マルガタハナカミキリ
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サクラソウ科の植物は、このブログにもいろいろ載せてきました。 ヌマトラノオ、オカトラノオ、クサレダマ、クリンソウなど、みんなきれいな花でした。 1つひとつの花が小さい場合でも、たくさんの花が集まって、それなりに見ごたえのある花序を形成していました。
それに比べてこのミヤマタゴボウ、やはりサクラソウ科なのですが、花は小さく、一度にたくさん咲くわけでもありません。
そんなわけで、あまり注目されず、かえって「珍しい植物があった」ということになることもあります。
でも、果実の様子は、上に書いたサクラソウ科の植物の果実と、さすがによく似ています。
果実に注目した別名がギンレイカ、漢字で書くと「銀鈴花」です。 この場合の「花」は「植物」の意味でしょうから、「銀の鈴のような果実をつける植物」ということになります。 ちょっと良すぎる名前のような気もしますが・・・
なお、ミヤマタゴボウの和名はタゴボウ(=チョウジタデ:アカバナ科)に葉が似ているからでしょう。
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この時期、あちこちでマタタビの実(と実のようなもの)を見ることができます。
6月23日のマタタビの記事で、マタタビには2種類の実(のようなもの)が見られ、そのうちの1つは虫えい(虫こぶ)であることを書きました。
上は雄株の花にマタタビタマバエが寄生してできた虫えいで、中央部が少しへこんでいます。 雄株には虫えいしかできません。
そして下は、この2種類の実(のようなもの)が並んで写っています。 両性株(じつは雌株:上のマタタビの記事参照)のたくさん咲いた花のうち、マタタビタマバエに寄生された花はゴツゴツとした虫えいとなり、寄生されなかったものは、ツルリとした細長い本来のマタタビの果実になっています。 マタタビタマバエに寄生されてしまうと、両性花の立派なメシベを持った花でも、中央部が少し膨れてはいるのですが、雄株の花に寄生された場合(上の写真)とあまり変わらないような虫えいになるところが、おもしろいと思いました。
木天蓼(もくてんりょう)と呼ぶ生薬にされるのは、マタタビタマバエに寄生された虫えいの方だということも、以前の記事で書きました。
ところで、マタタビは花の季節になると葉の一部が白くなり、この様子はハンゲショウの葉に似ていること、この白く見える原因となっているのは、細胞間中の気体による乱反射のためであること、ハンゲショウの葉の白い部分では、柵状組織の葉緑体がなくなっていることなどを、マタタビとハンゲショウの記事で書きました。
マタタビの白い葉の柵状組織はどうなっているのか、気になって、白い葉を2枚持ち帰りました。 持ち帰ってビックリ、白い色が数時間のうちに薄れています。
これはたぶん、光合成の盛んなうちは気体が生産され続け、白さを維持しますが、ちぎられて暗いリュックの中にしまわれた葉では、気体が減少してしまったのでしょう。
そしてルーペで見るかぎり、マタタビの柵状組織は緑のままでした。 つまり、マタタビの葉は、ハンゲショウの葉に比較すると厚く丈夫で、表皮と柵状組織の間にある気体による乱反射のみで、十分白く見えているということなのでしょう。
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ギンバイソウの花にも、たくさんの虫たちが来ていました。 ヨツスジハナカミキリも、そのうちの1種です。
ヨツスジハナカミキリもハチの仲間に擬態して身を守っているといわれています。 特に飛翔中の姿は蜂にたいへんよく似ているようです。
写真のヨツスジハナカミキリは交尾中で、上になっているのがオスですが、オスの触覚や後肢は、メスのそれらより黒いようです。 これはオス・メスによる違いなのでしょうか。 それとも、オス・メスに関係しない個体差なのでしょうか。
ギンバイソウにはアカアシカスミカメも来ていました(下の写真)。 また、どの写真にも幼虫が写っています。 この幼虫はギンバイソウの花にたくさんついていたのですが、今のところ名前は分りません。
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※ この記事の写真は、最後の写真を除いて、クリックすると拡大します。
ミヤマカラスアゲハ(夏型のオス)が吸水していました(7月25日 金剛山)。 翅も痛んでいないし、ちょうど曇り空で陰もできず、きれいに撮れました。 名前に「カラス」とつくのは、翅を閉じると黒っぽいからでしょうが、翅の表はなかなか美しい色をしています。
