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2009年12月31日 (木)

この1年を振り返って

 2007年1月にスタートしたこのブログは、3年目を終えて4年目を迎えようとしています。 訪問いただいた方の数は年々増加し、'09年1月1日のアクセス数累積が92,100でしたから、この1年で81,000人の人に見ていただいたことになります。 毎年の傾向として、夏には多く冬には減少するものの、これを1日平均に直すと、222人/日 になります。 この間、2月17日には10万の大台を超え、現在は20万に近づきつつあります。 たいへんうれしいことです。 ありがとうございました。
 このブログはいろんな目的で続けていますが、そのうちの1つは私の健康管理です。 見てくださる人が多ければ、記事の“取材”に行かなくっちゃ! と、野山に出かけざるを得ません。 普段はデスクワーク中心ですので、これがとてもいい健康管理になっています。
 ところでこの1年、どんな記事に人気があったのでしょうか。 サイドバーに「人気記事ランキング」があります。 これは直近の過去4ヶ月のアクセス数を集計したものですが、1位の「マダラカマドウマ」と2位の「アシダカグモ」は、この1年、ほぼ不変でした。
 「マダラカマドウマ」は'07年10月23日の記事なのですが、写真の美しさのためでしょうか、'08年4月に1位になり、以来、一度'08年7月に2位になりましたが、その他はずっと1位をキープしています。
 「アシダカグモ」は'08年8月23日に記事にして、同年9月には早くも3位に、そして10月には2位になり、以来途中で一度3位になっただけで、ずっと2位を維持しています。 温暖化の影響か、アシダカグモも北に分布を広げており、大きなクモが家の中にいた! ということで検索され、私のブログに来ていただいているようです。
 その他、「ニホンカナヘビ」、「ムシクソハムシ」、「ソウシチョウ」なども長期に人気を保っている記事です。
 こうしてみると、このブログの記事の量からすると植物が最も多いのですが、人気のあるのは昆虫を含む動物の記事だということになります。 植物で今年この「人気記事ランキング」にあがってきたのは、「カルーナ」、「フタバアオイ」、「ヤドリギ②」、「ハバヤマボクチ」と、昆虫との関係を書いた「アケボノソウの花粉媒介をする昆虫」くらいです。

※ 上記の記事をご覧いただく場合は、「人気記事ランキング」に載っている場合はその名前をクリックしていただき、名前が消えている場合は、サイドバー中段の「サイト内検索」をご利用ください。

 植物を応援する意味で、今年撮ったハバヤマボクチの写真を載せておきます('09年10月11日、岩湧山にて撮影)。

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2009年12月30日 (水)

ウシカメムシ

 丑年の今年を締めくくるにふさわしい昆虫を・・・ウシカメムシです。 昨日、堺市南区畑で撮りました。

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 ウシカメムシの名前は、もちろん牛の角を想像させる胸部の左右に張り出した突起です。 顔をグッと下に向けて角を突き出して飛びかかって来ようとする牛を想像させます。

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 カメムシの仲間は半翅目とも言われるように、前翅の前半は革質化していて、前翅の後半は膜質です。 このウシカメムシは、飛んで来てそのまま動かなくなったのか、前翅がうまくたたみ込まれておらず、前翅後半の膜質部が背中の小楯板の上に出たままになっています。
 ウシカメムシは、その名前や写真から想像される大きさは、かなり大きなカメムシを想像されるかもしれませんが、じつは体長は1cmたらずです。
 普段は薄暗い林の中にいることの多いカメムシですが、この日は林の縁にいて、しかも寒さのためか、全く動かず、写真を撮り放題でした。

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 ウシカメムシは、その幼虫もなかなか美しい変わった色と形です。 ここにいるとなったら、夏に幼虫を探さなくっちゃ!

