タマゴタケ
金剛山で、いろんな状態のタマゴタケが並んでいるところに出会いました('09.8.8.)。 たぶん菌糸はつながっているのだと思います。
これらのタマゴタケの写真を、傘が開いていく順に並べると、次のようになります。
① 保護されていた白い「つぼ」を破って、キノコが伸びてきます。 もっと幼いキノコの段階では、この白い膜でキノコ全体がすっぽり覆われて保護されていたわけです。
② 傘が大きくなりながら開くにつれ、傘の裏の胞子をつける部分を保護していた被膜(内被膜)が傘の縁から離れ、垂れ下がって「つば」となります。 下の写真では、傘の右下の部分で、まだ内被膜が傘の縁とくっついていますので、両者の関係が分かり易いでしょう。
③ 傘は広がり、水平からやや反り返るまでになります。 柄の表面を覆っていた膜も、柄が伸びるにつれて引き裂かれ、だんだら模様になっています。
下の写真のキノコは傘が裂けていますので、タマゴタケの傘の肉が白い色であることも、よく分かります。
いわゆるキノコ形をしたキノコは上のような経過で大きくなるのですが、「つぼ」や「つば」がもろく、キノコが少し大きくなるとすぐにその存在すら分らなくなるキノコの種類もたくさんあります。 「つぼ」や「つば」の様子は、キノコを見分けるときの着目点のひとつです。
タマゴタケはテングタケ科に分類されています。 テングタケ科のキノコには、「つぼ」や「つば」が残るものが多いのですが、そうでないものもあります。 明日は「つぼ」や「つば」がはっきりしないテングタケ科のキノコで比較してみたいと思います。
テングタケ科のキノコのほとんどは毒キノコです。 猛毒キノコの御三家と云われているドクツルタケ、タマゴテングタケ、シロタマゴテングタケは、全てこのテングタケ科に分類されています。 その中にあって、このタマゴタケは無毒でおいしく、食用にされるキノコです。 色や形などでは食用キノコと毒キノコには分けられませんので、注意が必要です。
9月19日から11月3日まで、大阪市立自然史博物館で、特別展「きのこのヒミツ」が催されます。 副題は「きのこで世界はまわっている」で、生態系の中でのきのこの果たす大切な役割が、わかりやすく解説されるはずです。
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コメント
毒キノコのようで毒キノコでない
♪それは何かと尋ねたら♪
オッ!タマゴタケ~~タマゴタケ~~
投稿: わんちゃん | 2009年8月23日 (日) 23時20分
ネットで調べたら、タマゴタケは販売もされているようですね。
投稿: そよかぜ | 2009年8月24日 (月) 07時00分
キノコの見分け方として教わったのが、ツバやツボの有無に着目すべしということだったのですが、どのキノコももともとはツバはあったということ??
保護膜の垂れ下がった姿なのですね。初めてツバの正体を知りました。
投稿: ひとえ | 2009年8月24日 (月) 09時46分
やっぱりね、食べるほうに関心が・・・
タマゴタケ狩りして、料理して食べてみたい
未体験ゾ~ン
タマゴタケとその料理、レシピがありました。
そよかぜさんは試食されたことは?
投稿: わんちゃん | 2009年8月24日 (月) 14時41分
ひとえさんへ
基本的に内被膜はあるのですが、たいへん薄くて傘が開くときに消失してツバとして残らないキノコもたくさんあります。だからこそツバやツボの有無がキノコを見分けるときのポイントの一つになるわけです。
わんちゃんへ
色の黄色いキタマゴタケというのがあって、タマゴタケとは亜種の関係で味もほとんど同じと言われていますが、私が食べたことがあるのはこちらだけです。
食べようとすると、そっと大事に持ち帰らなくてはなりませんので、後の観察に邪魔になります。
キノコは、帰り間際においしそうなキノコが見つかるなど、よほどのことが無いかぎり、写すだけです。
投稿: そよかぜ | 2009年8月25日 (火) 07時10分