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2011年6月30日 (木)

カツオゾウムシ

 伊吹山の中腹にいたカツオゾウムシです。

Katuozoumusi110612_1

 カツオゾウムシの食餌植物はタデ科で、特にイタドリに多く見られ、幼虫は茎の内部を食べ、成虫は葉を食べます。
 カツオゾウムシの仲間については、このブログでも、アイノカツオゾウムシとハスジカツオゾウムシを記事にしています。 カツオゾウムシの仲間には似たものが何種類かいて紛らわしいのですが、上の写真は口吻がアイノカツオゾウムシほどには長くないこと、イタドリの葉にいたことなどから、カツオゾウムシとしました。
 ちなみに、アイノカツオゾウムシの食餌植物はキク科で、ハスジカツオゾウムシはタデ科の植物も食べますが、多くはキク科です。

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2011年6月29日 (水)

タニウツギ

 タニウツギはよく公園などにも植えられていますが、本来の分布は、北海道の西側から、本州の東北地方、北陸地方、山陰地方と、日本海型気候の山地の谷沿いや斜面に多く分布しています。
 私の家の近く(大阪府下の平地)では、今年のタニウツギは5月中旬に花の盛りでしたが、6月12日の伊吹山では、山頂から少し下ったあたりで花の盛りでした(下の写真)。

Taniutugi110612_1

 下は今年の5月15日に大阪狭山市で撮ったものです。 ヤブウツギとは同じ属の植物ですが、ヤブウツギなどとは異なり、花冠の外面の毛はほとんどありません。
 メシベの柱頭がいやに大きく見えますが、この柱頭は、花粉を受け止め、花粉管が伸びると、柱頭の役目を終えて脱落してしまいます。

Taniutugi110515_1

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2011年6月28日 (火)

伊吹山のオドリコソウ

Odorikosou110612_1

 以前載せたオドリコソウの記事で、オドリコソウの花の色は、淡紅紫色と白色があり、地域によって偏りがあるようだが、大阪付近ではオドリコソウを見る機会も少なくなり、花の色も白っぽいものばかりになってしまったと書きました。
 ところが、伊吹山山頂の一画(もちろん日当たり良好)にはオドリコソウがたくさん咲いている所があり、その場所では色の濃い株から淡い色の株まで、いろんな色のオドリコソウが咲いていました。 写真は色の濃い株の群落です。 以前載せたオドリコソウの花の色と比較してみてください。

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2011年6月27日 (月)

コバノミミナグサ

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 コバノミミナグサは伊吹山特産とも、伊吹山同様の石灰岩地帯のある山口県にも分布しているとも言われています。
 ミミナグサと比較すると、名前のとおり葉が小さく、ミミナグサより大きな花が、葉との対比で、よけいに大きく感じます。 またミミナグサの花弁とガク片がほぼ同じ長さであるのに対し、コバノミミナグサは明らかに花弁の方が長くなっています。
 オシベの花糸にまばらに毛があるのがコバノミミナグサの大きな特徴なのですが、白い花弁を背景にした白い花糸、写真では確認できませんね (^-^;

Kobanomiminagusa110612_1

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2011年6月26日 (日)

アザミグンバイ

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 写真はアザミグンバイ( Tingis ampliata )だと思います。 伊吹山山頂のお花畑で撮りました。
 アザミグンバイの個体数はそんなに多くないようです。 同じ属のマツムラグンバイはあちこちのブログにも載せられているのですが、アザミグンバイはあまり載せられていません。 しかし、伊吹山にはアザミの種類も多く、たぶん間違いないでしょう。

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2011年6月25日 (土)

ハクサンハタザオ・イブキハタザオ

 昨日記事にしたヤマハタザオと比較する意味で、伊吹山で撮ったハクサンハタザオを載せておきます。

Hakusanhatazao110612_1

 ハクサンハタザオの茎葉は基部が細くなって、葉柄様となっています。 また、果実は茎から離れて伸び、写真ではまだ若い果実でよく分かりませんが、果実はじゅず状にくびれます。
 伊吹山には、このハクサンハタザオの変種とされるイブキハタザオがあります。 イブキハタザオは全体に柔らかい星状毛がたくさん生えています。
 下はそのイブキハタザオですが、他の草と混じって分かりにくいですね (-_-;

