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2010年6月30日 (水)

モミジカラスウリ

 カラスウリの仲間には、カラスウリ、モミジカラスウリ、キカラスウリ、オオカラスウリなどがあります。 このうちカラスウリは以前記事にしましたが、今回はモミジカラスウリです。

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 モミジカラスウリは、その名のとおり、葉がモミジのように深く切れ込みます。 ただし裂片の様子には個体差があり、上の写真の株のように細いものから、幅広いものまであります。

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 モミジカラスウリは雌雄異株で、花はカラスウリなどより早く、梅雨の頃から咲き始めます。 写真の花は雄花で、花の中央に黄色い根棒状に写っているのは、5本のオシベが互いにくっつき合ったもので、周囲に花粉を出しています。
 夜に咲いた花はカラスウリと異なり、多くの場合は昼間も閉じずに咲き続けます。 上は岩湧山で6月27日の10時51分に撮ったもので、下は別の株の花を15時15分に撮ったものですが、ほとんど変っていません。

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2010年6月29日 (火)

ヒゲナガオトシブミ

 ヒゲナガオトシブミがダンコウバイ(花はこちら)の葉をかじって穴を開けていました。 どうやら、少なくとも成虫はクスノキ科の葉がお好みのようです。
 カメラを近づけると、顔を上げ、またカクンと頭部を下に折り、食事を続けました。

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 上と下2枚の写真は同じ個体で、じつはオスなのですが、ヒゲナガオトシブミのオスの頭部の長さは体長の1/3以上を占め、さらにその名前のとおり、その頭部よりも長いヒゲを持っています。 この個体は残念ながらその自慢のヒゲの片方が切れています。

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 そして下はメス。 オスよりは少し短い頭部です。

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2010年6月28日 (月)

ウリノキ

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 ウリノキは日本全土の山地に見られる落葉低木で、谷筋などで枝を横に張り出し、比較的大きな葉を広げています。 名前は、この葉がウリの葉に似ているところからだと言われています。
 花のつぼみはくっつきあった白い花弁が目立って細長くぶら下がり、開花すると、この花弁が6~8裂し、くるくると巻き上がります。 オシベも6~8本で、長い葯を持っています。

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 花にはいろんな昆虫が来ていました。 下は盗蜜に来たムネアカオオアリです。

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 果実は8~9月に藍色に美しく熟します。

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2010年6月27日 (日)

テングアワフキ

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 アワフキムシの仲間なのですが、そのことを知らなくても、この虫の名前は「テング○○」に違いないと、誰でも思うのではないでしょうか。
 テングアワフキは体長約1cm、小楯板の先端に白点紋があります。 成虫は6~8月に出現するようです。 タムシバの葉の上にいましたが、これはたまたまのようで、いろんな草や木の汁を吸うようです。
 写真を撮っていると、パチンという音を残してジャンプされてしまい、見失ってしまいました。

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2010年6月26日 (土)

ハンカイソウ

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 ハンカイソウは、比較的低山地の湿原や湿った草原などで見られるキク科の大型の多年生草本で、高さ1~2mほどに達します。 写真は京都府立植物園で撮ったものですが、本州の静岡県以西や、四国、九州に自生します。
 名前は、花茎が直立する立派な姿を、劉邦に生涯仕えて武勲を挙げ、漢王朝成立に貢献した中国の武将樊会(はんかい)に例えたものと言われています。
 葉は大きく、たくさんの切れ込みがあります。

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2010年6月25日 (金)

シマサシガメ(成虫)

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 以前に4月のシマサシガメの若齢幼虫の様子を記事にしましたが、今回は成虫です。 自分より大きなコメツキの仲間をみごとに仕留めています。
 口吻を差し込む時に相手は暴れないのでしょうか。 ぜひ口吻を差し込む瞬間を見てみたいものです。

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2010年6月24日 (木)

