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2009年9月30日 (水)

テイショウソウ

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 テイショウソウは関東南部から近畿地方にかけてと四国に分布します。 葉は細長いハート型で、葉の細胞間にある気体の乱反射のために白く見える模様があります。
 葉を数枚地面近くに広げるだけなので、他の植物に上を覆われると、光合成できなくなります。 私がテイショウソウを見るのは、薄暗い樹林下で、植物が生活できるギリギリの明るさ、つまりこの明るさで育つことのできる植物は限られているが、テイショウソウなどはどうにか育つことができる、そんな環境です。
 上記のことを逆の見方をすると、光合成に有利なように葉を上に持ち上げようとして丈夫な茎を作ろうとすると、茎の細胞が呼吸によってエネルギーを消費します。 テイショウソウはエネルギーの消費を極力押さえ、つまり“設備投資”をできるだけ抑えて大きく儲けることはあきらめ、薄く大きい葉を地面に広げ、少ない光で細々と光合成という生産活動を行う“堅実な”生き方を選んだ植物なのです。
 日日の生活で細々と稼ぎ、でも子孫を増やすためにはその儲けを一挙に吐き出し、種子ができるだけ遠くに飛ぶようにと高い花茎を伸ばします。

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 テイショウソウはキク科モミジハグマ属( Ainsliaea属 )に分類されています。 キク科の植物の花は舌状花または筒状花が複数集まって頭状花序(頭花)をつくり、これがひとつの花のように見えるのですが、モミジハグマ属の頭花は3個の花(小花)からなります。 「テイショウソウ」の名前の由来は不明とされていますが、もしかしたらこの3小花を鼎(かなえ;音読みはテイ)の足に見立て、「ショウ」は総苞を釣鐘(鐘の音読みはショウ)にみたてたのかもしれません(この語源については、Shu Suehiro さんの「ボタニックガーデン」でヒントを得ました)。
 下は1つの頭花を拡大して撮ったもので、それぞれの花(小花)の5枚の花弁がカールして、なかなか美しいものです。
 モミジハグマ属の花のもうひとつの特徴として、冠毛(通常の花のガクに相当します)が羽状の枝を持っていることが挙げられます。 下の写真では長く伸びた羽状の枝を持った冠毛も写っています。

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 上の花はまだ若く、互いにくっつきあったオシベの葯から花粉が出はじめています。 葯に囲まれたメシベは見えていません。 もう少し時間だ経つと、メシベが伸びだしてきて、柱頭が2裂します(下の写真)。

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2009年9月29日 (火)

アケボノシュスラン

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 花の色は白み始めたほんのり朝焼けした空に似て、葉は光沢のある繻子(シュス)織のようだというアケボノシュスラン、かわいく、美しく、慎み深いランです。
 茎は地を這い、そこから急に立ち上がって高さ10cmほどになります。 花期は9月から10月と言われていますが、今年の9月20日の岩湧山では、まだほとんどがツボミでした。
 小さな植物ですので、生えていたのは上を他の植物に覆われない場所、具体的には他の植物があまり育たない薄暗い斜面(上の写真)や、湿り気のある垂直に近い岩の側面(下の写真)などでした。

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※ 繻子織
 朱子織とも書き、平織、綾織(=斜紋織)とともに織物の三原組織の一つです。 経糸(たていと)または緯糸(よこいと)のみが表に表れているように見える織り方で、摩擦や引っかかりには弱いのですが、光沢が強く現れます。

 

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2009年9月28日 (月)

ギンリョウソウモドキ

 薄暗い樹林下で静かに咲くギンリョウソウモドキです。

 

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 ギンリョウソウモドキは別名アキノギンリョウソウ、ギンリョウソウ(銀竜草)が5月から8月に咲くのに対して、ギンリョウソウモドキの花期は8月から10月です。 ギンリョウソウと比較すると、ギンリョウソウモドキの方が少しほっそりしていて、花の下を向く角度はギンリョウソウモドキの方が真下に近い方向を向いているようです。
 ギンリョウソウは以前は腐生植物だと言われていましたが、最近の研究では、ベニタケの仲間のキノコの菌糸から栄養分を奪って生きていることが分っています。 ギンリョウソウモドキも、多くの場合はベニタケの仲間の菌糸から栄養分をもらっているようです。 ですから光合成は必要なく、葉緑体はありません。 むしろ真っ白であることを利用して薄暗い環境で虫に目立ち、花粉媒介をしてもらっているようです。
 でもこの純白も乾燥すると真っ黒になります。 最初の写真でも、撮影前にしばらく雨の降らない日が続いて、小さいギンリョウソウモドキは伸びきれないままに葉が乾燥して黒くなってきています。
 ギンリョウソウモドキの白い妖艶な姿は、現地での写真に限ります。 持ち帰ろうとしても、家につく頃には真っ黒になっていることでしょう。
 光合成をする必要の無いギンリョウソウモドキにとって大切なのは種子生産、体全体が花とその花を持ち上げるためだけにあるようなつくりです。 その点から言えば、ギンリョウソウモドキやギンリョウソウはイチヤクソウ科、ナンバンギセルはハマウツボ科で、全く別の植物なのですが、よく似た体のつくりでよく似た生き方をしていると言えるのではないでしょうか。 花は雨が入らないようにでしょうか、斜め下を向き、覗き込むと大きな柱頭が見えているところなども、たいへんよく似ています。

