クロホシフタオ
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ウバユリは関東地方以西の山地に多く自生していて、花は7~8月に見られます。
葉は、ユリ科としては珍しく、幅の広いハート形の葉を輪生状につけるのですが、この葉は、花の時期には枯れかけてきます。
ウバユリの語源については、いろいろな説があり、なかなか楽しいものです。 いくつかの説を書いておくと、「ウバ」は「姥」であり、(人生の)花の盛りに葉(歯)を無くす、つまり昔「お歯黒」で姥のような見かけにした風習からの洒落で名をつけたとする説もあります。 また別の説では、「ウバ」は「乳母」であり、乳母のように植物を育ててきた大きい葉は(娘が)花盛りになる頃には衰えてくるところからだとする説もあります。
花のつくりを見ると、オシベの葯は花の奥から手前へと配置されています。 そして花の横にはスリット状の隙間があります。
上の写真で、虫たちは矢印のように、花の正面(①)から花に入って奥に進み、花の横にある②の隙間から出る間に花粉媒介を行うしくみになっています。
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ヨーロッパ原産の2年草で、茎は基部より束生します。 葉は対生で、ナデシコ同様、左右の葉は基部で連合し、さやとなって茎を包みます。 写真は7月23日に撮ったものですが、花序は茎の先端に単生し、重なり合った膜質の総苞片の中で花が次々と咲いています。
保育社の『原色日本帰化植物図鑑』(長田武正著)には「イヌコモチナデシコ」の項があり、そこにはよく似たコモチナデシコとイヌコモチナデシコについて書かれています。 それによると、イヌコモチナデシコは葉の連合部(さや)の高さはその幅のほぼ2倍、茎は下部を除き立った腺毛を密生し、種子は全面に凸点が並ぶのに対し、コモチナデシコは葉の連合部(さや)は高さと幅がほぼ等しく、茎は無毛で、種子には網目状の凹みがある、ということです。
では上の写真の植物はコモチナデシコなのかイヌコモチナデシコなのか?
茎には腺毛は無さそうです。 茎頂の総苞の中にはたくさんの花や花の終わった後があり、「コモチ」名に相応しいのですが、葉は枯れかけていて、その様子はよく分かりません。
じつは同じ場所で5月1日に写した写真があり、下に載せておきます。 まるで違った植物のような印象ですが、さやの高さは高いようです。
時期的にこれだけ形態が違えば、ある時期にはコモチナデシコのようであり、ある時期にはイヌコモチナデシコのようにも見えます。 結論を出すには種子を調べてみる必要がありそうです。
この記事の「コモチナデシコ」というタイトルは、「コモチナデシコの仲間」の意味だと理解してください。 まとまりのない記事になりましたが、このブログは「私自身のためのメモ」という側面もありますので、とりあえず記事にしておきます。
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オカヒジキは海岸に生育するアカザ科の1年生草本です。 名前は「陸(おか)に生えるヒジキ」の意味で、たしかに外見は海藻のヒジキに似ていますし、若い時にはゆでて食べることができ、栽培もされています。
ツルナの所で書いたように、海辺の環境は乾燥しやすく、オカヒジキも自ら水を貯めておく必要から、葉は円柱状の多肉質で、表皮は内部の水分を逃さないように硬く、葉の先端は鋭い刺になっています。
薄い花弁も水分が逃げ出す場所となるのを“恐れて”いるのか、オシベは虫に目立つ黄色ですが、花自体はたいへん小さくなっています。
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ツルナは海岸に生えるハマミズナ科のツル性の多年草です。 下の写真で、中央に葉に隠れるように小さな黄色い花が咲いています。 その右下に咲き終わったばかりの花がありますが、これから分かるように黄色いのはガクで、花弁は退化して消失していることになります。
光合成の物質的材料は二酸化炭素と水であり、植物は水がなければ光合成できません。 海には水がたくさんあるようですが、海水は生物の体から水を奪うので、多くの植物にとっては、海辺は育ちにくい環境です。
