草です。 名前はもちろん花の色が柿の色に似ているから。
花期は6月~8月、上の写真のカキランは背の低い方で、もっと高く茎を伸ばす株もあり、下から順に花を咲かせていきます。
カキランの花のつくりは、ラン科の花としてはあまり特殊化しておらず、ラン科の花のつくりの基礎をおさえるにはいい花です。 単子葉植物らしく、花弁3枚、ガク片3枚からなり、オシベとメシベは合着し、ずい柱となっています。
花弁3枚のうち、下方に位置する1枚は少し特殊化し、唇弁と呼ばれていて、内側に紅紫色の斑点があります。 ガク片は少し緑がかり、先がとがっています。
| 固定リンク
| コメント (3)
| トラックバック (0)
10日に東大阪市の枚岡公園に行って来ましたが、公園いたるところマイマイガが飛んでいました。 飛んでいるのは全てオスで、どこかでじっとしているメスを探しているのでしょう、低く飛び続けます。 とまったところを写真に撮ろうとしたのですが、なかなかとまってくれません。 よくもあんなに飛び続けられるものです。
上の動画から切り取った写真を1枚、下に載せておきます。 翅はボロボロになっても、飛び続けています。
マイマイガは7月から8月にかけ羽化します。 名前を漢字で書くと「舞舞蛾」で、このオスの飛び回る姿からの名前のようです。 一方のメスはほとんど飛ぶことはありません。
やっと交尾しているところを見つけ、写真に撮ることができました(下の写真)。
上の写真で、白っぽいのがメスで、黒っぽいのがオスですが、このオスもかなり飛びまわったらしく、鱗片が落ちて白っぽくなっています。
オスとメスは色だけではなく、大きさもかなり異なります。 上の写真では、オスがメスの上に覆いかぶさっていて、メスの大きさが分かりませんし、オスの方が翅を広げていて大きく見えますが、メスの方がかなり大きく、オスの2倍近くもあります。 マイマイガやカシワマイマイなど、この仲間は性的二形が顕著で、オスとメスとで色も大きさも異なります。 マイマイガの学名は Lymantria dispar ですが、この種小名 dispar も「ペアになっていない」という意味で、この性的二形を意味しています。
上の写真で、メスの上方に黒っぽいものが見えます。 下は明るさを変えてその部分を拡大したものですが、黒っぽいのはサナギの脱皮殻です。 メスは羽化した後、ほとんど移動しないままに交尾するに至ったということになります。
最初の写真で、オスの鱗分が取れていると書きましたが、もう少し新鮮なオスの写真を下に載せておきます。 このオスも写真を撮るために近づくと、すぐに飛んでいってしまいました。
マイマイガは交尾を終えると、卵を産み、間もなく死んでしまいます。 産み付けられた卵はそのまま越冬し、春に孵化します。
幼虫はたいへんな広食性で、草であろうと、針葉樹であろうと、広葉樹であろうと、いろんな葉を食べます。 糸を吐いて木からぶら下がることもあり、ブランコ毛虫と呼ばれているのが、このマイマイガの幼虫です。
マイマイガはドクガ科に分類されていますが、毒のあるのは1齢幼虫のみで、もちろん成虫にも毒はありません。
| 固定リンク
| コメント (4)
| トラックバック (0)
黒い花の蘭、コクランです。 といっても、花の色は黒というよりは暗紫色という方が正確でしょう。 常緑広葉樹林の林床などに咲きますので、薄暗い所での黒っぽい花ですから、そんなに目立つ花ではありませんが、拡大してみると、色といい、形といい、なかなか趣のある花です。
花の基本的なつくりは、他の多くのラン科の花と同じですが、蜜をためる距(きょ)のように後ろに伸びているのは、背ガク片で、コクランの花には距はありません。
この花は、黒っぽく見えていて、意外と光を反射しているようです。 この花の写真を撮るのに、フィルム写真の時代には、いろいろ露出を変えて撮るのですが、現像してみてがっかりする、ということを何度繰り返したことか・・・。 デジカメになった今では、結果を確認して補正しながら撮っていきますので、こういう花の撮影がほんとうに楽になりました。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
毒イチゴとしてよく知られているヘビイチゴ(上の写真)、ただしスカスカしていておいしくはありませんが、毒はありません。 植物としては食べられて種子を散布してもらうのが狙いでしょう。
そしてこのヘビイチゴに似て半日かげの場所を好む植物に、ヤブヘビイチゴがあります。 両者は別種ですが、たいへんよく似ていて、ヤブヘビイチゴの方が葉も偽果も全体的にやや大きいのですが、花を比較してもその違いはよく分かりません。
