キイロテントウの越冬(林の中で考えたこと)
冬でも里山を歩けば、あちこちで鳥の声が聞こえてきます。 鳥たちが生活していくためには食べ物が必要です。 恒温動物である鳥たちは、体温を維持するだけでも、かなりの量を食べ続ける必要があります。 つまり、それだけの食料が鳥のいる地にはあるはずです。 鳥の食べ物は、植物の果実や種子、虫たちなどでしょう。 そんな鳥たちの気持ちになって鳥たちの食べ物を探してみます。 しかし、冬も後半になると、果実なども残り少なくなり、餌になるような虫たちはなかなか見つけられません。 やはり命を賭けて餌を探す鳥たちの熱心さにはかなわないようです。
そんなことを考えながら近くの林を半日歩いていて、キイロテントウの越冬を2ヶ所で見つけました。 1ヵ所は咲きかけているモチツツジの花に目を引かれたところ、その下にいました(下の写真)。
2ヶ所目はアラカシの葉の裏でした(下の写真)。 クモの糸がついていますが、小さなクモでは昆虫の外骨格には歯が立たないのでしょうか。
大きさからしても目立ち方からしても、キイロテントウは鳥の餌には適しているように思います。 が、キイロテントウは、あちこちに食べられずに残っています。 ほんとうのところはどうなのでしょうか。
ナナホシテントウなど肉食性のテントウムシは体にアルカロイドを持ち、目立つ模様は警戒色だといわれています。 キイロテントウの食べ物は、ウドンコ病菌などの菌類です。 肉食と菌類食、食べ物は違っていても、艶のある目立つ色である点では、ナナホシテントウなどとキイロテントウとは共通点があります。 キイロテントウもアルカロイドを持っていて、鳥たちに嫌われているのでしょうか。
もうひとつ、おもしろいことに気付きました。 上の写真、どちらも2頭で越冬していますが、互いに頭を寄せ合っています。 このブログで以前キイロテントウの集団越冬の様子を記事にしましたが、家に帰ってこの時の写真を改めて見てみると、5頭が3頭と2頭に分かれ、やはり頭をつき合わせています。
集団になる意義はよく分かりませんが、頭部をつき合わせることに何か有益なことがあるのでしょうか。 それとも、視覚に頼って仲間の方へ向かった結果にすぎないのでしょうか。
虫が少ないと、歩いている途中で、いろんな考えが浮かんできます。 仕事を離れて考えながら歩くことも、なかなか楽しいものです。
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コメント
越冬中の虫たちは眠っているのでしょうか?
クマの冬眠とは違うでしょうが、夢でも見ている風情ですね。
集団越冬は、生物学的な理由があるのでしょうが、見た目<肌を寄せ合っている>という感じでほのぼのとしますね。
これからは葉の裏をちょっと覗いてみます。
投稿: hatthin | 2011年1月30日 (日) 21時34分
昆虫に「睡眠」があるのか、脳波を測定するわけにもいかず、謎でしょうね。
でも、行動を見ていると、たしかに眠っているような時がありますね。
越冬中も刺激を与えれば動き出しますから、動けない状態ではないようですね。
投稿: そよかぜ | 2011年1月31日 (月) 07時07分
うつらうつらと微睡んでいいるようですね。
スズカケノキとオシドリの記事にリンクを貼らせていただきました。
ありがとうございました。
投稿: hatthin | 2011年1月31日 (月) 09時51分
>どちらも2頭で越冬していますが、互いに頭を寄せ合っています。
の、様子を見はって「うん、そやそや」って
>家に帰ってこの時の写真を改めて見てみると、5頭が3頭と2頭に分かれ、やはり頭をつき合わせています
改めてじっくりと眺めているわんちゃんです。
眼に目がいったのですけど、眼が四つもあるように見えるのですが・・・
投稿: わんちゃん | 2011年1月31日 (月) 22時08分
hatthinさん、リンクありがとうございました。眼に前胸背板の透明な部分が半分重なっているので、うつらうつらと微睡んでいるような表情に見えるのでしょうね。
わんちゃん、4つの黒斑のように見えるもののうち、前方の1対のみが眼で、翅に近い2つは模様です。上にも書きましたが、頭部を縮めているため、頭部の半分が前胸背板の下に入り込んでいます。
投稿: そよかぜ | 2011年2月 1日 (火) 00時18分