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2011年4月30日 (土)

カタクリ@金剛山

 今年は季節の進行が遅かったのですが、かなり遅れを取り戻しているように感じていました。 ところが30日に金剛山(標高1125m)に行ってみると、山の様子は10日以上遅れている様子で、山頂に近づくにつれてその遅れは大きくなる様子。
 金剛山へは、いろいろ見たい植物があって出かけたのですが、あきらめて予定を変更し、「カタクリの径」(私が勝手に呼んでいるだけです)へ。

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 天気も曇で花被を反転させていない花も多かったのですが、ちょうど見頃でした。

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 金剛山の山頂近くの「ちはや園地」には育てられているカタクリがあるのですが、比較すると、写真の場所のカタクリは色の薄いものが多いようです。
 色の濃淡も含め、カタクリの花にも様々な個体変異が見られます。 たくさんの花があると、比較するのも楽しいものです。 2枚目の右手前の花は、花弁とガクの模様が、はっきり異なっています(写真をクリックして拡大して見てください)。

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2011年4月29日 (金)

クロボシツツハムシ

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 ハムシを続けます。 今回はリンゴの木にいたクロボシツツハムシです。 食べる葉としては、このリンゴやナシなどのバラ科の他、コナラ・クヌギなどのブナ科やマメ科の植物の葉も食べているようです。
 ナナホシテントウによく似ていますが、鳥が食べないナナホシテントウに擬態して身を守っているのでしょう。

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 胸部背面の色は個体差が大きいようです。 伊吹山で見たクロボシツツハムシの胸部背面は、黒い部分が大きな面積を占めていました。

 ところで、名前の「ツツ」は「筒」なのでしょうが、この筒は?  ツツハムシの仲間もたくさんいるのですが、円筒形に近い体型からきているのかも知れません。 しかし、ツツハムシの仲間にはおもしろい習性があって、幼虫は自分の糞を固めた筒状の殻の中に身を隠し、移動の時もこの殻を背負ったまま、脚のついている部分だけを殻から出して移動します。

 ツツハムシの仲間としては、他にキイロナガツツハムシを記事にしています。

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2011年4月28日 (木)

クワハムシ

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 写真はアラカシの若葉にいるクワハムシです。
 クワハムシは青藍色の光沢があるハムシで、成虫はクワ、コウゾ、ヤマノイモ、ヤマナラシ、エノキなどの葉を食べると言われています。
 幼虫も植物食には違いないのですが、土中で根を食べると言われています。

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2011年4月27日 (水)

カシルリオトシブミ

 昨日の変った虫に続いては美しい虫を・・・。

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 カシルリオトシブミは普通種ですが、体長が4mm前後と小さいため、あまり目立たないようです。
 揺籃の作成は5月頃を中心に見られます。 名前に「カシ」とついていますが、カシの葉で揺籃を作ることは稀で、様々な樹木や草本につくようです。 安田・沢田(2009)の調査では、食草として、イタドリ・オオイタドリ・フジ・ニセアカシア・ケヤキ・コナラ・カシ類・カエデ類・イヌコリヤナギが挙げられています。
 瑠璃色をしたルリオトシブミの仲間も何種類かいるのですが、本種の特徴としては、前胸が金色味を帯び、この部分の点刻が渦状になっていることが挙げられます。
 写真は4月24日に堺市南部の里山で撮ったメスで、モチツツジの葉の裏でじっとしていました。 オスでは前足の脛節が長く伸び、内側に曲がります。

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2011年4月26日 (火)

カタビロトゲハムシ

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 カタビロトゲハムシは以前はカタビロトゲトゲと呼ばれていたハムシ科の昆虫です。

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 数mの距離のアラカシの生垣に数頭がいましたが、フラッシュを光らせるや否やポトリと落下してしまいます。 たまらず1頭持ち帰ることにしましたが、今度はよく飛びます。

