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2009年10月31日 (土)

ヒメツノカメムシ

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 ヒノキにヒメツノカメムシの5齢幼虫がいました。 ヒノキの球果の中の種子も、若いうちは柔らかくて栄養満点で、汁を吸うのにはいいのでしょうか。
 ヒメツノカメムシのメスは、エサキモンキツノカメムシなどと同様、卵を保護するカメムシで、生まれた幼虫も、母親のそばで集団で暮らします。 でも、もうすぐ成虫になるという5齢になっても、まだ集団を維持しているようですね。
 傍を探すと成虫がいました(下の写真)。 大きさは5齢幼虫とほとんど変わりません。 この成虫はこれらの幼虫の母親なのでしょうか。 それとも他より早く脱皮して成虫になった個体なのでしょうか。 なお、成虫の色彩については、個体変異の幅が大きいようです。

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2009年10月30日 (金)

クワゴマダラヒトリの幼虫

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 このブログの9月25日の記事で、クワゴマダラヒトリの産卵について書きましたが、そこから生まれた幼虫が、さかんにアカメガシワの葉を食べていました。
 孵化した幼虫は葉上で集団を作り、糸を吐いて巣網を作っています。 外側から見ると、糸で葉をくっつけ、葉脈を残して葉肉のみを食べているので、葉に穴が開くわけではなく、葉をバリアとして使い続けることが可能です。 ちなみに、もう少し小さい葉の植物の場合には、何枚かの葉を糸でくっつけるようです。

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 クワゴマダラヒトリの幼虫の形態的特長としては、白色や黒色の長毛があり、頭部は光沢のある黒色または褐色です。 背中には黒色の縁取りのある黄白色の「背線」があり、青藍色の瘤起が並びます。
 これから寒くなるこの時期に・・・ と思いますが、クワゴマダラヒトリの幼虫は、年1回、この時期の発生で、寒くなるまでに中齢幼虫まで育ち、この中齢幼虫が枯れ葉や雑草の中で越冬します。 巣網は幼虫の発育と共に大きくなり、4齢以降は数百頭の集団に分かれます。 そして11月下旬までに6齢となり、数十頭単位で越冬します。
 そして春になると、越冬場所から離れ、単独で様々な植物の芽などを食害します。 下は3月28日に撮ったものですが、ヒラドツツジの葉をさかんに食べていました。

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 そしてその後、6月上旬にはサナギになり、そのまま夏を越し、9月に成虫になります。

 

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2009年10月29日 (木)

オオシロカラカサタケ

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 キノコにも「帰化キノコ」があります。 オオシロカラカサタケも熱帯性のキノコで、1980年頃から見られるようになりました。 自然豊かな野山にではなく、都市部の公園などでよく見られます。 多くのエネルギーを消費している都市部では冬季の最低気温がそんなに低温にならず、菌糸が生き残ることができるようです。 写真は大阪市内で撮ったものですが、ここではこのところ毎年見ることができます。

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 オオシロカラカサタケは、幼菌時は淡褐色の表皮に包まれていますが、生長するとこの表皮が破れ、白い傘の上に片鱗となって散在します。 傘の裏のヒダも白いのですが、胞子が緑色で、ヒダの表面の胞子の色で、老成するとオリーブ褐色になります。 カサも柄もヒダも傷つくと褐色に変色するのも特徴のひとつです。
 下の写真は傘の一部を割いて内部が見えるようにしたのですが、厚いツバが見えます。

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2009年10月28日 (水)

ホシアサガオ

 9月にはたくさん咲いていたホシアサガオの花も今はほとんど見られず、たくさんの果実が実っています。

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 下は上の写真と同じ場所の9月中旬の花の様子です。

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 下は昨年の9月に別の場所で撮ったもので、少し印象が違いますが、野生種に“個性”はつきもの、これもホシアサガオでしょう。

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 ホシアサガオは南米原産と思われる帰化植物ですが、北米原産と思われる同じ Ipomea属のマメアサガオの淡紅色タイプ(これをベニバナマメアサガオと呼ぶこともある)とよく似ています。

 ホシアサガオ(ホシ-)とマメアサガオ(マメ-)を区別する特徴としては、

  • ホシ-の方が花枝が長い。
  • ホシ-の花枝のイボ状の突起はマメ-ほど密生しない。
  • ホシ-の種子はマメ-ほど肥厚しない。
  • ホシ-の葯はピンク(花粉は白い)で、マメ-の葯は白色。

などが挙げられます。

 

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2009年10月27日 (火)

ゴキヅル

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 ゴキヅルは水辺に生えるウリ科の1年草です。 花は黄緑がかった白い色で、径は7mmほど、8月から11月にツルを伸ばしながら次々と咲いていきます。 雌雄異花で、同じツルに雌花と雄花をつけます。
 ウリ科ですので合弁花なのですが、ガクも花冠も深く5裂し、しかもガクの裂片と花冠の裂片はほぼ同じ姿をしているので、細い10枚の花弁があるように見えます。
 下の写真の2つの花はいずれも雌花です。 白っぽい花被にオシベもメシベも白っぽくて分りにくいのですが、下側の真上から写っている花では、5本のオシベと、その中央に少し緑がかったメシベの柱頭が見えます。 上側にある横から写っている花では、花冠の下に半球形の子房が見えます。 花は終わりかけで、子房は少し大きくなりかけています。

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 下は雄花です。 やはり2つの花が写っていますが、上側の花はガクも花冠も6裂してしまっています。 雄花ではメシベは退化していますし、花冠の下の子房の膨らみも認められません。

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 果実は長さ1.5cmほどになります。 熟すと横に割れて蓋(ふた)が取れ、中から2個の種子が出てきます。 kuwachanの「野山でカシャ!ブログ」にはこの種子の様子が載せられています。
 日本名の「ゴキ」は「合器」つまり蓋つきのおわんで、この果実の形に由来しています。 このような蓋のある果実は、裂開果の一種で、蓋果(がいか)と呼ばれています。
 オオバコなども蓋果を作りますが、ゴキヅルの方が断然大きく、観察が容易です。