ミヤマカラスアゲハはおもに山地の森林地帯に生息しますが、これは幼虫の食草が野生のミカン科の木であるためだと考えられています。 よく栽培されているようなミカン科の木はお気に召さないようです。
ミヤマカラスアゲハは春型が4~5月に、夏型が6~7月に見られます。 春型の方が色彩はもう少し派手ですが、夏型より小型です。
よく似た色彩のチョウにカラスアゲハがいます(ここをクリックすると、エフさんのカラスアゲハの記事に飛びます)が、カラスアゲハには、翅の表の明るい帯や、後翅の裏面の黄白色の帯がありません。
オスには、前翅の表側に、黒いビロードのような毛の生えた場所があり、「性標」と呼ばれています(下の写真)。 メスは翅の表の緑色が弱く、後翅の亜外縁の赤紋が目立ちます。
今回はミヤマカラスアゲハが吸水に熱心で、近づいて写真を撮ることができました。 吸水中は時々放尿します。 放尿の瞬間は何度も目撃できたのですが、写真に撮ることはできませんでした。 たぶん、どんどん水を吸って、水に溶けている塩分を吸収し、余分な水を尿のようにして捨てているのでしょう。
不思議なのは、吸水するのはほとんどがオスだということで、ミヤマカラスアゲハのオスは、よく吸水集団も形成します。
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「ナツメ」と聞くと、私は文部省唱歌「水師営の会見」を思い出します。 この歌は中学校で習ったもので(音楽の時間ではなく、社会の歴史の時間ですからね)、日清、日露、太平洋戦争と、人々の心の変化を、歌は時代の心を表すということだったのでしょう、軍歌などたくさんの歌で教えていただきました。
水師営の会見
佐々木信綱作詞・岡野貞一作曲/文部省唱歌
旅順(りょじゅん)開城(かいじょう) 約(やく)成りて
敵の将軍 ステッセル 乃木大将と会見の 所はいずこ 水師営
庭に一本(ひともと) 棗(なつめ)の木 弾丸あとも いちじるく
くずれ残れる 民屋(みんおく)に 今ぞ相(あい)見る 二将軍
(略)
昨日(きのう)の敵は 今日の友 語ることばも うちとけて
我はたたえつ かの防備 かれは称えつ わが武勇
かたち正して 言い出でぬ 『此の方面の戦闘に
二子(にし)を失い給(たま)いつる 閣下の心如何にぞ』と
(以下、略)
ナツメは中国北部原産で、中国や朝鮮半島では古くから庭木や街路樹として用いられ、果実は生食や乾燥させて干しなつめにしたり、漢方薬としても用いられていました。 日本には平安朝には既に栽培されていました。
ナツメは落葉樹ですが、新しい葉はなかなか出てきません。 保育社の「原色に本植物図鑑(木本編Ⅰ)」には、「ナツメとは夏芽で、初夏に芽を出すのでいう。」と書かれています。
そのナツメが花を咲かせていました。 ナツメはクロウメモドキ科に分類されていますが、クロウメモドキ科の花は、いずれも小さく、花盤が発達し、オシベは花弁と対生していて同数であるという特徴があります。
下の写真、2つの花が写っています。 大きな三角形はガクです。 ナツメの花は雄性先熟で、右上の若い花に注目すると、オシベからは花粉が出ています。 そのオシベの下でスプーンのような形をして反曲しているのが花弁です。 花盤からはたくさんの蜜が出ています。 メシベはまだ短いままです。
下の写真の右上の花は雌性期です。 花粉を出し終えたオシベは反曲し、花弁はもっと反曲して写っていません。 メシベは伸びて、柱頭は2裂しています。
花は小さくても、実は大きく育ちます。 下は9月中旬に撮ったものですが、かじると、少しリンゴに似た歯ざわりの、さっぱりとした甘さがあります。
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ヒメジョオンの花にベニシジミ2頭が連なるように飛来、先頭の個体は翅を震わし続けながら前進、後ろの個体はピッタリそれにくっついて移動します。(7月11日、堺市南区畑にて)
じつはこれ、先頭のベニシジミがメスで、後ろがオス。 保育社の『原色日本蝶類生態図鑑Ⅲ』には、メスが交尾を拒否する場合は、ははばたきつつ歩く型と、急に飛び立つ型とがある旨の記載があります。 また、海野和男先生の小諸日記にも、よく似た状況が書かれています。 後ろのオスは、いかにも交尾したい様子で、少し腹部を曲げています。 この後、メスは飛び立ち、オスもピッタリくっついて飛んで行きました。
メスはオスよりも飛翔力に優れているわけは無く、なかなかオスを振り切れない様子、オスはどこまで追いかけていくのでしょうか。 まるでストーカーです。
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写真のハエドクソウは7月12日に箕面で撮ったものですが、金剛山にもありますし、そんなに珍しい植物ではありません。 開花は7月から9月です。 ただ、花も小さいですし、多くの人たちに無視されるような存在です。