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 どれくらいの大きさかというと・・・。

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 幼虫・成虫とも、クヌギ、コナラ、アラカシなどの葉を食べて暮らしています。

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2011年4月25日 (月)

ホタルカズラ

 ホタルカズラが咲き始めました。 今年は遅れていた季節の進行も次第に例年に追いつきつつあるようです。

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 ホタルカズラはムラサキ科の常緑の多年草です。 花の中央部のつくりは少し違うものの、ヤマルリソウとよく似ていて、“毛深い”ところや茎が地面を這い、ツボミがピンクで花が青いところなどは共通です。 ただし花の大きさは径が1.5~2cmあり、花の大きい分だけ1花序の花の数は少なく、サソリ状花序は、はっきりしません。

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 ホタルカズラの名前は、青い花の中央の白い星形が蛍の光に喩えられていると言われていますが、薄暗い所で見ると、花そのものが蛍が光っているように見えなくもありません。
 下はホタルカズラの花の色だけを残し、他をモノトーンにしてみたものです。

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2011年4月24日 (日)

ヤマルリソウ

 ヤマルリソウは本州福島県以南から九州に分布する多年生の草本です。 よく見るのは林縁や道端などの斜面で、適度の湿り気がある場所です。 根生葉がロゼット状で、横に広がっていきますので、上を他の植物に覆われないような環境で生育しています。

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 花の色の濃淡には株により差があるのですが、多くは咲き始めは淡いピンクで、それが淡い青紫に変わってきます。

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 葉の両面も茎も毛が多く、ザラザラした感じがするためでしょうか、花の色に対しても、私的にはそんなに美しさを感じない植物なのですが、写真に撮ると美しい色に写る植物です。 たぶんデジカメの撮像素子と目の網膜との波長による感度の違いなのでしょうね。
 ヤマルリソウはムラサキ科に分類されています。 キウリグサミズタビラコ、北海道で見られるエゾルリソウ、奄美諸島以南で見られるモンパノキなどと同様、花は下から咲いていきながら、その先に渦を巻いて付いているツボミが成長を続ける無限花序、またはサソリが尾を持ち上げたように先端で渦を巻いているサソリ状花序とよばれている、ムラサキ科の特徴となっている花の咲き方をします。

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2011年4月23日 (土)

ミヤマセセリ

 ミヤマセセリの成虫は早春にのみ現れます。 全国的に分布し、幼虫の食草はクヌギ、コナラ、ミズナラなどで、クヌギやコナラは私の住む堺市の南部にも多いのですが、まとまった面積の林でないとダメなのか、堺市では1990年頃に記録があるだけです。 そこで4月17日、ミヤマセセリを求めて東大阪市にある枚岡公園に行ってきました。
 枚岡公園でも会えたのは2頭のみで、1頭は飛び続けて撮れなかったのですが、もう1頭は土の上で日向ぼっこをしてくれました(下の写真)。

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 写真は前翅に白帯があり、メスです。 オスも撮りたかったのに・・・。

 ミヤマセセリのこの後ですが、産卵された卵は5月頃に孵化し、幼虫は秋まで時間をかけ、少しずつ成長し、終齢幼虫で冬を越し、春早く蛹になって羽化します。

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2011年4月21日 (木)