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2009年10月26日 (月)

クサギの果実

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 この時期、クサギの果実が美しく色づいています。 花のことはこちらで記事にしていますが、花の時には子房の部分を保護していたガクは花の後も残り、赤紫色となってよく目立ちます。 鳥も赤い色には敏感です。 きっと果実の存在を鳥たちに知らせることに役立っているのでしょう。

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2009年10月25日 (日)

ルリミノキ

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 ルリミノキは林下に生えるアカネ科の常緑低木です。 分布は静岡県以西から四国、九州、琉球列島、台湾、中国南部の暖帯から亜熱帯へと続きます。
 アカネ科そのものが熱帯に多い植物ですが、ルリミノキの仲間も主にアジア熱帯に分布しています。 こちらでは西表島で見たマルバルリミノキを記事にしています。
 ルリミノキは5~6月に白い花を咲かせ、果実は光沢のある美しい瑠璃色に染まっていきます。

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 この記事の写真は、10月18日に大阪府の南部にある槇尾山の薄暗い植林下で撮ったもので、ここにはたくさんのルリミノキが生えていました。 高さは人の背丈前後で、ルリミノキはこれくらいの高さにしかなりません。 まだ色づいていない実も多く、もう少しすると、もっと美しくなるのでしょうね。

(以下、2012.5.28.追記)
 上と同じ場所のルリミノキの花を撮ってきました。 写真は5月18日に撮ったものですが、花は少し例年より遅れているようです。
 長さ3cmほどの白い花は、内側が毛むくじゃら。 ほんのり紫色に染まる白いツボミも気に入りました。

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2009年10月24日 (土)

ムラサキシキブとコムラサキ

 ムラサキシキブの実がきれいに色づいてきています。

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   ムラサキシキブの果実  葉の鋸歯は全体にある '09.10.18.滝畑にて撮影

 ムラサキシキブの名前は「紫式部」につながり、名前も果実の色も優雅さを感じさせてくれますが、なぜこの果実が「ムラサキシキブ」なのか。 どうもたくさんの実が重なり合うようについているところから、紫色の「頻(し)き実」つまり「ムラサキシキミ」が元になっているようです。 ちなみに「頻(しき)る」は「降りしきる雨」などの「しきる」です。
 下はムラサキシキブの枝先ですが、もう来年の芽が準備されています。 ムラサキシキブの芽には芽鱗が無く、芽は小さな葉そのもので、「裸芽」と呼ばれています。

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   ムラサキシキブの果実と裸芽

 ところで、園芸店で「ムラサキシキブ」として売られていて、よく庭などに植えられているのは、ほとんどの場合、ムラサキシキブではなくてコムラサキという別の植物だということは、「ムラサキシキブの花」の所でも書きました。 コムラサキは全体に小型でやさしく枝垂れますので、3m程度にまで大きくなるムラサキシキブよりは庭などに適していますが、名前は「ムラサキシキブ」の方がいい、ということなのでしょう。
 コムラサキは園芸的に改良もされ、実も大きくなり、白い実のものも作られて、よく植えられています。
 ムラサキシキブとコムラサキを見分けるポイントは、ムラサキシキブの葉は全体に鋸歯がありますが、コムラサキの葉の鋸歯は中央付近から先にだけあります。 また、ムラサキシキブの花序は腋生であるのに対し、コムラサキの花序は腋上生で、葉の付け根から数mm上に離れてつきます。 下に白い実のコムラサキの写真を載せておきますので、比較してみてください。

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   コムラサキ(白実) 葉の鋸歯は中央より先端部分のみ

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   コムラサキ(白実) 花や実をつける枝は葉から数mm離れて出る

 

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2009年10月23日 (金)

シコクママコナ

 10月18日、槇尾山ではシコクママコナがまだ盛んに咲いていました。

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 ママコナの仲間には、ママコナとミヤマママコナがあり、四国や関西に多いシコクママコナは後者の変種とされています。 花期はママコナよりも、ミヤマママコナの方が少し遅いようです。
 これらの種類の区別点は、ママコナの花では下唇の2つの隆起部分が白色であるのに対し、ミヤマママコナやシコクママコナではこの部分や花冠の喉元がが黄色です。 また、ママコナの苞葉は先が鋭くとがり、縁の全面に刺状の鋸歯があるのに対し、ミヤマママコナの苞葉は先が丸く、刺状の鋸歯はほとんど無いのですが、シコクママコナでは苞葉の基部近くに刺状の鋸歯が疎らに出ます(下の写真)。 ただし、これらの区別点には変異の幅があるようで、何をいちばん重視すれば良いのか、私も迷っています。

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 花冠の上唇には毛がいっぱい。 その毛の間から、柱頭が顔を出しています。

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 ママコナは漢字では飯子菜と書きます。 この名の由来は、ママコナでは花全体が赤い場合が多いのですが、その赤い中に、上に書いたように、下唇の白い隆起が目立ち、それを米粒に見立てたという説と、種子を米粒に見立てたという説があります。

 ママコナの仲間は半寄生の一年草として知られています。 自らも光合成をして生きていけるようですが、宿主とめぐり合えると大きく育つことができるようです。

 

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2009年10月22日 (木)

クロゴキブリ

 このブログは身近な生物を中心に扱おうとしています。 である以上、この生物を扱わないわけにはいきません。
 しかしゴキブリの仲間は、日本では一部を除いて(注1)たいへん嫌われていますが、世界的に見ると、ゴキブリの仲間を害虫扱いする国は少なく、国によっては清潔な環境で養殖も行われており、食用・薬用として用いられています。
(注1) 栃木県などの昔からの商家のように、卵鞘が財布に似ていることから、ゴキブリをコガネムシと呼んで珍重し、殺すことを戒めてきた所もあるとのことです。
 ゴキブリの仲間は熱帯を中心に、全世界には約4,000種類、日本には50種余りがいますが、そのほとんどは森林性で、家住性のゴキブリはごく少数派です。
 その中でクロゴキブリは、関東以南の西日本では小型のチャバネゴキブリと共に最もよく見かける種類ですが、チャバネゴキブリよりも野外での活動性が高く、夜間に飛来するのを目撃することもよくあります。
 昆虫のほとんどは決まった季節に交尾・産卵し、1年以内に寿命が尽きるのですが、クロゴキブリのような大型種は、成虫になるのに1年半から2年ほどかかるようです。

