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2009年11月30日 (月)

コカマキリを食べるオオカマキリ

 11月上旬の出来事をもう1つ、そこにコカマキリがいることは認識していました。 そして少し離れた所にオオカマキリも。 2種類のカマキリが揃っている・・・ 特に珍しいカマキリでもないし・・・ 私が思ったのはそれだけでした。
 しばらく他の観察をしていると、バサッという音、振り返ると、オオカマキリがコカマキリを捉えて食べていました。

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 コカマキリとオオカマキリ、体の大きさがどれほど違うのか、比較しやすい角度で写したのが下の写真です。

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2009年11月29日 (日)

オオモンクロベッコウ

 11月も下旬になると、虫を見ることも少なくなります。 今日私が見た元気に動き回っていた昆虫は、ニホンミツバチとハエの仲間だけでした。 多くの種類の虫の活動を見ることができるのは11月上旬までのようです。
 このオオモンクロベッコウも11月7日に撮ったものです。 このハチは夏に活動するのですが、この時は色づき始めた葉の上で、まだ元気に動き回っていたのですが・・・。

Oomonkurobekkou091107_3

 オオモンクロベッコウはベッコウバチの仲間で、地面に掘った穴に、毒針を刺して麻酔したクモを入れ、そこに卵を産み付けます。 が、この日は余生を楽しむように、陽だまりでゆっくり体のお手入れでした。

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 拡大してみると、けっこう丈夫な体のような印象を受けます。 クモとのバトルに耐えられるようになっているのでしょうか。

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2009年11月28日 (土)

ベニチョウジ

 私の家の近くにある昔からの村の道脇にベニチョウジ(=ケストルム : Cestrum elegans )が植えられていて、たくさんの花をつけていました。 寒くなってきたこの時期に、熱帯を感じさせる真っ赤な露地植えの花を見ると不思議な感じがします。

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 このベニチョウジ(ケストルム)は、メキシコ原産のナス科の常緑低木で、明治時代に日本に入っています。 花の雰囲気に似合わず(?)、日陰でもよく育ち、耐寒性もあり、強い霜がなければ路地でも冬を越します。 花は通常は夏に咲くのですが、温度さえあれば年中開花しています。
 ベニチョウジと同じ Cestrum属の木にヤコウカ(夜香花)またはヤコウボク(夜香木)があり、このためベニチョウジもベニバナヤコウカの別名を持っていますが、ベニチョウジは特に強い香りはありません。

Cestrum091107_2

 この木の名前として、上にはベニチョウジ、ケストルム、ベニバナヤコウカの3つの名前を挙げましたが、主に園芸的に扱われる植物はよく名前の混乱が起こります。 ミソハギ科のタバコソウ( Cuphea ignea )もベニチョウジと呼ばれることがありますし、ベニバナヤコウカの名前の元になったヤコウカについても、ガガイモ科のトンキンカズラ=イエライシャン(夜来香:歌曲のタイトルにもなっている)がヤコウカと呼ばれることもあります。

 

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2009年11月27日 (金)

コバネイナゴのカップル

 少し古い日付けと、最初からタイトルと一致しない写真になりますが、11月7日、この日は出会うオンブバッタが、ほとんどカップルで、その名前のとおり、メスがオスをおんぶしていました。 写真を撮るために追い回しても、2頭は容易には離れませんでした。

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 そして同日、コバネイナゴもオンブバッタ同様、メスがオスをおんぶしていました。 離れようとしないのも同様です。 

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 イナゴの仲間は、コオロギの仲間やキリギリスの仲間のように、メスは長い産卵管を持っていません。 雌雄は詳しくは生殖器の構造を見ると区別できますが、パッと見たところでは大きさ以外には大きな違いはありません。

Kobaneinago091107_2

 

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2009年11月26日 (木)

ウシハコベ

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 ミドリハコベやコハコベ(以下、この2種を一緒にして「ハコベ」と書きます)にそっくりですが、少し大きなウシハコベ、「ウシ」は「大きな」という意味なのでしょう。
 5枚の花弁が深く2裂していて10枚の花弁があるように見えることや、茎の片方に毛の列があることなどはハコベと共通です。 ウシハコベがハコベと違うのは、ハコベのメシベが3本に分かれているのに対し、ウシハコベのメシベは5本に分かれていることです。 ルーペで見なければはっきり見えないような小さな違いですし、下の写真のように白いオシベが白いメシベに寄ってくるとますます分りにくくなるような違いですが、子孫を作る大切な場所に関係した違いですので、重視しなければならない違いです。
 花は春に多いものの、暖地では年中花を見ることができ、麦の栽培とともに伝来した史前帰化植物の1つとされています。
 節部のあたりは、下の写真のように暗紫色にそまる場合が多いようです。

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2009年11月25日 (水)

キアシナガバチの顔

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 以前、キアシナガバチの吸水の様子を記事にしましたが、今回はお食事の様子を・・・。 同種の体の模様の個体差がどの程度なのかについても、何度か別個体の写真を載せることは意義があると思います。
 食事に夢中の虫には撮りやすいもの。 熟し柿に夢中のキアシナガバチも、近づきすぎて飛ばれても、すぐに戻ってきます。
 でも、睨まれることも・・・
 (上の写真と下の写真は同一個体です。)

