ゴンズイノフクレアブラムシ
ゴンズイの果実を撮ろうとカメラを向けると・・・ 奥の枝に何やら白いものがいっぱいついています。
近づいてみると、ゴンズイノフクレアブラムシでした。 このアブラムシはゴンズイやミツバウツギを主寄主としていますが、夏季には、ヤブカンゾウやニッコウキスゲなど、ユリ科の植物でもよく見られます。
アブラムシの仲間は、有翅型で飛んで分布を広げ、無翅型の単為生殖でどんどん増えるのですが、下の写真の右側に有翅型の翅が写っています。 回り込んで近づいて撮りたかったのですが、川縁に生えているゴンズイで、回り込めませんでした。
有翅型はオレンジ色の体をしているのですが、無翅型の体には白い粉がふいてきます。 どちらのタイプも、足、触角、角状管などは黒い色をしています。
※ 角状管(かくじょうかん)については、キョウチクトウアブラムシの所で少し書いています。
上の写真を見ると、無翅型には、オレンジ色の体に粉がふいて白くなってくるものと、最初から白い体のものが写っています。
ゴンズイノフクレアブラムシの「フクレ」とは、有翅形の胸部付近が膨れているからなのですが、無翅型でもオレンジ色の個体には胸部付近が膨れているものが多く、色だけでなく、体型も有翅型に似ているものが多いようです。
そんなことを思いながら写真を撮っていると、オレンジ色で胸部付近が膨れている個体で、とても短い翅の生えている個体を見つけました(下の写真の右側)。
アブラムシのアブラムシの生活環は複雑で、種類によっても異なりますが、無翅胎生雌虫、有翅胎生雌虫、中間型胎生雌虫、両性雌虫(産卵雌虫)、雄虫など、様々な生活型(モルフ)が出現します。
下の写真の右側の個体も、やはり短い翅が生えているタイプで、これが中間型胎生雌虫と呼ばれているものなのでしょうね、無翅胎生雌虫と有翅胎生雌虫の中間の体型を示しているようです。 同じオレンジ色でも、左の個体は無翅胎生雌虫なのでしょう、体型は全く違います。
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コメント
ゴンズイノフクレアブラムシという
一つの名前なのに、
翅が有るのと無いのと
身体の色がオレンジと
粉がふいて白いのと
元々白いのと
体型も違うし・・・
オスとかメスとかは出てきてないし・・・
可愛いゴンズイの実がチラッと見えてますね
投稿: わんちゃん | 2010年12月13日 (月) 22時01分
ほんとうにいろんな形態のものが混じっていて複雑です。でも、みんな中間型があって連続していますから、複数の種が混じっているのでは無いことは確かです。
投稿: そよかぜ | 2010年12月14日 (火) 07時16分
はじめまして。
最近、近くの森でこのアブラムシを見つけて、気になって時々見ています。
この記事がたいへん参考になりました。ありがとうございました。
それにしても、アブラムシは不思議な生き物ですね。
投稿: hatthin | 2010年12月28日 (火) 12時33分
hatthinさん、リンクを張っていただいたんですね、ありがとうございます。
アブラムシの生活環、ほんとうに不思議で複雑ですね。
投稿: そよかぜ | 2010年12月28日 (火) 23時24分
いろいろと勉強になります。
ところで、アブラムシたちは、何を食べているのでしょうか?
他の大きな虫に食べられることが多いようですが、自分でも他の生き物を食べるのでしょうか?
キョウチクトウアブラムシの方もリンク貼らせていただきました。
ありがとうございます。
投稿: hatthin | 2010年12月29日 (水) 15時26分
アブラムシは植物の茎(詳しく言うと師管)に口を刺し込み、植物が光合成により作った糖などの栄養分を吸っています。
この点では口のつくりも基本的にはセミやカメムシやウンカなどと同じで、これらの昆虫は分類的にはカメムシ目(半翅目)としてまとめられています。
キョウチクトウアブラムシも美しい色をしていますね。
投稿: そよかぜ | 2010年12月30日 (木) 00時16分
アブラムシは植物に寄生して生きているのですね。
ありがとうございました。
投稿: hatthin | 2010年12月30日 (木) 01時07分