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 ゴキブリの仲間の特徴としては、体型は平たく、狭い場所にも入り込むことができます。 体表に光沢をもつ種類が多く、アブラムシ(油虫)と呼ばれることもありますが、全ての種類が光沢を持っているわけではありません。
 上から見ると複眼がどこにあるのか分かりませんが、これは頭部が胸部の下に隠れているためで、下は扁平な体を無理に横から撮ったものですが、こう撮ると“普通の”昆虫らしさがでてきます。

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 この複眼の位置からも推測されるように、複眼の機能はあまり良くないようです。 しかし、長い触角と、尾部にあって空気振動を感知する尾毛(びもう)が発達していて、視覚に頼らずに暗い環境下でも周囲の状況をよく把握し、俊敏に行動することができます。 足は、バッタの仲間のように後脚が発達して飛び跳ねる、というようなことはできませんが、前脚、中脚、後脚がバランスよく発達しており(下の写真)、たいへん速く走ることができます。

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 「ゴキブリ」の名前は、御器(ごき:食器)をかぶる(かじる)ことから「御器被り(ごきかぶり)・御器噛り(ごきかじり)」と呼ばれていたのが、文献の誤植によって「か」の字が抜け落ちたまま広まってしまったのが「ゴキブリ」の由来とされています。

(余分な事ながら・・・)
 下の写真のように写すと、スターウォーズのダース・ベイダーに似ていると思うのは私だけでしょうか・・・
(写真はガラスの容器に入れて撮っていますので、ゴミがたくさん写りこんでいます。)

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※ クロゴキブリの天敵であるアシダカグモの記事はこちらです。

 

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2009年10月21日 (水)

トビ

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 トビはワシやタカの仲間ですが、嘴や脚の力は弱いため、襲う動物はカエル、トカゲ、ヘビ、魚などの小さな動物ですし、生ゴミなども食べます。 ですから、海岸や水田地帯など、人の生活と近い場所でよく見られ、「鳶に油揚げをさらわれる」「鳶が鷹を産む」などの諺にも登場する「身近な猛禽類」です。
 また、翼の面積に比較して体重が軽いため、上昇気流を利用して、ほとんど羽ばたかず、上昇気流から離れないように輪を描く様子は、「トンビがくるりと輪を描いた」(三橋美智也「夕焼とんび」)と歌われたりして、よく知られているところです。
 「ピーヒョロロ」と鳴く特徴的な声と共に、翼が広く、翼の先端近くに白い模様があるのは、トビを他のワシタカ類と見分けるいいポイントになります。

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 上記のような餌や生活のしかたの関係で、繁殖期を除いて単独生活をする猛禽類が多い中で、トビは餌が容易に手に入る環境や上昇気流が生じやすい環境などでは群をつくります。 先日淡路島に行く機会があったのですが、淡路花博の跡地である淡路夢舞台では、海から吹く風が山に当たってできる上昇気流に乗って、たくさんのトビが円を描いていました。 ここに載せた写真は、望遠レンズを持参していなかったので、ズームの200mmテレ端で撮った写真をトリミングしたものです。

※ トビの背中側の様子や、とまっているところの写真はこちらにあります。

 

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2009年10月20日 (火)

ケケンポナシ

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 ケケンポナシはクロウメモドキ科の落葉高木です。 秋に直径数ミリの果実が熟しますが、この果実の軸が膨らみ、これから秋が深まると、果実とこの膨らんだ部分がくっついたまま、落ちてきます。 膨らんだ部分は梨に似た味(?)がして、この部分を種子と一緒に動物に食べてもらうことで種子散布しようという“魂胆”なのでしょう。 ちなみに人がこの部分を食べた場合、二日酔いに効くと言われています。
 ケケンポナシは「毛のあるケンポナシ」の意味で、葉の裏面や果実などに短い毛が密生しています。 なお、ケケンポナシとケンポナシは別種で、葉の様子も、毛の有無以外にも、ケケンポナシの鋸歯は浅くて不明瞭ですが、ケンポナシの鋸歯は粗いなどの違いがあります。 本州や四国では、ケケンポナシの方がケンポナシよりも多く見られます。
 ※ ケンポナシについては、こちらからpandaさんの記事にリンクしています。
 「ケンポ」についてはいろんな説がありますが、一説には「玄圃」つまり崑崙(こんろん)山上にある仙人の住処だと言われています。 この説によれば、ケケンポナシは、「毛のある、玄圃の梨」ということになります。

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 葉は煎じて飲み、肝臓に良いと言われていますが、これにはおもしろい性質があるようです。 アカテツ科の Synsepalum dulcificum の果実には、すっぱいものを甘く感じさせる成分が含まれていて、ミラクルフルーツと呼ばれていますが、このケケンポナシの葉に含まれるホベニン(Hovenin)という配糖体は、舌の甘さを感じる部分に作用して、甘さを感じなくさせる性質があるとのことです。

 

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2009年10月19日 (月)

クモノスモンサビカミキリ

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 稀な植物であるヤマホオズキの葉柄にしがみついている稀なカミキリ、クモノスモンサビカミキリです。
 クモノスモンサビカミキリの名前は、鞘翅に白い蜘蛛の巣状の模様を持った、サビカミキリの仲間(鉄錆のような色をした種が多い)ということだと、私は理解しているのですが、クモノスモンサビカミキリについていろいろ書かれているものはほとんどありません。 ビーティング( 木の枝などを叩いて落ちてくる昆虫を網で受けて採集する方法 )で採集されている場合が多く、行動の観察記録などは少ないようです。
 とにかく、鞘翅にまでトゲを生やした、トゲだらけの、体長7~8mmの小さなカミキリムシです。