Ibukihatazao110612_1

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2011年6月24日 (金)

ヤマハタザオ

Yamahatazao110612_1

 ヤマハタザオは、北海道~九州の山野の草地や林縁に生えるアブラナ科の多年草です。 4枚の花弁は白く、茎葉は無柄で茎を抱き、波状の鋸歯があります。 果実は茎にくっつくようにして生長します。
 下は上の写真の一部を拡大したものですが、茎にも葉にもたくさんの星状毛があります。

Yamahatazao110612_2

 下は上と同じ株の下方を撮ったものですが、花の時期にも根出葉が残っています。 根出葉は無柄でロゼットを形成しています。

Yamahatazao110612_3

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2011年6月23日 (木)

ミヤマヒラタハムシ

Miyamahiratahamusi110612_1

 ハムシ科の昆虫、つまり葉を食べるハムシ(葉虫)の仲間は、日本に約780種が知られています。
 何が言いたいかというと、このハムシの種名に、あまり自信がありません。 他の多くのハムシよりは平たいと思うのですが・・・。 伊吹山にいたハムシです。

Miyamahiratahamusi110612_2

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2011年6月22日 (水)

イブキノエンドウ

 イブキノエンドウは、その名前からすると伊吹山に自生している植物のようですが、じつはヨーロッパ原産の外来植物です。 ただし日本で育っているのは北海道と伊吹山のみです。
 織田信長はポルトガル人宣教師に命じ、伊吹山に薬草園を開かせましたが、イブキノエンドウはその時に薬草に紛れて入ってきたのではないかと考えられています。 このような植物はイブキノエンドウのみではなく、キバナノレンリソウなどもそうではないかと考えられています。
 イブキノエンドウはカラスノエンドウ同様、他の植物に巻きついて育っていますので、なかなかイブキノエンドウのみをきれいに撮ることができません。 他にも咲いているだろうと、その場でいいかげんに撮っておいたのですが、他に咲いている所に出会えず、この場所の写真のみになってしまいました。

Ibukinoendou110612_1

 他の植物に絡みつくのは、複葉の先端です。 複葉は8~14枚の無柄の小葉を付けていますが、その先が何本かに分かれて巻きひげとなります。 下の写真の葉は複葉の先端が3分し、そのうちの1本がまた3分しています。 これは3分している巻きヒゲのうちの2本は小葉由来で、他の1本は葉軸に由来すると考えられます。

Ibukinoendou110612_2

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2011年6月21日 (火)

アオカメノコハムシ

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 伊吹山の山頂付近にいたアオカメノコハムシです。 上の2枚は異なる場所にいた別個体です。
 よく似た種類にミドリカメノコハムシがいるのですが、小楯板とその周辺の上翅が褐色であることと、背中の盛り上がりがなだらかであることで、アオカメノコハムシと判断しました。

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2011年6月20日 (月)

ショウジョウスゲ

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 ショウジョウスゲは山の水分の多い所に育つ多年草で、6月中旬の伊吹山でも、よく目立っていました。 雄小穂は頂生し、雌小穂は2~3個が雄小穂の下に着きます。
 猩々(しょうじょう)は、中国の想像上の動物で、大の酒好きで赤い顔をしているのですが、ショウジョウスゲの名前は花穂が赤褐色であることによるようです。

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2011年6月19日 (日)

ハサミツノカメムシ(メス)

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 伊吹山にいたハサミツノカメムシのメスです。 オスは腹部末端に赤いハサミのような尾状突起を持っているのですが、メスは残念ながら目立つ“ハサミ”はありません。 それでも、艶のある緑の体色や、鮮紅色の側角先端など、なかなかきれいなカメムシです。

Hasamituno110612_2

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2011年6月18日 (土)

伊吹山のヤマガラシ

Yamagarasi110612_1    (写真はクリックで拡大します)