ところがこのハエドクソウ、なかなかの曲者です。 全草に有毒成分を持っていて、今は知りませんが、昔はハエの幼虫を殺したり、蠅取り紙にも使用されていました。 もちろん名前はここから来ています。
さらに、このハエドクソウは、1科1属1種です。 つまり、仲間がいません。 花のつくりも変わっています。 下の写真の右側の花が分かりやすいですが、上側のガクには3本の棘がついています。
花が終わって果実になっても、この刺はそのまま残ります。 果実は下を向き、茎にピッタリとくっついて、一見イノコズチに似た、いわゆる「引っ付き虫」となります(下の写真)。
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オオハガタナミシャクは、いつも腹部を少し持ち上げてとまっています。 足にまで模様をつけた、なかなか人目を引く蛾です。
オオハガタナミシャクは、シャクガ科ナミシャク亜科に分類され、普通に見られる蛾です。 ところが、私の手元にある2冊の中程度の昆虫図鑑には、両方ともオオハガタナミシャクは載っていませんでした。 それほど蛾の種類は多いということなのでしょう。
Webで調べると、見られる時期は5月から9月とありました。 私の家の近くでも何度も見るので、毎回写真には撮っていませんが、最近のデータを調べてみると、今年は7月19日に、昨年は6月21日と7月27日に撮っていました。
幼虫の食草は、ノブドウ、サンカクヅル、ヤブカラシ、エビヅル、ツタなどのブドウ科の植物とのことです。
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春の七草はセリで始まりますが、旧暦の1月7日では、栽培されたセリは別として、自然に生えるセリは、まだまだ小さな状態です。 暖かくなって伸び始め、自然状態のセリが花をつけるのは7~8月です。
セリはもちろん湿地の植物ですが、私がセリを見るのは、いつも何かの陰になって1日中日の当たるところではありません。 最初の写真も丘陵地の斜面にくっつくように存在していて、湧き水で枯れない水溜りです。
7月11日、田の中に、稲と並んでセリが点々と育っている場所がありました(上の写真)。 代掻きの段階では、もちろんセリは生えていなかったはずです。 セリは多年生草本ですから、体の一部が残っていたのでしょうが、稲の生長と共に、短時間で花をつけるにまで生長していました。
このセリの生えている場所の状況はというと、下の写真の、陰の部分に限定されていました。 この場所では、田の上に木の枝が張り出していて、木陰を作っています。
あまりにも見事にセリの生えている場所が限定されていましたので、おもしろいと思い、記事にしました。
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テントウムシはアブラムシなどを食べる益虫だ、というイメージを、多くの人が持っているようです。
でも、テントウムシの仲間にもたくさんの種類があります。 このブログでも、ナナホシテントウ、キイロテントウ、ウスキホシテントウなど、いろんなテントウムシについて書いてきました。
テントウムシの仲間には、アブラムシなどを食べる肉食性のテントウムシもいれば、カビを食べるテントウムシも、葉などを食べる草食性のテントウムシもいます。 草食性のテントウムシは畑では作物の葉を食い荒らす害虫として嫌われます。
ナナホシテントウに代表されるように、肉食性のテントウムシには光沢があるのですが、草食性のテントウムシには、体の表面に短い毛があって、光沢がありません。
ニジュウヤホシテントウは、黒班が28個あるところからの名前ですが、写真のように光沢が無く、植物食です。 写真はアメリカイヌホオズキの葉をかじっているところですが、畑ではジャガイモやナスなどの害虫として嫌われています。
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ハンゲショウは湿地に生えるドクダミ科の植物です。 一見ドクダミとは似ていないようですが、ドクダミの白い4枚の花弁のように見えるのは総包で、そこから伸びるのが花序ですから、基本的な花序のつくりはよく似ています。 ハンゲショウでも花序の近くの葉は白っぽくなりますし、花序は花弁のない小さな花がたくさん集まっています。(下の写真)
ハンゲショウの1つの花は、半円形の小包葉にいだかれ、3~5心皮からなるメシベと、それを取り巻く6~7本のオシベからなります。 みんな白くて分りにくいので、下に解説しておきます。