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2009年10月18日 (日)

ヤマホオズキ

 岩湧山の登山道の脇にひっそりと実をつけていたヤマホオズキ、稀な植物で、大阪府ではレッドデータの準絶滅危惧種となっていますが、花もそんなに目立つものではなく、実も緑色のガクに包み隠され、気付かずに通り過ぎる人がほとんどなのでしょう。

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 果実のつくりは栽培されるホオズキによく似ていす。 上に書いたように、花が終わった後、ガクは大きく発達して子房から果実への変化を包み隠して保護します。

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 熟すと赤くなる果実の中には、たくさんの種子が入っています。

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アケボノソウの花粉媒介をする昆虫②

 写真を見直していて、おもしろい発見をしましたので、10月14日の記事に追記しました。

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2009年10月17日 (土)

ヒロハスズメノトウガラシ

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 今までスズメノトウガラシと呼ばれていた植物が、最近ヒロハスズメノトウガラシとエダウチスズメノトウガラシに分けられました。 写真はヒロハスズメノトウガラシだろうと思います。 これらとよく似た植物にアゼトウガラシもあって、みんな水田のあぜや湿地などの同じような環境に生える1年草です。
 スズメノトウガラシ( ヒロハスズメノトウガラシとエダウチスズメノトウガラシの共通の特徴 )の花は、上下からつぶしたような扁平な花です。 花冠から伸びだしている黄色いものは仮オシベで、花粉を出す2本のオシベは花冠の中に隠されています。
 果実は細長く伸びて、これを「雀の唐辛子」とみなした名前です。

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 ヒロハスズメノトウガラシとエダウチスズメノトウガラシの違いは、ヒロハスズメノトウガラシの方が、

  • 葉が広く、葉の先は丸い。 エダウチ-の葉は先がとがり、中脈を境にやや2つ折れの傾向がある。
  • 花の下唇の中央裂片が、エダウチ-ほど長くない。

 などの違いがあります。

 

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2009年10月16日 (金)

ヒナタイノコズチ

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 イノコズチは昔からよく知られている「ひっつき虫」ですが、緑色のガクが発達していて、ツボミの時はこのガクが目立ち、花弁が無いので花が咲いてもこのガクが開くだけのような印象で、注意して観察しないと咲いているのも分らず、花が終わってもガクが残って果実を保護する・・・ つまり花が咲いても気付く人は少なく、咲く前も咲いた後もほとんど変わらない姿です。
 さらに、この昔から知られていたイノコズチは、ヒナタイノコズチとヒカゲイノコズチに区別されることになり、狭い意味でのイノコズチはヒカゲイノコズチを指すこととなりました。 なお、この違いについても、別種なのか変種なのかと、いろんな変遷を経ています。

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 上はヒナタイノコズチの花の咲いている周辺を拡大したものです。 花のつくりをもう少し詳しく見ていくと、上に書いたように花被片(ガク片)は5、花弁は無く、オシベは5本、オシベの基部は薄い膜でつながっており、その膜の上に伸びた部分は仮オシベとされています。
 花被の外側には3個の小包葉があり、そのうちの2個は他の1個より長く、その基部には薄い膜状の付属体があります。 この長い小包葉は果実ができると共にとげ状となり、動物の体などに付着するのに役立ちます。

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 ヒナタイノコズチとヒカゲイノコズチは、次のような点で区別されます。(ほとんどが比較しての違いですが・・・)
 ヒナタイノコズチはヒカゲイノコズチに対し、

  • 葉は厚く、ねた毛が多く、特に葉の裏面には多い。
  • 花軸に白毛が多い。
  • 花は密につく。
  • 小包基部の付属体は小さく三角形。(ヒカゲ-は大きくほぼ円形)
  • 熟した果実は真下を向く。(最初の写真の右下隅 : ヒカゲ-は斜め下を向く)

 などの特徴があります。

 

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2009年10月15日 (木)

アケボノソウの花の変化

 前回の記事で、アケボノソウの花粉媒介をする昆虫は、アケボノソウの花に覆いかぶさるようにとまる大型の昆虫ではないかと書きました。
 この視点でアケボノソウの花のつくりを見ると、オシベもメシベも、真上から来る昆虫を“想定”して、ちゃんと上を向いています。
 しかし、もっと詳しく見ると、もっとすばらしいしくみを持っています。

 アケボノソウの咲いたばかりの花を見ると、オシベがメシベのすぐ側にあります。 換言すれば花弁に垂直に近い位置関係で、真上に向かって花粉を出しています。 そしてこの時、メシベの先端は尖っています。 つまり柱頭はまだ開いておらず、受粉することはできません。
 つまり、この時期は自分の花粉を自分のメシベに受粉させることはできず、花粉を出すだけの雄性期なのです。

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 そして時を経るにつれ、オシベは花粉を出し終え、次第に横を向いていきます。 場合によっては、もう葯は取れてしまって無くなっている場合もあります。
 それと並行して、メシベの先端の柱頭が開き、花粉を受け取る体制が整ってきます。 つまり雌性期です。
 花に覆いかぶさるように来る昆虫の腹に触れるのは、上を向いたメシベの柱頭で、ここで昆虫の腹についた花粉を受け取るということになります。

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 下の写真の花では、オシベの葯は全て取れてしまい、花糸は水平近くにまで開いています。

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 ところで、アケボノソウの花弁は、大型の昆虫がつかまっても耐えられるように、丈夫に作られているようです。 花弁には、その一部に蜜を作る“工場”さえ設置できるような厚みもあります。
 この丈夫な花弁は受粉後も残り、閉じていき、一見ツボミに戻ったような状態になります。 もちろんツボミに戻るわけは無く、ツボミの花弁は螺旋形にねじれていますが、花が咲いた後の“偽ツボミ”はねじれていません。 場合によっては、花粉を出し終えて横を向いたオシベを放置して閉じるものですから、花弁の間からオシベ(の花糸)が飛び出している状態になります。
 上の写真の右下の花(少しボケています)は、まさに花弁が閉じようとしている状態です。 また下の写真では、2つの雌性期の花と3つの“偽ツボミ”が写っていて、“偽ツボミ”はどれも花弁の間から花糸を出しています。