上の写真で、葉に白い小さな点がいっぱいついていますが、砂がついているわけではありません。 ツルナは、植物体内の塩類濃度を一定に保つために、余分な塩類を表皮の細胞に閉じ込めてしまいますが、これがキラキラ光っているのです。
「○○ナ」つまり「○○菜」という名前は、ほとんどの場合、食べられる植物につけられた名前です。 ツルナも、水分の不足しがちな環境で、多肉でしっかり水を貯めこんだ、少し塩味のする植物として各地で食用にされてきました。
ハマミズナ科の植物で日本に自生しているのはツルナ1種類ですが、近年新しい野菜として注目されたアイスプラント(バラフ)もハマミズナ科の植物です。
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眼柄の長いカニをもう1種、ヤマトオサガニです。 シオマネキと同じ河口干潟にいましたが、シオマネキよりもずっと軟らかい泥質の場所にたくさんいました。 土質の違いは写真の比較でも分かると思います。 同じ河口干潟で、いろんなカニが住み分けています。
ヤマトオサガニは、ハサミが白く、また、口の構成要素である顎脚も白いので、正面から見ると、遠目からでもよく分かります。
ヤマトオサガニもハサミはオスの方が大きく、ウェービング(waving)によってメスを呼び寄せるのですが、左右同じ大きさのハサミを持つヤマトオサガニのウェービングは両方のハサミを同時に動かします。
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シオマネキは泥質干潟の泥が固まった区域に生息しています。 シオマネキの分布地は、静岡県以西の太平洋岸に点在していますが、海岸の干拓・埋立や環境汚染などで減少傾向にあり、環境省が発表している無脊椎動物レッドリストでは、2006年の改訂で絶滅危惧II類(VU)となってしまいました。 大きく美しく風変わりな目立つカニであることもあり、自然保護のシンボル的存在ともなっています。
そのシオマネキが、少数ですが、まだ大阪府下で見ることができます。 場所は以前記事にしたハクセンシオマネキと同じ場所です。 その時にもシオマネキの存在は確認していたのですが、5月ではオスの鋏の色はくすんだ赤色で、あまり美しくはありませんでした。
梅雨が明けた今頃は、オスの鋏は美しい赤い色をしています。 旅鳥のシギもいなくなり、のんびりと採餌に励んでいました。
シオマネキの甲幅(横の長さ)は 35mmにも達し、日本産のシオマネキの仲間では最大です。 下の写真は側にいたハクセンシオマネキにピントを合わせて撮りましたが、大きさを比較してください。
上の写真で、ハクセンシオマネキは右の鋏が、シオマネキは左の鋏が大きくなっていますが、どちらの種類もどちらの鋏が大きくなるかは決まっていません。 ただ、遺伝的要素もあるらしく、地域によって種ごとにどちらかが多くなっているようです。
オスが行う「ウェービング(waving)」と呼ばれる求愛行動や、地表にいる時は眼柄を立てて周囲を広く見渡していることなどはハクセンシオマネキと共通ですが、眼柄はハクセンシオマネキに比較すると、中央寄りについています。 これは、穴に潜る時には眼柄は横に倒して眼窩に収めますので、シオマネキの方がハクセンシオマネキよりも眼窩も眼柄も長いということになります。
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コアシダカグモはアシダカグモによく似ていますが、アシダカグモが主に屋内に生息するのに対し、コアシダカグモは主に屋外で生活しています。
大きさは、最も成長した段階ではアシダカグモよりひとまわり小さいのですが、アシダカグモも次第に大きくなるわけで、小さな時期もあり、あまりあてにはなりません。
両者の形態的な違いは、アシダカグモに比較してコアシダカグモは、体色は褐色傾向が強く、腹部の後縁付近の黄色の三角形の斑が明瞭です。 また、アシダカグモでは額(眼列と上顎の間)の白線が明瞭ですが、コアシダカグモでははっきりしません。
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7月10日、クズの葉が下のように巻いていました。
まず、左下手前の簡単な巻きの方から開けてみると、中に小さな蛹が入っていました。
