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2011年6月 6日 (月)

リンゴの「果実」は?

 今日は昨日のさくらんぼと比較して、くだもののリンゴについて書くことにします。 下はおなじみのリンゴの断面ですが、さくらんぼと異なり、柄の反対側が何やら複雑です。

Ringo110602_1

 下は柄の反対側(上の写真の手前)を拡大したものですが、これはリンゴの花のどの部分から由来したものでしょうか。

Ringo110602_2

 以前、サクラやモモの花では、メシベの根元の子房の部分とオシベとの間には隙間があります(こちらの記事を参照してください)が、リンゴの花では種子のできる子房の部分は、花托と呼ばれる緑色の組織に埋まっていると書きました(こちら)。
 下にもリンゴの花の断面を載せておきます。 植物学的に言うと、果実は子房からできますが、その子房はメシベの下部にあります。 下の水色で囲った部分がリンゴの花の子房ですが、この子房は花托という組織に埋め込まれています。
 くだもののリンゴは下の赤い楕円で囲んだ部分が大きくなったものです。 上のリンゴの断面の柄の反対側のゴチャゴチャした部分は、花のガクが残っているのです。

Ringo130411_5   (この写真は、2.13.4.11.に変更しています)

 上のリンゴの断面と花の断面は、上下の方向が一致していませんが、柄に注目して頭を整理して比較してみてください。 リンゴの真の「果実」つまり子房の変化した部分は、下の水色で囲った部分、つまり、私たちが「芯」と呼んでいる部分です。

Ringo110602_3

 私たちが食べているのは、リンゴのほんとうの果実(真果)ではありません。 リンゴの「果実」は芯として捨てています。 このように子房以外の部分が生長・肥大してできた果実のようなものを「偽果」と呼んでいます。
 身近なくだもののなかには、リンゴ以外にも偽果はたくさんあります。 くだものを食べる時に、ほんとうの果実なのか偽果なのか、考えてみるのも植物形態学入門としておもしろいのではないでしょうか。

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