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2010年4月23日 (金)

ツツジトゲムネサルゾウムシ

 モチツツジの花が咲き出しています。 ツボミもたくさんありますので、これからどんどん咲いていくことでしょう。
 そのモチツツジにツツジトゲムネサルゾウムシがいました(下の水色の円の中央)。

Tsutsujitogemunesaruzoumisi100417_3

 ツツジトゲムネサルゾウムシの大きさは2~3mm、前胸背板基縁中央が鋭いトゲになって上翅方向に伸びていることや、そのトゲのすぐ下付近の上翅の合わせ目が黄色くなっていることなどが特徴です。

Tsutsujitogemunesaruzoumisi100417_1

 モチツツジにはたくさんの腺毛があり、そこから分泌される物質のせいで「モチ」の名のとおりネバネバしていて、最初の写真でもたくさんの虫が犠牲になっています。 でも、ツツジトゲムネサルゾウムシはそんなネバネバ環境の中でも、腺毛をかき分けるようにしてちゃんと歩くことができ、モチツツジのツボミに穴を開け、産卵します。

Tsutsujitogemunesaruzoumisi100417_2

 モチツツジにすれば、ツツジトゲムネサルゾウムシの幼虫にツボミを食い荒らされれば、花を咲かせて種子を作ることができません。
 モチツツジの最もネバネバしている場所はツボミの外側です。 たぶんモチツツジはこのツツジトゲムネサルゾウムシの被害を防ぐためにネバネバ物質を分泌するようになったのでしょう。 そしてツツジトゲムネサルゾウムシはモチツツジのツボミに産卵できるように、ネバネバ環境の中でも移動できるように体のつくりを進化させ、モチツツジはそんなツツジトゲムネサルゾウムシから防衛のためによりネバネバした物質を作ろうとし、ツツジトゲムネサルゾウムシはそんなネバネバの中でも動けるように体のつくりを変え、・・・
 この話、どこまで行っても終りません。 つまりモチツツジがモチツツジになったのはツツジトゲムネサルゾウムシという“敵”がいたからで、ツツジトゲムネサルゾウムシがツツジトゲムネサルゾウムシになったのはモチツツジを子孫を増やす場所にしてしまったからではないでしょうか。

Togemunesaruzoumusi100425_1

 生物が互いに影響しあって互いが特殊化していく現象を「共進化」と呼んでいます。 共進化はいろんな生物で見られます。
 植物と昆虫が互いに利用しあう共進化としては、このブログでもカラスウリの所でも書いていますし、イヌビワとイヌビワコバチとの関係についてはこちらから始まる3つの記事にまとめています。
 モチツツジとツツジトゲムネサルゾウムシとの関係は攻防です。 でもこんな関係も共進化としてとらえられるのでしょう。

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昆虫08 甲虫」カテゴリの記事

コメント

モチツツジ対ツツジトゲムネサルゾウムシ
「共進化」いい言葉ですね

体長2~3mmと聞いてビックリ
きれいに撮れてますね、
そしてモチツツジのネバネバ感もね。

ゾウムシの仲間って長い口吻の真ん中あたりに触覚ですか?あるンですね?

投稿: わんちゃん | 2010年4月23日 (金) 15時05分

> ゾウムシの仲間って長い口吻の真ん中あたりに触覚ですか?あるンですね?

長い吻を使って植物に穴を開ける時にはこの触角は折りたたまれて吻に密着します。

投稿: そよかぜ | 2010年4月24日 (土) 18時00分

>長い吻を使って植物に穴を開ける時にはこの触角は折りたたまれて吻に密着し

ナント・・・・・

投稿: わんちゃん | 2010年4月24日 (土) 20時46分

こんばんは♪
うーーん小さい!
2~3mmのゾウムシを指で掴もうとすると壊れますね
このツツジトゲムネサルゾウムシは他のツツジにもいるんでしょうか
進化の追いかけっこはよいライバル?

投稿: エフ | 2010年4月28日 (水) 22時10分

小さくても硬い甲虫ですから、そんなに簡単につぶれるような虫ではありません。
ヒラドツツジなどにもいそうな気がするのですが、私はモチツツジでしか見たことがありません。モチツツジでもそんなに多くいる虫ではありません。

投稿: そよかぜ | 2010年4月29日 (木) 23時53分

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