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 アケボノソウは、このように閉じた花弁で、子房が果実に変化するのを保護しているのでしょう。 花後にガクが残って子房を保護する花はたくさんありますが、花後に花弁も子房の保護に働く花は稀だと思います。

 花弁に保護され、子房は生長します。 下の写真では、子房が伸びて花弁より長くなっています。

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【まとめ】

  1. アケボノソウの花は大型の昆虫による花粉媒介に適したつくりになっている。
  2. アケボノソウの花弁はそれに耐えられる丈夫さを持っている。
  3. 丈夫な花弁は子房の保護にも使われる。

 

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2009年10月14日 (水)

アケボノソウの花粉媒介をする昆虫

 アケボノソウの蜜腺が花弁にあることは、このブログで記事にしました。 でも、こんな位置でこの蜜腺が花粉媒介に役立っているのか、疑問に思い、そのことも記事にしてきました。 蜜腺の蜜を舐めに来ているアリやハエを観察していて、どうしてもこの蜜腺の位置が花粉媒介に役立っているとは思えませんでした。
 しかし、この疑問が氷解する出来事が起こりました。

 アケボノソウを観察していた時、この花弁の蜜腺にスズメバチがまっしぐらに飛んできて、蜜を舐め、すぐに飛び立って行きました。 この間、1~2秒、撮れた写真はこの1枚のみで、スズメバチの種類も、たぶんキイロスズメバチだと思うのですが、私の知識では、背中側からの写真が無いと、自信を持って同定することもできません。
 でもこの時の、迷い無く蜜の位置に口を持っていった様子からすると、スズメバチはアケボノソウの蜜のある場所を知っているようです。
 そして、アケボノソウの花は、スズメバチの重さですっかり横を向いてしまっていますが、これだけ大きな昆虫が蜜を吸いに来てくれると、オシベの葯もメシベの柱頭も、易々と昆虫の体に触れる位置にあることになります。

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 下は上の写真の一部を拡大したものですが、ちゃんと蜜を舐めているのが分っていただけると思いますし、体のあちこちには花粉が付いています。

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 あの小さな蜜腺を持つかわいいアケボノソウの花に、こんなに大きな昆虫が来るとは思いませんでした。 こんな大きな昆虫が来てくれるなら、アケボノソウの蜜腺の位置、オシベの葯の位置、メシベの柱頭の位置は、花粉媒介にきわめて適した位置に配置されていることになります。
 もうひとつ、大切なポイントがあります。 スズメバチの重さですっかり横を向いていたアケボノソウの花は、スズメバチが飛び去ると、何事も無かったように、ちゃんと上を向きました。 アケボノソウはこんな大きな昆虫にとまられても耐えられる柔軟性を持つと同時に、アケボノソウの花弁はこんな大きな昆虫にとまられてもいいように、丈夫なつくりになっているようです。

(以下、10月18日追記)
 この記事に関していろんな方からコメントなどをいただき、そのことについて考えているうち、大きな事に気付きました。
 アケボノソウに大型の昆虫が来ることは、今までほとんど報告されていないと思います。 たった一度の観察で、私の中では上に書いたようなスズメバチの行動から確信のようなものができていたのですが、ある意味大胆な考察でした。 何かこの考察を補強する証拠がないかと考えていたのですが、もしもスズメバチが度々飛来しているとすれば、“足跡”が残っていないものかと考えました。 そのようにして今まで撮った写真を見直してみると、あちこちの写真に、“足跡”らしきものがちゃんと写っていました。 上の写真にも“足跡”らしきものが写っています。
 スズメバチがアケボノソウの花につかまる時に、足の爪は花弁の裏側に引っ掛けています( 下の写真の青い矢印 )。 そしてその時に花弁に傷ができるのではないかと思いました。 そのようにして写真を見てみると、あちこちの花の終わった後に見られる花弁の傷( 赤い矢印 : この矢印をつけたものはツボミではなく、花の終った後です。 詳しくは次回の記事で )は、スズメバチなどの爪の跡である可能性が高いように思います。

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 上の写真に写っている花弁の傷は、1つの花に1つです。 たぶん写真に写っていない裏側にも、もう1つ傷があるのでしょうが、このことは上に書いたように、スズメバチがまっしぐらに1つの花に来て、ガシッと花を抱きかかえ、ペロッと蜜を舐め、スッと離れていく行動様式とよく合致します。 つまり、1つの花序では、花は少しずつ時期をずらして次々と咲いていきますが、少なくとも写真のこの花序には、スズメバチが何度も訪れているのではないかと考えられます。

(以下、11月14日追記)
 センブリはアケボノソウと同じ属に分類されていて、花は少し小さくなりますが、よく似た花のつくりをしています。 センブリにはどんな昆虫が訪花しているのか、こちらで記事にしています。

shine

 次回はこのことを踏まえて、アケボノソウの開花から花の終わりまでの変化について書いてみたいと思います。

 

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2009年10月13日 (火)

ミツバアケビ

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 山道を歩けばミツバアケビやアケビの実が落ちているのをよく見る季節になりました。 上の写真は、ミツバアケビの果実です。 アケビの仲間は、果実が熟すと写真のように割れ、たくさんの黒い種子を包みこむ白い果肉が見えるようになります。 アケビは「開け実」からきているようですが、この白い果肉は甘くおいしく、鳥も動物もそして人も喜ぶ山の幸です。 もちろんアケビの仲間にとっては、このように果肉と一緒に種子を食べてもらい、種子を撒布してもらうのが狙いです。
 ちなみに、果肉を取り除いた果皮も、内部にひき肉を詰めて揚げたり、刻んで味噌炒めにするなど、山菜料理の食材として利用されます。