蛹を持ち帰って置いておいたところ、20日の夜に羽化しました。 出てきたのは、下のクロスジキンノメイガでした。
クロスジキンノメイガの幼虫の食草はヌルデやクヌギです。 別名をヘリグロキンノメイガと言い、成虫の翅の外縁が黒く縁取られているのですが、この縁取りの黒には変異があり、写真のように薄いものや、黒い部分を欠く個体もいるようです。
保育社の原色日本蛾類図鑑によれば、クロスジキンノメイガ(の別名ヘリグロキンノメイガ)はヌルデやクヌギの葉をつづるとありますが、クズの葉はかじられた痕は無く、蛹を保護するだけなら、適当に何の葉であってもいいのかもしれません。
ところで、最初の写真の右上のしっかり巻かれていた葉の中には・・・。
じつは左下手前の葉の巻きの中から蛹が出てきたことに意識が向いてしまい、帰ってから中を確認していないことに気がつきました。 たぶん違う種類の虫が入っていたのでしょうね。
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アオバズクはフクロウの仲間の夏鳥です。 虹彩(コメント欄で解説しています)と足が黄色、嘴は黒い色をしています。 平地から低山地にかけての大木の樹洞に巣を作るため、営巣木の減少と共に、個体数が減少してきています。
そのアオバズクの子供を見ることのできる時期です。 他のブログを見ても子供の写真が載りはじめていますので、18日、アオバズクの写真を撮りに出かけました。
2組のアオバズクに出会えましたが、どちらもまだ子供は外に出ていませんでした。
【1組目】
オス
メス 薄目を開けています。
【2組目】
オス
メス
アオバズクの成鳥の雌雄差は、あまりはっきりはしませんが、オスの方が翼長が少し長く、体下面の縦斑が太くて濃い傾向にあるようです。
(追記)
いつもコメントしてくれているわんちゃんが、24日に子供の様子を見に行ってくれました。 “追っかけ”なのか“見守り隊”なのか、とにかく人が集まっていて、そこで聞いた情報によれば、もう一ヶ所は19日に最初に子供が見られ、24日にはどこかに移動してしまっているようでした。
下はわんちゃん撮影の親子です。
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オオシオカラトンボも、シオカラトンボ同様、成熟したオスとメスでは色が異なるトンボです。(シオカラトンボとの違いは下に書いておきます。)
交尾をしてつながっているオオシオカラトンボを見つけて近づくと、離れてしまいました。 最初は私が近づいたために離れたのかと思いましたが、すぐに産卵を開始しました。
トンボの産卵様式は、種類によって様々です。 雌雄がつながったままで産卵する種類もありますが、オオシオカラトンボの場合は、雌雄が離れてから、メスが単独で、水面に腹部の先端を打ちつけるようにして産卵します(打水産卵)。
オオシオカラトンボの場合、オスはメスの産卵中、メスのすぐ上をホバリングしていて、メスを守っています。 他のオスが近づくと激しく攻撃していました。
以下、その様子を・・・。
下はメスの産卵を正面から撮ったものです。 産卵時、水面を腹部の先端で打ち付けることで、画面の下では水が前方に飛ばされています。 画像をクリックして拡大していただくと少しは分かりやすいかと思います。 これは水中に産み落とした卵を水と一緒に前方に飛ばし、卵を植物などに貼り付けようとする行動で、打水産卵の中でも特に飛水産卵とよばれることもあります。
メスの上ではオスがホバリング。 しっかりメスをガードしています。
産卵時にできた波紋がきれいに撮れました(下の写真)。
メスが移動すれば、オスも追いかけます。 産卵場所の選択はメスに任されているようです。
※ オオシオカラトンボの羽化の様子はこちらをどうぞ。
※ シオカラトンボもオオシオカラトンボとよく似た産卵をします。
この記事は、私がオオシオカラトンボの産卵に誤った先入観を持っていたため、不自然だと感じつつも、最初はシオカラトンボとして書いていましたが、コメントで指摘いただき、書き直したものです。
オオシオカラトンボとシオカラトンボ
オオシオカラトンボは次のような点でシオカラトンボと区別できます。
また、成熟したオスでは、
メスも、肩が黄色く、シオカラトンボより黄色と黒のコントラストが強い傾向があります。
