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2009年9月21日 (月)

湿地の植物はなぜ小さいか

 これまでミミカキグサホザキノミミカキグサヒナノカンザシと湿地の植物を記事にしてきましたが、みんな小さな植物でした。 その記事のコメントで、湿地にはなぜこんな小さな植物が見られるのかという質問をいただきましたので、今日はそのことについて考察したいと思います。
 人工的に作られたため池では、限られた面積に効率よく水を貯めるために四方に堤を築きますので、いわゆる湿地は存在しません。 しかし自然にできた池には、斜度の緩やかな場所に湿地が広がっている場合があります。
 そのようななだらかな地形にある池に流れ込む穏やかな流れで運ばれる土は、たいへん細かい粒子であり、流れの無い池で沈殿して粘土となる場合も多いでしょう。
 ところで、植物の根も生きています。 生きていくためには酸素が必要です。 ところが、粘土質の土壌には隙間が無く、水分をたくさん含んでいたとしても、水がおき換わらず、酸素をたくさん溶かした水が入ってきません。 つまり粘土質の土壌では、いつも酸素不足になりがちです。 それに粘土質の土壌は、少し深くなると、上の重みで固められ、根も入り込みにくくなります。
 つまり粘土質の土壌では、植物が根を十分張ることができず、根の発育が不十分だと、根で吸収する栄養塩類の補給も不十分になりますし、大きな地上部を支えることもできません。 つまり大きくなる植物は育ちません。
 でも、大きな植物が育たないということは、小さな植物にとっては日陰にされないということであり、粘土質の土壌環境にあっても何らかの工夫をして生きていける植物にとっては、小さくても光が十分な環境だということになります。

Toukaimousengoke090913_1
   地表にへばりついて生きるトウカイモウセンゴケ

 

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コメント

そうだったんですかぁ・・・・・
うんガッテン・・・・・

それらのちっちゃなお花の続きに
トウカイモウセンゴケが?
あのピンクのお花が終わって?ですか?

投稿: わんちゃん | 2009年9月21日 (月) 17時31分

トウカイモウセンゴケの花はそろそろ終わりのようですね。
トウカイモウセンゴケも全く同じことです。花の径は1cmに満たず、根の発達は悪く、地面に接している葉によって花茎が倒れないように支えられていて、栄養塩類は葉が虫を捉えることで得ているわけですから。

投稿: そよかぜ | 2009年9月21日 (月) 18時40分

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