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2009年12月29日 (火)

新しいブログを始めました

 花も虫も少なくなったこの季節、あちこちのイルミネーションが目立ちます。 でも、そんなのを写しても、その写真をこのブログに載せると、このブログの性格が変わってしまいます。
 そこで新しいブログを立ち上げました。 ブログの名前は「そよかぜ日記」としました。
 このブログは今までどおり近くの自然について載せることにして、旅先の自然の記録は「そよ風に乗って」に載せ、その他諸々を「そよかぜ日記」に載せることにします。
 このブログに記事が載らない日は、もしかしたら「そよかぜ日記」の方に記事を書いているかもしれません。

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2009年12月28日 (月)

カンムリカイツブリ

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 昨日に続いて、大阪市と堺市の境を流れる大和川の河口付近にいた鳥、今日はカンムリカイツブリです。

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 この鳥も、以前大阪狭山市にある狭山池に来ているところを記事にしました(記事はこちら)が、今回はかなり近くに来てくれました。

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 この距離で夏羽が見られるでしょうか。3月が楽しみです。

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2009年12月27日 (日)

オカヨシガモ

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 上の写真、前がオカヨシガモのメス、後ろがオスです。
 カモは一般的にオスは美しい色をしていますが、オカヨシガモのオスは遠くから見ると、全体が薄汚れた黒っぽいカモです。 でも、近づいてみると、シックな美しい模様を見ることができます。 尾部は黒く、私のお気に入りは胸の細かい模様です。

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 メスは多くのカモたちのメス同様、茶色を基本としていて、特にマガモのメスに似ていますが、クチバシにオレンジ色の縁取りがあり、白い翼鏡があります。 なお、非繁殖期(エクリプス)のオスはメスに似た模様となるので、注意が必要です。
 日本へは、一部の繁殖地を除き、冬鳥として全国的に渡来します。 10月~11月には番を形成すると言われていて、12月23日に私が大和川の河口に観察に出かけた時には、多くのオカヨシガモはペアで行動していました。

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※ オカヨシガモの飛んだ時の羽の様子はこちらでどうぞ。

※ 大阪狭山市の狭山池で見たオカヨシガモの記事はこちらでどうぞ。

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2009年12月26日 (土)

ミサゴ

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 ミサゴは留鳥のタカですが、夏冬で少しは南北に移動し、北海道や北日本では夏に多く、西日本では冬に多くなります。 肉食でいろんなものを食べますが、主な餌は魚です。 ですから海岸などでよく見られる、ということで、ミサゴに会いに堺の海に行ってきました。
 ミサゴはたいへん長い翼を持ち、全長60cm前後ですが、翼を広げると155~175cm、つまり人が両手を広げたくらいの大きさになります。

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 下面は白っぽいタカですが、肉眼で見るとどうにかその白さを確認できるほどの大きさにしか見えない高さを飛んでいました。 そんな高さから魚を発見できるとは驚きですが、魚を発見するとホバリングして目標を定め、急降下して足で魚を捕まえます。
 NHK「ダーウィンが来た!」の'09年11月1日(日)の放送では、世界で唯一、水中に飛び込んで魚をとるタカとして、ミサゴの水中での様子もスローモーション映像で紹介されていました。
 そんな勇壮な狩を期待して行ったのですが、残念ながら今回は狩りを見ることができませんでした。 でも、飛んでいる勇姿はたくさん撮ることができました。

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 ミサゴは魚を捕るタカとして古来より知られていて、「日本書紀」にみえる「覚賀鳥」は、このミサゴのことだと言われています。
 また、生態学的には否定されているものの、ミサゴは狩りが出来ない時のために捕らえた魚を貯蔵し、その貯蔵された魚が発酵して旨みが増したものを人が食べたのが寿司の起源だという話もあります。
 和名の由来については、いろいろ言われていますが、一説には、獲物を捕らえる時のビシャッという水音に愛称の「コ」が加わり、「ビシャゴ」からきているのではないかとも言われています。
 いずれにしても大きな白い勇壮な狩をする鳥が目立たないわけは無く、生活場所も山奥ではないわけで、昔から特に海辺の人たちにとっては身近な鳥であったというのもうなづけます。

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2009年12月25日 (金)

オオバノイノモトソウ

 オオバノイノモトソウは山のふもと近くなどに普通に見ることのできるシダです。
 下の写真にはたくさんの葉が写っていますが、どれが1枚の葉かを理解し易いのは、左上の新しく出て緑の浅い3枚の葉でしょう。
 一般に、1枚の葉は軸状の「葉柄」と面状の「葉身」からできていますが、二つ以上の部分に分かれた葉身をもつ葉を「複葉」と言い、分かれたそれぞれの葉身を「小葉」と呼んでいますが、シダについては多くの場合、慣習的に小葉のことを「羽片」と呼んでいます。
 オオバノイノモトソウの1枚の葉に注目すると、葉柄に続く軸(「中肋」と呼んでいます)の左右に羽片が並んでいます。 このような複葉を「1回羽状複葉」と呼んでいます。 オオバノイノモトソウのそれぞれの羽片は、たいへん細長いものです。