ネコノチチ

 ネコノチチは、神奈川県以西の本州、四国、九州に分布するクロウメモドキ科の落葉高木です。 この記事の写真は京都府立植物園で撮ったものですが、自生地では明るい場所を好み、林内ではほとんど見かけないようです。
 葉の付き方は、右・右・左・左・右・右・・・と2枚が一組となって互生しています。 このような葉の付き方は、組互生型葉序(またはコクサギ型葉序)と呼ばれていて、同じクロウメモドキ科のケンポナシイソノキ、ミカン科のコクサギなどで見られます。

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 クロウメモドキ科の花は小さく目立たないものが多いのですが、ネコノチチの場合も小さな花です。

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 8月の下旬になると果実が熟し始めますが、果実の色は黄色(下の写真)から赤へ、そして黒紫色へと変っていきます。 ちなみに「ネコノチチ」という名は、この果実の形が猫の乳首に似ているところからだと言われています。

(2011.11.17.追記)
 下は2011年9月18日にわんちゃんが京都府立植物園で撮ったものを送ってもらい、トリミング等を行ったものです。 

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2010年6月23日 (水)

ヤサイゾウムシ

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(この音声データに関してはこちらをどうぞ)

 ヤサイゾウムシはブラジル原産の帰化種で、1942年(昭和17年)に岡山県で最初に見つかっています。 日本のあちこちに広がるにつれ、いろんな野菜を食害する雑食性であることが分かり、当初は被害がたいへん心配された虫でしたが、個体数もそんなに増えず、被害もそんなに大きくなりませんでした。
 でも、多くのゾウムシは驚かすと足を縮めてポロッと落ちるのに、私が出会ったヤサイゾウムシは、カメラを近づけても平気で食事を続けていました。

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 アメリカでの名前は Vegetable weevil、つまり「ヤサイゾウムシ」です。 体全体に毛が多く、前翅後方には1対の白紋があります。
 このゾウムシの生態的な特徴としては、メスだけで単為生殖することが挙げられます。 また、昼が長くなると夏眠します。 つまり活動時期は秋~冬~春です。

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2010年6月22日 (火)

チシャノキ

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 エゴノキの別名もチシャノキですが、ここで取り上げるのは和名チシャノキ、正真正銘の(?)チシャノキです。
 葉は比較的大きく、若葉は食べることができるということです。 チシャとはレタスのことで、若葉がチシャつまりレタスの葉の味に似ているところからの名前だと言われていますが、近畿地方に自生は無く、私は食べたことはありません。 この記事の写真は京都府立植物園で撮ったもので、チシャノキの自生地は、本州の中国地方、四国、九州の川沿いなどです。

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 大きい葉に比べて、1つずつの花の何と小さなことか・・・・。 花冠の直径は5mmほどです。
 チシャノキはムラサキ科の常緑高木です。 ムラサキ科の花の特徴としては、花弁は5つに分かれ、花序が渦巻き状(巻繖花序)になることが挙げられるのですが、これだけ小さな花がギッシリと咲いていると、花序がどのようになっているのか、調べようもありません。

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 ところで、エゴノキはなぜチシャノキと呼ばれるのでしょうね。
 → いろいろ調べていただきました。 詳細はコメント欄で。

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2010年6月21日 (月)

ヤマイモハムシ

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 ヤマイモハムシは主にヤマノイモの葉を食べるハムシです。 写真の葉も、ボロボロで何の葉か分からなくなっていますが、ヤマノイモの葉です。
 ヤマイモハムシは、長さが5~6mmの、頭部と胸部は赤色で上翅は光沢のある暗藍色の美しいハムシです。 5~8月に見ることができますが、6月20日の散歩では、たくさんのヤマイモハムシに会うことができました。

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2010年6月20日 (日)