 

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 上はギンリョウソウモドキの花を下から覗き込むように撮ったものですが、大きな柱頭と、その周囲には黄色い葯が見えています。 ちなみにこの柱頭の色は、ギンリョウソウが青い色をしているのに対し、ギンリョウソウモドキでは黄褐色です。

 

 ギンリョウソウモドキの花の断面を作ってみました(下の写真)。 大きな子房が花の大部分を占めています。 花の後方(写真では上)には空洞があります。 ここは蜜をためておく所なのでしょうか。

 

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 ギンリョウソウモドキは花が終わると首を持ち上げ、果実(さく果:乾いた果実で割れ目が生じ、そこから種子が散布される)は上を向きます。 細かい種子が風に乗って少しでも遠くにまで届くようにということなのでしょう。 そして植物全体は乾いて褐色になります(下の写真)。

 

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 上で、全体の様子や柱頭の色について、ギンリョウソウとギンリョウソウモドキの違いを書きましたが、両者はよく似ています。 しかし両者は別種どころか、別の属に分類されています。 その重要なよりどころとなっているのが、子孫を残す方法に深く関係する果実の違いです。 ギンリョウソウは、ギンリョウソウモドキのような「蒴(さく)果」ではなく、「液果」になります(その様子はこちら)。 ギンリョウソウモドキの種子はたいへん細かく(「埃種子」と呼ばれています)、風によって運ばれ、ギンリョウソウの種子は動物に食べられて運ばれます。

 

 

 

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2009年9月27日 (日)

ミシマサイコ

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 ミシマサイコは明るい草原に生える、8~10月に黄色い花を咲かせるセリ科の多年草です。 葉は細長い単葉で、並行脈があり、まるで単子葉類の葉のようです。
 ミシマサイコやその変種の根は、柴胡(さいこ)という生薬であり、解熱、鎮痛作用があります。 ミシマサイコの名前は、静岡県の三島地方がこの生薬の産地として優れていたことに由来するようです。
 このミシマサイコも、自生のものは乱獲によりたいへん少なくなってしまいました。 現在では生薬用に、宮崎県、鹿児島県、中国、韓国などで栽培されているようです。

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2009年9月26日 (土)

タヌキマメ

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 タヌキマメは本州以南から朝鮮・中国~インドまで広く分布しているマメ科の1年草で、各地の湿り気のある原野に生えています。
 花は午後に開きます。 花を見ればたしかにマメ科なのですが、マメ科にしては珍しい形質をいろいろ持っています。 まず、マメ科植物の葉には複葉が多いのですが、タヌキマメの葉は単葉です。 そしてガクが発達していて表面に褐色の長毛を密生しています。 このガクは花の後も残り、果実が育つまで包み込んで保護し続けます。
 タヌキマメの「タヌキ」は、このガクの毛がタヌキの毛に似ているからとも言われていますが、ガク全体がタヌキの尻尾のようでもあり、いわゆる“八畳敷”のようでもあり、また花がタヌキの顔に似ているからとも言われています。

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 下はガクの中の若い果実を撮ったものです。

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 太い果実(=莢)の中にはさぞかし大きな豆が育つのかと思いきや、タヌキマメの仲間では、莢の中には小さな種子(豆)が並んでいて、莢の中のかなりの部分は空洞のようです。 タヌキに化かされたみたい・・・

 

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2009年9月25日 (金)

クワゴマダラヒトリの産卵

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 クワゴマダラヒトリは、養蚕の盛んな頃は幼虫が桑の葉を食い荒らす害虫として嫌われていたのでしょうが、幼虫は桑に限らずたいへんな雑食性で、養蚕のほとんど行われなくなった現在でも、果樹や作物の害虫として嫌われ続けています。
 そんなに雑食性ならどこに卵を産んでも良さそうなのですが、どういうわけか、私が見る産卵場所は、いつもアカメガシワの葉の上です。