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ラミーとはカラムシの変種の一つで、繊維を採るために導入された植物です。 ラミーカミキリは、このラミーについて日本に入ってきたカミキリムシだと考えられています。 この昆虫も温暖化と共に、布域が北上傾向にあるようです。
体は黒い部分と白っぽい部分に色分けされています。 総体的にメスの方が黒っぽい(後に詳述)のですが、この白っぽい部分には個体差があり、写真のような緑白色~黄白色のものから、青白色のものもいます。 前胸の背中側は緑白色で、2つの黒斑があります。
成虫は5月~8月頃に発生します。 成虫も幼虫もカラムシやヤブマオなどのイラクサ科の植物を食草としています。
美しいカミキリなのですが、顔を拡大すると、なかなか怖そうな顔をしています。
上にも少し書きましたが、メスの方が黒っぽい印象を受けます。 具体的には、メスの前胸の腹面や額が黒く、オスはこの部分が白っぽい色をしています。 また他の黒い部分の面積も、メスの方が広いようです。
じつは上の3枚の写真は同一個体でメスです。 最後にオスの顔を下に載せておきます。
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クロコノマチョウもジャノメチョウ科に分類される蝶です。 温暖化と共に北に分布を広げているようで、10年ほど前と比較して、堺市でもよく見るようになってきました。
成虫はほぼ1年中見ることができますし、幼虫は堺自然ふれあいの森でも6月にも7月にも8月にも観察していますので、クロコノマチョウはダラダラと羽化していくようです。
幼虫の食草はイネ科植物です。 幼虫は頭に突起があり、突起は黒いのですが、正面から見ると、頭部の色には黒いものから緑のものまで、個体差があるようです。
下はクロコノマチョウの前蛹です。 この仲間は、終齢幼虫が蛹になる前にこのような状態になります。
そして下がサナギです。 下のサナギは羽化間近で、チョウの様子が透けて見えています。
成虫はいつも薄暗い林の中にいて、なかなか明るい所に出て来てくれません。 積もった落ち葉の上にとまると、保護色で落ち葉と見分けがつかなくなります。
下は6月30日撮影の夏型の成虫です。
下の写真は10月下旬に撮ったもので、秋型です。 秋型は夏型に比較して、翅の縁が写真のように尖ってきます。
※ この記事は、写真を追加し、8月1日に書き改めたものです。
※ 越冬後のクロコノマチョウの様子と翅の表の模様はこちらで記事にしています。
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ジャノメチョウ科シリーズ4番目はヒメウラナミジャノメです。 成虫は春から秋まで、草原や林の周辺などで見られ、いろいろな花にもよく吸蜜に訪れています。 なお、ヒメウラナミジャノメの越冬態は幼虫で、幼虫の食草は、いろんなイネ科の植物です。
上は7月10日に撮ったもので、夏型と呼ばれているものです。 後翅の裏の金環のついた眼状紋は、多くの場合は上のように5つなのですが、下の個体は6つの紋を持っていて、時には7つや8つの紋を持つ個体もみられます。
ちなみに、ヒメウラナミジャノメの学名 Ypthima argus の argus は、ギリシャ神話の100の目を持つ巨人アルゴスに由来します。
下は翅を開いたところで、後翅の表の眼状紋は2つです。 なお、ヒメウラナミジャノメによく似たウラナミジャノメでは、後翅の眼状紋の数は、裏が3、表が1です。
下は5月21日に撮ったもので、春型です。 春型は夏型に比べて体のサイズは少し大きく、眼状紋は小さくなっています。
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上は樹液に来ているヒカゲチョウです。 ヒカゲチョウは樹液や腐った果実などに来る傾向が強く、花にはあまりやって来ません。
ヒカゲチョウはクロヒカゲに似たチョウですが、クロヒカゲより地色がうすく、雑木林の林縁や、疎林など、クロヒカゲより明るいところにいます。
地色以外にも、ヒカゲチョウとクロヒカゲは、翅の裏面の模様に限っても、次のような違いがあります。
幼虫の食草がタケ・ササ類であることや、越冬態が幼虫であることなどは、クロヒカゲと同じです。