大きさは生育環境によっても変化します。 両者が別種とされるのは、その果実が異なるからです。 果実の中には種子があり、子孫を作る大切な部分はそう簡単には変えられません。 その部分の様子が異なり、その違いが安定している(=株による違いが少ない)のは、別種とされる大きな根拠です。
上で「偽果」とか「果実」とか書きましたが、“毒イチゴ”について簡単に復習しておきます。 “毒イチゴ”のつくりは、基本的には果物屋さんに並ぶイチゴ(=オランダイチゴ)と同じです。 簡単に言ってしまうと、1つの果実のように見える“毒イチゴ”全体は「偽果」で、偽果の表面にあるツブツブ1つひとつがほんとうの果実です。(詳しくはこちらをご覧ください。)
※ リンゴなどもイチゴとはタイプの違った「偽果」で、リンゴの偽果については、こちらに書いています。
上は最初の写真の一部を拡大したもので、たくさんのヘビイチゴの果実が写っています。 果実の表面はデコボコしています。 図鑑ではよく「しわがある」と表現されています。
そして下がヤブヘビイチゴの果実です。ヘビイチゴの果実の表面と比較すると、滑らかです。 もっとも、ここまで拡大して写すと、ヤブヘビイチゴの果実の表面にも、肉眼ではとても見えないたいへん細かいしわがあるのですが・・・。
そして下がヤブヘビイチゴの偽果です。 上の写真は下の写真の一部を拡大したものです。 光沢の有無は光の当て方で変化するので、写真での比較は難しいのですが、肉眼的には、果実のデコボコの少ないヤブヘビイチゴの方が、光が乱反射されにくく、光沢があるように見えます。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
ヤツボシハムシはテントウムシ型ハムシの1種です。 その名前は、前翅(=上翅)に4対8個の黒い紋があるハムシ(葉虫)からきていますが、写真のように、小さいのを含めると5対の黒い紋があります。 ただし、トホシハムシという別種がいますから、小さい黒い紋は気がつかなかったことにしましょう v(^_-)
この黒い紋は変化が大きく、黒い紋が大きくなってつながってしまったり、なかにはほとんど黒い紋の無い個体もいます。 そんな時にヤツボシハムシを見分けるポイントとなるのが、複眼の少し中央寄りにある小さな黒い紋です。 この紋は小さいのですが、なかなか安定していて、無くなる事はほとんどありません。
ヤツボシハムシの写真はこれ1枚です。 顔の正面から撮ろうとした瞬間、落ちてしまい、行方不明になってしまいました。 堺自然ふれあいの森での撮影です。
| 固定リンク
| コメント (2)
| トラックバック (0)
ナンテンの花が咲いていたので、接写しました。 オシベは6本、花被は色はどちらも白ですが、3枚+3枚のつくりになっていることが、上の写真で確認できます。 ガクと花弁でしょう。
ここまでは、何の疑問も感じませんでした。 ところが、メシベの柱頭の様子もおもしろそうなので、オシベも花被も散ってメシベだけになったところ(下の写真)を撮ろうとした時です。 メシベの下に、何かの落ちた跡が6列(写真ではそのうちの2列が写っています)に何段にも(少なくとも5段以上)ついています! 上の話のとおりなら、オシベの落ちた跡と花被の落ちた跡の2段だけのはずです。
最初の写真にはツボミも写っていますが、もちろんツボミの基部にはこのような何かが落ちた跡は確認できません。
私は最初、ツボミの外側は3枚のガクがくっついて覆っているものだと思っていました。 肉眼でツボミを見ると、つるんとしていて、もちろんくっついている境目も見えません。 ところが、1枚目の写真のツボミを改めて見直すと、ツボミの表面が鱗状になっているようにも見えます。
気になって、ツボミの表面に墨を塗り、暫く放置しておいてから墨を洗い流し、撮ったのが下の写真です。
上の写真を見ると、ツボミの外側は、たくさんの鱗片状のガク片が重なりあっていることがわかります。
花が咲いているナンテンの下の地面には小さな白いものがたくさん落ちていて、以前から気になっていました。 花被より小さく、花の数と比較すると、白い小さなものは多すぎるようでしたが、花弁やガク片が散った後も長い間白い色を保ち、縮んで小さくなっているのかな、などと思っていました。 しかし、今回その謎が解けました。 ナンテンの1つの花はとてもたくさんの小さなガク片を持っていたのです。
以前、この小さな白いものが気になった時、ナンテンの花をじっくり見たことがあります。 しかし咲いているナンテンの花に、落ちかけの小さなガク片がついているところを見つけることはできませんでした。
下はナンテンの花の花被の後ろの様子が分かるように撮ったものです。 既に小さなガク片はひとつも残っていません。