Kiasinagabachi091107_1

 頭部を上から見た場合と顔の正面から見た場合とで印象のかなり異なる昆虫もたくさんいます。 エンマコオロギの場合もそうでしたが、このキアシナガバチの場合も、名前のとおり全体が黄色っぽい印象ですが、顔の正面から見ると黄色の印象がさらに強まります。
 アシナガバチの種類を見分ける便利な着眼点の1つにアンテナの色があり、キアシナガバチの場合はアンテナの付け根に近い所が黒いのですが、それは上から見た場合のことであって、顔の正面から見てアンテナの下側を見ると、アンテナも黄色一色です。

 

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2009年11月24日 (火)

マルバノキの花

 マルバノキは、町の中でもきれいに紅葉する数少ない木として、最近は庭や公園などに植えられることも多くなりました。
 紅葉ばかりに目が行って、花は小さくてあまり注目されませんが、なかなか変わったおもしろい花です。
 花の咲く時期も紅葉の始まる時期と同じ頃で、こんな時期に花を咲かせる落葉樹は少ないでしょう。

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 マルバノキは、ベニマンサクという別名を持つように、マンサク科に分類されています。 マンサク科の植物には、そんなに大きな花をつける種類は無く、小さな花を集合させて咲かせる傾向があります。 マルバノキはそれが2つの花だといえばそれまでなのですが、2つの花をぴったり背中合わせにくっつけて咲かせる植物は、あまり他では見つけることはできません。 上の写真は1つの花の正面から撮ったものですが、2つの花が背中合わせにくっついていることを知らなければ、何がどうなっているのか、不思議な感じがするでしょうね。
 2つの花が背中合わせにくっついていることは、ツボミを見る方がはっきりするかもしれません。 下の写真の中央右下の2つのツボミのうちの1つはほころびかけています。 左上では、2つセットのツボミが花芽の鱗片の間から顔を出しています。

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2009年11月23日 (月)

11月のオニヤンマの羽化

 11月21日、朝の散歩でトンボらしきものの羽化を見つけました(下の写真)。 カメラに記録された時間を見ると、8時50分となっています。

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 この日は昼に用事があって出かけ、戻ってから気になったので再度見に行くと、短かった腹部も伸びて、色も黒と黄色の縞模様となり、立派なオニヤンマに変身していました(下の写真)。 腹部の端末には産卵弁も確認できるので、メスです。 時間は15時25分でした。
 オニヤンマの複眼は緑色なので気にはなるのですが、複眼の色はこれから変化するのか、オニヤンマの標本の複眼は黒褐色ですので、もしかしたら低温が影響しているのかもしれません。

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 場所は私の住む泉北ニュータウンにいくつかある隧道の1つです。 泉北ニュータウンは丘陵地を開発して作られた町で、この隧道も丘陵地の高低差を利用して、自動車道の下で立体交差する歩行者専用道路に作られたものです。 この隧道内部の両脇には排水溝があり、この排水溝は、いつも湧き水が流れている水路につながっています。
 たぶんオニヤンマのヤゴはこの湧き水の流れる水路で育ったのでしょう。 いくら湧き水で水温がある程度維持されているとは言え、オニヤンマの羽化が見られるのは通常は6月頃から9月頃までですので、11月の20日過ぎにオニヤンマの羽化が見られるのは例外的なものでしょう。 さすがに低温のために脱皮してから飛び立てるようになるまでに時間がかかっているようです。
 オニヤンマのヤゴの期間は5年といわれており、その間に10回ほど脱皮するようです。 やっと成虫になったこの変温動物のオニヤンマが、この気温ではたして元気に飛び回れるのか、心配です。
 とにかく、こんな時期にもオニヤンマの羽化が見られることもあるのだという記録として、記事にしておきます。

【 オニヤンマについて 】
 オニヤンマは日本最大のトンボで、日本全国で見ることができます。 夏には往復飛翔をする姿をよく見るのですが、なかなか写真には撮れません。
 オニヤンマの複眼は1点で接するのみです(下の写真)。 体色は黒に胸の側面や腹の節ごとに黄色の縞模様が入りますが、胸の背面前方にも黄色の逆さ「ハ」の字模様があり(下の写真)、これが鬼のつり上がった目を想像させることから「オニヤンマ」の名前がつけられたとも聞いています。

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 上の写真には、白い糸状の「気管の脱皮殻」もきれいに写っています。 これに関しては、こちらで記事にしています。

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2009年11月22日 (日)

ムベ

 ムベはアケビの仲間ですが、アケビやミツバアケビなどが落葉性であるのに対し、常緑です。
 果実はアケビに似ているのですが、果皮は薄く、その果皮の内側にかたい乳白色の層があり、アケビの果実のように裂けることはありません。
 内側には甘い果肉に包まれたたくさんの黒い種子と、その間を埋める甘い果汁が入っています。 果肉と種子を分けるのは難しく、ムベにすれば果肉と一緒に種子を食べてもらって糞といっしょに出してもらう狙いでしょう。
 人にとっては果実が裂けないので日持ちのする果実ですが、アケビよりは少し小さく、種子を食べたくない人にとっては食べにくい果物ですので、店先に並ぶことはあまりありません。

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 花は5月で、雌雄異花ですが、アケビやミツバアケビほど雌花と雄花で花の大きさが異なることはありません。 下は雄花で、右端には果実になりかけのものが写っています。

