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2009年10月14日 (水)

アケボノソウの花粉媒介をする昆虫

 アケボノソウの蜜腺が花弁にあることは、このブログで記事にしました。 でも、こんな位置でこの蜜腺が花粉媒介に役立っているのか、疑問に思い、そのことも記事にしてきました。 蜜腺の蜜を舐めに来ているアリやハエを観察していて、どうしてもこの蜜腺の位置が花粉媒介に役立っているとは思えませんでした。
 しかし、この疑問が氷解する出来事が起こりました。

 アケボノソウを観察していた時、この花弁の蜜腺にスズメバチがまっしぐらに飛んできて、蜜を舐め、すぐに飛び立って行きました。 この間、1~2秒、撮れた写真はこの1枚のみで、スズメバチの種類も、たぶんキイロスズメバチだと思うのですが、私の知識では、背中側からの写真が無いと、自信を持って同定することもできません。
 でもこの時の、迷い無く蜜の位置に口を持っていった様子からすると、スズメバチはアケボノソウの蜜のある場所を知っているようです。
 そして、アケボノソウの花は、スズメバチの重さですっかり横を向いてしまっていますが、これだけ大きな昆虫が蜜を吸いに来てくれると、オシベの葯もメシベの柱頭も、易々と昆虫の体に触れる位置にあることになります。

Suzumebachi091011_1

 下は上の写真の一部を拡大したものですが、ちゃんと蜜を舐めているのが分っていただけると思いますし、体のあちこちには花粉が付いています。

Suzumebachi091011_2

 あの小さな蜜腺を持つかわいいアケボノソウの花に、こんなに大きな昆虫が来るとは思いませんでした。 こんな大きな昆虫が来てくれるなら、アケボノソウの蜜腺の位置、オシベの葯の位置、メシベの柱頭の位置は、花粉媒介にきわめて適した位置に配置されていることになります。
 もうひとつ、大切なポイントがあります。 スズメバチの重さですっかり横を向いていたアケボノソウの花は、スズメバチが飛び去ると、何事も無かったように、ちゃんと上を向きました。 アケボノソウはこんな大きな昆虫にとまられても耐えられる柔軟性を持つと同時に、アケボノソウの花弁はこんな大きな昆虫にとまられてもいいように、丈夫なつくりになっているようです。

(以下、10月18日追記)
 この記事に関していろんな方からコメントなどをいただき、そのことについて考えているうち、大きな事に気付きました。
 アケボノソウに大型の昆虫が来ることは、今までほとんど報告されていないと思います。 たった一度の観察で、私の中では上に書いたようなスズメバチの行動から確信のようなものができていたのですが、ある意味大胆な考察でした。 何かこの考察を補強する証拠がないかと考えていたのですが、もしもスズメバチが度々飛来しているとすれば、“足跡”が残っていないものかと考えました。 そのようにして今まで撮った写真を見直してみると、あちこちの写真に、“足跡”らしきものがちゃんと写っていました。 上の写真にも“足跡”らしきものが写っています。
 スズメバチがアケボノソウの花につかまる時に、足の爪は花弁の裏側に引っ掛けています( 下の写真の青い矢印 )。 そしてその時に花弁に傷ができるのではないかと思いました。 そのようにして写真を見てみると、あちこちの花の終わった後に見られる花弁の傷( 赤い矢印 : この矢印をつけたものはツボミではなく、花の終った後です。 詳しくは次回の記事で )は、スズメバチなどの爪の跡である可能性が高いように思います。

Akebonosou091011_4

 上の写真に写っている花弁の傷は、1つの花に1つです。 たぶん写真に写っていない裏側にも、もう1つ傷があるのでしょうが、このことは上に書いたように、スズメバチがまっしぐらに1つの花に来て、ガシッと花を抱きかかえ、ペロッと蜜を舐め、スッと離れていく行動様式とよく合致します。 つまり、1つの花序では、花は少しずつ時期をずらして次々と咲いていきますが、少なくとも写真のこの花序には、スズメバチが何度も訪れているのではないかと考えられます。