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 産卵している(し終わった?)メスはつついても動きません。 下の写真を撮る時も、腹部の様子を撮るために翅を上に持ち上げたのですが、ゆっくりと翅を元の位置に戻しただけで、足は全く動かしませんでした。

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 卵を産んだ雌は力尽き、その場から動かずにしばらくいて、そのまま息絶えてしまうようです。 上の写真を撮ったのが9月12日、そして9月23日に同じ所を通ると、産卵場所の真下に死んだメスが落ちていました(下の写真)。 翅はそんなに痛んでいないようですが、腹部はアリに食べられたのでしょうか、ほとんどありませんでした。

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 産み付けられた卵から孵った幼虫は・・・ 続きはこちらから・・・

 

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2009年9月24日 (木)

ゴマクサ

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 ゴマクサは関東以西の湿った草原に生える1年草です。 丈夫そうな外見ですが、各地で絶滅が心配されています。
 名前は、花や果実の様子が栽培植物のゴマに似ているからですが、ゴマはゴマ科で、ゴマクサはゴマノハグサ科ですから、花のつくりは、ゴマのオシベは5本でゴマクサのオシベは4本であるなど、少し違います。
 花は8月から9月、暗紫色のガクは前面で浅く裂け、そこから黄色の花冠が出ています。 オシベは上に書いたように4本で、花糸にはびっしりと毛が生えています。

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2009年9月23日 (水)

ミズトラノオ

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 ミズトラノオは水辺に生えるシソ科の多年生草本です。 池などの止水の水辺が改修工事などによって減少し、この美しいミズトラノオの見られる場所はたいへん少なくなってしまいました。
 ミズトラノオの葉は線形で、3~4枚ずつ輪生します。 花穂は茎の先にできて、淡紅色の花を密生します。
 花が密生した状態では何がなんだか分らないので、下は若い花を1つ写したものです。 4本のオシベと1本のメシベが花冠を超えて長く伸び出しています。 中ほどに長毛を密生している4本がオシベで、先端には小さな葯がついていて、花粉が出はじめています。 写真の斜め下に伸びている長毛の無いのがメシベです。 まだこの状態では、メシベに受粉能力はありません。

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 下はもう少したくさんの花を写したものですが、多くの花のメシベの先端が2裂しています。 ミズトラノオも他の多くのシソ科の花と同様に雄性先熟の花で、柱頭が2裂してはじめて、その内側で受粉できるようになります。

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 最後に1枚、少なくなったミズトラノオを惜しみ、少し芸術的に撮った写真を載せておきます。

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2009年9月22日 (火)

ガガブタ

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 ガガブタは本州以西のため池などで見られる多年生の水草です。 葉はスイレンに似た少し小ぶりの浮葉ですが、花は全く違います。
 7月から9月に咲く花は径1.5cmほどの白い花、花の花弁の周囲は細かく裂けていて、一面に毛が生えたようになっています。 花弁の周囲が細かく裂けているといえば、花の色は違いますが、アサザもそうでした。 じつはガガブタとアサザは、同じ科どころか、同じ属( Nymphoides属 )の植物で、たいへん近い関係にあります。 ちなみに属名の Nymphoides は「スイレン( Nymphaea )に似た」という意味です。
 花は朝から昼過ぎまで開いていて、夕方には水中に没する1日花なのですが、撮影したのは9月13日の午後3時半、まだきれいに咲いていましたので、秋になって反応が少し鈍くなってきているのかもしれません。

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 上で、葉はスイレンに似ていると書きましたが、他人の空似、スイレンはスイレン科ですし、ガガブタはミツガシワ科の植物で、花も違えば全体の体制も違います。 スイレンの茎は地下茎で、そこから水面まで長い葉柄を伸ばして葉を広げます。 ところがガガブタには水面近くまで伸びる長い茎があり、そこから短い葉柄を持つ葉を伸ばします。
 種子植物の芽のできるところは2ヶ所、茎の先端と葉の付け根です。前者の芽を「頂芽」、後者の芽を「腋芽」と呼んでいますが、もちろん「花芽」も芽ですから、この場所で作られます。 つまりスイレンは地下茎から花茎を伸ばして花をつけるのに対して、ガガブタは水面近くの葉の付け根から花を咲かせます。
 下はガガブタを水から少し持ち上げて写したものですが、葉の付け根、つまり茎と葉柄の境から花が咲き、たくさんのツボミなどをつけています。

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 写真では見られませんが、この茎と葉柄の境から根を出すことも可能で、このことが、例えば水位が下がった時に、ここから出た根で定着するなど、スイレンとは違った生活を可能にしています。

 

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2009年9月21日 (月)