 ミツバアケビの花は4月から5月、濃紫色の雌雄異花で、小さな雄花は房状に多数付き、その基部に大きな雌花が付きます。
 雄花には、花弁はなく、3枚のガク片と6本のオシベがあり、オシベに囲まれて退化したメシベがあります。
 雌花にも花弁はなく、通常は3枚のガク片があるのですが、下の写真の花では4枚のガク片があります。 その中央には数本のメシベがあり、これが受粉して生長すると果実になるわけですから、写真の雌花のメシベが全部果実に生長すると9個の果実が鈴なりになるはずですが、そんなことはまず起こらないでしょう。

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2009年10月12日 (月)

ミヤマアカネ

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 ミヤマアカネは、翅の縁紋の内側に褐色の太い帯があり、翅脈まで色づくのが特徴です。 胸部側面にははっきりした特長的な模様はありません。
 成虫は7月から11月頃まで見ることができます。 名前には「ミヤマ」とついていますが、実際には丘陵地から低山地にかけての、水域近くの草むらに広く分布するトンボです。 産卵地は、止水よりも浅い緩やかな流水域を好むようです。
 写真のミヤマアカネを撮ったのは、芦屋市の「いもり谷湿地」の前で、まさしく上に書いたような場所でした。

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2009年10月11日 (日)

エフクレタヌキモ

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 エフクレタヌキモは北米産で、1991年に静岡県内の帰化が報告され、その後、マニアによってあちこちの池などに運ばれたのではないかと言われています。 神戸の池のエフクレタヌキモについては、2002年7月6日の神戸新聞に詳しく書かれています。
 「エフクレ」の名前は、空中に伸びる花柄を中心として放射状に伸びる葉の柄が膨れていて、浮袋の役割をすることで花柄を支えていることに由来します。

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 花は黄色で、ミミカキグサホザキノミミカキグサなどと同じタヌキモ属( Utricularia属 )ですので、基本的にはこれらと同じ左右相称の花のつくりをしているのですが、水中に浮遊するタヌキモ類の花の上下の向きはいい加減な傾向があるようで、上の写真のエフクレタヌキモの花も横を向いています。 下はその花の拡大ですが、このブログに載せたミミカキグサやホザキノミミカキグサと花の向きが同じになるように写真を90度回転させてあります。

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 「タヌキモ」の名前は、これらの水中に浮遊するタヌキモ類の葉が、細く細かく裂けていて、それがフサフサしたタヌキの尾のイメージにつながるところからだと言われています。
 下のエフクレタヌキモの葉の写真のように、葉にはたくさんの小さな袋が付いていますが、この袋で水中の小さな生物を捕らえます。 よく見ると、この袋の葉とつながる柄の反対側に、2本の毛が生えています。 袋の中は外よりも低圧状態に保たれていて、ミジンコなどがこの毛に触れると、物理的にこの袋の蓋が開き、水と一緒に袋に吸い込まれてしまうしくみになっています。

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アダンソンハエトリのオス

 先日アダンソンハエトリのメスを記事にしましたが、オスもいましたので、10月5日の記事を書き換えて、いっしょにしておきました。

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2009年10月10日 (土)

オギノツメ

 オギノツメの学名 Hygrophila salicifolia の属名は「湿地を好む」という意味です。 今回の写真のオギノツメも、いつも水のある溝に生えていました。
 オギノツメは、水に浸かったままでも生きていくことができますので、学名をそのままカタカナ書きし、「ハイグロフィラ サリチフォリア」という名前で、水草としてアクアリウムなどにも利用されています。 それほど水を好む植物です。 あまり人気のある水草ではありませんが・・・
 そんな植物ですが、自生地は少なくなり、あちこちで絶滅危惧種に指定されています。 分布は静岡以西なのですが、人口密度の高い私の家の近所の田のように、隅々まで丁寧な除草が行われるような場所では、オギノツメのような植物が生えていることは期待できませんし、いつでも水がたまっているような場所は平らな場所、宅地などにどんどん開発されてしまっています。

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 オギノツメは、茎は30~50cmほどにまで伸び、長さ5~10cmほどの葉を対生させるゴマノハグサ科の多年草です。 8~10月には、その葉腋に長さ1cmあまりの小さな花を複数咲かせます。

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 ゴマノハグサ科の花も2唇形で、シソ科などの花に似ていますが、ゴマノハグサ科の果実は中に多数の種子を入れています。 上に書いたように、あちこちで絶滅危惧種に指定されているオギノツメですが、種子生産はちゃんと行われているようで、たくさんの果実ができていました。
 オギノツメの名前の由来は分りませんが、湿地の植物ですから、オギ(荻)と混生して、この果実の集まった様子が、何かの動物の指の爪状に見える、ということかもしれませんね。

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エフさんのブログなどによると、オギノツメはタテハモドキの幼虫の食草ということで、このチョウもとても撮りたいチョウですが、大阪府の近くでウロウロしているかぎりは無理なようです。

 

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2009年10月 9日 (金)

アメリカアサガオ

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 アメリカアサガオは1年性の帰化植物です。 原産地は熱帯アメリカで、第二次世界大戦後に輸入食品に混じった種が元になり、各地に野生化したと考えられています。
 アサガオ類の種類も多いのですが、この種はガクの様子で他のアサガオ類から見分けることができます。 すなわち、ガクは肉が厚く、ガク裂片は広い基部から急に尾状に細くなり、尾状部は左右両縁が内側に巻き込みU字溝状となって先は著しく反り返り、ガクの外側には長毛が密生しています。

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 ガクから少し離れた茎寄りの所に、多肉化した1対の苞葉があるのも大きな特徴なのですが、この苞葉は密生した長毛に囲まれてガクと紛らわしく、見分けるには注意が必要です。 下は上の写真の一部を拡大し、苞葉を赤い矢印(2つ)で示したものです。

