ゲンノショウコ
ゲンノショウコは、ドクダミやセンブリなどと並ぶ日本の民間薬の代表で、煎じて下痢止めや胃薬とします。 その名前も「現の証拠」つまり「すぐに効く」ところからきているのでしょう。
上の花と下の花を比較すると、花柱分枝(=メシベの先端)の開き方が違います。 このブログで何度も記事にしてきたように、ゲンノショウコにも、自家受粉を避けるしくみがあるようです。 つまり、まずは花柱分枝を閉じて花粉を出し、その後に花柱分枝を開いて受粉体制を整えるということで、ゲンノショウコも雌性先熟の花と言えるでしょう。
受粉したメシベは子房が発達し、長く伸びます(下の写真)。 ただしこの長く伸びた子房の中に種子がぎっしり詰まるのではなく、胚珠は子房の下底の膨らみに5つあるだけです。 これがゲンノショウコの属する Geranium属( フウロソウ属 )の特徴です。
果実は熟すと果皮が縦に裂け、裂片は勢いよく巻き上がります。 この勢いで、その先についていた種子は遠くに弾き飛ばされます。 下は種子を弾き飛ばした後の姿ですが、お神輿の姿を連想させます。 このため、ゲンノショウコをミコシグサ(神輿草)と呼ぶこともあります。
ところで、ゲンノショウコの花には、紅紫色のものと白紫色のものとがあります。 紅紫色のものは西日本に、白紫色のものは東日本に多いと言われています。
下は白紫色のゲンノショウコの花で、もちろん花のつくりは紅紫色のものと同じなのですが、右側の花はこの記事の3枚目の写真の状態から少し時間が経過した状態で、オシベの葯とメシベの花柱分枝が接しています。 もしかしたら受粉できなかった場合のことを考え、花の終わりには自家受粉するしくみになっているのかもしれません。
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コメント
フウロソウ科つながりで、
散歩道でよく出会うのはアメリカフウロ
ゲンノショウコに初めて出会ったとき
アメリカフウロと決めつけてしまってました。
ゲンノショウコですよって教えていただいて
有名なゲンノショウコなの?ってカンジでした。
葉っぱの形も違うし、お花の大きさも違うし
春から夏、夏から秋と、会える時期も違ってるし
よくよく見ると花弁の形も丸っぽいのと細っぽいのと・・・
ゲンノショウコの赤花と、白花とが寄り添っているところに出合ったことがあります。
投稿: わんちゃん | 2010年9月28日 (火) 20時21分
アメリカフウロは最近ではよく見る植物ですが、昔は無かった外来植物ですから、昔の知識のままでいくとゲンノショウコになってしまうのでしょうね。
投稿: そよかぜ | 2010年9月28日 (火) 22時45分