湿地の植物はなぜ小さいか

 これまでミミカキグサホザキノミミカキグサヒナノカンザシと湿地の植物を記事にしてきましたが、みんな小さな植物でした。 その記事のコメントで、湿地にはなぜこんな小さな植物が見られるのかという質問をいただきましたので、今日はそのことについて考察したいと思います。
 人工的に作られたため池では、限られた面積に効率よく水を貯めるために四方に堤を築きますので、いわゆる湿地は存在しません。 しかし自然にできた池には、斜度の緩やかな場所に湿地が広がっている場合があります。
 そのようななだらかな地形にある池に流れ込む穏やかな流れで運ばれる土は、たいへん細かい粒子であり、流れの無い池で沈殿して粘土となる場合も多いでしょう。
 ところで、植物の根も生きています。 生きていくためには酸素が必要です。 ところが、粘土質の土壌には隙間が無く、水分をたくさん含んでいたとしても、水がおき換わらず、酸素をたくさん溶かした水が入ってきません。 つまり粘土質の土壌では、いつも酸素不足になりがちです。 それに粘土質の土壌は、少し深くなると、上の重みで固められ、根も入り込みにくくなります。
 つまり粘土質の土壌では、植物が根を十分張ることができず、根の発育が不十分だと、根で吸収する栄養塩類の補給も不十分になりますし、大きな地上部を支えることもできません。 つまり大きくなる植物は育ちません。
 でも、大きな植物が育たないということは、小さな植物にとっては日陰にされないということであり、粘土質の土壌環境にあっても何らかの工夫をして生きていける植物にとっては、小さくても光が十分な環境だということになります。

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   地表にへばりついて生きるトウカイモウセンゴケ

 

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2009年9月20日 (日)

ヒナノカンザシ

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 ヒナノカンザシは湿地に生える小さな一年草です。 お雛様の小さなお顔に似合う小さな小さなかんざしです。 夏の終わりに見られる花も実も見落としてしまうほど小さいのですが、拡大すると、花も実もたいへん特徴的で美しいものです。
 花はツボミのうちは赤紫色、花が咲くと白っぽくなり先に赤紫色が残ります。 花の長さは1~2mm、披針形のガク片は5個で、そのうちの2個はやや大きくなっています。 花弁は3枚で、下方の1個は側方の2個よりも長く、この花弁に包まれるように雄蕊筒があります(外からは見えません)。 雄蕊筒は4本のオシベの花糸が合着したものです。
 このように花は複雑なつくりになっているのですが、この花のつくりは、花弁の先の“房”は無いものの、基本的にはヒメハギと同じで、ヒナノカンザシはヒメハギ科に分類されています。
 果実もおもしろい形をしています。 果実の径は2mmほどで、扁平な腎形をしていて、縁には小歯が並んでいます。 1つの果実には2個の種子が入っています。

 下の写真、左側に写っているのは、ヒナノカンザシと小ささを競うようなアリノトウグサです。

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2009年9月19日 (土)

ホザキノミミカキグサ

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 ホザキノミミカキグサは、ミミカキグサと比較すると、花の色は全く違いますし、花の外見も違います。 それに、果実とそれを包むガクの様子は「耳かき」状ではありません。 でも、名前のとおりミミカキグサに近い仲間で、生育環境も似ていますし、泥の中に1mmほどの小さな袋状の罠を持っていることも同じです。
 「穂咲き」というほどたくさんの花を同時に咲かせるわけではありませんが、ミミカキグサよりは草たけは高くなりますし、複数の花をつけることもあります。

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 花の外見がミミカキグサと違って見えるのは、ミミカキグサの距が下方に伸びているのに対し、ホザキノミミカキグサの距は花の付け根付近で強く曲がり、前方に向かって伸びているからでしょう。

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こんなに曲がっている距の蜜を、虫はどのようにして飲もうとするのか気になるところですが、花冠の下側を押し下げると、メシベとオシベが現れます。

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 青紫色の花を咲かせるミミカキグサの仲間には、もう1種、ムラサキミミカキグサがありますが、ムラサキミミカキグサの花は、距は下向きで大きく口を開いたように咲きますし、果実は耳かき型です。

 

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2009年9月18日 (金)

ミミカキグサ

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 ミミカキグサは湿原に生育する多年生の草本です。 黄色い花は径3~4mm程度、小さな植物です。
 花弁の基部の上下にある2枚のガクが花後にも残り、発達して果実を包みこんで保護します。 茎は花を咲かせながら上に伸びて行きますので、写真の花の下にあるのがそのガクですが、その様子が耳かきに似ているのが、名前の由来になっています。