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 上に書いたように、オオバノイノモトソウの羽片は細長いものですが、上の写真を見ると、特に細長いものと、それよりは少し幅の広い羽片が見られます。
 写真の左上の若い葉の下方には緑色が濃くなった葉があり、両者の羽片の幅は変わりません。 しかしそのすぐ右には、たいへん細い右辺を持つ葉があります。 じつは前者は「栄養葉」と呼ばれ、専ら光合成をする葉で、後者の幅の細い羽片を持つ葉は「胞子葉」とよばれていて、胞子はこちらの葉にのみ形成されます。
 下は今の時期のオオバノイノモトソウの胞子葉の裏側を少し拡大して写したものですが、胞子のう(=胞子を入れておく袋)は見当たりません。 でも、葉の縁が裏側に折れ曲がってきているのが分りますし、一部その折れ曲がった部分が破れていて、そこでは空気にさらされて枯れたようになっている胞子のうらしきものが見えています。

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 下はオオバノイノモトソウの胞子葉の裏側を3月下旬に撮ったものです。 裏側に折れ曲がった葉の縁に保護されるように、たくさんの胞子のうができています。 このように、オオバノイノモトソウでは胞子のうは葉の裏側の縁に形成され、葉の縁は裏側に折れ曲がって、胞子のうを保護しています。

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 オオバノイノモトソウは普通に見ることのできるシダですが、生活史を追いかけると有性生殖を行うものも無融合生殖を行うものもあり、染色体数にも多くの変異があるようです。 これらの遺伝的に異なるものが、分布や生態などにどのような異なる点があるのか、興味のあるところです。

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2009年12月24日 (木)

カヤネズミの巣

 カヤネズミはススキやオギなどのカヤ原に住むネズミです。 尾を含めない体の長さは5~8cmくらいで、ほぼ同じ長さの尾を持つ小さなネズミす。
 アカネズミやハタネズミなど、多くの野ネズミは土の中に巣を作りますが、カヤネズミは、ススキなどの草むらの地表から1mほどの高さの所に、直径10cmほどの球形の巣を作ります。 草の上に巣を作るネズミは珍しく、日本ではカヤネズミだけです。
 草を材料とした巣は、一見小鳥の巣のようでもありますが、カヤネズミの巣は出入り口が分りにくく、全体がほぼ完全な球形をしています。
 最近はカヤ原の減少と共に、その個体数を減少させていますが、堺自然ふれあいの森では、いくつかの巣が見られます。

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 巣の外側は裂いたススキなどの葉を編んで作られていますが、寒くなると巣の中にはチガヤの穂などが敷き詰められているようです。 でも、巣を壊してそれを確認することは止めました。

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2009年12月23日 (水)

ホラシノブ

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 シダにも夏緑性のもの、常緑のものなど、いろんな種類がありますが、木々が落葉した林床で、常緑のシダが目立つようになってきました。
 ホラシノブは常緑多年性のシダです。 漢字を当てると「洞忍」で、シノブに似て洞窟周辺の崖地などに見られるところからですが、別に洞窟に限らず、日当たりのよい乾燥ぎみの斜面など、あちこちで見られます。
 シダを見分けるポイントのひとつは胞子のう(=胞子が入っている袋:胞子そのものは肉眼では見えません)のつき方ですが、ホラシノブでは胞子のう群(=ソーラス)がポケット型の包膜に覆われています。
 下はホラシノブの葉の裏の拡大ですが、褐色のツブツブが胞子のう、胞子のう群を覆っている白っぽい膜が包膜です。

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 ホラシノブの葉は、これから寒くなってくると、条件によっては赤褐色になり、紅葉したように見える場合もあります。

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2009年12月22日 (火)

カワセミ(雌と雄)

 カワセミは、お腹が橙色で、橙色の部分は目の後ろにもあります。 そして頭から背中が光沢のある青緑色、喉(のど)とうなじに白色の部分があり、足は赤い色をしています。
 カワセミについては以前にも書きましたが、今回はメスとオスを並べてみました。 上記の色については、メスにもオスにも共通して言えることですが、メスとオスには次のような違いがあります。
 メスは全体的に雄より淡い色をしていると言われていますが、全体的な色はいろんな条件で変わってきますので、あまりはっきりしないように思います。 それよりも、下嘴のかなりの部分がオレンジ色をしています(下の写真)。 「クチベニ」をつけているのがメスです。