これもトゲミノキツネノボタン

 昨日は、いろんなキツネノボタンの仲間があるうちで、トゲミノキツネノボタンの実にはトゲがあることを書きました。 では、キツネノボタンに似た植物で実にトゲがあればトゲミノキツネノボタンだと言えるかというと、そうとも言えません。 キンポウゲの仲間には、イボミキンポウゲという植物もあります。
 イボミキンポウゲもヨーロッパ原産の帰化植物です。 トゲミノキツネノボタンが1915年に仙台市で見いだされ、その後西日本で多く確認されているのに対し、イボミキンポウゲは1980年に松江市で見いだされていますが、まだ見いだされてからの歴史が浅く、よく分かっていないことも多いようです。
 イボミキンポウゲは、茎はほとんど無毛だがまばらに長い開出毛があり、根生葉の葉身は広卵形で、1回3出の複葉あるいは単葉で3浅裂~中裂し、上面は無毛、下面に長い伏毛がある、とされています。
 写真は東大阪市の枚岡公園の北にある、長尾の滝に至る額田川の渓谷(長尾渓)で撮ったもので、これがイボミキンポウゲかと思うのですが・・・
 イボミキンポウゲが最初に記載された松江で植物を調査されているよしゆきさん(「松江の花図鑑」)から、下の写真の植物もトゲミノキツネノボタンだろうというコメントをいただきました。 イボミキンポウゲは新しい帰化植物で、十分な資料も無いままに記事にしましたが、よしゆきさんの撮られたイボミキンポウゲの写真を見ると、明らかに下の植物とは異なります。 タイトルも併せて変更しました。

 

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2011年4月20日 (水)

トゲミノキツネノボタン

 キツネノボタンの仲間も、名前に「キツネノボタン」とついているものだけでも、キツネノボタン、ヤマキツネノボタン、ツルキツネノボタン、コキツネノボタン、シマキツネノボタン、トゲミノキツネノボタン、ケキツネノボタンといろいろあって、なかなか難しいものです。 もっとも、この中には地域が限定されている種類もあって、よく見ることのできる種類は限られていますが・・・。
 今回はこのうちのトゲミノキツネノボタンです。 その名のとおり、実に刺があります(下の写真)。

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 トゲミノキツネノボタンは、ヨーロッパ原産の帰化植物で、湿り気のある所を好む越年草です。 全体ほぼ無毛で、葉は3中裂~浅裂し、不揃いな鋸歯があります。

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2011年4月18日 (月)

ツノオオアザミウマ

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 ケキツネノボタンの葉にいたツノオオアザミウマ属の一種のメスだと思います。 体長は約5mm、オスは名前のとおり、第6腹節に角のような突起があるとのことですが、写真の個体にはありません。

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 分類学的にもう少し整理しておくと、写真のアザミウマ (アザミウマ目:Thysanoptera) は、腹部末端が管状に長く伸びているのでクダアザミウマ科 (Phlaeothripidae) で、触角の様子などからツノオオアザミウマ属 (Bactrothrips) だろうと思います。

 以下、少しアザミウマ目全般について書いておくことにします。
 写真のツノオオアザミウマは、アザミウマ全体からすれば、かなり大きな方で、多くのアザミウマの体長は1mm以下です。 英語のスリップス(Thrips)という名前もよく使われていて、現生種は5,000種ほどが知られています。 口は長くはないのですが、口を植物に突き刺して汁を吸ったり、植物組織を食べたりします。 条件がそろうと大発生し、特に温室の重要な害虫とされています。 またアザミウマの中には、菌類の胞子や菌糸を食べる種類も多く知られています。
 アザミウマの名前は、(昔の)子供たちが、アザミの花の下を手のひらで受け、「馬出よ、牛出よ」と言いながら花をポンポンと叩き、アザミの花から落ちてくる黒や黄色の小さな虫の数を競ったという遊びからと言われています。 そして、このアザミの花から出てくる黒や黄色の虫の多くがアザミウマなのです。
 アザミウマの特徴は、その翅にあります。 その翅は棒状のものの周囲に長い毛が生えたものです。 上の写真では翅を広げてはいませんが、その様子は2枚目の写真で分かると思います。
 アザミウマには、いろいろ変った性質が見られます。 まず、ハチの仲間と同様に、卵が受精せずに発生するとオスになり、受精するとメスになります。 また、写真でも分かるように、肢の先端には、多くの昆虫の肢の先端に見られる鈎状の爪はありません。 アザミウマは肢の先端から粘着性の胞嚢を出し入れし、これを物の表面にくっつけて歩きます。