 黄色い花のアブラナ科は、カラシナや帰化植物のハルザキヤマガラシなど、身近な所にたくさん咲いていて、見慣れています。 しかし、日本に自生している黄色い花を咲かせるアブラナ科は意外と少ないものです。
 ヤマガラシは山地帯~高山帯に咲く多年草で、保育社の原色日本植物図鑑によれば、伊吹山が分布の南限とされています。 しかし伊吹山では珍しい植物ではなく、あちらこちらでたくさん咲いていました。
 ヤマガラシは湿った所を好む植物なのですが、伊吹山ではあまりそのような印象を受けません。

Yamagarasi110612_2

 伊吹山でも上に書いた帰化植物ハルザキヤマガラシの侵入が始まっていて、ヤマガラシとの交雑が心配されています。 下の写真は山頂の駐車場から西側遊歩道を少し登った所にあったハルザキヤマガラシです。

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2011年6月17日 (金)

マミジロ

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 伊吹山の山頂駐車場近くで、マミジロ(オス)が元気に、囀っていました。
 渡りの時期に大阪城公園で撮ったマミジロの写真はこちらに載せていますが、今回はかなりの時間同じ場所で囀り続けていましたので、十分美声を楽しませてもらえました。
 なお、この日の伊吹山では、ホトトギスやカッコウの声もたくさん聞くことができましたが、これらの鳥は木の茂みの中で囀るので、飛んでいる姿しか見ることができませんでした。

Mamijiro110612_2

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2011年6月16日 (木)

グンナイフウロ

 グンナイフウロは、フウロソウの仲間( Geranium属)としては大きい方で、茎にも葉にも毛が多い植物です。 6月12日に行った伊吹山山頂草原ではたくさん咲いていました。 花の色は紅紫色ですが、白っぽいものから濃い色まで、多くの変異がありました。

 下の写真で、番号をつけた花のメシベやオシベの様子はかなり違っています。

Gunnaifuuro110612_1

 下は上の①と似た状態です。 グンナイフウロのオシベは10本あり、互いにくっついてまとまって伸びながら花粉を出していくのですが、下の写真では5本が既に花粉を出し終わり、5本はこれから花粉を出すところです。
 このときメシベは、花粉を出し終えたオシベのまとまりに隠されたままです。

Gunnaifuuro110612_2

 下は②と似た状態で、オシベは10本とも花粉を出し切り、互いに寄り集まっています。 そのオシベの中央からメシベの先端が顔を覗かせてきています。

Gunnaifuuro110612_3

 そして下が③です。 メシベの柱頭が開いています。 これでメシベはやっと受粉できる状態になるわけです。 つまり、グンナイフウロは雄性先熟の花ということになります。

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【伊吹山で見ることのできるGeranium属】
ヒメフウロハクサンフウロ、イブキフウロミツバフウロゲンノショウコ

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2011年6月15日 (水)

クロムネアオハバチ

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 上の2枚の写真は同一個体、下の2枚の写真も同一個体ですが、両者の体の色は、下の方が黒い部分が多く、どちらもクロムネアオハバチであるのか、少し心配です。

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 ハバチは原始的なハチの仲間(ハチ目)で、アシナガバチの仲間などに見られる腰のくびれはありません。 ハバチとは、幼虫が植物の葉を食べて育つからで、成虫は肉食です。 クロムネアオハバチの幼虫の食餌植物は、ササだということです。

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2011年6月14日 (火)

伊吹山のクサタチバナ

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 クサタチバナは、あちこちで絶滅が心配されている植物ですが、2011年6月12日の伊吹山山頂付近の西側斜面でいちばんたくさん咲いていたのが、このクサタチバナでした。 伊吹山の特殊な環境が、このクサタチバナを守っていると言えるでしょう。
 クサタチバナについては、こちらで書いていますので、今回は観賞用の写真にしておきます。(写真はクリックで拡大します。)
 また、花のつくりなどについては、スズサイコタチカモメヅルなど、クサタチバナと同じ属の、このブログに今まで載せた植物の所にも書いていますので、そちらをご覧ください。