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 オスの嘴は全体が黒色でメスよりも長く、頭もメスより大きいようです(下の写真)。

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2009年12月21日 (月)

キジ

 キジは日本の国鳥です。 国鳥に選ばれた理由の1つは、狩猟対象として最適であり、肉が美味、ということのようですが、国鳥が狩猟対象となっているのは日本だけということです。
 キジは身近な鳥です。 春の繁殖期にはよくオスの声を聞きますし、里山と農耕地の混じったような所を歩いていると、1年に何度も出会います。 でも、そのほとんどの場合、キジが私を先に発見し、飛んで逃げるというパターン。 じっとしているのに気付かず近づき、足元から飛び立たれて驚いたこともありましたが、撮れずに終りました。 先日も車の前を横切られ、慌てて車を止めて探しましたが、見つかりませんでした。
 写真のオスは11月上旬に撮ったものですが、たまたまキジが脱穀した後の稲わらの陰に隠れたので、そっと近づくことができました。

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 でも、すぐに飛んで逃げられました。

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 動物は多かれ少なかれ個性を持っていますし、気分もその時の条件により変化します。 早く私の接近を許してくれるやさしいキジさんに会いたいものです。

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2009年12月20日 (日)

ウド(晩秋の姿)

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 夏に白い小さな花をたくさん咲かせていたウドが、花茎は赤く(上の写真)、葉は黄色に(下の写真)、美しく紅葉していました(12月13日、堺市南区畑にて撮影)。

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 ウドはウコギ科タラノキ属に分類されています。 ウコギ科といえばヤツデもウコギ科で、ウドの実(下の写真)を見ればなるほどヤツデに似ていますし、もちろんタラノキにもよく似ています。

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 「ウドの大木」という言葉は、大きいのに木材にはならず、役に立たないという意味で使われますが、春にはタラノキ属だけのことはあって山菜として利用できますし、これだけ紅葉で目を楽しませてくれれば十分です。

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2009年12月19日 (土)

ウスモンミドリカスミカメ

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 ハキダメギクにいたカスミカメの仲間です。 小さなカメムシですが、この時期でもちゃんと動いていました。(12月13日撮影)

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 かりしうすさんによると、この時期まで活動しているのはウスモンミドリカスミカメだと思うが、ツマグロアオカスミカメやコアオカスミカメなどの可能性もあるとのことです。 ウスモンミドリカスミカメなら後脚基部を明らかに越える長さの口吻を持っているということですが、肝心の口吻の先端が写っていません。

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2009年12月18日 (金)

ハキダメギク

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 写真は12月13日に撮ったものです。 ハキダメギクは夏の終わりから秋に咲くといわれていますが、まだ咲いていました。
 ハキダメギクは熱帯アメリカ原産の1年性の帰化植物です。 和名は牧野富太郎が世田谷の掃き溜めで発見したからと言われていますが、牧野先生がハキダメギクと言っておられたのは、ハキダメギクによく似たコゴメギクだったのではないかとも言われています。
 かわいそうな名前をつけられていますが、なかなか端正な花を咲かせます。 頭花の周辺にある舌状花は5つで、花冠は3裂しています。 その中央部には、黄色いたくさんの筒状花があります。
 葉は対生し、葉にも茎にもたくさんの毛が生えています。

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2009年12月17日 (木)

ツチグリ

 ツチグリは夏から秋に林内の道端や崖などにみられるキノコです。 胞子を入れた扁球形の袋の外側に外皮があります。 胞子が未熟なうちは白く、食べることもできますが、成熟してくると黒褐色になり、粉っぽくなってきます。
 下は10月に撮ったもので、成熟したツチグリが、適度に湿り気を帯び、数片に裂けた外皮が星型に開き、外皮が反ったことでひび割れた外皮内側の網目模様がきれいに見えています。 胞子を入れた扁球形の袋の中央には小さな穴が開いていて、ここから胞子が出ます。

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 外皮の外側は黒っぽい色をしています。 外皮は乾燥すると閉じて胞子の袋を包み、全体が球形になります。 下は12月13日に撮ったものですが、4つ(そのうち1つは小さい)のツチグリが写っていて、胞子はどれも十分成熟しているのですが、冬の乾燥で外皮を開くチャンスが無いまま、開く能力を失ってしまっているようです。

