ツノオオアザミウマ
ケキツネノボタンの葉にいたツノオオアザミウマ属の一種のメスだと思います。 体長は約5mm、オスは名前のとおり、第6腹節に角のような突起があるとのことですが、写真の個体にはありません。
分類学的にもう少し整理しておくと、写真のアザミウマ (アザミウマ目:Thysanoptera) は、腹部末端が管状に長く伸びているのでクダアザミウマ科 (Phlaeothripidae) で、触角の様子などからツノオオアザミウマ属 (Bactrothrips) だろうと思います。
以下、少しアザミウマ目全般について書いておくことにします。
写真のツノオオアザミウマは、アザミウマ全体からすれば、かなり大きな方で、多くのアザミウマの体長は1mm以下です。 英語のスリップス(Thrips)という名前もよく使われていて、現生種は5,000種ほどが知られています。 口は長くはないのですが、口を植物に突き刺して汁を吸ったり、植物組織を食べたりします。 条件がそろうと大発生し、特に温室の重要な害虫とされています。 またアザミウマの中には、菌類の胞子や菌糸を食べる種類も多く知られています。
アザミウマの名前は、(昔の)子供たちが、アザミの花の下を手のひらで受け、「馬出よ、牛出よ」と言いながら花をポンポンと叩き、アザミの花から落ちてくる黒や黄色の小さな虫の数を競ったという遊びからと言われています。 そして、このアザミの花から出てくる黒や黄色の虫の多くがアザミウマなのです。
アザミウマの特徴は、その翅にあります。 その翅は棒状のものの周囲に長い毛が生えたものです。 上の写真では翅を広げてはいませんが、その様子は2枚目の写真で分かると思います。
アザミウマには、いろいろ変った性質が見られます。 まず、ハチの仲間と同様に、卵が受精せずに発生するとオスになり、受精するとメスになります。 また、写真でも分かるように、肢の先端には、多くの昆虫の肢の先端に見られる鈎状の爪はありません。 アザミウマは肢の先端から粘着性の胞嚢を出し入れし、これを物の表面にくっつけて歩きます。
(2014.2.10.追記)
写真のアザミウマは、おちゃたてむしさんの2013年12月17日に載せられているものによく似ていて、それにはezo-aphidさんから Bactrothrips carbonarius だろうというコメントが寄せられています。
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コメント
1mmから5㎜の虫たちの世界
大量に発生すれば植物が大被害を被るんですね、
いつも思うのですが、散歩してても、
うかうかと歩いてられないぞ、って。
でも、知らないと虫との出合いも無いです。
投稿: わんちゃん | 2011年4月19日 (火) 18時26分
虫を探す時は、特に小さな虫は、歩くスピードを遅くし、じっくり見ていく必要があります。
花を撮る時に、しゃがんだついでに、その周辺をじっくり見渡す、というのは、いかがですか。
投稿: そよかぜ | 2011年4月20日 (水) 06時58分