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 ところでこの植物、いやに葉が少ないと思いませんか? 花を咲かせ実を稔らせるためには、エネルギーを消費します。 その消費活動を支えているのは、普通の植物では生産活動、つまり光合成です。
 花の後、つまり“耳かき”はたくさんついているのに、光合成をする葉がほとんど見当たらない・・・
 じつはこのミミカキグサ、自ら光合成もしますが、動物食なのです。 泥の中に糸のような地下茎を伸ばし、そこに1mmほどの「捕虫のう」をたくさんつけ、そこで小動物を捕らえます。
 水中に葉を広げるタヌキモという植物があり、その葉にはたくさんの小さな捕虫のうがついていて、ミジンコなどのプランクトンを捕らえるのですが、このミミカキグサもタヌキモ科の植物なのです。
 この捕虫のうも撮ろうとしたのですが、何も小道具を持っていかなかった撮影では無理でした・・・。 いつかリベンジしたいと思います。

 花は小さいのですが、なかなか凝ったつくりになっています。 花はいわゆる唇形花で、オシベやメシベは外からは見えません。 花の基部には下に向いた距があり、この中にある蜜を求めて、上下2唇に深く裂けた花冠の間から小さな虫が侵入しようとした時に花粉媒介が行われます。

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 どんな虫が来るのか、見ていましたが、小さなヒラタアブの仲間を見かけただけでした。 これだけ“耳かき”がたくさんついているということは、もしかしたら自家受粉をしているのかもしれません。

 

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2009年9月17日 (木)

メリケンムグラ

 メリケンムグラは北アメリカ原産の1年生の帰化植物です。 「メリケン」はアメリカを意味します。
 和名は1969年に岡山市で採られた標本を元につけられました。 分布は現在は主に東海以西に広がってきており、主にやや湿り気のある場所に分布し、地面をはって広がります。

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 対生の葉は両面ほとんど無毛です。 茎の断面は四角形で、稜に沿って毛が生えています。
 メリケンムグラの花は夏に咲き、オシベは4本、メシベは深く2裂しています。 下の写真では、オシベもメシベも白っぽいうえに、2裂したメシベが絡み合っているので、よけいにオシベと区別しにくくなっていますが、ご辛抱を・・・。

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 花弁の毛が印象的だったので、下に拡大してみました。 メリケンムグラの花弁の毛は、細胞が一列につながってできている多細胞毛であることがよく分ります。

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 下は果実です。 メリケンムグラはアカネ科の植物で、花もアカネ科らしい花ですが、果実もアカネ科らしい姿で、熟せば2裂して種子を散らします。 昨日記事にした同じアカネ科のハシカグサとも果実の雰囲気はよく似ています。 ただ、メリケンムグラの果実では2つのガクが残存して大きくなり、よく目立ちます。

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2009年9月16日 (水)

ハシカグサ

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 岩湧寺近くの渓流沿いに咲いていたハシカグサ、これも地味な植物です。 湿った所を好む植物で、アカネ科に分類されています。
 花冠は4裂し、2室に分かれた子房は下位、つまり子房の上にガクがついているつくりになっています。
 名前の「ハシカ」とは何か、葉が乾くと赤茶色に変色し、それを麻疹(はしか)の発疹に見立てたとする説が一般的なようですが、はっきりしないようです。

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2009年9月15日 (火)

シュウブンソウ

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 岩湧山で見かけたシュウブンソウです。
 「醜聞草」ではありません。醜聞にまみれること無く、目立たずひっそりとした生活をしているようです。
 直立した茎から斜上あるいは水平に広がる数本の枝を分枝して広がる姿は特徴的で、葉の両面に剛毛があり、ざらつきますが、花はほんとうに目立ちません。 名前は秋分の頃に見られるということでしょうが、花期は長くて8月から10月です。
 シュウブンソウはキク科に分類され、頭状花序で、中心付近の筒状花を舌状花が取り囲んでいます。 しかし筒状花と舌状花をもつ多くのキク科植物では、筒状花より舌状花の方が大きく、目立つ舌状花で虫を呼び、種子生産は筒状花で行うケースが多いのに対し、シュウブンソウの舌状花は筒状花よりも小さくなってしまっています(下の写真)。

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2009年9月14日 (月)

ヤマジノホトトギス

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 岩湧山の登山道で咲いていたヤマジノホトトギスです。 花の側の3稜がある細長いものは、ツボミではなく、果実です。
 ホトトギスの仲間にもいろいろあって、よく見る種類でも、ヤマホトトギス、ヤマジノホトトギス、セトウチホトトギスなど、互いによく似ていますが、見分け方はセトウチホトトギスのところに書きました。
 ホトトギスの仲間のおもしろい花のつくりも花粉媒介のため。 ちょうどクマバチが飛来して、オシベの葯もメシベの柱頭も花粉媒介に適した位置にあることを示してくれたのですが、カメラを向けるのが一瞬遅くなり、ちょうど花を去る直前しか写せませんでした(下の写真)。