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 近くには胞子を飛散させてしまって袋もなくなり、白っぽくなった外皮だけが残っているものもありました。

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※ ツチグリ(ツチグリ科)によく似たヒメツチグリ科のフクロツチガキ(?)については、こちらに書いています。

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2009年12月16日 (水)

ビワの花

 あちこちでビワの花を目にする季節になりました。

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 ビワの花の盛りは11月~12月で、まさしく冬の花、花の少ないこの季節に、虫たちにとっては貴重な花です。
 反対にビワが結実するためには花粉を媒介してもらう虫たちに来てもらわねばならず、虫たちの活動が低下する寒い日が続くと、結実する率が低くなるようです。

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 ビワの花柄やガクには、寒さ対策でしょうか、たくさんの毛が生えています。 下は咲いたばかりのビワの花ですが、花弁の表側にも毛があるんですね。
 下の写真を見ると、オシベばかりが目立ち、メシベは見えません。

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 上の写真の花の断面を作ってみました。 オシベはまだ花粉を出していないように見えます。 メシベはオシベのドームに守られるように、その奥にありました。

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 下は古い花で、オシベは枯れかけています。 こうなると、メシベも花の外側から見えるようになります。

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2009年12月15日 (火)

ヒラタヒメバチ

 自宅の壁で、寒さで動きの鈍くなっているヒメバチの1種をゲット。

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 ヒメバチの仲間は他の昆虫の幼虫や蛹、クモなどに寄生して、それらを殺してしまう(捕食寄生)ハチです。 触角は糸状で長く、多くの節(13節以上)でできています。 撮影中もこの細長い触角を絶えず小刻みに震わせていました。
 多くの種類では、胸部から腹部にかけて細く、連結部は極端に狭くなっています。 軽く触れてやると、興奮して翅を持ち上げました。 こうしてくれると、その様子がよく分ります。

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 北海道農業研究センター小西和彦氏の「日本産ヒメバチ目録」によれば、日本産のヒメバチは1,400種以上にもなるということです。
 私の手元にはそれ以上調べる資料も無いのでネットで質問したところ、ヒラタヒメバチ属( Pimpla属 )の一種で、イチモンジヒラタヒメバチ、マイマイヒラタヒメバチ、クロフシヒラタヒメバチあたりだろうという回答をいただきました。 これらの種の同定にはさらに詳しい形態の観察が必要なのですが、既に逃げられていますので、ヒラタヒメバチ(の1種)としておきます。

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2009年12月14日 (月)

ハクウンボク(葉柄内芽)

 ハクウンボクはエゴノキ科に分類され、エゴノキと同様、花の時期には白い花をたくさん咲かせます。 和名はその様子が白雲たなびくようにみえるところからの名前です。
 いろんな木々が落葉する中、かろうじて枝先に数枚の葉をつけているハクウンボクがありました。

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 このハクウンボクの冬芽を観察しようと葉の腋を拡大してみても、冬芽は見つかりません(下の写真)。

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 じつはこのハクウンボクの芽は葉柄の中にあります。 大切な芽がちゃんと育つように、葉があるうちはその葉柄が保護しているようです。
 下は葉を引っ張って、中の芽が少し見えるようにしたところです。

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 下は葉を完全に取り除いたところです。 ハクウンボクは枝や葉柄にたくさんの毛(星状毛)が生えていますが、芽にもたくさんの毛が生えています。

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 下は自然に落葉して時間が経った芽です。 毛は完全に乾いています。よく見ると大小2つの芽(ほんとうは3つの芽)がぴったりくっついています。 春になると通常は大きな芽だけが伸びるのですが、もしも大きな芽がダメージを受けると小さな芽(これを「副芽」と呼んでいます)が伸び始めます。

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 ハクウンボクは芽を葉柄で保護し、さらにはもしもの時に備えて副芽を準備しています。 なぜそこまで芽にこだわっているのか、ハクウンボクの生き方からその理由を探りたいものです。

 

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2009年12月12日 (土)

ホオジロガモ②

>> ホオジロガモ①

 ホオジロガモのオスの頭は黒色と言っていいのでしょうが、羽毛の物理干渉の結果でしょうか、様々な色に変化します。 ちなみに、ホオジロガモのメスは顔が茶色で、頬の白い斑は無く、嘴の先端が黄色くなっています。

