オトコエシ・オミナエシ
オトコエシ(男郎花)とオミナエシ(女郎花)は、同じ属( Patrinia属 )の、近い関係にある植物です。
オミナエシは秋の七草のひとつとしてよく知られていて、岩湧山などにも自生していますが、自生地は少なくなり、山野草を扱っている店で販売されるようになってきています。 一方のオトコエシの方は、オミナエシよりはずっと山野に普通なのですが、オミナエシほどはよく知られていないようです。
オトコエシの花の色は白で、オミナエシ同様、たくさんの小さな花が散房状に集まって咲きます。
花は有性生殖を行うための器官であり、多くの花が自家受粉を避けるしくみを持っていることは、これまでこのブログでも何度も書いてきました。 オトコエシのような小さな花でも、1つの花をよく見れば、やはり自家受粉を避けようと“努力”しているようです。
オトコエシの花冠は5裂し(オミナエシ科は合弁花類です)、オシベは4本です。 下の写真の花では、オシベは真っ直ぐに立って花粉を出していますが、メシベはグニャリと曲がって横を向き、花粉が柱頭に付くことを避けているようです。
下の写真では、後ろにあるピントの合っていない花は上と同様の花ですが、手前のピントの合っている方の花に注目してください。 この花では、オシベは花粉を出し終わり、葯は既に失われてしまっています。 そしてメシベが直立し、受粉しやすくなっています。
このように、オトコエシのそれぞれの小さな花は、雄性先熟の花なのです。 そして、このことは、基本的にはオミナエシでも変りません。
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コメント
オミナエシは「あっ!オミナエシが」って
解るんですが、オトコエシの方は出会っても気づかないわんちゃんでした。
今度、会えばわかるかも?
二枚目の写真。秋の顔が二つ・・・
投稿: わんちゃん | 2010年9月 8日 (水) 08時51分
オトコエシと姿が似ているのはヒヨドリバナの仲間くらいで、花の様子は全く違いますから、きっと分かりますよ。
ススキとオミナエシ、もちろん意識して撮りました。
投稿: そよかぜ | 2010年9月 8日 (水) 22時31分
オトコエシの方が多いのですか、意外でした。
そう言えば、よく出会います。
そよかぜさんのブログを拝見していると、どんな形状も意味のないものはないという気がして来ます。
投稿: ひとえ | 2010年9月 9日 (木) 07時16分
> そよかぜさんのブログを拝見していると、どんな形状も意味のないものはないという気がして来ます。
それぞれが独自の長い進化の道のりを経てきていますからね。
投稿: そよかぜ | 2010年9月10日 (金) 07時26分