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2009年9月13日 (日)

ウラギンヒョウモン

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 岩湧山山頂の茅場にいたウラギンヒョウモン、ウラギンヒョウモンは明るい草原を好むチョウです。
 ウラギンヒョウモンは6月頃に羽化しますが、夏眠するのか、夏には姿を消し、9月になると、また目にすることができます。 でも9月のウラギンヒョウモンは翅が痛んでいることが多く、このチョウも後翅の前縁が欠けています。

 

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2009年9月12日 (土)

ミドリヒョウモン

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 岩湧山の林道でたくさん見かけたミドリヒョウモンです。
 春の終わりから夏の初めに羽化するこのチョウは、この時期になると、ほとんどの個体の翅はボロボロです。 写真のミドリヒョウモンは翅がほとんど欠けていない貴重な(?)存在。
 互いによく似た種類の多いヒョウモンチョウの仲間のなかで、ミドリヒョウモンの見分けやすい特徴は、後翅裏側が黄緑色で、3列の白い縦帯が走ることなのですが、逆光気味で、その様子がよく写っていません。 それでもこの写真を持ってきたのは、ちょうど真上に小さな虫が飛んできて、ミドリヒョウモンがそれを上目遣いに見ているようなおもしろいシーンだと思ったからで、この写真にタイトルを、と思ったのですが、文芸的センスの無さ、なかなかいいタイトルが浮かびません・・・

 

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2009年9月11日 (金)

ホドイモ

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 岩湧山で咲いていたホドイモの花、葉を見ても花を見てもなんとなくマメ科であるというのは分りますし、花のつくりもおもしろそうなのですが、一目見ただけでは何がどうなっているのか・・・

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 マメ科の蝶形花は5枚の花弁、つまり1枚の立った旗弁と、2枚がくっついてオシベやメシベを包み込んでいる舟弁(竜骨弁)、そしてその舟弁の左右にある側弁(翼弁)で構成されています。
 以前記事にしたノアズキも、舟弁がよじれて分りにくい花になっていましたが、このホドイモも舟弁がみごとにねじれています。さらに側弁が丸まって筒状になり、この部分の色が目立つので、その部分に目が奪われて、いっそう分りにくくなっています。
 下は花を側面から写し、花弁の名称を入れてみたものですが、花のつくりが分っていただけるかどうか・・・

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 この花のつくりはどのような虫にどのようにして花粉を運んでもらおうとしているのでしょうか。

「ホド」とは「塊」で、地下に塊根があって、焼いて食べられるようです。

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2009年9月10日 (木)

シマアメンボ

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 岩湧寺の傍の小さな渓流で見たシマアメンボです。
 シマアメンボは、必ず流れがある場所に棲んでいます。 見ることができるのは、ほとんどの場合、写真のような無翅型、つまり飛んで移動できないタイプですが、秋以降には翅の生えた長翅型が出現するようです。 距離の離れた個体とも交尾して、遺伝的な多様性を確保しようとしているのでしょうね。

 アメンボの種類もたくさんあります。 HP「アメンボ研究室」のアメンボ図鑑にはたくさんの種類が紹介されています。 「アメンボ」で片付けずにじっくり見るとおもしろいのですが、写真に撮るのは難しいですね・・・

 


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2009年9月 9日 (水)

トチノキの実

 トチノキの実が落ちていました。 5月13日にを記事にした木の実です。
 トチノキの雌花の子房は3室からなり、各室に胚珠は2個、つまり1つの雌花には6個の胚珠があります。 花が終わると、子房は果実に、胚珠は種子になっていきます。
 トチノキの果実は蒴果(さくか:下の注1参照)で、3片に裂開します。 通常は6個の胚珠のうちの1つだけが成長し、大きな種子になります。

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 よく見ると、少しだけ種子になりかけて成長の止まった胚珠は、黒褐色の小さな粒として確認することができます(下の写真の青い => で示した部分)。

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 大きな種子の表面は、赤みを帯びた濃い褐色で光沢があり、すべすべしています。 どのくらいの大きさなのか、10円玉と並べて写してみました。

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 種子の下半分には大きな臍、つまり栄養分をもらっていた所が、薄い褐色の部分として確認できます。

 下の果実には2個の種子が入っています。 6個の胚珠のうちの2個が成長したものです。

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 これらの種子をつぶして渋を抜き、加工したのが栃餅です。

