伊吹山
7月31日に滋賀県と岐阜県の境に位置する伊吹山に行ってきました。 これからしばらくは、その時に咲いていた花や、そこに集まる虫たちなどを記事にしていきますが、今日はまず伊吹山全体について書いておきます。
山頂付近
イブキジャコウソウ、シシウド、シモツケソウ、メタカラコウなど
伊吹山は約1,300種が見られる植物の宝庫となっていて、特別保護地区となっている山頂部は国指定天然記念物にも指定されていますが、その成立は自然環境と人の営みの結果です。
伊吹山の山頂付近は、衝上断層(押しかぶせ断層)が起こった結果、石灰岩層で覆われている山です。 石灰岩の主成分は炭酸カルシウムですが、これは風化されにくく、風化されても雨水に溶けて流れてしまいます。 つまり土壌構成鉱物の微粒子が生成しにくく、深く根を張る樹木が育ちにくい環境です。 石灰岩の地では樹木が育ちにくい様子は、藤原岳の所でも少し載せました。
また、伊吹山は若狭湾と濃尾平野を結ぶ直線上に立ちはだかるように位置します。 このため、日本海から吹き込む季節風が直接当たり、標高1,377mの山としては冬季には大量の積雪がある一方で、太平洋気候にも接する位置にあります。 この立地の関係で、伊吹山は、日本海気候の寒地・積雪型植物も、太平洋気候による暖地系植物も、そして好石灰岩植物も見ることのできる山となりました。
このように森林の発達が悪く草本の種類が多い伊吹山では、薬草となる植物も多くありました。
伊吹山の神を征伐するために出向いたヤマトタケルは、山の神の毒気にあてられ、このことが原因で体が弱り、亡くなってしまうのですが、「山の神の毒気」というのも伊吹山の植物と関係があるのでしょうか。
日本武尊像 ※ 写真は拡大できません。
とにかく、織田信長がこの地に薬草園を設置したのをはじめとして、古くから伊吹山では、薬草の他にも、肥料、飼料としての採草が行われており、適度な人の関わりで、特に山頂付近では昭和40年代までは長期にわたりお花畑などが安定して維持されてきました。
しかし近年になって、採草が行われなくなって植生の遷移が進むと共に、登山者の増加と共に踏み付け等による裸地化や外来植物の進入がありました。 現代では「伊吹山を守る会」などによる保全活動と植生の復元が行われています。
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コメント
「伊吹山に行こうと思ってます」
「登山口からてっぺんのお花畑まで?ですか?」
「イヤイヤ夏の伊吹はキツイから・・・」
と、言われた意味が納得です。
投稿: わんちゃん | 2010年8月 2日 (月) 23時44分
わあ、いいな!伊吹山。
シモツケソウがきれいに咲いてますね~♪
この時期に行くことも多かったのですが、今年はお預けです。
投稿: ひとえ | 2010年8月 3日 (火) 00時18分
伊吹山のいちばん花の多い時期は夏。
夏は日差しはきつく、日陰は無し。
でも、さすがに吹く風は爽やか。
3合目にも花が多いようですね。
投稿: そよかぜ | 2010年8月 3日 (火) 06時55分
おはようございます♪
お花畑もすごいけど登山客もいっぱいですね
山に行くと登山する人の数に驚きます
渋滞しそう
興奮しそうな色とりどりの花
我を忘れて日焼けしそうですね
投稿: エフ | 2010年8月 3日 (火) 08時43分
渋滞を起こしそうで、細い道ではなかなか写真が撮れません。それでも数えてみると35種類の花を撮っていました。
投稿: そよかぜ | 2010年8月 4日 (水) 07時00分