ナツツバキ

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 ナツツバキは宮城県以西に自生するツバキ科の落葉高木です。 ツバキに似た白い花は1日花で、朝に開花し夕方には落花します。
 梅雨空の下、花弁とオシベがくっついたままのメシベの抜けた花が、井戸蓋の上にたくさん落ちていました。

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 ナツツバキ(夏椿)は別名シャラノキ(沙羅の木)とも呼ばれています。 沙羅(特に2本がくっついた沙羅双樹)は仏教における3大聖樹の1つ(注1)ですが、温帯に自生するナツツバキとインドの沙羅が同じわけはありません。
 インドなどで見られる英名 Sal-tree(これに沙羅の漢字をあてたようです)は、学名 Shorea robusta で、ツバキ科とは全く別のフタパガキ科の高木で、花は細かい花が集まって咲き、ナツツバキの花とは全く違います。 あえて似ている所を探せば、樹皮が滑らかなところぐらいでしょうか。
 日本の仏教は中国から伝わっています。 私は、仏教の広がりと共に、その地に自生する似た木が沙羅の木とされ、それが繰り返されるうちに、現地とは全く違う木になってしまったのではないか、と考えています。
 しかし、ナツツバキの1日しか持たない花は、人の世の無常を“理解”させてくれる花として、沙羅の木として日本人の心にマッチしたようです。
 平家物語の冒頭が次のような書き出しで始まることは、あまりにも有名です。
   祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
   沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす
   おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし
   たけき者もつひには滅びぬ ひとへに風の前の塵に同じ

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(注1 Sal-tree=沙羅 について)
 釈迦が涅槃に入ったのが沙羅林の中で、東西南北の四方にそれぞれ2本の沙羅の木(つまり沙羅双樹)があったとされ、これら東西南北の双樹は、それぞれ常と無常、我と無我、楽と無楽、浄と不浄のシンボルとして考えられています。
 Sal は、サンスクリット語のサーラ( sāla )に由来します。 サーラは本来「優れた木」を意味し、チーク、ヒマラヤスギと共に、インドの3大有用樹です。 ちなみに学名の属名である Shorea は人名に由来すると考えられており、sāla と似てはいますが、無関係のようです。

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2010年6月19日 (土)

イナモリソウ

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 昨年のこの時期に金剛山で見た植物から、イナモリソウです。 イナモリソウの名前は、最初の発見地が三重県の稲森山だったことによります。
 花の径は2cm程度、サツマイナモリなどと同じように花には2型があります。 つまりオシベが花筒の上の方についてメシベが短いタイプと、オシベが花筒の中ほどについてメシベが長いタイプがあり、写真の株は前者です。
 葉は対生、全草に軟毛があります。

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2010年6月18日 (金)

ヤマセミ(オス)

 奈良県の宇陀川へヤマセミを見に行って来ました。 ヤマセミの繁殖期は3月~8月と言われていますが、子育てはまだのようでした。 聞くところによると、このあたりでヤマセミの子連れが見られるのは7月頃だという事です。
 ヤマセミは九州以北に分布する留鳥で、カワセミの仲間ですが、カワセミよりもずっと大きく、ハトくらいの大きさがあります。
 '07年10月の郵政民営化と共に80円普通切手はキジバトに替わりましたが、それまではヤマセミでしたから、切手でおなじみの鳥かもしれません。 でも、個体数はそんなに多くはありません。

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 頭には冠羽があり、冠羽が立っていると、顔がいやに大きく見えます。 冠羽は少し興奮するとすぐ立つようで、冠羽を寝かしている時を見ることの方が稀です。
 体の色は、全体的には背中側は白と黒のまだらで、腹側は白い色をしています。 オスはあごの部分と胸の帯の部分に明るい褐色が混じりますが、メスにはこの色がありません。

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2010年6月17日 (木)

オオスズメバチのアクロバット

 ブーンと飛んできたオオスズメバチがコナラの枝に接するや否やクルッと変な姿勢に。 そして何かもがいているようにも見えました。
 何が起こったのか分かりませんでした。 でも、もがいているなら翅を震わせるはずですが、翅は動かしていません。
 そしてしばらくすると、何事も無かったように飛び去っていきました。