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 ところで、「宜(むべ)なるかな」という言葉、「いかにももっともなことだ」という意味で使いますが、この言葉とムベとの関係について、わんちゃんからの私信をもとに調べてみますと、次のようなおもしろい話がありました。
 昔、天智天皇が近江八幡市の近く、蒲生野の狩りに行幸の折、出会った老夫婦に長寿の秘訣を尋ねたところ、この地で採れる霊果を食するからだとの答えに対し、天智天皇はこれを食され「むべなるかな」と得心され、「例年貢進せよ」と命じられたということです。
 「むべなるかな」が先か、「ムベ」が先か、つまりこの時からこの果物が「ムベ」と呼ばれるようになったのか、「ムベか、なるほどよくわかった」ということであったのか、いずれにしても、植物の「ムベ」がこの故事に関係しているのは確かなようです。 ちなみに、近江八幡市北津田町では今でもムベを皇室に献上しているそうで(毎日新聞'09年10月27日地方版)、天智天皇を御祭神とする近江神社にもムベが献納されているようです。

 

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2009年11月21日 (土)

11月のモンシロチョウ

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 上の写真はモンシロチョウのオスで、下がメスです。 オスとメスの違いは、オスの方が前翅の黒紋が小さく、前翅全体を見ても、黒い部分少なくなっています。 なお、春に発生する成虫は夏に発生する成虫よりも白っぽいので、上記は同時期のオス・メスを比較した場合の話です。
 では、春型と夏型が混在する時期には、モンシロチョウは雌雄を見分けられるのでしょうか。 人の目にはモンシロチョウの雌雄差はわずかですが、モンシロチョウの眼は人には感じることのできない紫外線領域の光を感じることができます。 この紫外線領域の光はメスの翅で強く反射されるため、モンシロチョウ間では年間を通して雌雄差は歴然としているようです。

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 モンシロチョウは春から秋まで、産卵 → 幼虫 → 蛹 → 成虫 というサイクルを、年に数回繰り返します。 大阪付近では最後の産卵は11月中旬あたりで、この後、冬は蛹で越冬しますが、幼虫のまま越冬することもあるようです。
 上のメスも、卵を産み付けるような姿勢を何度か取っていました。 近くには幼虫の姿も見ることができました(下の写真)。

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 7月15日の記事で、モンシロチョウのメスがオスに出会った時の行動を書きました。 11月のこの日もオスがメスの近くを飛ぶこともあったのですが、このような行動は見られませんでした。 季節的なものなのか、成虫になってからの日数なのか、とにかく生物の行動の理解は一筋縄ではいきません。

 

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2009年11月20日 (金)

オオバコ

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 オオバコは維管束が丈夫で踏みつけに強く、人が歩くやや湿りがちの道などに見られます。 葉は根生葉のみで、地面に接して葉を広げています。 「オオバコ」は「大葉子」で、「子」は親しみを込めて付けられたものでしょう。 踏みつけが弱くいろんな植物が育つことのできる場所では、他の草に覆われて光合成が十分できずに負けてしまいます。
 私の幼少のみぎりには、舗装された道などはほとんど無く、通学路にはたくさんのオオバコが生えていて、その丈夫な花茎を根元から取り、二つ折りにして互いに引っかけあって引き合い、切れた方が負けという遊びをよくやっていました。

 そのオオバコは、今、種子散布の時期を迎えています。 種子散布の仕組みも、果実の様子も、なかなかおもしろいものです。 ただし、ルーペを用意しなければなりませんが・・・。

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 上は果実がたくさんついている花茎の一部を拡大したもので、種子はほぼ完成していて、いちばん上の果実では、もう種子が出てしまっています。 オオバコの果実では、そんな時期でも、ユニークな花の様子が理解できる程度に残っていることがよくあります。 上の写真でも、さすがにオシベは枯れてありませんが、花がほぼ原形を保ったまま、果実の薄い果皮にピッタリとくっついたようになっています。
 オオバコの花の下には1枚の包葉があります。 ガク片は4枚で、それぞれのガク片の主脈は丈夫になっていますが、そこから左右に広がる部分は膜質で、互いに重なり合い、くっつきあっています。 花弁は合弁で、花冠は先に向かうほど細くなり、先端のみ小さく4裂しています。

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 熟した果実は、外側にガクの残っている場所のすぐ上で、横に割れ(蓋果:がいか)、中には4~6個の種子が入っています。 下の写真は、ほとんどの果実が種子を放出してしまい、残った1つの果実の蓋(ふた)がまさに取れようとしている所で、4個の種子が見えています。

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 下は種子と果実の蓋です。

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 この種子を掌に受け、下を向けても、種子は落ちません。 種子はくっつきやすい性質を持っています。 と言っても、写真のようにトゲなどがあって物理的に物に引っかかるようなしくみではありません。
 オオバコは別名「車前草(しゃぜんそう)」と呼ばれています。 車といっても昔につけられた名前のこと、牛車や馬車のことですが、これらが通ろうとする前にある草、という意味です。 最初の所で人が歩く道に多いと書きましたが、これらの理由は、種子が靴や車輪にくっついて散布されるからです。
 下はオオバコの種子に水をたらしてしばらく置いたものです。 光の当て方がまずくて変な影が入ってしまいましたが、種子の周囲に透明な層ができています。 この部分には粘性があり、この粘着物質によって、オオバコの種子はいろんなものにくっつくことができるのです。 水の中に入れなくても、種子の表面が粘性を持つだけなら、ほんの少しの水分でよいようです。

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 オオバコの成熟種子、花期の全草を乾燥したものは、それぞれ車前子(しゃぜんし)、車前草(しゃぜんそう)という名の生薬で、日本薬局方に収録されていて、消炎、利尿、止瀉作用などがあります。

 

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2009年11月19日 (木)