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昨日のジャノメチョウに続いてのジャノメチョウ科の蝶、今日はクロヒカゲです。 名前のとおり日陰が好きなチョウで、暗い林内をすばやく飛んでいます。
幼虫の食草はササ類です。 幼虫で越冬し、成虫は年3回見られると考えられています。 上は7月11日の撮影ですので、2回目の発生、下は5月3日の撮影で1回目の発生なのでしょう。 両者を比較すると翅の色が異なるようですが、上はフラッシュを使用し、下は自然光で撮っているためです。 上の写真はそれほどでもありませんが、特に新鮮な個体の場合は、フラッシュを使用すると、眼状紋の周囲の青い部分が美しく光ります。
あまり翅を開くことはありませんが、下は5月3日の撮影で、ひなたぼっこなのでしょう。 でもこのくらいがせいぜいで、翅を全開することはほとんどありません。
※ クロヒカゲによく似た蝶にヒカゲチョウがいますが、両者の違いはヒカゲチョウの所に書いています。
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チャイロカメムシは5月~8月に見られる1cm前後のカメムシで、イネ科植物の汁を吸って暮らしています。
チャイロカメムシはキンカメムシの仲間です。 キンカメムシの仲間には、オオキンカメムシ、ニシキキンカメムシ、アカスジキンカメムシなど、派手な色をしたカメムシが多いのですが、このチャイロカメムシは名前のとおり茶色系の落ち着いた色のカメムシです。 ただし体色には黒褐色~赤褐色と幅があり、また背中に斑紋のある個体もいて、個体差が大きい種類です。
キンカメムシの仲間は背盾板(アカスジカメムシの項を参照してください)がよく発達していて、1枚板の甲羅を背中に背負っているように見えます。
下は近くにいたチャイロカメムシの幼虫です。
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写真はクララというマメ科の多年草です。 葉は互生し、7~20対ほどの小葉からなる奇数羽状複葉です。 花は白色~淡黄色で、多数の花が総状につきます。
クララという人の名前は外国には多く、アルプスの少女ハイジの親友もクララという名前でした。 ですから、この植物、外国の名前を持った帰化植物かと質問されたりもしますが、じつは日本に自生する植物です。
クララという名前は、根を噛むとクラクラするほど苦いことからで、眩草(くららぐさ)とも呼ばれています。
薬理作用も強く、多量に摂取すると脳の麻痺を引き起こし、呼吸困難で死に至ることもある反面、消炎、鎮痒作用、苦味健胃作用のある生薬としても使用され、この場合は苦参(くじん)と呼ばれています。
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ポンテデリア(Pontederia cordata)は北米南部原産の、耐寒性のある多年生の水生植物で、日本では夏中花を楽しむことができます。 ナガバミズアオイという和名がついています。 日本では最初切り花として普及しましたが、最近では苗の形でも出回るようになってきました。
この属(Pontederia属)はミズアオイ科(Pontederiaceae)の基準属になっています。
1つずつの花を比較すると、6個の花被片のうちの上部に黄色い蜜標があることやオシベ3本が前に突き出しているところなど、同じミズアオイ科のホテイアオイの花(下の写真)ともよく似ています。
※ このところ昆虫の記事が続いていますので、日本に自生している植物ではありませんが、少しでも涼しさをと、水生植物を取り上げて見ました。 でも、ポンテデリアの花は、拡大すると、毛が多くて少し暑苦しかったですね (^_^;
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アカタテハは年に数回発生します。 また成虫で越冬しますので、夏に少なくなるものの、早春から晩秋まで見ることができます。 花にも獣糞や樹液にも集まるので、いろんな所で会うチョウです。
幼虫の食草は主にイラクサ科の植物で、葉を2枚糸でくっつけて、その間に潜む習性があります(詳しくはこちら)。