(2014.2.10.追記)
 写真のアザミウマは、おちゃたてむしさんの2013年12月17日に載せられているものによく似ていて、それにはezo-aphidさんから Bactrothrips carbonarius だろうというコメントが寄せられています。

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2011年4月17日 (日)

ケキツネノボタン

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 キンポウゲ属( Ranunculus )の植物については、このブログで今までタガラシウマノアシガタなどを載せてきましたが、似たものも多く、特に種子ができておらず、まだ伸びきっていない春先は判断に困る場合があります。
 写真は近くの休耕田で4月16日に撮ったもので、ケキツネノボタンだと思います。

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 ところで、この植物の名前ですが、「ケ」は毛が多いからですが、「ボタン」は服に付けるボタンだと思い、「花と実と、どちらがボタンに見立てられているのですか」という質問をいただいたことがあります。 この「ボタン」は葉が植物のボタンの葉に似ているところからの名前です。 「キツネ」は花が黄色いからでしょうか。

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2011年4月16日 (土)

カスミサンショウウオ

 カスミサンショウウオは、湧水や水田の周囲にある丘陵の二次林などに生息する両生類です。
 カスミサンショウウオの住む環境は、開発や水質汚染、減反政策による乾田の増加などのために減少し、環境省レッドリストでは絶滅危惧II類(VU)とされています。
 しかし大阪府堺市の南部丘陵では、まだ生息しています。 夜行性で、昼間は落ち葉の下などに隠れているため、親の姿はなかなか見ることはできませんが、卵塊を見ることができました。 水中の卵塊をそのまま撮りましたので、くっきりとはいきませんが・・・。

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 下は長居公園にある自然史センターに展示されているカスミサンショウウオの標本です。 尾の上側が黄褐色になっているのが特徴です。

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2011年4月15日 (金)

クロコノマチョウの翅の表

 クロコノマチョウがとまっている時は、いつも翅を閉じています。 前にクロコノマチョウの幼虫・蛹・成虫を載せましたが、その時も成虫の翅は閉じたままでした。 閉じた翅の方が落ち葉の色に溶け込みやすいのでしょう。

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 でも、どうしても翅の表を見たいので、飛び立つ瞬間を狙ってみました(下の写真)。

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 クロコノマチョウは成虫で越冬しますので、翅はあちこち破れています。

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タネツケバナ

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 花は種子生産のための器官、種子に変化していく花は珍しくも無く、わざわざ名前にするわけもありません。 タネツケバナとは「種付け花」ではなく、「種浸け花」、つまり苗代を作るためにイネの種子を水に浸ける頃に咲いている花、つまりタネツケバナは農家にとって、たいへん親しみのある花なのです。
 タネツケバナは水田の畦などによく見られるアブラナ科の越年草です。 10月頃に発芽してロゼットで越冬し、春に花を咲かせます。 葉は羽状の複葉で、多くの場合、根出葉は開花期には枯れ始めています。 花は白く、他の多くのアブラナ科同様、オシベは6本で、そのうちの2本は短くなっています。

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2011年4月13日 (水)

フラサバソウ

 フラサバソウはヨーロッパ・アフリカ原産の外来植物です。 この名前は、日本の植物に関して多くの新種を記載し、フラサバソウについても外来植物であることを報告した、Franchet と Savatier という2人の植物学者の名前を記念してつけられています。
 全体に長い毛の多い植物です。

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 フラサバソウの学名は Veronica hederaefolia で、オオイヌノフグリなどのイヌノフグリの仲間やヒヨクソウなどと同じ属に分類されていて、2本のオシベを持つことや、花冠裂片の1つが他の裂片より小さくなっていることなど、基本的な花のつくりは共通です。 オオイヌノフグリの花では花冠裂片の重なりが大きくて合弁花類であることが分かりづらいのですが、下の写真では合弁花であることがよく分かります。