ところで、6月23日のマタタビの記事で、マタタビの葉が白くなるのは細胞間にある気体のせいだと書いたところ、いただいたコメントの中で、ハンゲショウの葉に話が及びました。
ハンゲショウの、半分以上白くなった葉でも、裏から見れば全体が同じ淡い緑です。 ハンゲショウの葉の表の白い部分も、気体による乱反射のせいだとしたら、爪などで葉の表面を圧迫すると、気体が周囲に移動して、緑になるはずです。
よくコメントをいただくわんちゃんの家の近くにハンゲショウがたくさん生えている場所があるというので、実験を依頼しました。 送っていただいた写真が下です。
ハンゲショウの葉の白い部分に圧迫を加えると、緑にはなるのですが、すぐその後に褐色に変化するとのことでした。 褐色に変化するのは酵素反応のためでしょう。
ただ、ハンゲショウの葉は、たいへん薄く柔らかく、葉の表皮と柵状組織との間の気泡だけでこんなに白くなれるのか、疑問に思いましたので、葉の断面を観察してみました。 下の写真は、葉の断面を作り、それをガラスに挟んで撮ったものです。 灰色に写っているのはガラスです。
葉の裏側から撮っていて、写真の中央より左側が、葉の表から見ると白い部分、中央より右が葉の表から見ても緑の部分です。 分りにくい写真ですが、断面の部分を見ると、ハンゲショウの葉はたいへん痛みやすいものらしく、柵状組織と海綿状組織の間に既に褐色の層ができかかっています(褐色~濃い緑に見えています)。でも、この層のおかげで、そこから上が柵状組織、下が海綿状組織と、分りやすくなっています。
この写真から分るように、ハンゲショウの葉の白い部分では、柵状組織から葉緑体が失われています。 こんな写真を撮るにはビノキュラーがほしい・・・
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7月11日、谷あいに田が広がるところを歩いていると、たくさんのモンシロチョウが飛び交っていました。
下はモンシロチョウのメス。 写真の下側には幼虫も写っています。
このモンシロチョウのメスに、オスが近づいてきました。 するとメスは、パッ!と翅を広げて腹部を持ち上げました。(下の写真)
その素早いこと、まさに機械仕掛けのよう。 これが本能行動なのですね。
持ち上げた腹部の先端には、黄色い部分があって、光るものが・・・ たぶん何らかの化学物質を出しているのでしょう。 下は上の写真の腹部を拡大したものです。
オスはこの腹部を持ち上げたメスの周囲でホバリングを行います。 下の写真では、腹部を持ち上げた中央のメスの周囲で、2頭のオスがホバリングを行っています。 メスの腹部の先端は、ちょうどこちらを向いているために少し分りづらいですが、やはり黄色くなっています。
この腹部を持ち上げた姿勢のメスの周囲でオスがホバリングを続けていると、メスがオスを受け入れるようになるというのですが、写真を撮り続けていた15分ほどの間では、オスがホバリングを止めたり、途中でメスが逃げ出したりで、交尾に至る例は観察できませんでした。
この“腹上げ反応”は何と呼ぶべきなのでしょうか。 メスがオスを認識しての反応には違いは無いのですが、このままでは交尾できません。 ですから、とりあえずはメスが交尾を拒否しているのだと、「交尾拒否反応」という言葉が使われていますが・・・。
また、既に交尾を終えているメスは交尾拒否を続けるといわれているのですが、とりあえず交尾拒否をしたメスと、交尾拒否を続けるメスと、どのように行動が違ってくるのか、見続けていたのですが、見破ることはできませんでした。
この“腹上げ反応”が引き起こされる条件は、かなり緩やかなようです。 卵を産み付けていた個体もオスが近づくと腹部を上げていましたし、下のメスは、吸蜜しながら腹部を持ち上げています。
※ こちらではモンシロチョウの雌雄の比較や幼虫などについて書いています。
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12日の日曜日、サンコウチョウを見に箕面に行ってきました。
サンコウチョウは、夏には日本、台湾、フィリピンに分布し、冬には日本に来ている個体は中国南部やスマトラあたりで越冬しているようです。 さえずりが「ツキヒーホシ、ホイホイホイ」と聞こえるところから、月と日と星で『「三光」鳥』です。
日本で見られるのは平地から低山にかけての、木の生い茂った暗い場所で、大阪付近でも、能勢、箕面、生駒山麓、槇尾山など、いろんな所で見られています。 私の家の近くの鉢ヶ峰でも数年前にはいたようです。
でも、もちろん飛び回っていますし、個体数もそんなに多くありませんから、出会うのは容易ではありません。 しかし、巣が発見されれば、抱卵から雛への給餌と、確実に成鳥を観察できるわけですから、バーダーたちが集合することになります。