リスアカネ

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 リスアカネは翅の先端に褐色の斑紋がある赤トンボです。 赤くなるのは成熟したオスで、腹部の黒斑は背面まで回り込まず、第7節~第9節の黒斑がつながっているように見えます。 メスは褐色で、ノシメトンボに似ていますが、腹部はノシメトンボより太く、ノシメトンボに見られる眉班がありません。
 リスアカネの成虫は、6月下旬ごろから11月下旬ごろまで見られます。 周囲を林に囲まれた池沼など、比較的自然度が高い環境で見られ、あまり遠くまで移動することはありません。
 写真は11月7日に「堺自然ふれあいの森」で撮りました。 ここは里山の保全を目指して公園化されている場所で、雑木林の間に小さな池沼が点在し、小規模ながら田畑も作られるなど多様な環境が準備されていて、周囲の里山や田畑を含め、トンボの種類の多い場所でもあります。 写真を撮ろうと近づいて飛ばれても、すぐに近くの別の場所に止まるということを、何度も繰り返してくれました。
 和名の「リス」は、スイスのトンボ学者の名前に由来するものです。

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◎ リスアカネの胸部の模様がよく分かる写真をこちらに載せました。

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2009年11月18日 (水)

シャシャンボ

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 ツツジ科の Vaccinium属(スノキ属)には、スノキやブルーベリーなど、おいしい果実のなる落葉低木がよく知られていますが、シャシャンボのように常緑低木もあります。
 シャシャンボは、大阪近辺の二次林にごく普通の木で、特に松林の林床などの明るい乾燥気味の山地でよく見かけます。 ヒサカキなどと似ているところもありますが、果実がなっている時期には、はっきりと区別できます。
 写真は我が家のすぐ近くの天野街道から少し入った所にあった木で、おいしい実をたくさんつけていました。 鳥が食べてしまう前に少しだけ私も生食、少し酸味のある甘さを味わってきました。
 シャシャンボとはおもしろい名前ですが、どこからきているのでしょうか。 牧野植物図鑑では、小さな丸い果実から、ササンボ(小小ん坊)に由来するのではないかとの旨が書かれています。

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2009年11月17日 (火)

エンマコオロギ

 温度が下がり、虫の音も少なくなってきたこのごろです。
 秋の夜に様々な虫の音が聞こえる中で、その多くはコオロギの仲間、そしてコオロギの中で最もよく鳴き声が聞かれ、親しまれているのはエンマコオロギでしょう。
 しかしこのエンマコオロギ、隠れ名手でなかなか自然の中では写真に撮らせてくれません。 ましてや正面からの写真はたいへん困難です。 温度が下がってきて少し動きが鈍くなってきて、やっと自然の中での顔の正面からの写真が撮れました。 閻魔様の顔に似ているでしょうか。 私はまだ閻魔大王様にお会いしていないので、似ている程度は分りませんが・・・。

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 逃げようとするエンマコオロギを後ろや上から撮るのは比較的簡単です。
 これはメスで、長い産卵管を持っています。
 この時期になると、どうもメスの方が多いような気がします。 交尾を終えてオスは死に、メスは産卵に励むのでしょうか。

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2009年11月16日 (月)

リュウノウギク

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 いわゆる野菊とは野に咲くキクの仲間のことで、リュウノウギクもそのうちの1種です。 葉の形に特徴があり、あまり他の野菊との区別には困らないでしょうが、もし迷ったら、葉を揉んでにおいをかいでみるといいでしょう。 名前の由来となった、竜脳という香料に似ているといわれる独特の香りがします。
 花期は10~11月で、あまり立ち上がることは無く、斜めに伸びるか、写真のように斜面から垂れ下がって咲いています。

 

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2009年11月15日 (日)

ナベヅル

 大阪府南部の田園地帯 ( 詳しい場所は伏せておきます:コメント参照 ) にナベヅルが3羽来ています。 オスの成鳥1羽とメスの成鳥2羽のようです。 最初に発見されたのは、11月13日の夕刻でした。
 この地には'05年にも、若鳥を交えた親子とカップルの計5羽のナベヅルが来ていました。 この時は11月3日に発見され、この地で越冬するかとも思われていたのですが、ねぐらにしていた近くの池の水が抜かれたためか、12月29日にカップルが、12月30日には親子も飛び去ってしまいました。
 このうち親子3羽は、'06年にも飛来したようですが、近くの池が工事中であったためか、降下せずに和歌山県の方向に飛び去るのが目撃されているようです。
 今年の3羽は、上記の観察を続けてこられた方の話によると、外観特徴から、その時の親子の可能性が大だという事です。

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  左の2羽がメス、右端がオス(だと思います)

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  飛び立つ瞬間

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 ※ 写真は2枚目を除き、クリックで拡大できます。

 ナベヅルのような大きな体になると、目立ちますのでイヌなどに襲われる危険性もあり、ねぐらの確保がたいへんですし、餌もたくさん必要です。 でもこの3羽はこの地が気に入っているようですし、地元の方たちも再度の飛来を待ち望んでおられました。
 この3羽がこの地で越冬できるよう、優しく見守っていきたいものです。

(追記:ナベヅルのその後について)
 このナベヅルたちは、時々数日間この地を離れることはありましたが、越冬し、'10年3月11日の朝までこの地にいてくれました。 その後、11日の夕刻に山口県周南市八代(下記参照)に着き、27日に仲間と共に北帰したとのことです。

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【 ナベヅルについて 】
 ナベヅルは、体長約1m、成鳥は額が黒く、目の上が赤い色をしています。 頭から首は白色で、胴体は灰黒色をしていて、名前はこの色が煤のついた鍋を思わせることに由来します。 もっとも薪で煮炊きをしない現代では鍋の底が黒くなることもありませんが・・・。
 繁殖はシベリア南東部で行い、冬は日本や朝鮮半島・中国などの決まった場所で越冬します。 日本では、鹿児島県出水市と山口県周南市が主な越冬地で、特に出水市は、世界で最も多くのナベヅルが越冬する場所で、約8割の個体が集まっていると推測されています。

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2009年11月14日 (土)

センブリの花粉媒介をする昆虫たち

 下は11月1日にセンブリの花に来ていた虫たちです。

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   オオハナアブ

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   ニクバエの仲間(?)

