クロマドボタル(幼虫と成虫)
ホタルの幼虫といえば水中に住むものと思いがちですが、それはゲンジボタルやヘイケボタルが有名だからで、世界的に見てもホタルの幼虫は陸に住むものが圧倒的に多く、日本にもオバボタルやマドボタルの仲間など、陸棲のホタルはたくさんいます。 ゲンジボタルの幼虫はカワニナを、ヘイケボタルの幼虫はモノアラガイやサカマキガイなどを、とにかく貝を食べることで知られていますが、マドボタルの仲間の幼虫も陸生の貝を食べます。 今回はまさしくその現場に出会うことができました。
クロマドボタルの幼虫は昼間は落ち葉の下などに潜み、夜になると小型のカタツムリ類などを求めて光りながら地面を這いまわり、時には草木に登ります。 写真は7時半を少し過ぎた時間に近所の公園で撮ったもので、早起きは3文の得、といったところでしょうか。
幼虫の形態は、横から見ると体がとても薄く、薄く角張った板をつないだような体をしています。 尾は二又に分かれていて、この部分を使い、シャクトリムシのような歩き方をします。
幼虫は、6月~8月と、10月~11月初旬に見られます。 9月に見られていないのは、餌が多いと発光しないので、見つかっていないだけかもしれません。 温度が低くても発光しないので、冬の様子もよく分かっていません。
上に書いたように、幼虫は陸生の貝類を食べているのですが、最近、樹液にも群がることや、バナナにも寄って来ることが報告されています。 オバボタルの幼虫も餌は陸生の貝類だと言われていたのですが、どうやらミミズなどの小動物を主な餌にしているようで、陸生のホタルの幼虫の生活はまだまだよく分かっていません。
(以下、この色の文字の部分は'23年2月17日に追記)
この記事を読まれた陸生ホタル生態研究会の小俣軍平様からコメントをいただきました(詳しくはコメント欄参照)。 それによると、上に書いた、幼虫が夜行性であるという点についても、幼虫は昼間も活発に活動しているのだが、昼間は見つけにくく、夜間は発光して目立つので、夜行性だと誤解されたのではないか、ということです。
成虫はこんな姿です(H20.6.30.堺市南区豊田にて撮影)。
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コメント
その体つきを見てキャタピラーを連想しました
「陸生の貝」って?
投稿: わんちゃん | 2010年11月 6日 (土) 00時35分
>「陸生の貝」って?
ちゃんと読んでちゃんと解りました
カタツムリですか。
投稿: わんちゃん | 2010年11月 6日 (土) 07時15分
陸生の貝とは、カタツムリの仲間が代表的なものですが、キセルガイの仲間など、いろんなものがいます。
投稿: そよかぜ | 2010年11月 6日 (土) 07時54分
初めてお便りします。陸生ホタル生態研究会の小俣軍平と申します。
マドボタル属の幼虫が捕食している状況を大変正確に撮っておられますね。朝7時半過ぎのこの種の記録は、貴殿が初めてだと思います。なかなか撮れない写真です。
この種の幼虫は、夜行性といわれていますが、実は、昼間も活発に活動しています。ただ、昼間は少し経験がないと見つけにくいことと夜間は発光して目立ちますので、夜行性という誤解をされてしまったようです。
私たちの会の蒔田さんが撮ったような写真を大阪からも是非とってください。
投稿: 小俣軍平 | 2011年2月17日 (木) 13時53分
コメントありがとうございました。
本文にも追記という形で少し書かせていただきました。
ところで蒔田さんの写真というのはどこに載せられているのでしょうか。URLなどを教えていただければ嬉しく思います。
投稿: そよかぜ | 2011年2月17日 (木) 23時08分
返信が遅れて失礼しました。「google」で「クロマドボタル幼虫」を検索しますと、
「何と!!樹液を吸っていたクロマドボタル幼虫」というタイトルが出て来ます。これが私達の会の「調査月報」です。ここに出ています。
なお「陸生ホタル生態研究会」の中の活動報告をみていただきますと、本土産マドボタルの詳しい生態が出て来ます。宜しくお願い致します。
投稿: 小俣軍平 | 2011年3月 2日 (水) 11時26分
ありがとうございました。
いただいたコメントを少し変更させていただき、直接リンクを張らせていただきました。ご了承ください。
投稿: そよかぜ | 2011年3月 3日 (木) 00時31分