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 撮った写真とその時のオオスズメバチの動きを総合してみると、どうやら自発的にこんな姿勢をとったようです。後足1本を枝に引っ掛け、翅を枝の間に入れて体が揺れないように安定させ、残る5本の足で何かをしているようです。 体の掃除か、抱え込んでいた餌をラッコスタイルで食べているようにも見えます。

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 怖いもの知らずのオオスズメバチ、好き勝手な姿勢を取ることができるようです。

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2010年6月16日 (水)

婚姻色のアマサギ

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 アマサギについてはこちらで記事にしていますが、婚姻色のアマサギを撮る事ができた(6月6日撮影)ので、載せておきます。 婚姻色のアマサギは、嘴や足が赤みを帯びて、目先も赤紫色になっています。 比較してみてください。
 アマサギの繁殖期は4月~7月と言われていますが、この時期に巣作りをしている個体でも、このような婚姻色をしていない個体がいます。 どのような時にどのような個体が婚姻色を示すのか、今の私には謎です。

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2010年6月15日 (火)

カキツバタ

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 梅雨に入り、カキツバタの落ち着いた花が似合う季節になりました。
 カキツバタも江戸時代の前半には既に多くの品種が作られていて、野生のカキツバタを身近に見ることは稀です。 しかし、湿地に群生することや花のつくりなど基本的なところは、本来の性質を受け継いでいます。

Azuchigumo080719_1    カキツバタの花の上にいたアズチグモ

 花は5月から6月に咲きます。 外花被片(ガク片)がいちばん大きく垂れ下がり、中央付け根付近から白い線状の模様が伸びています。 また、内花被片(花弁)は細く直立し、3裂した柱頭は外花被片の上に位置しています。

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 アヤメ、カキツバタ、ハナショウブは一見よく似ています。 特にハナショウブは品種改良が進み、様々な花の形や色があり、中にはカキツバタにそっくりな品種もありますが、基本的にはカキツバタの外花被片の模様の色が白であるのに対し、ハナショウブの外花被片の模様の色は黄色です(下の写真)。 なお、葉の様子も違うのですが、今回は触れません。 また、アヤメは湿地を好むことは無く、外花被片の模様は網目状です。

Hanashoubu080525_1    ハナショウブ

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2010年6月14日 (月)

ケリの繁殖

 昨日記事にしたタマシギの抱卵しているすぐ側で、ケリが卵を温めていました。

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 腰を浮かすと卵が見えます。

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 今までに見たケリの巣は、畑や水を張る前の田で、少し窪んだ所に藁などを敷いたもので、こんなに高くした巣は見た事がありませんし、この巣はタマシギの巣にそっくりです。
 もしかしたら、ケリがタマシギの巣を奪ったのか、巣立ったタマシギの巣を利用しているのかもしれません。

 近くでは、もうかなり大きくなったケリの幼鳥が餌を探していました。

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2010年6月13日 (日)

タマシギ

Tamasigi100612_1    タマシギのメス
※ 写真は全てクリックで拡大します

 タマシギは淡水の水辺に住むタマシギ科の鳥です。 名前は、オスにもメスにも目の周囲に白い勾玉(まがたま)のような模様(アイリング)があるところからでしょう。 日本では、本州中部以南に分布する留鳥なのですが、一部は冬季に南方へ渡ります。
 主に夜に活動し、日本での繁殖期は4~10月なのですが、大阪府東大阪市の水田には毎年田植え時に営巣を始め、田に水のある時期に伸びる稲に隠れて子育てを行うタマシギが見られます。 地域の人たちに見守られ、タマシギも人に慣れ、人に見られていても平気で抱卵を続けたり採餌を続けたりしています。
 特に今年はどういうわけか、タマシギの営巣開始が早く、田植え前から水を張った田に営巣するものもいて、よく目立ち、タマシギの行動が観察し易い年です。
 営巣場所は昨年とほぼ同じ所が多く、田が連続している場所でも、特定の田に複数の巣が見られたりします。 その場所で育ったタマシギが戻ってきているのでしょうか。