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   ツマグロキンバエのメス(上)とオス(下)(注1)
 上の写真では、蜜腺の蜜が光っているのですが、このツマグロキンバエは蜜腺には興味を示さず、ひたすら花粉を舐めていました。
 ツマグロキンバエは上の2種よりはかなり小さなハエの仲間ですが、この大きさでも、花の上を動き回れば花粉媒介は十分可能でしょう。

 センブリの蜜腺の周囲に生えている毛は、花粉媒介に何か役に立っているのでしようか。
 この毛は適度に蜜腺を覆って、昆虫が花の上を長く動き回るように、“じらし戦法”を取っているのではないかと考えたこともありましたが、見ている限りでは、この毛は花の上を動き回る昆虫から蜜腺を保護することに役立っているようにも思えました。

 センブリ(イヌセンブリも同じです)の花冠の裂片は水平に開き、メシベもオシベも上に向かって伸びています。 この花のつくりは、昆虫が花に覆いかぶさるように訪花する場合にうまく花粉媒介されそうです。 短時間の観察のみで結論を出すのは危険で、時期と場所を変えてもっと観察を続ける必要はありますが、今回の観察に限って言えば、上の写真のように、ハエやアブの仲間がセンブリの花に覆いかぶさるように動き回り、体の下部でしっかりと花粉媒介しているように見えました。

 10月14日の記事で、アケボノソウの花粉媒介をする昆虫は、アケボノソウの花に覆いかぶさるような大きな昆虫ではないかと書きました。 しかし、そんな昆虫がアケボノソウの花に来ている所は、あまりたくさん観察されていません。
 アケボノソウとセンブリは分類上は同じ属で、花の大きさは違いますが、花のつくりはよく似ています。 今回の観察は、アケボノソウの花も、花に覆いかぶさるような大きな昆虫によって受粉される仮説を、少しは補強できるものだと思います。

shine

(注1) ツマグロキンバエのオスとメスについて
 ハエの仲間の多くは、オスでは複眼がくっつき、メスでは離れています。

 

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2009年11月13日 (金)

メリケンカルカヤ

 メリケンカルカヤは北アメリカ原産の帰化植物です。 いろんな所で生活できるようですが、やや乾燥したところで多いようです。 刈り込み耐性が強く、年を経るごとに株が大きくなり、絶やすことが難しくなります。 私の家の近くでも、道路脇の斜面などにたくさん生えています。
 秋には朱色を帯び、たくさんの小穂に生える白毛は、逆光で見るとなかなか美しいものです(下の写真)。 冬に枯れても春まで立ち姿を維持しています。

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 この花序の様子については、こちらで記事にしています。

 

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2009年11月12日 (木)

オガルカヤ

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 昨日記事にしたメガルガヤと比較する意味で、オガルカヤを載せておきます。
 オガルカヤはメガルカヤと似た環境に生え、高さは0.6~1m、葉は細く、上方の舟形の苞の腋から短い枝を出し、その先に左右一対の小穂の集団が対生します。
 この小穂の集団は粉をふいたように白くなり、花期には黒っぽい葯と、黒っぽいブラシ状の柱頭を見ることができます。
 下はその様子を写したものですが、小穂を正面から写そうとすると、どうしても苞が大きく写ります。
 花期は8~11月ですが、下の写真は9月下旬に撮ったもので、昨日の写真と比較すると、背景の色にも季節の変化が表れています。

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2009年11月11日 (水)

メガルカヤ

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 メガルカヤは山野の草原に普通に生える多年草です。 大型のイネ科で、小枝の上に大きな小穂が束状に集まり、太く長い芒を出す姿は、他に似たものがありません。

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 カルカヤは「刈る茅」で、昔は茅葺屋根のために刈り取る草をすべてこの名前で呼んだようですが、狭い意味でカルカヤと言った場合には、このメガルカヤを指します。
 メガルカヤに対してオガルカヤという植物もあり、植物の大きさはメガルカヤの方が大きいのですが、やさしい感じがします。

 メガルカヤの根はかたく、これを集めて「カルカヤだわし」というたわしを作っていたということです。

 

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2009年11月10日 (火)

イヌセンブリ

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 センブリほど苦くないイヌセンブリ、外観はセンブリとたいへんよく似ていますが、花弁の蜜腺にはセンブリより長い毛が生えています。 また、センブリが乾燥ぎみの土地に生育するのに対し、イヌセンブリは湿り気味の土地に生えています。
 葉の幅はセンブリの方が細いと言われているのですが、地域によって変異の幅があるようで、私の見たところでは、葉の幅でセンブリとイヌセンブリを区別することは難しいように思います。

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 朝、イヌセンブリの花には露がいっぱいついていました。 蜜腺に生える毛にも小さな水滴がいっぱい。 下はこの水滴を強調してみたものです。

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2009年11月 9日 (月)

