« 蚊の幼虫と蛹の各部の名称 | トップページ | ホソオチョウ »

2009年8月 8日 (土)

ホソオチョウ観察記

 いつもコメントをいただく京都府南部のわんちゃんから、'08年4月に、27日に撮った蝶の名前を教えてほしいと、1枚の写真が送られてきました。 日本の蝶ではないことを伝えると、わんちゃんは橿原昆虫館に問い合わせ、アゲハチョウ科のホソオチョウだと分りました。
 橿原昆虫館の回答によると、チョウマニアが朝鮮半島から生きたチョウを持ち込み(もちろん法律違反)、それを関東近郊に放したところが定着し、そこで増えたものを誰かが木津川河川敷に放したものだろうとのことでした。(詳細はこちら
 Wikipediaによると、幼虫の食草はウマノスズクサで、日本のジャコウアゲハと同じ食草であること、現在は岐阜県や栃木県などでも見られ、ホソオチョウの移入によってジャコウアゲハがいなくなった場所もあると言われるが、現在のところホソオチョウの分布はきわめて限られているため、いずれは近親交配が進んでいなくなるだろうとされていること、要注意外来生物に指定されていることなどが書かれています。
 要注意外来生物に指定されている注目のチョウ、しかも美しくて優雅な飛び方をするとなると、一度見てみたいものだと思いました。 でも、わんちゃんはそれ以来見かけないとのことでした。
 '08年8月3日に、わんちゃんから、ホソオチョウがたくさん飛んでいるとのメールをいただきました。 でも、またすぐにいなくなったようです。
 今年('09年)になって、7月10日にホソオチョウを見たというメールをいただきました。 見に行こうとしたのですが、私は土日しか動けませんし、今年は雨が多く、なかなか日程が合いません。
 その間、わんちゃんは記録をつけていてくれました。 記録は個体数、時間、天候、それにジャコウアゲハの様子など、非常に詳しいデータでした。 私の時間に余裕ができれば、いろいろ解析したいと思います。 きっとおもしろい結果が出るでしょう。
 とりあえず分かったことは、発生には周期があるということです。 7月10日にいることに気付いたホソオチョウの個体数は、7月13日の10頭をピークに減少しはじめ、7月21日には見られなくなりました。 わんちゃんは毎日観察してくれていたのですが、見られない日が続きました。 そして7月31日、またホソオチョウが飛び始め、8月に入っても個体数の増減はあるものの、ほぼ毎日観察できる日が続きます。 休みを待ってホソオチョウの観察に出かけました。
 ホソオチョウは数頭が、草に覆われた堤防の斜面の、距離にして100mほどの範囲を、低く優雅に飛び続けていました。 この範囲から外に出ることは、まず無いようです。 ヒメジョオンなどの花も咲いているのですが、殆ど吸蜜はしていないようです。
 飛び回っていて目につくのは殆どがオスです。 メスがそんなに少ないはずはないので、メスはオスほど飛び回らないのでしょう。
 大きさは春型のアゲハチョウをさらに小さくしたくらい。 アゲハチョウ科のチョウとしては、かなり小さい部類に入るでしょう。

Hosoochou090806_2

Hosoochou090806_1
   飛び回るホソオチョウのオス

 ホソオチョウがこれほど優雅に飛べるのは、幼虫の食草であるウマノスズクサには毒があり、幼虫の体に蓄積した毒は成虫になっても体に残り、鳥がホソオチョウを食べると、その毒によるまずさを学習し、二度とホソオチョウを餌にしないためだと言われています。 でも、この毒はホソオチョウと同じ節足動物には効き目があるのでしょうか。 下はクモの巣にかかったホソオチョウです。 クモにとって、ホソオチョウの体にある毒はどうなのでしょうか。

Hosoochou090806_5

 幼虫の食草で競合するジャコウアゲハも飛んでいましたので、今のところはジャコウアゲハがいなくなることは無さそうです。 でも、食草のウマノスズクサはかなり探したのですが、見つかりませんでした。 ウマノスズクサはそんなにたくさんは無さそうです。 ギリギリの餌をめぐってジャコウアゲハとホソオチョウの戦いは続くのでしょう。 日本の自然を乱すホソオチョウ、優雅なホソオチョウ、気分は複雑です。

 明日はホソオチョウのオスとメスの写真を紹介する予定です。

(以下、'10.8.10.追記)
 その後もホソオチョウの観察を続けているわんちゃんから、ホソオチョウの幼虫とサナギの写真を送っていただきましたので、載せておきます。
 今年('10年)はホソオチョウが大量に発生しているとのことです。

Hosoochou100805_1    幼虫

Hosoochou100805_2
   サナギ

|

« 蚊の幼虫と蛹の各部の名称 | トップページ | ホソオチョウ »

昆虫05 チョウ」カテゴリの記事

コメント

そういうワケだったんですかぁ
ヒ~ラヒ~ラ優雅に飛んでるのは・・・・

優雅に飛んでる様子がとてもよくわかる写真ですね

投稿: わんちゃん | 2009年8月 9日 (日) 15時06分

> 優雅に飛んでる様子がとてもよくわかる写真ですね

どうにか撮れたという感じですね。
空を背景に飛んでくれるとカメラがオートでピントを合わせてくれるのですが、草スレスレではマニュアルでピントを合わせるしかありません。

投稿: そよかぜ | 2009年8月 9日 (日) 22時13分

気がついたんですが、
ホソオチョウがたくさん飛び交ってた辺りではジャコウアゲハが飛んでる姿、今年はまだ一匹も確認してません

ウマノスズクサの葉っぱですけど、
葉脈だけが残ってるという食べ方じゃなくって
ちょこちょこっと次から次へとかじってる・・・
みたいな食べ方です。
ウマノスズクサも結構、生えているのがわかりました、お腹いっぱい食べてるんでしょうね、
きっと・・・・・

投稿: わんちゃん    | 2010年8月10日 (火) 17時50分

他の地域でもホソオチョウが増えてジャコウアゲハが見られなくなったという報告があります。この先どうなっていくのでしょうね。
ホソオチョウとジャコウアゲハとウマノスズクサの関係に人の手による草刈りの時期がどう関係するのか、なかなか複雑な要素が絡み合っているようですね。

投稿: そよかぜ | 2010年8月11日 (水) 01時48分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ホソオチョウ観察記:

« 蚊の幼虫と蛹の各部の名称 | トップページ | ホソオチョウ »