ヒメアカタテハと比較すると、いろんな違いがあるのですが、いちばんはっきりするのは、翅を開いた時の後翅表面の様子(下の写真)でしょう。 後翅表面の模様は、アカタテハの方が、ずっとシンプルです。
※ この写真は枚岡公園で4日に撮ったものですが、枚岡公園に行った狙いはウラナミアカシジミでした。
普段は高い林冠近くにいる蝶も雨風の強い時には飛んでいる時に風に流されたりして林床に近い所にいることが多くなります。 蝶屋さんはこれを「落ちる」と表現していますが、それを狙って行ったのですが、前日(3日)の天気では不十分なようでした。
アオゲラらしき声も聞いたのですが、姿は見えず、不満の残る1日でした。
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アカスジカメムシは、背面は黒と赤の縦条があり、腹面は赤い地に黒班が散らばる美しいカメムシで、6~8月に見られます。 セリ花植物の汁を吸うカメムシで、今回見たのも、公園の一角にハーブが育てられていて、そこに植えられているフェンネルに群がっていました。
これだけ目立つ模様は鳥に対する警戒色だと思われるのですが、悪臭をほとんど出さないようです。
アカスジカメムシはカメムシ科に分類されていますが、背面のほとんどは背盾板(注1)に覆われていて、まるでキンカメムシ科のカメムシのようです。
(注1)背盾板
背盾板とは、前胸の後ろで、左右の前翅がくっつき合えない隙間を隠すように存在する三角形の部分です。 もう少し専門的に言えば、左右の前翅の間に胸部第二節の背板の一部(中胸小楯板)が、盛り上がったものです。
下はエサキモンキツノカメムシですが、このハートマークの付いている三角形の部分が背盾板で、アカスジカメムシなどでは、この部分が広がって、背面のほとんどを覆っています。
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ウマノスズクサの花が咲き始めました。 これから9月まで、次々と咲いてくれることでしょう。
花はおもしろい形をしています。 葉腋から伸びる柄の先につく花は、基部が膨らみ、そこから細長く、やや曲がって伸び、先端はラッパ状に開いています。
ところで、保育社の原色日本植物図鑑は、合弁花類、離弁花類、単子葉類の3巻の構成になっています。 このウマノスズクサはどこに載せられているのか、予想してみてください。
じつはウマノスズクサは離弁花類になります。 花弁のどこが分かれているのか、それよりもまず、ガクと花弁を区別しようと再度花を見ると・・・ 区別できません。
このような花を「単花被である」と表現できますが、いろんな条件から考えると、どうやらウマノスズクサの花は、ガクが変化したもので、花弁は退化して無くなっているようです。 つまり、もし花弁があれば、系統的に考えても離弁のはずだ、というわけです。
花は生殖用の器官ですから、花が特殊ということは、植物が特殊な方法での花粉の受け渡しを“ねらって”進化した、ということになります。
ウマノスズクサの周囲には、あまりいいにおいとは言えない、特有のにおいがあります。 花の色やにおいから、私はラフレシアなどを連想しました。 このにおいと色は、花粉媒介者として、ハエを呼び寄せているのでしょう。
花の断面を作ってみると、下の(1)と(2)の2つの状態が確認できました。 2つの状態とは、花粉を受け取る時期(=雌性期)と花粉を渡す時期(=雄性期)ということになるのでしょう。
(1)
(2)
(1)はまだ花粉が出ていませんし、(2)は花粉が出ていますので、花の変化は(1)から(2)へと変化すると考えられます。 つまり、(1)が雌性期で、6分割されたようになっているのが柱頭なのでしょう。 そして(2)が雄性期ということになり、ウマノスズクサは雌性先熟の花ということになります。
(1)と(2)の比較では、もう1つ、注目したい違いがあります。 それはラッパ状の筒の内面の毛の様子です。 特に膨らみ近くの毛の様子に注目すると、(1)では毛が膨らみの方向に向かって伸びています(断面を作る時にかなり取れてしまいましたが・・・)が、(2)ではこの毛が水分を失ったように短くなってしまっています。
以上のことを総合してウマノスズクサの種子生産の“戦略”を考えてみます。