スイラン

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 スイランは秋の湿地に咲く多年草です。 「ラン」とついていますが、もちろんキク科で、頭花は舌状花のみからなっています。 花のかわいい草本に「○○ラン」という名前がつけられていることはよくありますが、スイランの場合はそれだけではなく、葉の細さにも原因があるようです。 特に根生葉はシュンランなどの葉に似てたいへん細長く、キク科の葉とは思えません。 茎もすらりとしたイメージです。 上の写真にはたくさんの花の終った後が写っていますが、ツボミもこれに似て細長く、スマートです。
 下は果実で、冠毛の生え方は荒いようです。 これでは種子が遠くに飛ぶことは無理でしょう。 安定した湿地はそんなにあちこちにあるものでは無いでしょうから、種子を遠くに飛ばすよりは、近くで仲間を増やす戦略のようです。

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2009年11月 8日 (日)

オケラ ②

 オケラは雌雄異株と言われています。 雌花では柱頭が開き、雄花では柱頭が閉じていると書かれてあるブログの記事が多いのですが、柱頭が最初はくっついていて、後に2裂するのは多くのキク科で見られることで、このブログでも何度か記事にしました。
 ほんとうに雌雄異株なのか、頭花を割って種子形成の様子を確認したいと、ずっと思っていました。
 オケラの生育地は刈り取り草原や明るいアカマツ林などです。 昨日書いたように、歌に山菜にと、よく目立って親しまれてきたオケラですが、このような生育地の減少とともに、目にすることが少なくなってきました。
 オケラの花期は9月から10月です。 11月1日に久しぶりにオケラに会うことができました。 しかしそんなに株数も無く、個性的な花の様子を撮るだけにして、頭花を割って雌雄異株を確認することは断念しました。

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 オケラの頭花は筒状花のみからなります。 花弁は細く長く伸びているのですが、花弁も白、メシベも白で、何がなんだか分りにくくなっています。 しかし、上の写真の左側の花はほぼ終わりで、花弁が褐色になってしまっていますので、花のつくりが分りやすくなっています。
 オケラの花が特徴的に見えるのは、頭花に総苞があるのは他のキク科の花と同じなのですが、その外側に総苞片とは別に、魚の骨のような苞をもっているためでしょう。
 苞とは花の近くの葉が変化したものです。 オケラの葉は変化が多く、単葉のものも複葉のものもあるのですが、いずれにしても鋭いきょ歯を持っています。 苞は、葉が細く小さくなるとともに、このきょ歯がさらに大きくなったものと考えればいいでしょう。

 ところで、オケラや中国原産のオオバナオケラの根茎は白朮(ビャクジュツ)と称する生薬です(日本薬局方)。 白朮は芳香性の精油を含み、健胃用などに用いられています。
 オオバナオケラは管状花が淡紫色なのですが、下はこのオオバナオケラを園芸的に品種改良したものです。 花のつくりの理解には、色分けされたこちらの方が分りやすそうです。

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【 キク科の受粉に関して 】
 上の写真で、花粉があちこちについていますが、夕菅さんからメシベ・オシベについての質問をいただきました。 上の写真のオオバナオケラの園芸種はメシベ・オシベが色分けされていて分りやすく、ちょうどいい機会ですので、キク科の花のメシベ・オベについて整理しておきます。
 上の写真はたくさんの花(小花)の集まりで、1つの花は5枚の赤い花弁を持っています。 その花弁の中央から細長い棒状のものが突き出していますが、赤褐色の棒にピンクの棒を継ぎ足したようになっていて、花粉はその境目とピンクの頂についています。 じつは赤褐色の部分がオシベの葯で、5本のオシベの葯が互いにくっつき、筒状になっています。 この筒状の中央の穴を通って、ピンクのメシベが上へと伸びてきます。
 花粉は筒状になった内側に出されます。 そしてこの花粉は、下から伸びてくるメシベによって、徐々に筒の外に押し出されます。
 写真を注意して見ると、中央に2本だけ、赤褐色の葯のみで、その上にピンク色のメシベが見えていないものがあります。 そしてこの赤褐色の棒状の先端には、あふれんばかりの花粉が付いています。 この2本については、メシベが花粉を押し出しながら葯の筒の中を伸びつつある状態で、まだ外からは見えていないのです。 多くのキク科の筒状花は頭状花序の周辺部から咲き出して、中央部の小花が咲くのは遅れます。 ですから、他の小花はメシベが長く伸びてしまっているのに、中央部の2つの小花は、まだメシベが葯の筒の中を伸びている最中なのです。 このような状態が続くことで、キク科の花は比較的長時間、花粉を補給し続けることができます。
 押し出された花粉は、葯の筒の上部にもあることになりますが、メシベが筒の長さを超えてもっと長く伸びると、当然メシベの先端にも花粉がついていることになります。 でも、メシベはこの花粉では受粉しません。 昆虫の体に花粉が付いて、花粉を運んでもらいやすくするために、花粉を高く持ち上げているだけです。 上の写真のメシベの柱頭は閉じたままで、受粉できる柱頭の面は、ピンクのメシベの先端が2裂して左右に開いて、はじめて現れます。 なお、もしもオオバナオケラも雌雄異株で、写真のものが雄株であるなら、メシベの役割は花粉を押し出すだけで、ずっとこのままで柱頭が開かずに終わるのかもしれません。

