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2011年7月27日 (水)

ネムノキ(3)

 ネムノキの名前は、その葉が夜に“眠る”からです。 下は7月下旬の夜7時半に撮ったものですが、葉が閉じて垂れかかっています。 この変化は「睡眠運動」と呼ばれています。

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 葉の垂れるしくみは、葉柄や小葉柄の基部にある「葉枕(ようちん)」と呼ばれている膨らんだ部分(下の写真)がコントロールしています。 葉柄にある葉枕と小葉柄にある葉枕を区別する場合には、前者を主葉枕、後者を副葉枕と呼んでいます。 なお、小葉の基部にも小さな葉枕があり、小葉枕と呼ばれています。 これらの葉枕の部分の細胞内の圧力(「膨圧」)が変化し、膨圧が下がると葉は閉じて垂れます。

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 ネムノキの葉はなぜ夜に“眠る”のでしょうか。 いろいろな理由が考えられます。

  • 光合成できない夜は葉をたたんで水分の蒸散を防ぐ。
  • 葉を重ねて虫などに食べられにくくしている。
  • 夜に活動する花粉媒介者が飛び回りやすくなるよう、葉をたたんで空間を広げてやる。

 この中に正解はあるのでしょうか?

 ところで、ネムノキの花では蜜を節約するつくりになっているとネムノキ(2)で書きました。 しかし一方では葉にも蜜腺(花外蜜腺)があります。 蜜腺は2枚目の写真のように葉柄の基部近くにもありますが、先端の小葉柄の基部にもあることがあります。 下は3枚目の写真の左上部分を拡大して撮ったもので、小葉柄基部の副葉枕と花外蜜腺が写っています。

Nemunoki070916_4

 葉の花外蜜腺は蟻を呼び、葉を食べる虫から葉を守ってもらおうとしているのでしょう。 蟻は翅の無い蜂、蜜は葉のボディガートとして働く蟻に支払う給料と言えるのではないでしょうか。

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コメント

♪ねんねんねむのき♪優しい子守唄

ウチの庭に今、ネムノキの花が咲いてます
そよかぜさんの詳しいネムノキのお話
検証してみましょうか?
手始めに「葉の花外蜜腺」から・・・

投稿: わんちゃん | 2011年7月27日 (水) 15時24分

花にスズメガが来ている所などを撮ることができれば、ぜひ連絡くださいね。

投稿: そよかぜ | 2011年7月28日 (木) 20時57分

スズメガですか?

>スズメガの仲間は、昼間止まっている個体に近づいてもなかなか逃げません。 
どっしりとかまえています。 
でも飛ぶとなると、力強い飛び方をします。 形態といい、行動パターンといい、ハッキリしています。

ですよね?う~~ん・・・

投稿: わんちゃん | 2011年7月29日 (金) 13時53分

蜜を吸っているときは、ホバリングして空中で停止しています。といっても、短い時間ですが・・・。

投稿: そよかぜ | 2011年7月30日 (土) 08時02分

こんにちは。
ネムノキの詳しいご説明でよくわかりました。
本当にためになるブログですね。
有り難うございました。

投稿: 多摩NTの住人 | 2011年7月30日 (土) 17時50分

> 本当にためになるブログですね。

ありがとうございます。
ネムノキは、なかなか花を美しく撮ることができず、その間、いろんな写真がたまっていました。

投稿: そよかぜ | 2011年7月31日 (日) 01時06分

ネムノキの詳しい説明ありがとうございました。娘と夏休み自由研究でネムノキの研究をして4年目です。スズメガを探し続けていますが一向に現れず、代わりにいるのはいつでも蟻ばかり…でも蜜腺のお話で合点がいきました!本当にありがとうございました。

投稿: ごんごん | 2015年8月11日 (火) 18時33分

アリをボディガードにしている植物はたくさんあるんですよ。
ネムノキ研究4年目ですか!? 継続は力、きっといいまとめができると思います。
スズメガが来ないということですが、ネムノキの種子はできているでしょうか? できていれば何者かが花粉媒介しているはずですね。

投稿: そよかぜ | 2015年8月11日 (火) 21時14分

お返事ありがとうございます。
スズメガについて調べました。ねむの花の深い所にある蜜を吸うことができる(つまりストローがついている)のは「ホウジャク」「スカシバ」の二種だけような…。この二つ、日中活動する蛾のようです。自由研究4年目のテーマは「何故ねむは夜に開花するのか」なんですよね…昼に活動するんだったら夜開花する必要がないじゃないか!という事で娘と頭を悩ませています。通説が違うならそれも楽しいですが。
スズメガは来ませんが、種子は少ないながらもできています。満開の時はコガネムシがわらわらと来ていましたから、彼らのおかげでしょうか。

投稿: ごんごん | 2015年8月13日 (木) 20時11分

ネムノキの花の深い所にある蜜を吸うことができるのはホウジャクとスカシバの二種だけというのはおかしいと思います。何を調べられたのかは分かりませんが、夜に行動するスズメガの仲間も、長さはいろいろですが、これらと同様の口(ストロー)を持っています。
それと、(2)でカミキリが来ていたように、ネムノキにはいろんな虫も来ますが、来ている虫が花粉を媒介しているかどうかは別問題でしょう。
いちどいろんな時間でネムノキの花のメシベとオシベそれぞれがどのような状態になっているのか、調べることをお勧めします。
夜の観察はたいへんですが、がんばってくださいね。

投稿: そよかぜ | 2015年8月13日 (木) 22時04分

先日、娘が市の理科発表大会に出ました。花外蜜腺やスズメガ(結局ネムノキではみられませんでした)などの事も入れつつ発表させてもらいました。お陰様で最優秀賞をもらい、県大会へと進むことができました。行き詰まっていた研究を打開することができたのは、こちらのブログのおかげです。ありがとうございました。

投稿: ごんごん | 2015年9月18日 (金) 21時50分

最優秀賞おめでとうございます。
県大会もがんばってくださいね。

投稿: そよかぜ | 2015年9月19日 (土) 08時08分

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