ガガブタ
ガガブタは本州以西のため池などで見られる多年生の水草です。 葉はスイレンに似た少し小ぶりの浮葉ですが、花は全く違います。
7月から9月に咲く花は径1.5cmほどの白い花、花の花弁の周囲は細かく裂けていて、一面に毛が生えたようになっています。 花弁の周囲が細かく裂けているといえば、花の色は違いますが、アサザもそうでした。 じつはガガブタとアサザは、同じ科どころか、同じ属( Nymphoides属 )の植物で、たいへん近い関係にあります。 ちなみに属名の Nymphoides は「スイレン( Nymphaea )に似た」という意味です。
花は朝から昼過ぎまで開いていて、夕方には水中に没する1日花なのですが、撮影したのは9月13日の午後3時半、まだきれいに咲いていましたので、秋になって反応が少し鈍くなってきているのかもしれません。
上で、葉はスイレンに似ていると書きましたが、他人の空似、スイレンはスイレン科ですし、ガガブタはミツガシワ科の植物で、花も違えば全体の体制も違います。 スイレンの茎は地下茎で、そこから水面まで長い葉柄を伸ばして葉を広げます。 ところがガガブタには水面近くまで伸びる長い茎があり、そこから短い葉柄を持つ葉を伸ばします。
種子植物の芽のできるところは2ヶ所、茎の先端と葉の付け根です。前者の芽を「頂芽」、後者の芽を「腋芽」と呼んでいますが、もちろん「花芽」も芽ですから、この場所で作られます。 つまりスイレンは地下茎から花茎を伸ばして花をつけるのに対して、ガガブタは水面近くの葉の付け根から花を咲かせます。
下はガガブタを水から少し持ち上げて写したものですが、葉の付け根、つまり茎と葉柄の境から花が咲き、たくさんのツボミなどをつけています。
写真では見られませんが、この茎と葉柄の境から根を出すことも可能で、このことが、例えば水位が下がった時に、ここから出た根で定着するなど、スイレンとは違った生活を可能にしています。
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コメント
ガガブタ?
「我々豚」って漢名を想像しました、
まさかまさか・・・・
>ガガブタとはおもしろい名前ですが,ガガは影の転訛で鏡の意味だそうです。
ですから鏡の蓋ということになります。
漢字では鏡蓋。
と、ちゃんと載ってました
こんなにかわいい花がたとえ一日花でも
根はしっかりと長生きするには、
ここのため池の水がきれいじゃないとアカンのですよね。
投稿: わんちゃん | 2009年9月22日 (火) 14時39分
ため池の生物が少なくなったのには、いろんな原因があると思います。まず堤がブロックで覆われたこと、これで土は池の底しかなくなり、いろんな深さで根を張ることができなくなりました。それに農薬などの流入も影響しているでしょうね。
投稿: そよかぜ | 2009年9月22日 (火) 17時39分