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 アメリカアサガオには葉の分裂しない型と、深く3~5裂する型があり、写真は前者で、マルバアメリカアサガオと呼ばれています。 似た名前の種にマルバアサガオがあり、葉に切れ込みの無いところは似ていますが、ガクの様子などはかなり違っていて、別種です。

 

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2009年10月 8日 (木)

ウメバチソウの花蜜

 きれいな花は虫を引き寄せ、花粉媒介をしてもらうため。 風媒花がきれいな花を咲かせるのは、花を作るエネルギーのロスです。
 ウメバチソウの花は、どう見ても虫媒花です。 虫媒花は視覚的に虫をひきつけると同時に、虫に花粉や蜜を提供します。 昨日は、いつ虫に来てもらってもいいようにと1つの花が長期間花粉を出し続けるためのしくみについて書きましたが、今日は花蜜についてです。 平凡社の「日本の野生植物 草本Ⅱ」には、ウメバチソウの花は蜜を分泌しない旨の記載がありますが、ほんとうに蜜を出していないのでしょうか。
 ウメバチソウの仮オシベは細かく枝分かれし、その先には黄色い球形のものがついています。 この球形の部分は、その色や光沢からして、いかにも蜜を出していそうなのですが、指で触れても、どうも蜜は出ていないようです。
 しかし、仮オシベの枝分かれする直前の緑の濃い部分に光るものを見つけました(下の写真)。 もしこれが蜜で、この緑の部分から蜜を出しているとしたら、飛んでくる虫を飛行機に例えると、黄色い球は飛行場の誘導灯の役割をしているのかもしれません。 そのように見ると、球形のものの色が、緑の部分に近くなるにつれて次第に黄色が濃くなっていくのも納得できます。

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 あるウメバチソウの花にアリが来ていました。 たまたま通りがかった様子ではなく、しきりに花の蜜を探すように動き回り、時々緑の部分で立ち止まっていました(下の写真)。

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 アリでは花粉を媒介してもらうことは期待薄ですが、アリの行動を見ていると、どうも緑の部分から、わずかですが蜜が出ているような気がします。

 

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2009年10月 7日 (水)

ウメバチソウ(オシベの変化)

 このブログの'08年10月10日に、六甲高山植物園で撮ったウメバチソウのことを記事にしました。 その中で、いろんな状態の花の写真を撮ることができず、オシベのおもしろい変化を紹介できずに残念だと書きました。
 手許に、神戸新聞総合出版センター発行の「六甲山の植物」という本があります。 著者のお一人からいただいたのですが、この本の巻末にいくつかのトレッキングコースが紹介されていて、それによれば、ウメバチソウは六甲山系では減少しているものの、あちこちで見られるようです。
 今回は六甲山系のウメバチソウの自生地で、オシベの変化を確認することができましたので、記事にしてみました。

 ウメバチソウの花には5本のオシベと、枝分かれした5本の仮オシベがあるのですが、今回は花粉を出すことのできるオシベに注目して見ていくことにします。
 開花したばかりの花では、5本のオシベは全て子房にくっついています。 下の写真では、そのうちの1本が伸びてメシベの真上に来て葯が裂開し、花粉が出はじめています。 この伸び始めたオシベを①とします。

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 ウメバチソウの花は放射相称ですから、花をどちらから撮るかで、上の①の位置は変化します。 下の写真では、①のオシベは伸びてメシベを離れ、①の隣のオシベがメシベの真上で花粉を出し始めています。 このオシベを②とします。 このように、伸びていく順に、オシベに番号をつけていくことにします。

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 上の写真では、②は花を上から見たときの①の左隣ですが、②が①の左隣になるのか右隣になるのかは、たくさんの花を見ると、両方のケースがありました。
 下の花では②は①の右隣になっていますが、①の葯は花粉を出し終えて既に取れてしまっています。 ②のオシベも伸びてメシベを離れ、①から見て②の反対側にあるオシベが伸びだしてきています。 このオシベを③とします。

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 下の写真では、②の葯も取れてしまい、③のオシベも伸びきり、仮に①を「真上」とすると、②の下にあったオシベも花粉を出しながら伸びてしまっています。 これを④とします。 オシベは5本ですから、最後に伸びるオシベ⑤は、自動的に決まります。

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 下は花弁もかなり古くなっていて、5本のオシベの葯は全て落ちてしまっています。 そしてメシベの柱頭は大きく開いています。

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 ウメバチソウの1つの花は、10日以上も咲き続けますが、その間、上で見たように、オシベは順々に立ち上がり、花粉を出し、そして5本のオシベが花粉を出し終えて雄性期が終わった後にメシベの柱頭が開き、雌性期に入ります。

 下は上の写真よりもさらに時間が経過した花で、花弁も落ちてしまっています。 美しかった仮オシベも色彩を失いつつあります。
 下の写真を載せた理由は他にもあって、この花が奇形だからです。 この花のオシベは6本あり、メシベの柱頭は5裂しています。

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 ウメバチソウは、新しいAPG植物分類体系では、新設されたウメバチソウ科に分類されています。 ウメバチソウ科に近いユキノシタ科では、ユキノシタ、ダイモンジソウジンジソウなど、左右相称の花がたくさんあります。 ウメバチソウは放射相称の花ではありますが、オシベの変化を見ると、4枚目の写真の説明で「真上」という語句を使いましたが、左右相称的要素を持っている花と言えるのではないでしょうか。

 明日はウメバチソウの花の蜜について考察したいと思います。

 

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2009年10月 6日 (火)

