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2009年8月 6日 (木)

ヒトスジシマカの幼虫とサナギ

 今日は、昨日記事にしたヒトスジシマカの幼虫とサナギについてです。(今日の写真はどれもクリックで拡大することはできません)

【 幼虫 】
 幼虫を見ていると、クネクネと泳いで沈み、かなりの時間を水中や水底での食事に充てています。 幼虫の時代とは、どんどん食べてどんどん生長する時期ですから、当然のことなのですが、この様子は動きが盛んで、撮影は無理でした。 ちなみに、「ボウフラ」という言葉は、この棒を振るような泳ぎからだと言われています。
 水中生活をしている幼虫ですが、呼吸は空気呼吸です。 時々水面に浮上してきて息をするのですが、この時は動きが止まりますので、撮影のチャンスです。

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 空気呼吸は、腹部の先端にある呼吸管で行います。 下の写真は幼虫を横から写したもので、呼吸管の側に4枚の鰓が見えます。 空気呼吸をしているのに鰓とは不思議ですが、これは鰓とは呼ばれているものの、実際には塩分の調節に使われていると考えられています。

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【 サナギ 】
 サナギは幼虫から成虫へと体のつくりを変える時。 餌はとらず、水面に浮かんでじっとしています。 でも、少しでも環境の変化を感じたら、幼虫に負けないくらいの勢いで泳いで、水中へと逃げていきます。 移動しないチョウやガのサナギのことを考えると、少し不思議な感じもしますが・・・
 下は水面に浮かんでいる様子を写したものですが、幼虫の時に呼吸に使っていた腹部の先端は下を向いていますし、呼吸管らしい構造も見当たりません。

Hitosujisimaka090801_6

 サナギは呼吸をどのようにしているのでしょうか。 上の写真をよく見ると、頭部と胸部の境がよく分かりませんが、胸部から細い管が水の外に突き出しているように見えます。
 下はその部分がよく分かるように撮ったものですが、胸部から2本の呼吸管が伸びています。 この呼吸管を鬼の角に見立てて、このような蚊のサナギは「オニボウフラ」と呼ばれています。

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 呼吸を肺につながる口でしている私たちにとっては、外の空気の世界との出入り口であるところが移動するということ、つまり口が別の場所に簡単に移動するということは考えにくいのですが、蚊の幼虫とサナギでは、簡単にその場所を、腹部の先端から胸部に変えています。 これは昆虫の呼吸器官が、肺のようなものではなくて、体中を走っている「気管」という細い管で、その管と空気の世界との接点をどこかに設定するだけでよいわけですから、このように簡単に変えられるのでしょう。
 ちなみに、昆虫は成虫になっても口で呼吸はしていません。 ガス交換は気門を通して行っています。(詳しくは「クマゼミの抜け殻の白い糸の正体は?」でどうぞ)

 サナギは時間が経つにつれて、次第に黒くなってきます。 そして背中が割れて、そこから成虫が出てきて、昨日の話につながっていきます。

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コメント

幼虫の大きさって?何㍉とかの世界ですか?

スイマセン
幼虫の
腹部、呼吸管、4枚の鰓(細い突起物?)
どれ?

サナギの
腹部?胸部?って?

ところで、
ヒトスジシマカはそよかぜさんの手とか顔とか刺しませんでしたか?

投稿: わんちゃん | 2009年8月 7日 (金) 15時57分

幼虫は最初は小さく、それが成長して、最大で6~7mm程度です。
サナギは丸まってしまいますので、幼虫よりはかなり小さく見えます。

名称は記事にしておきます。

投稿: そよかぜ | 2009年8月 7日 (金) 21時56分

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