注1:蒴果
 果実とは花の子房が変化したもので、いろいろな種類があります。 私たちが日常生活で「果実」と言った場合の果実の多くは多汁ですが、これらを「液果」というのに対し、種子を包む果実の皮(果皮)が乾燥した果実を「乾果」と言います。 この乾果のうち、種子が成熟すると果皮が割れて種子の出口ができるものを「裂開果」と呼びます。 さらに、この裂開果の割れ方でいくつかのパターンに分類し、メシベの子房の断面を作った場合に見ることのできる部屋の数(つまり心皮の数)だけ果実の外側に割れ目ができる場合を「蒴果」と呼んでいます。

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2009年9月 8日 (火)

岩湧山頂のススキ

 9月5日、岩湧山山頂ではススキの穂が出はじめていました。 花盛りの穂を逆光で見ると、なかなか美しいものです。

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 もう少し日にちが経つと、一帯はススキの穂に覆われるのですが( 11月上旬の様子はこちら )、下の写真では穂の出ている部分がヘビのようにうねっています。

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 じつは上の写真の穂の出ている所は、道に沿った場所です。 道に沿った場所では、光が横からも入り、光合成がたくさんできることで、早く穂を出すことができたのではないでしょうか。

※ 岩湧山の茅場は、全国22箇所(平成21年4月1日現在)に設定された「ふるさと文化財の森」のひとつで、文化財修理用資材を供給する森です。 このススキは地元滝畑地区の光滝寺の屋根葺き替えなどに使われます。

 

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2009年9月 7日 (月)

岩湧寺のシュウカイドウ

 大阪府の和歌山県に接するあたりに岩湧山があり、その麓に岩湧寺があります。
 岩湧寺は役小角の開基とされ、現在は融通念仏宗の寺院で、多宝塔(下の写真)および多宝塔本尊の大日如来像は国の重要文化財になっています。

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 8月下旬から9月上旬にかけて、この寺の周囲はシュウカイドウで埋め尽くされます。 湿気の多い半日陰の場所を好むというシュウカイドウの性質がよくこの場の環境に合っているようです。

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 シュウカイドウ(Begonia grandis)はベゴニアの仲間で、シュウカイドウ科に分類されています。 山東省以南の中国からマレー半島にかけて分布し、日本には江戸時代初期に園芸用に持ち込まれています。
 シュウカイドウ科の植物は、園芸植物としては身近な植物ですが、アメリカ熱帯を中心に亜熱帯から熱帯に広く分布している植物で、日本での自生は八重山諸島で見られるのみです。
 シュウカイドウは雌雄異花です。 雄花は、大きな花弁のように見えるガクが2枚と、小さな花弁が2枚、その中央からオシベの花糸がくっつきあった部分が伸び、その先端に球状になった葯の集団が存在します。 雌花では三角形の大きな子房が目立ち、その上にはガクが2枚、花弁は無く、枝分かれしてクネクネと曲がった黄色いメシベの先端が目立ちます。

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※ シュウカイドウの記事はこちらにも書いています。

 

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2009年9月 6日 (日)

蛾を捕らえたアリグモのメス

 アリグモのメスが、自分の体よりはるかに大きな蛾を捕らえていました(堺市南区槇塚台)。 捕らえる時に蛾に暴れられたのでしょう、体中に蛾の鱗粉などがついています。

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 アリグモはアリに擬態したクモの仲間です。 オスの様子やアリグモについての解説はこちらに載せていますが、メスはほんとうにアリにそっくりです。

 

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2009年9月 5日 (土)

オトギリソウ

 写真は信太山で撮ったオトギリソウです。

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 オトギリソウの仲間には、葉や花などに腺体を持つものが多く、これがこの仲間の重要な区別点となっています。 この腺体に色素が含まれている場合には黒点といい、これが連なると黒線となります。 また、色素を含まない腺体もあり、この場合は透かすと明るく見えるので、明点と呼んでいます。

 オトギリソウは日本全国の草地に生育する多年草です。 茎の断面は丸く、葉は先端は丸く、基部が最も幅広く、対生して茎を抱いています。 葉面には黒点が目立ち、特に縁には多く見られます。

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 夏に直径2cmほどの黄色い花を咲かせます。 花弁やガクにも黒点と黒線がはいります。 多数のオシベは3群に分かれ、それぞれの群では花糸の基部で合生しています。 メシベは1個で3花柱を持ちます。 写真ではこの花柱が水平に開いていますが、いつもそうなのか、調べてみたいと思います。