Kusatachibana110612_3

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2011年6月13日 (月)

ウスバシロチョウ

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 ウスバシロチョウは、名前に「シロチョウ」とついていますが、モンシロチョウなどのシロチョウ科の蝶ではなく、アゲハチョウ科に分類されています。
 北海道から本州、四国にかけて分布する蝶ですが、北方系のチョウで、西南日本では分布が限られています。 幼虫の食草はケシ科のムラサキケマンヤマエンゴサクなどで、年1回、近畿地方では春に羽化する蝶です。 近畿地方では日本海側に行くと5月中旬によく見ることのできる蝶らしいのですが、大阪府下ではなかなか見られません。
 翅が半透明で白く、黒い模様がある蝶です。 北方系の蝶らしく、毛深く、腹部背面と翅の表側には灰色の、胸部から翅の裏側にかけては黄色の、腹側には黒い細く長い毛が密生しています。

Usubasirochou110612_2

 私の住むあたりでは、なかなか見ることはできないけれど、日帰りで見に行くことができるとあっては、見に行きたくなるもの。 伊吹山では標高の関係で6月でも見ることができるし、花もいろいろ見ることができるとあって、伊吹山に行って撮ってきたのが上の写真です。

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2011年6月12日 (日)

コシダの葉の展開

 このブログの2011年2月5日にコシダを記事にし、その中で、コシダは数年かけて1枚の葉を展開すると書きました。 コシダの茎は地下茎で、この地下茎から伸び出し、地面から顔を出した1本の中軸に続く全体が1枚の葉なのですが、この葉は分岐を繰り返しています。 はたして1年間に葉のどれだけの部分が展開するのか、百聞は一見に如かず、その葉の展開の様子を撮ってみました。
 まずは新しく地上に出た1枚の葉が開く様子を観察します。

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 上の状態では、まだ他の多くのシダとそんなに様子は変りません。 これがこの春だけでどこまで分岐するのか・・・。

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 上の写真では、中軸が二股分岐し、さらにその上で二股分岐しかかっています。

Kosida110604_1

 そして上が葉の展開終了近くの状態です。 上に写っている全てが、この春に展開した部分です。
 1枚目の写真の1つの芽がここまで展開するとは信じられないかもしれませんが、上の写真をクリックして拡大し、よく見てください。 葉の末端のどの部分もまだ完全には開ききっていません。

 そして1年後、左右に広がった羽片の間から、次の芽(=葉の一部)が伸び出してきます。(下の写真)

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2011年6月11日 (土)

ヤマトシロアリの生殖虫(有翅虫)

 シロアリは白い蟻(アリ)の意味ですが、分類学的にはアリとはかなり離れていて、アリがハチの仲間であるのに対し、シロアリは社会性を発達させたゴキブリの仲間と言えます。
 シロアリの仲間は暖かい場所で多くの種類が見られ、南西諸島では10種を超えますが、日本本土で普通に見られるのはヤマトシロアリとイエシロアリの2種です。
 イエシロアリが地下に巣を作り、そこからトンネルを掘り、あちこちの木材を食べ、木造家屋に大きな被害を与えるのに対し、ヤマトシロアリは湿った木材の中に巣を作り、周辺を食べながら巣を広げるだけですので、被害は限定的ですし、自然界における分解者としての役割も担っています。

 ヤマトシロアリは、コロニーを増加させるため、4~5月の10時頃~正午頃に、生殖虫(有翅虫)が“結婚飛行”に飛び立ちます。
 イエシロアリの有翅虫が、頭部が褐色で胸腹部は黄褐色、翅も白いのに対し、ヤマトシロアリは、普段の姿はもちろん白いのですが、有翅虫は胸の黄色を除いて全身黒褐色で、羽根も薄黒い色をしています(下の写真)。

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 5月21日の10時20分頃、近くの里山を歩いていて、このヤマトシロアリの有翅虫が飛び立つところに出会いました。 次々と飛び立ちますが、そんなに遠くまでは飛べない様子です。