【 八坂神社の「をけら参り」 】(2012.1.14.追記)
 毎年たいへんな賑わいを見せる京都三大祭りのひとつ祇園祭、この祇園祭は八坂神社の祭ですが、白朮祭(をけらさい)もよく知られている八坂神社の神事です。 京都の人たちは「をけら参り」と称し、この神事で焚かれる「をけら火」を火縄に移して持ち帰り、元旦の雑煮を炊く火種などに使います。 火のついたものを電車やバスに持ち込むことはできませんが、燃え残った火縄は「火伏せのお守り」として台所にお祀りしますので、遠方からもたくさんの人がお参りに来られます。
 をけらとはオケラのことで、この白朮祭ではオケラが「削り掛け」=鉋屑(かんなくず)と共に燃やされます。 オケラは燃やすとにおうので、そのにおいが疫神を追い払うと考えられたようです。
 わんちゃんの突撃インタビュー(下のコメント参照)によれば、八坂神社ではこのオケラを今は漢方薬店から入手されているようです。 山菜や生薬などとして用いられていたオケラは、かつては京都市周辺の山麓に広く自生していて大原女(おはらめ)が売り歩いていたようですが、少なくなってしまい、入手困難になっているようです。

 

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2009年11月 7日 (土)

オケラ ①

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 オケラはキク科の多年草です。 古来より山菜として、また生薬として用いられるなど、親しまれてきました。

 オケラの古名はウケラで、万葉集にも3首に登場します。 ここではそのうちの2首を載せておきます。

恋しけば袖も振らむを 武蔵野の うけらが花の色に出(づ)な ゆめ
(原文)古非思家波 素弖毛布良武乎 牟射志野乃 宇家良我波奈乃 伊呂尓豆奈由米
    (第14巻 3376)
  恋しくなったのなら、袖を振って呼んでね。
  決して武蔵野のうけらの花のように目立つことはしないでね。

我が背子(せこ)を あどかも言はむ 武蔵野の うけらが花の 時なきものを
(原文)和我世故乎 安杼可母伊波武 牟射志野乃 宇家良我波奈乃 登吉奈伎母能乎
    (第14巻 3379)
  私のあの人のことを何といったらいいの・・・
  武蔵野のうけらの花の様にいつだって恋しいのに・・・

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 信州あたりの俗謡では、「山でうまいはオケラにトトキ、嫁にゃやれない味の良さ」や「山でうまいはオケラにトトキ、里でうまいはウリ・ナスビ」などと歌われているようです。 なお、トトキとはツリガネニンジンのことです。

 花のつくりなどは「オケラ ②」で・・・

 

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2009年11月 6日 (金)

ヤクシソウ

 ヤクシソウの花は9月~11月、黄色い花(頭花)をたくさんつけます。 この花を見ると、秋の深まりを感じます。
 頭花をつくっているキク科の花(小花)には舌状花と筒状花があって、例えばヨメナ、ノコンギクツワブキなどは舌状花と筒状花からなる頭花ですし、ヒヨドリバナテイショウソウなどの頭花は筒状花のみでつくられています。 ヤクシソウの頭花は舌状花のみでつくられていて、このような仲間はタンポポ亜科と呼ばれています。
 ヤクシソウの花(頭花)にはおもしろい性質があって、花が終わると他の咲いている花の邪魔にならないようにしているのか、種子ができるまでうつむいてしまいます。
 頭花の新旧は、これまでこのブログで何度か書いてきたように、オシベとメシベの関係で分ります。 つまり、筒状になったオシベの真ん中から柱頭の閉じたメシベが伸びてきて、メシベの柱頭が2裂して開いていく、という順序です。
 下の写真では3つの頭花が写っていますが、新しい頭花から古い頭花へと並べると、「中央 → 上 → 下」という順になり、下の頭花はうつむきかけています。

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 ヤクシソウの名前の由来は、根生葉が薬師如来の光背に似ているからであるとか、薬師如来は医薬を司る仏ですが、この植物が薬用にされたからであるとか言われていますが、よく分りません。 薬効があることに関して言えば、乾燥させた頭花を、ゴマ油にひたひたになるようにして漬け込んだものを腫れ物に塗り、消腫薬として利用できるようです。

 

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2009年11月 5日 (木)

ステビア

 昨日の記事で、ヒヨドリバナのメシベが長いことを書きましたが、このステビアの花も、やはりキク科で、長いメシベを持っています。

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 ステビア( Stevia rebaudiana )は、南アメリカ原産のキク科の多年草です。 草丈は50cmから1m前後で、夏から秋にかけて、小さな白い花をつけます。
 写真は大阪市内にある長居植物園で撮ったものですが、最近はあちこちのハーブ園などでも見ることができます。

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 ステビアは甘味成分を持った植物として、よく知られています。 生の葉を咬むと、口の中に甘さが広がります。

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 ステビアは一時、発ガン性があるのではないかと言われていました。 しかし、日本が中心となって、JECFA(ジェクファ:国連食糧農業機関と世界保健機関の合同食品添加物専門家会議)へ申請し、平成19年6月には国際的にステビアの安全性が認められました。 今後は「カロリーゼロの天然甘味料」として、ステビアがどんどん使われていくことでしょう。

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2009年11月 4日 (水)

ヒヨドリバナ

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 ヒヨドリバナは林道の脇などの日当たりの良い場所に自生するキク科の多年草です。 和名はヒヨドリが山から里に下りてきて鳴き声が聞こえる頃から咲き始める花であるところからと言われていますが、ヒヨドリの習性も変化して年中見られる身近な鳥になってしまい、秋の花だということは、この名前からは分かりません。 とにかく、ヒヨドリバナの花期はけっこう長く、8月には咲き始め、10月いっぱいは咲いています。
 花はヒゲがたくさん出ていて何がなんだか分かりにくそうですが、キク科ですので複数の小花からなる頭花(頭状花序)からなっているのですが、この頭花がたくさん集まっています。
 できるだけ分かり易いようにあまりたくさんの花が咲いていない状態を撮ったのが下の写真ですが、これをよく見ると、1つの頭花、つまり総包に包まれて一つの花のように見える部分は、3~5個の筒状花からなっています。
 下の写真では、ほんとうの1つの花である筒状花が5枚の花弁からできていることも確認できると思います。 そして、花から飛び出しているヒゲ状のものは、筒状花の中央から二股に分かれて出ています。 じつはこれはメシベが2裂して長く伸びているもので、キク科のメシベの柱頭は2裂するものだということは、このブログのテイショウソウモミジガサツワブキなど、キク科の他の花を見ていただければ納得していただけるでしょう。