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2011年4月11日 (月)

ミツボシツチカメムシ

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 ヒメオドリコソウの群落にミツボシツチカメムシがたくさん集まっていました。 と言っても、ヒメオドリコソウの葉は重なりが大きく、その間に潜り込んでいますので、一見したところでは、その存在が見えません。
 ミツボシツチカメムシは、春に成虫が出現し、体は光沢のある黒色で、体の側縁は白色に縁どられていて、背中に白色紋が3つあります。 落ち着いた美しさを持っているのですが、ヒメオドリコソウにいる個体はなかなか難しい被写体でした。 葉の重なりの中からは出てこようとはしませんし、無理に出そうとすると地面に落ちて分からなくなってしまいます。 仕方なく葉をそっと掻き分けて撮りましたが、下の写真はヒメオドリコソウの4分果もきれいに撮れて、なかなかおもしろい写真になりました。 この写真でミツボシツチカメムシの大きさがほぼ理解していただけると思います。 体長は5mm前後です。

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 ツチカメムシの仲間は、角の無い体型で、地上に落ちた果実を吸汁するなど、その名のとおり地際で生活する種類が多いようですが、ミツボシツチカメムシは、ヒメオドリコソウやオドリコソウ、ホトケノザなどでよく見つかっています。

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2011年4月10日 (日)

ヒメオドリコソウ

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 ヒメオドリコソウはヨーロッパ原産の越年草で、日本には明治時代中期に入ってきています。 早くから咲き始め、寒いうちは上部の葉が暗紫色を帯び、なかなか美しいのですが、暖かくなって、この色もすこし薄れてきました。

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 シソ科で葉は対生、葉脈は網目状で窪んでいます。 シソ科の植物は、葉をもむと特有の香りがするものが多いのですが、このヒメオドリコソウの場合は、私的にはあまりいい香りとは言えません。

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2011年4月 9日 (土)

心材、辺材

 木材の断面で、中心部と周辺部で材の色が違っている場合、中心部を「心材」、周辺部を「辺材」と呼んでいます。

 突然ですが、動物は餌を求めて行動しなければなりませんから、痛んだ細胞や古い細胞は新しい細胞に置き換え、いつも体の各部が機能するように維持していこうとします。
 ところが、光合成で自ら食べ物を作る植物は、動く必要がありません。 ですから、エネルギーを使って古い細胞を分解し運び出すことは無駄で、古い細胞は放置し、どこかで新しい元気な細胞を作り続けようとします。
 樹木の幹の場合は、この新しい細胞を作り続けている場所は「形成層」だということを、樹皮のところで書きました。
 形成層で作られた中心部に近い細胞のほとんどはすぐに死んでしまい、木部として水の通り道になります。 もっと中心部に近い細胞は、その水を運ぶという役割も担う必要も無く、ただ太陽の光を求めて上に伸びる元気な細胞を支えるだけの役割となります。 そしてその役割を担うためには、死んだ細胞の中身を硬く腐りにくい物質で埋めるほうが良いということになります。 こうして幹の中心部は特定の物質で埋められ、周辺部とは色が違ってきます。
 樹種によって、心材と辺材の色がはっきり違う木も、区分できない木もあります。 また心材の色も、黒い色であったり、赤い色であったり、樹種によって様々です。 いずれにしても、木材として利用する場合には、心材の方が耐久性が高いことは、上に書いたことで理解していただけると思います。

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2011年4月 8日 (金)

里山-明るい林-

 生活に利用されていた里山は、柴刈りやシイタケのほだぎに利用するなどで、材が適度に山から持ち出され、明るい林でした。 太陽の光があちこちで林床にまで差し込み、様々な植物が育ち、多くの虫たちの生活の場がありました。
 最近では多くの里山は利用されなくなり、人の手によって維持されてきた環境は失われつつあります。
 「堺自然ふれあいの森」では、その里山の復活、明るい林の復活をめざし、計画的に木材が伐採されています。

