キセワタ
白にピンクをあしらった花、花弁は上唇と下唇に分かれ、上唇には短い毛が密生していて、柔らかい印象を与えてくれます。
本来は草原に咲く多年草なのですが、写真は木陰に咲いていたので、花つきは悪いようです。 たくさん花をつけると、オドリコソウのような咲き方になります。 しかし分類的にはメハジキ属( Leonurus属 )ということになります。 ちなみにメハジキ属とオドリコソウ属とは、花の形は似ているのですが、前者のオシベ4本がほぼ同じ長さであるのに対し、後者は長いオシベが2本と短いオシベが2本です。
キセワタの名前の由来について少し書いておきます。
古来中国では奇数(=陽)の重なる月日は陽の気が強すぎるため不吉とされていました。 特に9月9日は奇数の中でも最も大きな数字が重なる日であり、それを払う行事が行われていました。 これが五節句の一つである重陽の節句です。
また古来中国では、菊は邪気を祓い長生きする効能があると信じられていました。 旧暦の9月9日は今の暦では10月、つまり菊の季節です。 菊で邪気を祓う・・・「重陽の節句」が「菊の節句」とも言われる所以です。
9月8日の夜に、菊の花の上に綿を載せておくと、9月9日の朝には綿は夜露で濡れ、菊のにおいが沁み込んでいます。 この綿で体を拭いて長寿を願う、これが「着せ綿」という行事です。
キセワタという植物は、ちゃんと咲けば、花は車状に咲きます。 これを上から見れば、花の白い上唇が茎を中心に円形に円形に並び、その下にはピンク色をした下唇が放射状に見えます。 この様子を菊の花の上に綿を載せた様子に見立てたのが和名の由来でしょう。
植物についての内容より名前の由来の方が長い文章になってしまいました。 でも、これを書きながら、たくさんの花をつけたキセワタを見たくなりました。
キセワタは草原の減少と共に、減少傾向にある植物です。 でも、伊吹山の中腹にはしっかりと残っているようです。 また伊吹山に行かなくてはなりません。
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コメント
メハジキ、オドリコソウらと、同じ花の付き方と
教えていただいたら、うん、写真を見ててなんとなく想像できます。
どちらかと言えばメハジキに似てるかな?
重陽の節句に菊の花をお酒に浮かべて
その香りを楽しむ・・・
良いことがあるかも?って
(酒造メーカーのCM?だった?かな?)
投稿: わんちゃん | 2010年9月26日 (日) 21時18分
菊酒も、邪気を祓うという菊の“霊力”に期待したものなんでしょうね。
投稿: そよかぜ | 2010年9月27日 (月) 07時03分
話題が菊になったところで、こちらの方リンクお願いしました(事後報告で・・・)
投稿: わんちゃん | 2016年10月 7日 (金) 17時35分