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2011年6月10日 (金)

ヤブウツギ

 雨に濡れているヤブウツギです。

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 ヤブウツギは、本州の山梨県以西の太平洋側と四国に分布する落葉小高木です。 別名ケウツギと呼ばれるように、葉の裏面脈上、葉柄、若枝などには細かい開出毛がたくさん生えています。

 ウツギはアジサイ科の植物ですが、「ウツギ」を漢字で書くと「空木」で、茎が中空になっている「○○ウツギ」という名前の植物は、アジサイ科、スイカズラ科、バラ科、フジウツギ科、ミツバウツギ科、ドクウツギ科など、多くの科に存在し、花の色も形も様々です。
 ヤブウツギは、タニウツギ、ニシキウツギなどと共に、スイカズラ科に分類されています。

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2011年6月 9日 (木)

キイロトラカミキリ

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 キイロトラカミキリは、体全体が微毛で覆われていて、黄色に黒の紋がある、体長1.5~2cmほどのカミキリムシです。 細く長い脚で忙しそうに動き回り、なかなかうまく撮れません。
 写真のキイロトラカミキリは、触角が2本とも途中で折れています。 本来はもう少し長い触角を持っています。
 あるHPで、キイロトラカミキリの活動は午後後半から夕刻にかけてであると書かれていました。 私がこのキイロトラカミキリを見たのも午後でしたが、(以下 2012.6.16.追記)'12年6月15日にクリの花(堺市南区)に来ていたのは、午前9時10分でしたが、さかんに活動していました。

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2011年6月 8日 (水)

ナツハゼ

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 ナツハゼはツツジ科スノキ属の落葉低木で、このように写真に撮ると、前に記事にした同じ属のスノキとは、ほんとうによく似ています。 花もそっくりです。

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 しかし、ナツハゼとスノキは、葉を手で触ってみると、明らかに違います。 ナツハゼの葉には両面に荒い硬い毛が散生し、手で触ると、ザラザラします。

 果実は褐色から熟すと黒っぽくなり、この色からヤマナスビと呼ぶ地方もあるとのことです。 下は10月下旬の撮影ですが、熟した果実は食べると酸味があって、なかなかおいしいものです。

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 ナツハゼは、尾根などの、少し乾燥気味の明るい二次林などで見られます。 ナツハゼの名前は、夏ごろから、日当たりのいい所の葉がハゼのように紅葉するところからです。

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2011年6月 7日 (火)

ナカアオフトメイガ

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 近所の公園のソメイヨシノの幹にいたナカアオフトメイガのオスです。 写真ではフラッシュの光を当てていて、蛾と樹皮の反射率が違うので、蛾の存在が分かりやすいのですが、自然光下では幹の色とたいへんよく似ていて、優れた保護色になっていました。
 上の写真、翅の形でどちらが頭かは分かりますが、何か異様な感じがします。 これは1つには腹部の先端を上に持ち上げていることと、これはオスの特徴なのですが、太く長い下唇鬚があり、それを頭の上で反り返らせているからでしょう。 下はその下唇鬚の様子を横から撮ったものです。 黄色い輪のようなものが写っていますが、これはストロー状の口を少し伸ばしかけているものです。

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 腹部の先端を持ち上げている蛾はいろいろいます。 私は今までその理由として、フェロモンを分泌しているのかと漠然と思っていたのですが、この蛾のようにオスとはっきり分かってしまうと、腹部の先端を持ち上げている意味が分かりません。 この蛾を見ていると、小さな蛇が鎌首を持ち上げているようにも見えますので、敵を驚かせる効果があるのでしょうか。
 太い下唇鬚の役割も分かりません。 頭部を保護しているようにも見えますが、それならメスにもあってもいいように思います。 これが性的アピールになっているのでしょうか。

 ナカアオフトメイガはメイガ科のフトメイガ亜科に分類されていて、成虫は6月~8月に出現します。 最も色の濃い部分の模様のパターンは基本的に共通ですが、翅の色は、褐色、くすんだ緑、白い帯のあるものなど、腹部も写真のように白い帯のあるものや無いものなど、色や斑紋には変異があります。 似た蛾にウスグロフトメイガがいますが、本種の前翅外横線は、後縁あたりで水平になる傾向があります。
 幼虫の食餌植物は、バラ、ボケ、クリ、オランダイチゴなど、いろいろです。

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2011年6月 6日 (月)

リンゴの「果実」は?

