山のハヤブサ(1)
ハヤブサはハシボソガラスよりひとまわり小さい留鳥です。 自ら巣を作ることはせず、断崖の窪みなどに卵を産み、子育てを行います。
ゆっくり上空を旋回していることもありますが、その気になれば、たいへん速く飛ぶことができ、特に獲物を狙って急降下する時のハヤブサは、時速200kmを超すといわれています。 「ハヤブサ」の名前も、「速い翼」が転じたと考えられています。
餌は、その高速性を活かし、開けた場所で、他の鳥などを捕えています。 住む断崖と狩をする開けた場所がセットになっている所として、ハヤブサが住む場所の多くは、川幅のある河川、湖沼、海岸などです。
2011年1月9日のNHK「ダーウィンが来た!」では、集団で津軽海峡を越えるヒヨドリを海岸近くで狙うハヤブサが紹介されていました。 また、大阪の泉大津市では海の近くのビルを断崖に見立てて毎年子育てを行っているハヤブサが知られています。 いずれも海岸です。
ところが、山でハヤブサが毎年子育てをしている場所があると聞いて、見に行ってきました。
(コナラの枝で休憩)
詳しい場所は伏せておきます( 5月2日に行った時も27本の望遠レンズが並んでいましたので、あまり伏せても意味は無いと思いますが・・・)が、下がその場所です。
写真の◎の位置が営巣地です。 巣の様子はもちろん分かりませんが、メスはほとんど巣にいて時々飛び出し、オスは近くで狩をしている様子から、雛が孵っているようでした。
2時間あまりの観察だけですので、詳しいことは分かりませんが、狩の場所は赤い曲線で囲った範囲を中心にしているようでした。 オスは、○で囲った送電線の頂にいて、ここから餌を求めて飛び立ち、またこの送電線に戻ることを繰り返していました。 巣の位置(◎)とオスのいる送電線(○)との直線距離は、約400mです。
写真で南から北へ蛇行している白い線は道路で、ほぼ並行して川が流れているのですが、そんなに川幅のある河川ではありません。 獲物を狙って急降下した場所も河川とは関係の無い所でした。
獲物を捕る所を詳しく見たいのですが、すぐに山影に入っていまい、よく分かりません。 “山のハヤブサ”はどこでどのような狩を行っているのでしょうか。 ゴルフ場が関係しているのでしょうか。
明日はオスが獲物をメスに渡す所を記事にする予定です。
【余聞】
第二次世界大戦時、大日本帝国海軍の零式艦上戦闘機(略称「ゼロ戦」)と並び、量産された大日本帝国陸軍の一式戦闘機の愛称は「隼(はやぶさ)」でした。 愛称はもちろん鳥のハヤブサから採られたもので、加速性能に非常に優れた戦闘機でした。 特にマレー半島における加藤建夫率いる加藤隼戦闘隊の活躍は、映画や軍歌にもなっています。
平和な時代となり、「はやぶさ」の名称は列車で使われるようになりました。 1958年~2009年には、東京-熊本(2002年までは西鹿児島駅)間を寝台特急「はやぶさ」が走っていましたし、2011年3月5日からは東北新幹線の東京-新青森間で特急「はやぶさ」が走り始めました。 一時、東日本大震災で運休していましたが、4月29日から復旧しています。 東北復興のシンボルとして「はやぶさ」の活躍に期待したいものです。
また、小惑星探査機「はやぶさ」も話題になりました。 2003年5月に打ち上げられた「はやぶさ」は小惑星「イトカワ」に着陸し、2010年6月に世界で始めて小惑星のサンプルを持ち帰るという快挙を成し遂げました。 「はやぶさ」の名は、小惑星のサンプル採取が1秒ほどの着地と離陸の間に行われる様子を、ハヤブサの急降下して獲物を捕える様子に見立てた案であったとのことです。
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コメント
> ハヤブサはハシボソガラスよりひとまわり小さい留鳥で
意外です。
カラスより大きいかなと、思っていました。
ハヤブサの背中もお腹も模様がキレイですね。
よぉ撮れてますね
>明日はオスが獲物をメスに渡す所を記事にする予定です。
ワクワクします。
投稿: わんちゃん | 2011年5月 3日 (火) 21時36分
> 意外です。
> カラスより大きいかなと、思っていました。
強そうなものは大きく見えるのでしょうね。
投稿: そよかぜ | 2011年5月 4日 (水) 20時22分
こんにちは。
ハヤブサはカッコ良いですね。
余聞のほうも楽しく拝見しました。
♪エンジンのお~と~
父が好きでよく聞かされていました。灰田勝彦さんの歌でしたよね。
ブルートレインのはやぶさは、子供の頃に、あさかぜやさくらとともによく写真を撮ったものです。新しいはやぶさには大活躍して欲しいですね。
投稿: 多摩NTの住人 | 2011年5月 7日 (土) 10時35分
多摩NTの住人さん、植物以外にもコメントを入れていただき、ありがとうございます。
多摩NTの住人さんには“鉄ちゃん”の時代があったんですか。
「加藤隼戦闘隊」の歌は軍歌ですので、いろんな人が歌っていたようです。
記事には書きませんでしたが、加藤隼戦闘隊は、いろんなマンガの題材ともされています。私の子供の頃は、「少年サンデー」に、加藤隼戦闘隊所属の少年航空兵、早房一平伍長を主人公とした「大空のちかい」が連載されていて、よく読んでいました。
投稿: そよかぜ | 2011年5月 7日 (土) 23時25分