 タマシギは鳥類としては珍しい一妻多夫です。 繁殖期になるとメスの嘴が赤っぽくなり、オスに対して求愛ディスプレイを行います。 番いになり交尾を行った後、メスはオスが作った巣に、1日に1個程度の卵を産みに通いますが、普通4個の卵を産み終わると、メスは巣を離れてしまい、別のオスに対してディスプレイを行います。 後に残されたオスは、1羽で抱卵と子育てを行います。 抱卵や子育てを行うオスは目立たないように、メスよりもずっと地味な色をしています。

Tamasigi100612_2    抱卵中のオス

Tamasigi100612_3    子育てもオスの仕事
   3羽のヒナを連れていましたが、1羽しか写っていません

 これはタマシギの生息地である水辺という環境は、増水などで巣が壊される危険性が高いため、メスが生んだ卵をあちこちで分散して育てることで、種の保存を図るという戦略だと考えられています。 今年は東大阪の田でも、田植えの作業のために巣を壊されたオスの所にはすぐにメスが戻ってきたことが観察されています。

Tamasigi100612_4    採餌中のメス
   体力をつけて卵を産み続けなければなりません

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2010年6月12日 (土)

スカシカギバ

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 堺市南区の泉北ニュータウン内の公園にスカシカギバがいました。 開張は2.5~3cm、灯火にも来る蛾ですが、昼間は動きません。 刺激され、いったん飛びはじめると、かなりの距離を飛びますが・・・。 かなりの飛翔力を持っていることは、体に比べて翅の面積が大きいことからも分かります。
 幼虫の食餌植物は、主にクヌギやシラカシなどのブナ科の木の葉のようです。 成虫は何も食べずに、体内に蓄えられている栄養分だけで繁殖行動に専念します。 昼間に動かないのは、このことと関係するのかもしれません。
 スカシカギバはその名のとおり、翅の一部に鱗粉が無く透けている所があり、多くのカギバガ科の蛾と同様、前翅の先端がカギ状に曲がっています。

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 翅の一部が透けている蛾の仲間はいろんな科で見られます。 このブログでもこれまでに、スカシバ科のヒメアトスカシバ、スズメガ科のオオスカシバ、ヒトリガ科のカノコガなどを載せてきました。 また蝶の仲間でも、アゲハチョウ科のウスバシロチョウなどは翅が半透明です。
 これらの翅(の一部)に鱗粉が無いというのは、何か積極的な意味があるのでしょうか。

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2010年6月11日 (金)

コイチャコガネ

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 コナラの木にたくさんのコイチャコガネが集まって葉を食べていました('10年6月6日「堺自然ふれあいの森」にて撮影)。 この種類も仲間を呼び寄せる何らかのしくみを持っているようです。 交尾をしている個体も多いのですが、下になっているメスは、ほとんどが葉を食べながらの交尾です。

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 コイチャコガネは「濃茶黄金」で、体の色からでしょう。 1cm前後の小型のコガネムシで、全身に細かい毛が生えています。 コナラやクヌギ以外にもクリやノグルミなどの広葉樹の柔らかい葉を食べ、幼虫は土の中で植物の根を食べているようです。

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2010年6月10日 (木)

クサギカメムシ

 クサギカメムシは日本のほぼ全土に分布する普通種です。 クサギでよく見られることからの名前ですが、多食性で、いろんな植物の汁を吸います。 特に果樹や豆類などの農作物にもよく付き、古くから知られている害虫です。 下はソラマメに集まっているところで、仲間を呼び寄せるにおいでも出しているのでしょうか、よくこのような集団を作ります。