 今日は昨日のさくらんぼと比較して、くだもののリンゴについて書くことにします。 下はおなじみのリンゴの断面ですが、さくらんぼと異なり、柄の反対側が何やら複雑です。

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 下は柄の反対側(上の写真の手前)を拡大したものですが、これはリンゴの花のどの部分から由来したものでしょうか。

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 以前、サクラやモモの花では、メシベの根元の子房の部分とオシベとの間には隙間があります(こちらの記事を参照してください)が、リンゴの花では種子のできる子房の部分は、花托と呼ばれる緑色の組織に埋まっていると書きました(こちら)。
 下にもリンゴの花の断面を載せておきます。 植物学的に言うと、果実は子房からできますが、その子房はメシベの下部にあります。 下の水色で囲った部分がリンゴの花の子房ですが、この子房は花托という組織に埋め込まれています。
 くだもののリンゴは下の赤い楕円で囲んだ部分が大きくなったものです。 上のリンゴの断面の柄の反対側のゴチャゴチャした部分は、花のガクが残っているのです。

Ringo130411_5   (この写真は、2.13.4.11.に変更しています)

 上のリンゴの断面と花の断面は、上下の方向が一致していませんが、柄に注目して頭を整理して比較してみてください。 リンゴの真の「果実」つまり子房の変化した部分は、下の水色で囲った部分、つまり、私たちが「芯」と呼んでいる部分です。

Ringo110602_3

 私たちが食べているのは、リンゴのほんとうの果実(真果)ではありません。 リンゴの「果実」は芯として捨てています。 このように子房以外の部分が生長・肥大してできた果実のようなものを「偽果」と呼んでいます。
 身近なくだもののなかには、リンゴ以外にも偽果はたくさんあります。 くだものを食べる時に、ほんとうの果実なのか偽果なのか、考えてみるのも植物形態学入門としておもしろいのではないでしょうか。

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2011年6月 5日 (日)

さくらんぼとリンゴ

 さくらんぼのおいしい季節です。 さくらんぼは、もちろんサクラの果実です。 下はアメリカンチェリーですが、もちろん果実のつくりとしては、佐藤錦を中心とする日本のさくらんぼと変わりはありません。

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 ところで、サクラの花リンゴ(セイヨウリンゴ)の花は、同じバラ科で、外見はよく似ています。 ところが、果物(くだもの)のさくらんぼとリンゴを比較すると、かなり様子が違います。 もちろん大きさも色も違いますが、ここではそのつくりの違いを取り上げます。

 下はさくらんぼの断面を撮ったもので、果実の中央に1つの種子、きわめて分かりやすい果実です。

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 このさくらんぼになるのは、「桜の花のつくり」に載せた子房の部分です。 サクラは日本を代表する花であるばかりではなく、花と果実の関係もたいへん分かりやすいので、小学校の理科の教科書でも取り上げられています。 しかしそのために、どんな植物でも果実は全てサクラの場合のようになっているという誤解が起こりやすいことも事実です。
 サクラと同じように考えると、リンゴは理解できません。 明日はリンゴを中心に取り上げることにします。

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2011年6月 4日 (土)

イヌビワシギゾウムシの産卵

 ゾウムシの仲間のうち、鳥のシギのくちばしのように口吻が特に細長いものをシギゾウムシということは、こちらでも書きました。
 今回はイヌビワシギゾウムシの産卵を観察できたので載せておきます。 観察したのは、高さ2mほどの横に枝を広げたイヌビワでしたが、イヌビワシギゾウムシはこの木で、交尾中のものを1組(これは枝が邪魔をして撮ろうとしているうちに逃げられました)、産卵中のものを3頭、歩き回っているのを1頭見つけることができました(撮影日時は6月4日17時すぎ)。