 下の写真(クリックで拡大します)は、みんな同日に千里の池で撮ったオスの同一個体です。

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   黒

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   紫がかった黒

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   緑がかった黒

 また時には、頭の毛を立てることもあります。

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 この表情、シンプソン一家のホーマーを連想してしまいました。 (映画版「ザ・シンプソンズ」('08年)の予告編はこちら。)

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2009年12月11日 (金)

ホオジロガモ①

 ホオジロガモは旧北区亜種と新北区亜種に分けられますが、両者を合わせると広く北半球に分布するカモです。 日本にも冬鳥として渡来しますが、多くは北日本までで、本州中部以南には少数しか渡来しません。
 ホオジロガモは潜水ガモで、大阪付近で越冬するものは主に海にいるのですが、海ガモとしてはそんなに深く潜水できるカモではなく、時には海よりも浅い池などの淡水域にも飛来します。
 そんなホオジロガモのオス1羽が大阪府の千里の公園の池に来ているというので、見に行ってきました。

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 一般的に潜水ガモは、水面採餌ガモに比べると水上に出ている体の部分が少なく、尾が水に浸かっていて(上の写真)、体が重い印象です。 でもその分、潜水は得意で、写真を撮っている時も、水上よりも水中に長い時間いました。 1度潜ると、20秒ほど水中にいます。

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ホオジロガモ② へ >>

 

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2009年12月10日 (木)

サンカノゴイ

 サンカノゴイはヨシ原や湿原で生活する鳥です。 北海道では夏鳥として、本州以南では年中いて、冬には北から渡ってくるものが加わり、少しは個体数が増えるのですが、それでも少数のうえに活動は主に夜で、昼間はヨシ原などに潜んでいて、なかなかその姿を見ることができません。
 「サンカノゴイ」の語源についても、よく分らないのですが、昔はヨシ原などの湿地は人の住みにくい所で、人里離れた山家(さんか)の五位鷺(ゴイサギ)からきているのではないかとも言われているようです。

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 写真は大阪南港の野鳥園で撮りました。 ここには広いヨシ原があるのですが、その中に入り込まれると、どこにいるのか分らなくなってしまいます。
 体色は黄褐色の地色に黒褐色の斑が散在しています。 足は黄緑色、頭頂と顎線は黒褐色で、胸には暗褐色の縦斑があります。 頸を伸ばすと、この縦斑が葦の茎と混じり、いっそうからだのシルエットが分りづらくなります(下の写真)。

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2009年12月 9日 (水)

タカノツメ(短枝と長枝)

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 里山ではタカノツメが美しく黄葉していました。 美しさもさることながら、なかなかおもしろい葉のつき方をする木です。 今回はその葉の付き方と枝ぶりに焦点を当ててみることにします。 でも、その前に、「タカノツメ」の名前についてですが、これは芽の形が鷹の爪に似ているところからと言われているのですが、どうでしょうか。

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 話を葉の付き方に戻します。 あまり葉が多いと何がなんだかよく分らないので、葉の重なりの少ない所を撮ったのが下の写真です。

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 タカノツメの葉は3枚の小葉からなる3出複葉で、多くの葉は束生しています。 上の写真の中央では、7枚の葉が束生していますが、その付け根付近の枝の様子が他の部分と少し違い、他の枝の部分のように滑らかではありません。
 下はそのことがよく分るように枝を撮ったものですが、葉が束生している付け根付近(⑤の場所)はやはりゴチャゴチャしています。 でも、下の写真では、⑤と同じような場所が、滑らかな枝の途中の②にも見られます。