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 成虫は越冬のために人家に入り込むこともあり、悪臭を出して嫌われてきた虫でもあります。
 地方によっては、ススイロカメムシ、サビガイダ、チャイロガイダなどと呼ばれており、方言が多いことは、それだけよく知られていた虫であることを意味します。
 ところで、カメムシのことを「ガイダ」とよぶ所が、特に関西ではあちこちにあるのですが、南東ヨーロッパで見られる1枚リードのバグパイプもガイダという名前です。 カメムシの口吻をガイダのドローン管に見立てたのでしょうか。

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2010年6月 9日 (水)

ササユリ

 ササユリは本州中部から四国・九州に分布します。 古事記や万葉集にもみられる日本特産のユリで、淡いピンクの大きな花を咲かせます。 上品な美しい花ですが、近年はササユリが減少し、あちこちにササユリを増やそうと活動しているグループができています。

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 名前は葉がササの葉に似ているところからで、下の写真のようにササと混じって生えていると、花が無いと見過ごしてしまいがちです。

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 これだけ大きな花を咲かせるには十分な光合成が必要ですが、ササユリは日のよく当たる場所でみられる植物ではありません。 明るい林や、他の草たちと競合する山地の草原などで花を咲かせます。 このような環境は、芝刈りや薪炭林としての伐採など、少し前までは盛んに行われていた人の営みで作られる環境でもあります。 ササユリの減少は、採られてしまう以外にも、林が放置されてきたこととも関係があるのではないでしょうか。
 ササユリの育つような環境では、種子から発芽したササユリの上には他の植物の葉もあることでしょう。 当然光は十分ではありません。 種子から発芽したササユリは、数年間は花をつけることもなく、何年もかかってじっくりと光合成で得た養分を球根に貯め込み、花を咲かせることのできる“体力”をつけてから、やっと花を咲かせることができるのです。
 6月に咲いた花は種子をつくり、種子は秋に散布されますが、この種子は翌春に発芽するのではありません。 発芽時期を間違えないように“慎重に”発芽調整が行われているらしく、冬の寒さと夏の暑さを“体験”し、発芽するのは1年後の秋になります。 ただし、発芽と言っても、地上部には現れません。 種子に蓄えられた栄養分で根を伸ばし、小さな小さな球根を作った段階で冬を迎えます。
 葉が地上に現れるのは、種子が散布されてから1年半後の春です。 それからは毎年少しずつ球根を太らせていき、生育条件が良ければ、5年目に花をつけることができます。

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2010年6月 8日 (火)

コムラサキ

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 以前植物のコムラサキのことを書きましたが、今回は堺市南区鉢ヶ峯にいた蝶のコムラサキです。 コムラサキは年2回、5~6月と7~8月に発生します。 幼虫の食草はヤナギ類ですので、ヤナギの生える川辺などでよく見られます。 樹液や排出物などに集まることが多く、花で吸蜜することはあまりありません。 今回もウツギにとまったのですが、咲いている花には無関心の様子でした。 休憩にとまったところが、たまたまウツギだったのでしょう。
 翅を閉じたり開いたりしてくれるのですが、位置的には高い所で回りこめない場所で、どうしても翅の表を撮る事ができませんでした。

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※ オオムラサキの記事はこちらです。

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2010年6月 7日 (月)

ハナミョウガ

 ここにあった記事は、大幅に加筆し、こちらに引っ越しています。

 

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2010年6月 6日 (日)

カイツブリの子育て

 下はカイツブリの幼鳥です。 親鳥が餌を持ってきてくれるのを待っているところです。
 5羽のうち1羽だけ少し大きいのですが、たぶん最初に生まれた子なのでしょう。 幼鳥には顔や首に黒い縞模様があります。