アメリカコナギ

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 アメリカコナギは北アメリカ原産のミズアオイ科の一年草です。 1970年代に岡山県で定着が確認された比較的新しい帰化植物で、現在のところは分布は限定的ですが、西日本の水田等に広がりつつあるようです。
 従来から日本にあったコナギとは、茎が横に長く伸びて葉の幅が細いほか、花の印象もつくりもかなり違っていて、別の属に分類されています( コナギは Monochoria属、アメリカコナギは Heteranthera属 )。
 花期は8月から10月で、鞘状の包葉から1つの花を咲かせます。 花の色には青紫色と白色の二型があります。 写真は後者ですが、内花被の1枚の根元にだけ黄色い蜜標があり、一見放射相称の花ですが、左右相称的要素も持っています。
 オシベは3本ですが、うち1個の葯は矢形をしており(下の写真の赤い矢印:写真をクリックして拡大してご覧ください)、他の2個の葯は楕円形です。

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2009年10月 5日 (月)

アダンソンハエトリ

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 自宅の屋内にいたアダンソンハエトリです。
 アダンソンハエトリは屋内に普通なハエトリグモで、上はメス、そして下がオスです。
 メスとオスは全く色が違うようですが、よ~く見ると、オスの白い色の所はメスでも色が薄くなっていて、なんとなく共通の模様であることが分ります。

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2009年10月 4日 (日)

ヒキオコシ

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 岩湧山の山頂付近で撮ったヒキオコシです。
 ヒキオコシは山の草原に生える多年草で、高さは1m前後にまで育ち、たくさんの花をつけるのですが、一つひとつの花は小さく、6mm前後の大きさです。
 花冠は上唇と下唇に分れ、上唇は4裂しています。 下唇はメシベやオシベをつつみます。
 ヒキオコシは個体によってオシベが長くメシベが短いものと、オシベが短くメシベの長いものがあり、写真の個体は前者です。 この両方の花の写真を並べてブログに載せようと思っていたのですが、なかなか揃わず、とりあえず片方のタイプだけ・・・

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 ヒキオコシの葉には苦味があって、昔から胃腸病の民間薬とされてきました。 弘法大師が倒れている行者にこの草のしぼり汁を飲ませたところ、その行者が元気をとりもどして旅を続けることができたところから、病人を「ひき起こす」という意味で、ヒキオコシと呼ばれたといわれています。 特に近畿や四国では、弘法大師さんはいろんな所で登場します。

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2009年10月 3日 (土)

ミヤマウズラ

 このブログのアケボノシュスランのコメントで、アケボノシュウランは毛深くないと書いたところ、「では毛深いとは?」というE-mailをいただきました。 そこで、本日の記事は、“毛深いラン”のミヤマウズラです。
 ミヤマウズラはアケボノシュスランと同じ属( Goodyera属 )です。 ですから、花のつくりなどは、たいへんよく似ています。 でも、花柄にも花にも細かい毛がたくさん生えています。

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 8月から9月に咲く花の色は白またはわずかにピンクです。 写真の株では少ないのですが、葉には白い斑があります。 常緑の多年草で、この葉を見れば、花の無い時期でも、ミヤマウズラだと分ります。
 ミヤマウズラの名前は、葉を鶉の卵に見立てたものと言われています。

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※ 今までトップページには10の記事を表示させていたのですが、表示速度を速めるため、トップページの記事の数を5に減らすことにしました。

 

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2009年10月 2日 (金)

セスジスカシバ

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 岩湧山の山頂近くで羽音も高く飛んで来た虫、恐る恐る覗き込んだ姿はスズメバチそっくり! みごとな擬態です。
 でもよく見れば、スズメバチにある腰のクビレは無く、翅は半透明な部分が多いものの鱗粉があり、全身毛で覆われていて、これはまさしく蛾の仲間。

Kubiakasukasiba090920_1

(11月28日追記)
 写真の蛾は当初「クビアカスカシバ」としていましたが、中さんに指摘していただき、タイトル等を訂正しました。 クビアカスカシバは幼虫がブドウの幹に穿孔する害虫として知られている身近な昆虫であったため、属の違いもあってセスジスカシバの存在に気付かないまま、記事にしていました。
 中さんからいただいたコメントによると、セスジスカシバはクマイチゴなどキイチゴ類を餌にしていて、標高が高いところで秋に発生しますが、クビアカスカシバは6月~8月が発生時期ということです。
 改めて見比べてみると、クビアカは“首”に黒い部分が無く、胸部の後半から腹部にかけて黒い部分が連続し、中脚と後脚がが濃色など、いろいろ違いが目に付くものの、「セスジ」といっても背中に明瞭な線が認められるわけでもなく、よく似ています。 でもこれでセスジスカシバの学名は Pennisetia fixseni 、クビアカスカシバは Toleria romanovi と、属が異なるのですね。

 

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2009年10月 1日 (木)

センボンヤリ

 地面に接するように広がった葉から、長~く突き出たヤリが千本、と言いたいところですが、日当たりのいい場所の元気な株はヤリが長くて写真に収めにくく、日陰のどうにか花を咲かせた小型のセンボンヤリを撮りました。 ヤリは2本しかなく、うち1本はまだこれから伸びるところで、フニャリとしていますが・・・

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 下は日当たりのいい所の元気なツボミ・・・

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・・・と思いきや、上のツボミらしきものの断面を作ってみると、ツボミのように見えていた内側ではメシベが伸びていて、その柱頭には花粉がいっぱい付いています。

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 これが「閉鎖花」と呼ばれているもので、センボンヤリはキク科の多年草ですが、秋、いつ見ても花が咲いているようには見えません。 総苞の中で人知れず咲き、自家受粉し、種子を作ります。
 最初の写真をよく見ると、長く伸びた柄の先についている総苞からは褐色の毛が顔を出し始めています。これは冠毛で、もう少し日が経つと、下のような姿になります。

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 上の写真では長~い柄は写っていませんが、この姿を見ると、センボンヤリの「ヤリ」は、先端が金属の武器としてのヤリではなく、大名行列の先頭を行くケヤリなのだろうと思います。

 以上、秋のセンボンヤリのことについて書きました。 じつはセンボンヤリは春にも花を咲かせます。 この春の花は、上記のような閉鎖花ではなく、キク科らしい花です。 この花の花弁は白く、下面が紫に染まるので、ムラサキタンポポという名で呼ばれることもあります。

 

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