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 切断された幹を見ると、中心部と周辺部で、材の色が違っている場合がよくあります。 次回はこの色の違いについて書くことにします。

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2011年4月 7日 (木)

スイセン

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 水仙にもいろんな種類があります。 写真はミニラッパスイセンと呼ばれているものでしょう。 前方に突き出している“ラッパ”は副花冠と呼ばれています。
 スイセンのような花ではガクと花弁の区別をつけにくく、このような場合はガクと花弁をあわせて「花被」と呼んでいます。 しかし花を後ろから見ると、重なりあった花弁3枚とガク片3枚の前後の関係がよく分かります(下の写真)。

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 下はこのスイセンの花の断面を見たものです。子房の中にはたくさんの胚珠も見られます。

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 上の花の断面で、子房は花被の付け根()よりも下(写真では左)に位置しています。 このような子房を「下位子房」、下位子房を持つ花を「子房下位の花」と呼んでいます。
 このような花のつくりは、昨日の桜の花のガク筒が子房にぴったりとくっついてしまったと考えると理解し易いでしょう。

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2011年4月 6日 (水)

桜の花のつくり

 あちこちで桜の花が見頃を迎えています。 この桜の花で、子房を中心とした花のつくりの基本をおさえておきたいと思います。

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 種子植物は種子になる胚珠を保護する方向に進化してきました。 まず胚珠を子房壁で覆いました。 つまり胚珠は子房の中にあることになります。 これが被子植物です。

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 桜の花では、子房はさらにガク筒で保護されています。 しかし、ガク筒は子房に密着して保護しているのではなく、ガク筒と子房との間には隙間(赤い←→で示した部分)があります。

 子房は生長し、果実、つまりさくらんぼになっていきます。 さくらんぼについてはこちらをどうぞ。

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2011年4月 5日 (火)

ムラサキサギゴケ、サギゴケ

 ムラサキサギゴケは湿り気のある日当たりのいい所で見られます。

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 ムラサキサギゴケはトキワハゼによく似ていますが、トキワハゼが1年草で立ち上がるのに対し、ムラサキサギゴケは多年草で、立ち上がらず、横に走出枝を出していきます。

 ところで、この「ムラサキサギゴケ」という名前ですが、「コケ」は小さな植物だからでしょうが、「ムラサキサギ」は?
 じつはムラサキサギゴケよりは少ないのですが、サギゴケという植物があります。 両者は同種で、サギゴケはムラサキサギゴケの「品種」になります。

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 昔の人は、ムラサキサギゴケほどは多くないものの、サギの飛ぶ姿を連想させる白いサギゴケに注目し、優先的に名前をつけたのでしょう。
 ムラサキサギゴケは、「紫色をしたサギゴケ」です。

※ ムラサキサギゴケの群落の様子をこちらに、
  メシベの柱頭運動をこちらに載せています。

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2011年4月 3日 (日)

4月上旬里山散歩

 このところ年度替りで忙しくしているうちに、桜の季節になってしまっていました。 短い時間を作って久しぶりに里山を歩けば、地際で咲いていたショウジョウバカマの花茎もいつのまにか長く伸び、ビロードツリアブはあちこちで追っかけっこ、いろんな木々もツボミをつけていました。

Kamatuka110403_1    カマツカ

Kobanomitubatutuji110403_1    コバノミツバツツジ

Sarutoriibara110403_1    サルトリイバラ

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2011年4月 1日 (金)

春のニシノヤマタイミンガサ

 ニシノヤマタイミンガサが芽を出す頃です。 ヤブレガサに似たかわいい姿です。

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 ニシノヤマタイミンガサは岐阜県以西から四国・九州にかけての山の木陰に生えるキク科の多年草です。 写真は岩湧山で撮ったものです。

※ 花の様子など、夏のニシノヤマタイミンガサについては、こちらでどうぞ。

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