※ 写真は全てクリックで大きくなります。

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 この池ではこの5羽の幼鳥を2羽の成鳥が育てていました。 成鳥はたぶんオスとメスでしょうが、カイツブリの雌雄は目では見分けられません。
 下の写真では、1羽は親鳥の向こう側にいて写っていません。

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 親が餌をくわえて泳いでくると、子供たちは親の方に急いで泳いで行きます。 いちばんお腹の空いた幼鳥がいちばん必死で泳いで親の所に行きますので、餌が均等に幼鳥に配分されるのでしょう。

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※ 冬羽のカイツブリの様子はこちらに載せています。

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2010年6月 5日 (土)

ヒメクロオトシブミの揺籃作り(Chap. 1)

 ヒメクロオトシブミが葉の上を行ったり来たり。 見ていると葉を切りはじめました。 以下は'10年5月22日の記録です。

Himekuro100522_1 【 11:31 】 オスは葉の裏に隠れています。

Himekuro100522_2 【 11:36 】 主脈に到着し、しばし立ち止まり、

Himekuro100522_3 【 11:37 】 スタスタと反対側に行き、葉を切り始めました。

Himekuro100522_4 【 11:40 】 主脈に到着。 右側は重なり方で切れ目が分かりづらいのですが、きれいに切れています。

Himekuro100522_5 【 11:43 】 主脈にも少し切れ目を入れて、そこから先を垂れ下がらせます。 オスの登場。「もういいかい?」

Himekuro100522_6 【 12:11 】 切れ目から先の葉はきれいに垂れ下がりました。 ヒメクロオトシブミは交尾しながら葉の裏をウロウロ。 なかなか次の動作に移ってくれません。

Himekuro100522_7 【 12:46 】 葉はかなりしおれてきています。 揺籃を作るために葉を巻く作業は容易になっているはずなのですが、まだ不十分なのでしょうか?

 1時間以上付き合いましたが、他の所へも観察に回りたいし、切り上げることにしました。 続きはこちらを参照してください。

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2010年6月 4日 (金)

ヤマボウシ

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 ヤマボウシの“花”の美しい季節です。 最近は北アメリカ原産のハナミズキ(=アメリカヤマボウシ)が公園や庭などによく植えられていますが、ヤマボウシは本州から九州に自生する落葉高木です。
 最初に“花”と“”で囲んだのは、もちろん白く目立つのは実際の花ではなく、総苞だからです。 ハナミズキの総苞は先が窪んでいますが、ヤマボウシの総苞は先が尖っています。
 実際の花は小さくて、4枚の総苞に囲まれて集団で咲きます(下の写真)。 1つの花の花弁は4枚、雄しべは4本で、ガクは筒状になっています。

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 下は花が終わり、花弁もオシベもなくなり、メシベとガクのみが残っています。 白い総苞にも赤褐色の斑点が目立ってきています。

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 花が終わり子房が膨れてくると、筒状のガクは癒合し、サッカーボールのような集合果になります。 下は9月7日に金剛山で撮ったものです。
 ハナミズキの果実はくっつかず、それぞれが独立していますので、かなり違った印象になります。

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 果実と果実の境目は亀甲模様になり、その中心には柱頭の跡が残っています。 写真の集合果はまだ少し熟しきっていませんが、もう少し赤くなると、スカスカしてはいますが、甘くておいしく食べられます。

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2010年6月 3日 (木)

