トチノキの実
トチノキの実が落ちていました。 5月13日に花を記事にした木の実です。
トチノキの雌花の子房は3室からなり、各室に胚珠は2個、つまり1つの雌花には6個の胚珠があります。 花が終わると、子房は果実に、胚珠は種子になっていきます。
トチノキの果実は蒴果(さくか:下の注1参照)で、3片に裂開します。 通常は6個の胚珠のうちの1つだけが成長し、大きな種子になります。
よく見ると、少しだけ種子になりかけて成長の止まった胚珠は、黒褐色の小さな粒として確認することができます(下の写真の青い => で示した部分)。
大きな種子の表面は、赤みを帯びた濃い褐色で光沢があり、すべすべしています。 どのくらいの大きさなのか、10円玉と並べて写してみました。
種子の下半分には大きな臍、つまり栄養分をもらっていた所が、薄い褐色の部分として確認できます。
下の果実には2個の種子が入っています。 6個の胚珠のうちの2個が成長したものです。
これらの種子をつぶして渋を抜き、加工したのが栃餅です。
注1:蒴果
果実とは花の子房が変化したもので、いろいろな種類があります。 私たちが日常生活で「果実」と言った場合の果実の多くは多汁ですが、これらを「液果」というのに対し、種子を包む果実の皮(果皮)が乾燥した果実を「乾果」と言います。 この乾果のうち、種子が成熟すると果皮が割れて種子の出口ができるものを「裂開果」と呼びます。 さらに、この裂開果の割れ方でいくつかのパターンに分類し、メシベの子房の断面を作った場合に見ることのできる部屋の数(つまり心皮の数)だけ果実の外側に割れ目ができる場合を「蒴果」と呼んでいます。
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コメント
おやおや?
一つしか入ってないのんと
二つも入ってるのんがあるんですね??
>種子の下半分には大きな臍、つまり栄養分をもらっていた所が、薄い褐色の部分として確認できます。
人とか哺乳類でのへその緒に似てる・・・
投稿: わんちゃん | 2009年9月 9日 (水) 22時49分
> 人とか哺乳類でのへその緒に似てる・・・
話は逆で、哺乳類のへその緒から、それに似た機能を持っている所を臍と呼んでいるわけです。
投稿: そよかぜ | 2009年9月10日 (木) 07時17分
へ~~ そうなんだ!
投稿: そよかぜの分身 | 2009年9月10日 (木) 07時19分
おはようございます♪
トチノキって山地に生えてるんでしょうか
なかなか目にすることがないです
去年はじめてトチの実を拾ったので敷地の広い友人にあげましたが芽がでてきたかな~
芽が出ても栃餅が作れるようになるのは何年も先ですね
投稿: エフ | 2009年9月10日 (木) 08時15分
トチノキは谷間などの水分の多いところで見られます。たいへん大きくなる木で、成長は比較的速いようですが、かなり大きくなるまでは実は期待できないでしょうね。
投稿: そよかぜ | 2009年9月11日 (金) 07時07分