箕面の場合も、巣のある場所を教えていただいて行ってきたのですが、巣の中には雛が育っていました。 多くの営巣地では雛が巣立っていますが、箕面のこの地では、産卵されたのが、かなり遅かったようです。
給餌するメス
メスは何度も雛に餌を運んでくる(上の写真)のですが、オスが巣に戻る回数は、メスに比べてずっと少なく、巣に留まる時間もたいへん短いものでした。 だいいち、雛に餌を与える様子は、私の短い観察時間では、確認できませんでした。
サンコウチョウのオスは、メスの気を引くためなのでしょう、体長の3倍ぐらいの長い尾羽を2枚つけています。 また、アイリングと嘴も、メスに比べると、明るい水色で目立ちます。(下の写真)
雄は容姿端麗、家庭を顧みない“遊び人”なのでしょうか。 それとも、この長い尾が邪魔をして、餌を雛に運びたくても、うまく餌を捉えられないのでしょうか。
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花序の細長く伸びる様子を虎の尾に見立てた「○○トラノオ」という植物もいろいろあります。 オカトラノオやヌマトラノオはサクラソウ科、園芸種のハナトラノオはシソ科、キントラノオはキントラノオ科、その他、ゴマノハグサ科などにもあります。 そして今回のイブキトラノオはタデ科です。
イブキトラノオは「伊吹山に生えるトラノオ」ですが、じつは北海道から九州の山地帯から高山帯に分布します。 でも、伊吹山に多いことは事実です。
伊吹山は滋賀県と岐阜県の県境にあります。 標高は1,377mでそんなに高い山とは言えないのですが、石灰岩の山ですので、特に山頂付近は土壌が蓄積しにくく、さらに、地形の関係で冬には日本海からの季節風が直接伊吹山に当たり、たくさんの雪が積もります。 そんなわけで、伊吹山の山頂付近は、高木が育ちにくく、春から夏にかけては、いろんな草花の咲き競ういちめんのお花畑になり、多くの人たちの訪れる山となっています。
イブキトラノオの伊吹山での花期は7月~8月。 でも、六甲高山植物園では、6月14日に既に花盛りを迎えていました。
イブキトラノオは、強い風の当たる場所では数十cm程度にしか育ちませんが、六甲高山植物園での高さは、1mを超えていました。
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コケモモはツツジ科スノキ属( Vaccinium属 )に分類されていて、本州の中部以北や四国の高山に分布します。 樹の下などの日陰で湿度が高い所を好み、多くのツツジ科と同様、酸性土壌を好み、やせた土地でも育つことができます。
自生地での花期は6~8月ですが、六甲高山植物園(6月14日)では既に花は終わり、実ができていました。
スノキ属( Vaccinium属 )の植物には、スノキ、カクミノスノキをはじめ、その多くの果実が食用になります。 世界的に見ても、ブルーベリー、ビルベリー、ハックルベリーなどは、全てスノキ属です。
コケモモの果実も、北欧などではよく利用されていますが、酸味が強いため、多くは砂糖などで甘みを加え、ジャム、コンポート、ジュース、シロップなどに加工して利用されます。
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六甲高山植物園には、低山帯の植物から、いわゆる高山植物まで、いろいろな植物が育てられています。
そのなかで、いわゆる高山植物にとっては、六甲山は低すぎます。 つまり暖かすぎます。 ですから、その植物が本来の環境で咲くより、六甲高山植物園では早くに花を見ることができることになります。
これから時々、六甲高山植物園で撮った写真を、本来の生育地では今頃咲いているだろうという時期に載せていくことをしたいと思います。 名付けて「現地では今」シリーズ。
今回はエゾハナシノブです。 ハナシノブの仲間は、南北アメリカには多いのですが、日本には少なく、九州で見られるハナシノブ、本州中部の高山帯に稀なミヤマハナシノブ、それに北海道で見られるカラフトハナシノブとこのエゾハナシノブくらいです。
エゾハナシノブは、日本のハナシノブの仲間の中では、大きな花を咲かせます。 現地ではもう少し逞しく咲いているようですが、六甲高山植物園ではどうにか育っているといった感じです。 でもそれがかえって、切れ込んだ葉とともに、やさしく、涼しさを感じさせてくれていました。
六甲高山植物園では6月14日に撮影し、花はほとんど終わりかけていましたが、北海道では今頃咲いていることでしょう。
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セアカツノカメムシとは、「背中の赤い角のあるカメムシ」という意味でしょう。 ところで、昆虫の背中ってどこ?