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 上の写真の枝の成り立ちを読み取ると、次のようになります。
 ①の方向から伸びてきた枝は、伸びる速度を落とし、葉をたくさん付けだしました。 葉は束生しているように見えます。 そして秋、きっとこの葉もきれいに黄葉し、芽を残して葉を落としたことでしょう。 これでこの写真の枝の1年目の秋は終わりです。
 翌年の春、この芽を覆っていた芽鱗が取れ、枝が伸びだしました。 ②は上記の束生していた葉と芽鱗の取れた跡です。
 枝は④の方向にどんどん伸びます。 途中、葉はほとんど付けませんが③の所には1枚の葉を付けました。 このように葉をほとんどつけずにどんどん伸びる枝を「長枝」と呼んでいます。
 ③の位置にある1枚の葉の腋には腋芽ができました。 そして③の位置の葉は落葉し、その跡が③に残りました。 これでこの写真の枝の2年目の秋が終わりました。
 次の年の春、③の位置にあった葉の腋芽が伸びだしたのですがほとんど伸びず、どんどん葉をつけます。 本来は互生の葉ですが、葉と葉の間の枝がほとんど伸びないものですから、葉は束生する状態となります。 このようにほとんど伸びずに葉をたくさんつける枝を「短枝」と呼んでいます。 そして秋、葉は落ちてこの写真の枝の3年目の秋が終わり、次の年の春に芽鱗が落ちて⑤のようになりました。
 ⑤の先の枝もあまり伸びず、たくさんの葉をつけています。 短枝です。 それがこの写真の状態です。
 短枝はこのように昨年の短枝の続きに今年の短枝と、何年も続くこともありますし、急に長枝になることもあります。
 短枝と長枝については、メタセコイアの所でも記事にしました。 しかし、このタカノツメの場合は、短枝と長枝がもっと極端に違っています。 タカノツメはこのように短枝と長枝がはっきりとしていて、最初の写真のように、枝のあちこちに葉の束がついたような、独特の姿を見せることとなるのです。

 今日は枝に残されたその木の生い立ちの記録を読み取ることにチャレンジしてみました。

 

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2009年12月 8日 (火)

御堂筋のイチョウ

 大阪のキタとミナミ(大阪駅周辺と難波周辺)を結ぶ御堂筋、大阪近郊の方にはよく知られていることですが、道の両側には約900本のイチョウが植えられています。 そのイチョウが美しく黄葉し、人々の目を楽しませています。

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 上は12月6日の12時36分に撮った写真です。 御堂筋は全6車線の幹線道路ですが、南行きの一方通行です。 12月上旬の晴れた日のお昼前後にここを車で走ると、ちょうど逆光気味になり、黄葉のフィルターを通過した光がきらきらと輝いています。
 もちろん、車の後ろにも黄色の並木が続きます(下の写真)。

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【 関連項目 】
 春のイチョウの展開前の折り畳まれている葉の様子や花の様子などはこちらでどうぞ。

                

※ この黄葉が散った後に、今年('09年)は「御堂筋イルミネーション」がはじまります。 これは大阪府の主催で「大阪の将来を輝かせるために、もっと大阪を明るく元気にするために」行われる光によるイチョウの幹の装飾などで、12月12日(土)から1月31日(日)までの午後5時から11時まで、淀屋橋から中央大通までの約1.2㎞で行われます。

 

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2009年12月 7日 (月)

クビキリギス

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 写真は、秋も深まり、間もなく死に行く哀れな姿・・・ではなさそうです。
 このクビキリギスは、秋に成虫になり、そのまま越冬に入り、翌春から初夏にかけて交尾や産卵などの活動を本格的に行う昆虫です。 ですから写真の個体は、生殖活動を終え、長生きしてまさしく死に行く個体である可能性も否定はできませんが、むしろ生まれたばかりの個体である可能性が高いようです。
 クビキリギスの成虫の体長は6cm前後、体色は写真のような褐色と、緑の2つのタイプがあります。(体色が緑色の個体はこちらに載せています。) 頭部は著しく前傾して頂部は尖り、口の周囲が赤くなっていて、「血吸いバッタ」と呼ばれることもあります。

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 体色が緑か褐色かは、このクビキリギスの場合は、終齢幼虫のときの湿度で決まることが知られています。 湿度が高い環境で終齢幼虫の時代を過ごした成虫は緑色になるのですが、湿度が高い場合は周囲の植物が緑色である可能性が高く、保護色となり、また、湿度が低い場合には枯れ草の環境である可能性が高く、茶色が保護色となる可能性が高い、ということのようです。
 食べ物は雑食性ですが、植物食の傾向が強いようです。 顎の力が強く、秋に実るイネ科の硬い殻に守られた種子なども食べることができます。
 クビキリギスの名前は、手などに噛みつかれた時に、あわてて強く引くと、上記のように噛み付く力が強いために、首が切れてしまうことがあるところからのようです。

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2009年12月 5日 (土)