(以下、11月14日追記)
 センブリはアケボノソウと同じ属に分類されていて、花は少し小さくなりますが、よく似た花のつくりをしています。 センブリにはどんな昆虫が訪花しているのか、こちらで記事にしています。

 次回はこのことを踏まえて、アケボノソウの開花から花の終わりまでの変化について書いてみたいと思います。

 

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コメント

え~いっ!コレを見ろ
恐れ入りやした・・・・


そして、」
>アケボノソウの花は、スズメバチが飛び去ると、何事も無かったように、ちゃんと上を向きました。

またまた・・・・

投稿: わんちゃん | 2009年10月14日 (水) 18時49分

アケボノソウにこんな大きな蜂!
まだ目撃したことがありません。
アケボノソウは花びらに軽々と乗っかる小さな虫から、こんな大きな虫まで想定しているということ??

続編を楽しみにしていま~す。

投稿: ひとえ | 2009年10月14日 (水) 21時56分

わんちゃんのコメント、意味不明になってきてますよ。感覚的には分るのですが・・・

ひとえさん、小さな虫は蜜泥棒なのだと思います。
アリが花粉媒介に役立っているとは思えません。
アケボノソウが期待しているのは大きな虫なのだと思います。

投稿: そよかぜ | 2009年10月15日 (木) 00時35分

これは素晴らしい写真ですね。
さすがです。

投稿: | 2009年10月15日 (木) 07時23分

>蜜腺の蜜を舐めに来ているアリやハエを観察していて、どうしてもこの蜜腺の位置が花粉媒介に役立っているとは思えませんでした。
しかし、この疑問が氷解する出来事が起こりました。

>え~いっ!コレを見ろ(スゴイ証拠写真)
って、スズメバチ君が言ってるの。
「恐れ入りやした・・・・」

>>アケボノソウの花は、スズメバチが飛び去ると、何事も無かったように、ちゃんと上を向きました。

またまた今度はアケボノソウが「ど~ぉ」
って言ってるの。

投稿: わんちゃん | 2009年10月15日 (木) 16時54分

餡さん、ありがとうございます。
アケボノソウの花を撮ろうとしていた時に飛んできてくれて、ラッキーでした。
連写モードにしていたら、もうすこし撮れたのに、残念です。

わんちゃん、通訳ご苦労様でした。

投稿: そよかぜ | 2009年10月15日 (木) 20時43分

そよかぜさん おはようございます
アケボノソウの蜜腺は花弁にあって変わった位置ですので、きっと大きな昆虫が雌しべをまたごして蜜を舐めるのだろうと想像していましたが、そよかぜさんの大型のハチが蜜を舐める画像を見て、やはりそうかと納得しました。
goodタイミングでしたね。

投稿: なかなか | 2009年10月17日 (土) 07時25分

大型の昆虫がアケボノソウに来ている観察例は少ないのですが、なかなかさんに賛同していただければ心強いです。
例えば早朝とか、よく来る時間帯というものがあるのかもしれませんし、来年は爪の跡などの証拠探しも、もう少しきっちりと行ってみたいと思っています。

投稿: そよかぜ | 2009年10月17日 (土) 23時18分

>アケボノソウに大型の昆虫が来ることは、今までほとんど報告されていないと思います

が、スズメバチがまっしぐらに1つの花に来て、ガシッと花を抱きかかえ、ペロッと蜜を舐め、スッと離れていく行動様式とよく合致します。
つまり、1つの花序では、花は少しずつ時期をずらして次々と咲いていきますが、少なくとも写真のこの花序には、スズメバチが何度も訪れているのではないかと考えられます。

読んでいる私でさえドキドキ、ワクワク

>来年は爪の跡などの証拠探しも、もう少しきっちりと行ってみたいと思っています。

頑張って下さ~い

投稿: わんちゃん | 2009年10月18日 (日) 22時39分

朝早くから行けるような所にアケボノソウが咲いていてくれればいいのですが・・・

投稿: そよかぜ | 2009年10月19日 (月) 01時34分

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