シロオニタケ
シロオニタケは夏から秋に、里山のコナラ・マツの混生林やシイ・カシ林などに発生するキノコです。
シロオニタケは昨日記事にしたタマゴタケと同じテングタケ科のキノコですので、両者を比較しながら見ていくことにします。
球形の幼菌を覆っていた膜は、シロオニタケの場合はもろいもので、キノコが育ってくるにしたがって、はちきれて、尖った錘状のイボになります。
下の写真の左端の幼菌はまだほぼ球形を保っていますが、傘になる部分が成長をはじめて少し盛り上がりかけている部分では、既にイボ状になりかけています。 中央や右の幼菌では既に傘になる部分がはっきりしていて、イボ状の突起に覆われています。 でも、小首をかしげたような幼菌の姿は、なかなかかわいいものですね(下の写真)。
上に書いたように、シロオニタケの幼菌の表面を覆っていた膜は、タマゴタケのような丈夫なものではありませんので、タマゴタケで見られたような「つぼ」としては残りません。 タマゴタケの「つぼ」に相当するものが、シロオニタケではキノコの成長と共にボロボロになり、イボ状になってキノコ全体の表面に分散してしまったと理解すればいいでしょう。
傘の裏の胞子を作る部分を覆っていた内被膜が傘の成長と共に破れるのはタマゴタケもシロオニタケも同じですが、タマゴタケの場合は傘の縁から内被膜が離れるのに対し、シロオニタケの場合は、条件によってはタマゴタケのようになることもありますが、多くの場合、破れた被膜は、傘の縁にくっついて垂れ下がり(下の写真)、まもなく脱落してしまいます。 つまり、シロオニタケの場合は、タマゴタケで見られたような「つば」も、多くの場合、見ることができません。
上の写真からさらに時が経過すると、傘は広がり、水平からやや反り返るまでになります(下の写真)。 テングタケ科のキノコでは、このような傘の姿になるものがほとんどです。
傘の表面についていた錘状のイボは、雨で流れ落ちたりして少なくなっていきます。 下の写真で柄の根元付近に落ちている膜状のものは、内被膜の一部でしょう。
キノコの場合は、同種であっても、大きさには幅があります。 上の写真のシロオニタケは比較的大きな方で、大きさがわかるように10円玉を置いてみました。
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コメント
昨日は真っ赤で今日は真っ白
紅白でオメデタイってカンジ・・・・
同じテングタケ科でも成長の過程がビミョウに違ってて、最後には傘状になるって?
これは里山の林の中で見つけて持って帰って食べてはアカン!!
のですよね。
投稿: わんちゃん | 2009年8月24日 (月) 14時58分
このトゲトゲのボロボロを見て食欲をそそる人はあまりいないと思いますが・・・
このキノコは食毒不明とされていたのですが、中毒例も報告されていて、やはり食べてみる人がいるようです。
そんなに強い毒は無いが、環境や個体差によって毒の強弱があるのかもしれません。
投稿: そよかぜ | 2009年8月25日 (火) 07時23分