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 江戸時代の“絵入り百科事典”である寺島良安の『和漢三才図会』(1712年)には、このオトギリソウについて、「金瘡折瘡及一切無名腫物有神効」(切り傷、打身(?)や様々な腫れ物にすばらしい効きめがある:そよかぜ訳)として、次のような内容の話が書かれています。
 平安時代、花山天皇の頃、晴来という有名な鷹匠がいて、鷹が負傷しても簡単に治癒させる薬を用いて他にない功績を挙げていた。 その妙薬が何であるかは極秘であったのだが、気のいい弟が迂闊にもその薬草のことを他に明かしてしまった。 怒った鷹匠は弟に斬りつけ殺害したが、その時飛び散った血が側にあった薬草に染み付き、以来その薬草には黒い点が見られるようになった。人々は憐れみ、この薬草を「弟切草」と呼ぶようになった・・・。

 オトギリソウは止血・傷薬などに薬効があるとされ、今でも民間薬として使われます。

 

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2009年9月 4日 (金)

ヒメシロネ

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 湿地の植物シリーズ、今日はヒメシロネです。
 シロネの名は、地下茎が白いことからです。 シロネの仲間にも何種類かあるのですが、その中でもヒメシロネはいちばん葉が細長い形をしています。 葉の基部は急に狭くなって円形またはハート型となり、柄はほとんどありません。
 その葉の基部に、小さな唇形の白い花がかたまってついています。 花は夏から秋へと咲き続けます。

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2009年9月 3日 (木)

コバナノワレモコウ

 コバナノワレモコウは湿地に生える多年草です。 ワレモコウに比べると、小葉は細長く、花穂も細く長く、穂先は垂れています。

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ワレモコウの語源にはいろいろな説がありますが、そのうちのひとつ、メルヘンチックなものに、花が「吾もまた紅なり」と自己主張している様子から、というのがありますが、コバナノワレモコウの花の多くは白色です。

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 花のつくりは基本的にはワレモコウとよく似ていて、ガクが4枚、花弁はなく、オシベは4本ですが、オシベは長く、花の外に突き出しています。
 ワレモコウのオシベの葯も黒っぽいのですが、白い花のコバナノワレモコウでは、葯の黒さがたいへん目立ちます。

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2009年9月 2日 (水)

トウカイコモウセンゴケ

 大阪府の南部、私の家から直線距離にして6km程の所に信太山があります。 ここには自衛隊の演習地があって一般の人の立ち入りが制限されているため、その周辺にも自然が残っています。 特に大阪府下では開発でほとんど失われてしまった湿地も、小規模ですが残っています。 今日から数回は、そんな湿地の植物などを記事にしていきたいと思います。
 まず今日はトウカイコモウセンゴケです。 トウカイコモウセンゴケは、従来「関西型のコモウセンゴケ」と言われていたものを、15年ほど前から独立種として扱うようになってきたものです。

 

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 モウセンゴケの仲間は、特に寒くなると赤っぽい色に見える葉が毛氈を敷き詰めたように地面にへばりついて生活している食虫植物で、小さいので「コケ」という名前がつけられていますが、立派な種子植物で、もちろん花も咲かせます。
 トウカイコモウセンゴケの花の時期はわりあい長く、夏の間中花を咲かせ続け、撮影した8月29日にも、まだたくさんのツボミがありました。
 花弁がピンクの花は、晴れた日の午前中しか咲きません。 オシベは5本、メシベは3本で、そのそれぞれが根元から2裂し、先はオシベの外側に配列しています。

 

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 葉面には多数の紅紫色の腺毛が生え、その先端からは粘液が分泌されていて、とりもちのように粘って虫を捕らえます。

 

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◎ トウカイコモウセンゴケはこちらにも載せています。

 

 

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2009年9月 1日 (火)

ウコンエダシャク

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 ウコンという植物があります。 この根茎から得る香辛料が、カレーに欠かせないターメリック。 ウコンエダシャクの「ウコン」は、この色に由来するのでしょう。 早い話がカレー色のエダシャク(幼虫が枝に擬態するシャクトリムシ)です。
 前翅には透明な楕円形の窓、じつはこの“窓”はオスにしかなく、前翅を動かしてこの窓の部分を後翅にぶつけて音を出すようなのですが、昼間はじっとしていて、そのそぶりすら見せてくれません。 オスだけが音を出すということは配偶行動に関係するのでしょうが、具体的な行動は夜の闇の中です。
 “窓”の無いメスの写真は下に載せておきます。

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 幼虫の食餌植物はクスノキ科の木の葉で、成虫は5月~9月に出現します。
 似た蛾にヒメウコンエダシャクというのがいるのですが、こちらは前翅の後翅に近い部分の2つ並んだ紋のうちの外側が大きくなっています。

 


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