ナツメ
「ナツメ」と聞くと、私は文部省唱歌「水師営の会見」を思い出します。 この歌は中学校で習ったもので(音楽の時間ではなく、社会の歴史の時間ですからね)、日清、日露、太平洋戦争と、人々の心の変化を、歌は時代の心を表すということだったのでしょう、軍歌などたくさんの歌で教えていただきました。
水師営の会見
佐々木信綱作詞・岡野貞一作曲/文部省唱歌
旅順(りょじゅん)開城(かいじょう) 約(やく)成りて
敵の将軍 ステッセル 乃木大将と会見の 所はいずこ 水師営
庭に一本(ひともと) 棗(なつめ)の木 弾丸あとも いちじるく
くずれ残れる 民屋(みんおく)に 今ぞ相(あい)見る 二将軍
(略)
昨日(きのう)の敵は 今日の友 語ることばも うちとけて
我はたたえつ かの防備 かれは称えつ わが武勇
かたち正して 言い出でぬ 『此の方面の戦闘に
二子(にし)を失い給(たま)いつる 閣下の心如何にぞ』と
(以下、略)
ナツメは中国北部原産で、中国や朝鮮半島では古くから庭木や街路樹として用いられ、果実は生食や乾燥させて干しなつめにしたり、漢方薬としても用いられていました。 日本には平安朝には既に栽培されていました。
ナツメは落葉樹ですが、新しい葉はなかなか出てきません。 保育社の「原色に本植物図鑑(木本編Ⅰ)」には、「ナツメとは夏芽で、初夏に芽を出すのでいう。」と書かれています。
そのナツメが花を咲かせていました。 ナツメはクロウメモドキ科に分類されていますが、クロウメモドキ科の花は、いずれも小さく、花盤が発達し、オシベは花弁と対生していて同数であるという特徴があります。
下の写真、2つの花が写っています。 大きな三角形はガクです。 ナツメの花は雄性先熟で、右上の若い花に注目すると、オシベからは花粉が出ています。 そのオシベの下でスプーンのような形をして反曲しているのが花弁です。 花盤からはたくさんの蜜が出ています。 メシベはまだ短いままです。
下の写真の右上の花は雌性期です。 花粉を出し終えたオシベは反曲し、花弁はもっと反曲して写っていません。 メシベは伸びて、柱頭は2裂しています。
花は小さくても、実は大きく育ちます。 下は9月中旬に撮ったものですが、かじると、少しリンゴに似た歯ざわりの、さっぱりとした甘さがあります。
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コメント
かわいいちっちゃなお花のよう。
木は空に向かって大きく育つように見えますが?
中学生のそよ風クンはこの歌の中で
民家の庭に生えていた棗の木に
すご~く興味があったのね?
”弾丸あとも いちじるく”
の、部分が妙に気になる私です。
文部省小学唱歌30数曲リストがありますが、この歌は初耳です
投稿: わんちゃん | 2009年7月23日 (木) 16時14分
花の径は5~6mm、木は10mくらいになります。
地名や人名の並ぶ歌詞の中に、植物名がただ1つ、どんな植物なのだろうと、そよかぜクンは気になったわけです。
YouTubeにあった「水師営の会見」を載せておきます。
投稿: そよかぜ | 2009年7月24日 (金) 00時12分
そよかぜクンのお花への??がそよかぜさんに引き継がれてお花に寄せられる虫から鳥へと広がって・・・・
YouTubeにあった「水師営の会見」
実写フィルムかなと、思ったら映画があったんですね、覚えやすいメロディで一緒に歌ってしまいました。
私が中学の時の社会の歴史の先生は
満州にいらしたお話をよくされて、なかでも印象に残ってるのはお便所の肥えつぼの中が凍ったまんま積み重なっていくので、金槌が備え付けてあったと・・・・・
投稿: わんちゃん | 2009年7月25日 (土) 18時28分
「水師営の会見」の少し悲しいメロディーになぜか惹かれます。
この歌詞は長くて、YouTube で歌われている部分は、その半分以下です。
当時の実写フィルムは、ぎこちない動きでしか記録できなかった時代ですよ。
投稿: そよかぜ | 2009年7月25日 (土) 22時49分