ウマノスズクサの花のにおいに誘われて、ハエがラッパ状に開いた入り口から侵入してきます。膨らみに達したハエは、花が(1)の状態にある時は、来た道を戻ろうとしても、毛が邪魔になってなかなか戻れません。 もしこの時、ハエの体に花粉が付いていれば、もがいているうちに花粉は柱頭に付けられることでしょう。
時間が経つにつれ、広がっていた柱頭が互いにくっつきあい、(2)の写真のように円柱状になるにつれ、柱頭の下部に位置していた葯は“円柱”の横に位置するようになり、花粉を出し始めます。 膨らみの中で暴れているハエの体には新しい花粉が付くことでしょう。 この時、ハエの脱出を阻んでいた毛は縮小しており、ハエは体に花粉を付けて外へ出て行くことが可能になります。
実際、膨らみの中の様子を確認するために切ってみると、(1)の状態ではほとんどの花の中に、場合によっては複数のハエがいました。 ところが(2)の状態の花で、中にハエがいたケースはありませんでした。
一般的に小さな脳しか持たない昆虫の学習能力は低いものです。 (2)の状態から脱出した体に花粉を付けたハエは、脱出に苦労したことを忘れ、またにおいに誘われてフラフラと花に入り、もしその花が(1)の状態なら、そこでウマノスズクサの受粉に協力させられることは上に書いたとおりです。
ウマノスズクサはジャコウアゲハやホソオチョウなどの幼虫の食草です。 これらの蝶の記事の所でも書きましたが、ウマノスズクサには有毒成分が含まれています。 ウマノスズクサの仲間は、昔は生薬として重宝されたようですが、ウマノスズクサの成分が解明されるにつれ、最近では生薬としては殆ど使用されなくなりました。
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シロジュウシホシテントウが、花弁やオシベの取れたウリノキの花の子房にいました。 まだ蜜が出ているのでしょうか。 また、シロジュウシホシテントウはアブラムシやキジラミなどを食べる肉食なのですが、糖分は昆虫に共通の栄養分、蜜を求めて来る事もあるのでしょうか。
シロジュウシホシテントウは、黄褐色で白色の紋がある、大きさが5mm前後の、小さなテントウムシで、5~7月に見られます。 名前のとおり、シロジュウシホシテントウの基本形には、上翅に14個の白色の紋があるのですが、丸みの強い体にある紋を全て写すことはできませんし、光沢のある体のために光が映り込んで写真では紋が判り辛くなっている部分もありますので、上の写真の紋に番号を付けた写真を下に載せておきます。 特に14番の紋は全く写っていませんが左右の対称性から納得していただくしかありません。
白い紋のあるテントウムシにも、いろんな種類がいます。 大阪市立自然史博物館のHPには、これらの白星のテントウムシの見分け方のページがあります。
これによると、頭を上にして上翅の片側だけの横に並ぶ星の数を上から数えてみて、
2-2-2-1ならシロジュウゴホシテントウかムーアシロホシテントウ、
2-2-1ならシロトホシテントウ、
1-2-2-1 シロホシテントウ
1-3-2-1ならシロジュウシホシテントウかジュウロクホシテントウですが、後者は、やや大型で、地色が濃い茶色であることと,星が細長くなっている、ということです。
ナミテントウの模様には100以上のパターンがあり、紋のパターンだけを見ると、ナミテントウにも似たタイプがあるのですが、ナミテントウの地色と紋の色は、黒と黄褐色もしくは赤との組み合わせで、黄褐色と白色の組み合わせはありません。
ところで、シロジュウシホシテントウにも、ナミテントウほどではないにしても、個体変異があり、上に書いた基本型の他に、地色が黒くなる「暗色型」と、地色が淡紅色で上翅に12個の黒紋を持つ「紅型」がいます。
大阪市立自然史博物館のHPのシロジュウシホシテントウの項には、これらの3パターンについての解説や、大阪府での分布、似ている種類との見分け方などが載せられています。 これによると、紅型は10個の大きな星のあるトホシテントウと似ていますが、色彩や強い光沢があることで簡単に区別できるとあります。
下は、最初の写真と同じウリノキに来ていた紅型のシロジュウシホシテントウです。 逃げようとしたので、別の葉の上に載せて撮りました。 色は違っても、顔の表情(頭部の模様)は同じです。 最初の写真と比べてみてください。
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