マタタビ②
この時期、あちこちでマタタビの実(と実のようなもの)を見ることができます。
6月23日のマタタビの記事で、マタタビには2種類の実(のようなもの)が見られ、そのうちの1つは虫えい(虫こぶ)であることを書きました。
上は雄株の花にマタタビタマバエが寄生してできた虫えいで、中央部が少しへこんでいます。 雄株には虫えいしかできません。
そして下は、この2種類の実(のようなもの)が並んで写っています。 両性株(じつは雌株:上のマタタビの記事参照)のたくさん咲いた花のうち、マタタビタマバエに寄生された花はゴツゴツとした虫えいとなり、寄生されなかったものは、ツルリとした細長い本来のマタタビの果実になっています。 マタタビタマバエに寄生されてしまうと、両性花の立派なメシベを持った花でも、中央部が少し膨れてはいるのですが、雄株の花に寄生された場合(上の写真)とあまり変わらないような虫えいになるところが、おもしろいと思いました。
木天蓼(もくてんりょう)と呼ぶ生薬にされるのは、マタタビタマバエに寄生された虫えいの方だということも、以前の記事で書きました。
ところで、マタタビは花の季節になると葉の一部が白くなり、この様子はハンゲショウの葉に似ていること、この白く見える原因となっているのは、細胞間中の気体による乱反射のためであること、ハンゲショウの葉の白い部分では、柵状組織の葉緑体がなくなっていることなどを、マタタビとハンゲショウの記事で書きました。
マタタビの白い葉の柵状組織はどうなっているのか、気になって、白い葉を2枚持ち帰りました。 持ち帰ってビックリ、白い色が数時間のうちに薄れています。
これはたぶん、光合成の盛んなうちは気体が生産され続け、白さを維持しますが、ちぎられて暗いリュックの中にしまわれた葉では、気体が減少してしまったのでしょう。
そしてルーペで見るかぎり、マタタビの柵状組織は緑のままでした。 つまり、マタタビの葉は、ハンゲショウの葉に比較すると厚く丈夫で、表皮と柵状組織の間にある気体による乱反射のみで、十分白く見えているということなのでしょう。
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コメント
>マタタビの白い葉の柵状組織がどうなっているのかは調べる必要性を感じています。
調べはるためにお持ち帰りのマタタビの二枚の葉っぱが、ビックリ仰天状態・・だった。
冷静に分析されるところがさすがそよかぜさんだと思いました
童仙房でマタタビの虫こぶがいっぱい付いているのを見ましたけど、ツルリとした細長い本来のマタタビの果実には気がつきませんでした。
虫こぶが食べれるか食べれないかの話に夢中になってまして・・・・
投稿: わんちゃん | 2009年7月29日 (水) 17時21分
> 童仙房でマタタビの虫こぶがいっぱい付いているのを見ましたけど、ツルリとした細長い本来のマタタビの果実には気がつきませんでした。
雄株であれば、虫こぶのみで、本来の果実は見られません。
記事を書き直して、雄株の虫こぶと雌株の虫こぶとを比較できるようにしておきました。
わんちゃんのブログの写真を見ると、少し小さくて分かりにくいのですが、中央がへこんでいるように見えるので、雄株なのでしょうね。
投稿: そよかぜ | 2009年7月29日 (水) 21時34分