マダラアシナガバエ

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 この写真、写っているのは体長5~6mmのマダラアシナガバエです。 虫の前から撮っているのか後ろからかもよく分からない写真(じつは後ろから撮っています)ですが、小さな虫の飛翔の瞬間によくピントが合っている・・・たぶんこの写真を見た多くの人はそう思われるのではないでしょうか。
 この写真が撮れたいきさつを理解していただくには、カメラのストロボの話におつきあいいただかなくてはなりません。
 私のデジカメをはじめ、多くのデジカメの内蔵ストロボは発光量を自動的に調整してくれています。 この調整のしくみは、シャッターボタンを押すと、シャッターが開く前に「モニター発光」(または「プリ発光」)を行い、その時の明るさを解析し、その情報に基づいて本発光時の光の量を決め、シャッターが開き、本発光を行う、ということを瞬時に行っています。 私たちの目にはよほど注意して見ないと2回発光していることは分からないのですが、モニター発光に続いて本発光と、連続して2回発光しています。
 このマダラアシナガバエは、ハエというよりも肉食性のアブの一種です。 動きは俊敏で、他の虫を捕えて餌にしています。
 このマダラアシナガバエを内臓ストロボを光らせて撮ろうとシャッターボタンを押し、液晶モニターで撮った写真を確認すると・・・マダラアシナガバエが写っていません。 最初は何が起こったのか、よく分からなかったのですが、どうやらマダラアシナガバエはモニター発光の光に反応して飛び上がってしまうようです。
 それならばと、予め飛び上がることを予測し、マダラアシナガバエのいる上方にピントを固定してストロボを発光させて撮ったのが最初の写真、というわけです。 それにしても、瞬時にこれだけの高さにまで飛び上がっているとは思いませんでした。
 上記のような理由から、静止しているマダラアシナガバエを撮ろうとすると、内臓ストロボは使えません。 小さな虫を撮る時はできるだけ絞り(F値)を絞り込んで体の隅々までピントが合うようにしたいのですが、ストロボが使えないとなると、F値を大きくするとシャッター速度が遅くなり、ブレブレの写真になってしまいます。
 下はISOを1600まで上げて、F11で撮ったものです。 手持ち撮影のため、シャッター速度は1/125秒にしました。 きっちりピントの合っているのは眼だけですが、仕方ありません。 でも、体が美しい金緑色であることや、翅にはまだら模様があることなどは確認できます。

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 帰宅してカメラの使用説明書を確認すると、私のカメラはマニュアル発光が可能で、マニュアル発光ではモニター発光を行わないことが分かりました。(-_-;

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2010年6月 2日 (水)

ニホンヤモリ

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 このところ毎年のように、自宅で小さなニホンヤモリ(以下、単に「ヤモリ」と書きます)を見ます。 上の写真は5月29日に撮ったもので、最小目盛が1mmです。
 下は顔の近くから。 瞳孔がおもしろい形をしています。

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 下は10月9日の夜に撮ったもので、瞳孔は開いています。 体の大きさは上とほとんど同じです。 春と秋でほとんど同じ大きさというのは、この間ほとんど成長しないのかと思いましたが、調べてみると、繁殖時期は5月から9月にかけてということですので、どちらも孵化から同じくらいの時間が経過しているのかもしれません。

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 窓ガラスにくっついていたので、裏から撮ったのが下です。 指の吸盤(趾下薄板)の様子がよく分かります。

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 この小さいヤモリはこの後ちゃんと成長してくれるのでしょうか。 ヤモリの餌は生きた虫なのですが、食べ物は十分にあるのでしょうか。 毎年のように小さなヤモリを見るということは、どこか近くに大きなヤモリがいて、繁殖行動をしているということなのでしょうが・・・。
 不思議なことに、ヤモリの個体数は郊外よりも都市部で多く見られ、少なくとも自然豊かな林では見ることができません。 このようにヤモリは人の生活と深い関係を持っており、元から日本の自然環境に生息していたのではなく、古い時代に外国から入ってきた外来種ではないかと考えられています。

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2010年6月 1日 (火)

明日訪問者数20万人突破予定です

 このブログの左上にあるアクセスカウンターが6月2日中に20万を突破するだろうと思われます。 '09年2月17日に10万件を超えましたので、約1年4ヶ月で延べ10万人の方に訪問いただいたことになります。 ありがとうございました。
 今回はお礼のみで特別な記事構成は無しにして、30万回突破時(目標2011年8月)には何か計画してみたいと思います。

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