レオノチス

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 レオノチスは、南アフリカ原産のシソ科の常緑低木です。 学名は Leonotis leonurus、英語では lion's-ear(ライオンの耳)と呼ばれています。

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 花期は晩秋から初冬にかけてで、花期が遅いため、戸外での花は関東以南でしか見ることができません。 ただ、強健で、日当たりが良ければ、乾燥したやせ地でも良く育つ植物です。

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 写真は私の家の近くで撮ったものですが、晩秋の農村に不思議とよく似合っていました。

 

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2009年12月 4日 (金)

タチカモメヅルの葉の上で

 タチカモメヅルの葉の上に、アリが1頭。

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 でも、このアリ、どうも動きがおかしい。 普通のアリのようにセカセカしていません。 蜜も無い場所で、どっしりと構えています。 働き疲れて休憩中のようにも見えますが・・・。
 大きさは普通に見るアリの大きさ、少なくとも肉眼で見ると上記のようにしか見えませんでした。
 でも、動きがおかしいので、もしかしたら・・・と思い、カメラのファインダーを通して拡大してみると、予感的中!

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 触角のように見えていたのは、頭部の先端から生えている触角ではなく、持ち上げている足でした。

 これまで何度かアリグモについて、記事にしてきました。 アリグモのオスは発達した大顎があるので、アリの頭部とは肉眼でも少し違って見えます。 蛾をくわえたアリグモのメスも記事にしましたが、アリが1頭で蛾をくわえていることもありません。
 それらに比べて、今回の1頭でいるアリグモのメスは、肉眼的にはほんとうにアリそっくりでした。
 でも、正面から拡大して眼に光が入ると、まさしくハエトリグモの仲間の顔ですね。

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 以前にもタチカモメヅルの葉の上でアリグモのオスを見つけて、写真を載せています。 タチカモメヅルにはアリグモの好む何かがあるのでしょうか。

 

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2009年12月 3日 (木)

ヘクソカズラの実

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 以前にヘクソカズラの花を記事にしましたが、今回はその果実です。
 秋に黄褐色であった実は、冬の訪れとともに光沢のある茶褐色になってきます。 寒さに当たることで、特有の臭気も薄れてくるようです。

 

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2009年12月 2日 (水)

ホシヒメホウジャク

 ホシヒメホウジャクは日本全土に分布しています。 成虫は6~11月に見られ、昼間に花の蜜を求めて飛び回ります。

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 壁にとまっているホシヒメホウジャクを見つけました。 時間は朝の9時少し前、寒さのために飛び立てないようでしたので、手乗りにしてみました。

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 仲良くしようとしたのですが、お気に召さなかったのか、翅を細かく振動させ始めました。 これは筋肉運動をして体温を上げようとする行動です。 しばらくすると温まったのか、元気に飛んでいってしまいました。
 後翅が複雑な形をしていて前翅の下からはみ出していて、全体として翅が縮れているように見え、これでちゃんと飛べるのかと思いますが、さすがにスズメガの仲間、なかなかしっかりした飛び方をします。
 幼虫の食草はヘクソカズラです。

※ 同じホウジャクの仲間で、よく見るホシホウジャクは、こちらで記事にしています。

 

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2009年12月 1日 (火)

クロメンガタスズメの幼虫

 11月7日、庭のムラサキシキブに終齢幼虫に脱皮したばかりのクロメンガタスズメの幼虫を見つけました。

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 脱皮殻の透明感のある尾角が気に入って、拡大して1枚。 なお、メンガタスズメの幼虫とクロメンガタスズメの幼虫はよく似ていますが、この尾角のS字カーブはクロメンガタスズメの方がよく曲がっているようです。

Kuromengatasuzume091107_2

 幼虫はムラサキシキブの葉を食べて生長、下は11月15日の様子です。 かなり黒っぽくなってきました。 なお、クロメンガタスズメの幼虫には様々な色の変異があるようです。

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 そろそろ室内飼育に切り替えようと思っていた矢先、姿が見えなくなりました。 クロメンガタスズメの幼虫は土に潜って冬を越すということですので、潜ってしまったのか、鳥に食べられてしまったのか・・・。 親の姿も撮りたかったのに、残念です。
 ちなみに成虫は夏に羽化するようですが、休日しか観察できない私にとって、この幼虫が無事成虫になったとしても、その姿に再会できる可能性はきわめて低いものでしょう。

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