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 ヒヨドリバナは形態に変異が多いのですが、生殖方法としては無性生殖型と有性生殖型があるということです。 これらに形態的な違いがあるのか確かめようとしたのですが、今年も分からないままにヒヨドリバナの花の時期の終わりを迎えてしまいました。

 

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2009年11月 3日 (火)

イソヒヨドリ

 イソヒヨドリは「磯のヒヨドリ」。 この種は世界的に見ると、アフリカとユーラシア大陸に広く分布し、何種類科の亜種に分類されています。 でも、これらの仲間は、磯ではなく、多くは高山の岩石地帯の鳥で、巣は岩の隙間等に作ります。 学名で見ても、イソヒヨドリの種名は Monticola solitarius ですが、Monticola は「山にすむもの」で、solitarius は「孤独性の」という意味です。(日本で見られる亜種は M.s.philippensis です。)
 しかし日本では雨が多くて植物の生育が良く、高山にも岩石地帯は少なく、岩石地帯と言えば磯が代表的な場所になります。 そんなわけで、日本ではイソヒヨドリはその名前のとおり、磯やテトラポッドの並んでいる所などの海沿いでよく見られるのですが、特に海水が好きということでも無さそうです。 近年では、コンクリートの建造物がイソヒヨドリにとっては岩石と同様なのか、都市部にも生息するようになってきています。
 写真のイソヒヨドリは、大阪府河内長野市にある滝畑ダムで撮りました。 海からは20km近くも離れているのですが、水面があるコンクリートのダムはイソヒヨドリにとっては磯並みなのでしょうか。
 オスは背部が暗青色の美しい色をしているのですが、写真のイソヒヨドリはメスなのか若鳥期なのか、暗青色は腰の部分にわずかしか見られません。

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 イソヒヨドリは「ヒヨドリ」とついていますが、ヒヨドリの仲間ではなく、ツグミ科に分類されていて、体の模様もトラツグミなどともよく似ています。 でも場所が場所だけに、ツグミのようにタタタと走って、というのは無理なようです。 滝畑ダムでは同じ場所で尾をピョコンピョコンと上下に動かしていました(下の写真)。

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2009年11月 2日 (月)

キビタキ(メス)

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 昨日のノゴマに続いて、大泉緑地で撮った日本を去り行く夏鳥をもう1種、キビタキのメスです。 モッコクの実をついばんでいました。
 キビタキのオスは春の渡りの時に記事にしました。 メスはあまりはっきりとした特徴が無いのですが、上面が緑がかった褐色で、腹部は褐色がかった白色です。 ただし、オスの若鳥もメスとよく似た色をしていますので、もしかしたらこの鳥もオスの若鳥かもしれません。

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2009年11月 1日 (日)

ノゴマ

 ノゴマは日本では北海道で繁殖し、冬は東南アジアを中心に、一部が南西諸島で暮らす鳥で、大阪などでは渡りの途中に見ることができます。 写真はオスで、オスの喉には赤い斑紋があります。 メスではこの赤い部分の面積が狭いか、多くの個体では白い色をしています。

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 大阪付近の秋の鳥の移動についての概略を書いておくと、8月中旬に夏鳥の渡りが始まり、普段は見ることのできない平地で、夏鳥の姿を見ることができます。 そして9月中旬には冬鳥のカモたちが到着し始めます。
 そんな中にあって、北海道から移動してくるためか、大阪付近でノゴマを見ることができるのは比較的遅く、10月に入ってからになります。
 春の渡りと秋の渡りを比較すると、大阪付近を通過するという点では同じはずなのに、春にはよく見られるが秋にはあまり見られない鳥も、逆に春にはあまり見られないが秋にはよく見られる鳥がいます。 例えばコマドリは前者で、ほぼ 春:秋=9:1 の割合で、春によく見られます。 ノゴマは逆で、ほぼ 春:秋=3:7 の割合で、秋によく見ることができます。 繁殖地が大阪の平地に近いコマドリと異なり、まだまだ旅をして繁殖地を確保しなければならないノゴマにとっては、春は大阪付近では焦っていて急いで通過してしまい、秋にはゆったりとした気持ちで移動しているのかもしれません。

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 上でノゴマとコマドリを比較しましたが、ノゴマの名前は「原野に生息するコマドリ」の意味です。 ノゴマとコマドリは地表近くで生活する点でも似ていますが、雄の複雑で美しいさえずりがコマドリに似ているところからとも言われています。 ただし、渡りの途中の大阪付近でこのさえずりを聞くことはできません。
 ノゴマは草原や灌木林で生活し、餌も主に樹上ではなく地上で探します。 巣を作る場所も草の根元やくぼ地で、繁殖期にさえずっている姿を除けば、なかなか姿を見せない鳥です。 この記事の写真は大泉緑地で撮ったのですが、ここでもヒラドツツジの植え込みの中に入っていて、なかなか姿を見せてくれませんでした。

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