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 イヌビワの花嚢(かのう)に口吻を根元まで差し込み、穴をあけて、

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 口吻を引き抜いた後に反転し、産卵管を差し込み、産卵します。

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2011年6月 3日 (金)

モノサシトンボ

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 写真はモノサシトンボのメス、口に餌をくわえています。 体長は4~5cmです。 

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 そして下がオスです。 もっと淡青緑色をしているのですが、フラッシュの光が強すぎて、白っぽくなってしまいました。 オスはメスに比べ、脚の白さが目立ちます。

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 メスの写真もオスの写真もため池の近くにある林の縁で撮りました。 このため池で生まれたのでしょうが、モノサシトンボが池の縁にいることは、産卵の時を除いて、あまりありません。
 モノサシトンボの名前は、もちろん腹部の節の模様がはっきりしていて、ものさしの目盛りのようだからです。

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2011年6月 2日 (木)

ムラサキツユクサ、原形質流動、そして放射線

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 ムラサキツユクサのオシベには、たくさんの毛が生えています。 この毛は細胞が1列につながってできているのですが、この毛を顕微鏡で見ると、細胞の中で、細胞を構成している物質が流れて循環しているのが観察できます。 植物だって「生きている」ことを実感できる観察ですが、この現象を「原形質流動」と呼んでいます。 原形質流動は他の植物でも観察することは可能ですが、これは生きている“元気”な細胞でしか観察できません。 細胞を染色すると、原形質流動は止まってしまいます。 ムラサキツユクサのオシベの毛は、細胞の重なりが無く、細胞質に青い色がついていますし、それに流れの速度も速いので、原形質流動の観察材料としては、たいへん適していると言えます。
 速い原形質流動が起こっているということは、細胞が活発に活動しているともいえるのですが、大胆に言ってしまえば、活動の活発なものほど様々な影響を受けやすいと言えるでしょう。
 ムラサキツユクサのオシベの毛は、突然変異で青い色素が作られなくなると、赤くなってしまいます。 当時京都大学におられた市川定夫博士は、2000年前後に、このムラサキツユクサの突然変異が起こる確率と放射線の関係を調べておられます。 その結果は、放射線の強さと突然変異が起こる確率は比例する、というものでした。 つまり、1レム以下の低線量あるいは微量の放射線であっても、確率は低くなるが突然変異は起こる、ということです。 そして、市川定夫博士は、実際に“安全に”稼動している原子力発電所の近くでも、ムラサキツユクサの突然変異の確立が高くなっていることを確認されています。
 人間もムラサキツユクサも遺伝子に突然変異が起こるしくみに根本的な違いはありません。 浴びる放射線量がある値を超えると危険だが、それ以下は安全だ、ということではないという事です。 繰り返しになりますが、いくら浴びる放射線量が少なくとも、危険性は少なくなりますが、浴びる放射線量が0であるよりは危険だ、ということです。
 現在、東京電力福島第一原発で緊急作業にあたる作業員の被曝(ひばく)線量の上限値に関することがらを、ニュースでよく見聞きするようになりました。 また、周辺地域の安全性についても、数値を用いて説明がなされています。
 一般的に、「これ以上では影響が現れる、これ以下では何の影響も無い」という値を「閾(しきい)値」と呼んでいます。 現在の私たちの生活は原子力発電無しでは考えられません。 しかし、いろんな議論をする際に、放射線量に関しては閾値は存在しないことをムラサキツユクサは教えてくれています。

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2011年6月 1日 (水)

ヒゲコメツキ

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 近くの里山にいたヒゲコメツキです。 上がオスで下がメス、オスは上のような立派な櫛の歯状の触角を持っています。 このオスの触角は、メスのフェロモンを受け取るためでしょうか、それとも、メスを惹きつける性的アピールとして役立っているのでしょうか、それとも・・・。

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 幼虫は林内の腐葉土中や朽木の下などで生活しているようです。

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