上の写真は、まだオシベも花被も残っているのに、既にたくさんの落ちた跡があります。 これらは全て鱗片状の小さなガク片の落ちた跡です。 これらの小さなガク片は、花が開くと同時に落ちてしまうようです。
| 固定リンク
| コメント (3)
| トラックバック (0)
昨日はアシダカグモの産卵について書きましたが、今日は脱皮についてです。 今回も写真と情報は、み。さんから提供いただいたものです。
クモも節足動物ですので、脱皮して成長していきます。 脱皮に伴う変態はありませんが、これから書くように脱皮の機会に再生は起こります。
上が今回の主役、アシダカグモのオスで、5月22日の撮影です。 黒いコードの「MADE」の文字の長さが6mmですから、アシダカグモとしては、まだ小さな個体で、これからもっと大きくなるはずです。
このアシダカグモの左の第1脚は他の脚に比較すると細く、色も違っています。 何らかの理由で失った脚が再生したものだと思われます。
上は6月11日の様子です。色が違うのは撮影状況の違いのためです。 じつはこの2日後に脱皮するのですが、腹部がかなり大きくなっています。
脱皮数日前からは、餌もとらなくなり、あまり動かなくなるようです。
上は脱皮後の様子です。 脱皮殻は赤い円内にあります。 そして下は上のアシダカグモを拡大したものです。
ここで2つのことに注目したいと思います。 1つは腹部です。 脱皮後はたいへんスマートな腹部になっています。 脱皮を境にしてなぜこのような変化が起こるのでしょうか。 もしかしたら、脱皮前に体液を腹部に貯めておき、脱皮後の体の表面が柔らかい時に体液を体の隅々にまで送り出し、短時間のうちに大きくなるのかもしれません。
2つ目は左の第1脚です。 脱皮後は他の脚とほとんど変らないようになっています。 なお下は脱皮殻ですが、左の第1脚はもちろん細く短いままです。
※ 脱皮時のダイナミックな再生の様子については、こちらに載せています。
| 固定リンク
| コメント (4)
| トラックバック (0)
Millet.K さんからはアシダカグモのさまざまな行動をレポートしていただいています。 このブログで、前回はゴキブリの捕食について載せましたが、今回は産卵に関してまとめてみました。
上は6月5日 6:15 の撮影です。 アシダカグモが洗濯機の裏で産卵を始めていました。 青い線は洗濯機のアース線です。 そして下が 7:08 です。
上下2枚の写真を比較すると、白い糸の塊が厚みを増しています。 それに、1枚目のアシダカグモの腹部が陰になっているのですが、両方の写真の腹部を比較すると、明らかに大きさが違っています。 この間、スクワットのように体を上下に動かしながら、産卵を済ませたようです。
その後、糸を出しながらグルグル回転し、卵のうが完成すると、壁にくっついていた卵のうを剥しにかかります。 下は 8:10 の撮影です。
アシダカグモは卵のうを持ち歩きます。 上の個体はこの産卵後に行方知らずになってしまったのですが、下は別の個体の6月12日の様子です。
下は上の写真と同一個体ですが、6月26日に異変が起こりました。 抱えていた卵のうが見当たりません。 そして、よく見ると・・・
口に何かくわえています。 たぶん卵のうでしょう。 無精卵だったようです。
クモの食事は、咬んで食べるのでもなく、管状の口を差し込んで体液を吸うのでもありません。 餌に牙を刺し込み、そこから出る消化液を注入し、餌を溶かして吸う方式です。 写真は自分の卵のうを溶かし、吸い取っているのでしょう。
※ 明日はアシダカグモの脱皮について書く予定です。
※ 無事に子グモが誕生した様子はこちらでどうぞ。
| 固定リンク
| コメント (16)
| トラックバック (0)
6月中旬、伊吹山山麓のエノキにたくさんの“落とし文”がついていました。
下は上の写真の一部を拡大したものです。 揺籃(“落とし文”)のつくりは、その“作者”によって、それぞれ特徴がある(ヒメクロオトシブミの場合はこちらでどうぞ)のですが、このエノキの場合は、葉をL字型に裁断し、主脈にも傷をつけています(下の写真の赤い○で囲った中央)。
もちろん、この様式は他の揺籃でも同じです(下の写真)。
この揺籃の作り主は、と探すと、葉の裏にいました。 ヒメゴマダラオトシブミです(下の写真)。 上翅の中央に、一対の大きなコブがあります。 顔面に斑(まだら)模様があり前胸背面と上翅は黒色ですが、前胸背面や上翅も黄褐色の地色に黒色の斑点が散らばる色彩の個体もいるようです。
| 固定リンク
| コメント (5)
| トラックバック (0)
最近のコメント