昆虫は頭部、胸部、腹部に分かれるというのは、小学校で習いました。 が、「背部」というのは無かったですね。 背中側、腹側という言い方が、昆虫の場合、難しくなります。
「何をかたいことを・・・ 背中とは上側でしょうが!」と、お叱りの声が聞こえてきそうですが、甲虫やカメムシの場合、上から見下ろして見える多くの部分は翅です。 背中の色って翅の色のこと?
写真はセアカツノカメムシのメスです。 上の写真のカメムシの色を学術用語を使いながら表現すると、次のようになります。
「全体は青緑色で、前胸背の前側が黄色みを帯びた褐色、前胸の横から飛び出た側角の先は黒色、小楯板は前側が赤褐色が濃く、小楯板を含め前胸背面全体に黒い点刻が見られる。」
たしかに上から見て全体的に赤っぽいカメムシではありますが・・・
それじゃ体の下側は、と見ると、これも赤っぽい。 これじゃ、ハラアカカメムシ?
じつは見てしまったのです。 飛んでいる所を・・・ 翅を広げると腹部の背面が濃い赤褐色なのです。 最初の写真で、翅の透明な部分では、その色が透けて見えていますが、腹部背面全体がこの色なのです。
このカメムシの和名をつけた人が、なぜ「セアカツノカメムシ」と名付けたのか、それは分かりません。 もしかしたら、上から見たときに赤っぽいからかもしれません。 でも、もしかしたら、翅を広げたときの腹部背面の色からの名前かもしれないと、私は思いました。
翅を広げた標本の色? とも一瞬思いましたが、このカメムシは死ぬと全体が黄色くなってしまいます。 ついでに、セアカツノカメムシは越冬すれば、体全体が茶褐色になってしまうという、いろいろ色の変化を見せてくれる虫です。
とにかく、甲虫やカメムシなどの場合、「背中」という言葉を使うときには、少し注意が必要だなぁと思った次第です。
セアカツノカメムシは、ツノカメムシ類の中では最も普通に見られる種類で、成虫はいろんな樹木の実の汁を吸っています。
上で写真の個体はメスだと書きましたが、オスは生殖節に赤色の突起を持ち、それが翅から外に飛び出しています。
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クサタチバナは、関東以西から四国の、山地の草地などに生育し、6月~7月に花を咲かせる植物ですが、絶滅が心配されています。 写真は6月14日に六甲高山植物園で撮ったものです。
名前は、花が一見タチバナ(ミカン科)に似ているところからですが、じつはこのクサタチバナは、昨日記事にしたタチカモメヅルと同じカモメヅル属(Vincetoxicum属)です。 クサタチバナはツル植物ではありませんし、花の色も全く違いますが、同じ属だと知って見ると、たしかに対生の葉の様子も似ていますし、花のつくりもよく似ています。
クサタチバナの花にも蜜を求めてアリが来ていました(下の写真)。
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タチカモメヅルは、日当たりのいい湿った場所に生育するツル植物で、本州の近畿以西から、四国、九州に分布します。
カモメヅル属(Vincetoxicum属)は、従来はガガイモ科に分類されていましたが、新しいAPG植物分類体系ではキョウチクトウ科に分類されています。
多年生植物で、「タチ」は、春に芽が出てしばらくは、他のものに巻きつかなくてもグングン上に向かって伸びるからですが、その後は他の植物などにゆるやかに巻きついて伸びていきます。
ちなみに、「カモメ」の語源は、暗紫色の花からも、植物全体の様子からも、鳥のカモメは想像できません。 この仲間は花の大きさのわりにはビックリするような大きな果実(袋果)をつけますが、この果実が割れると、中には長い白毛を生やしたたくさんの種子がありますから、その様子をカモメに見立てたのだと思われます。
葉は対生し、葉腋に群がって生じる花は、径が1cmに満たない大きさで、色も暗紫色ですので、ほとんど目立ちません。 この花は、6月の終わり頃から咲き始め、夏中咲き続けます。
小さな花ですが、花のつくりは複雑で、暗紫色の花冠の先端は深く5つに切れ込み、同色の副花冠がオシベとメシベを取り囲んでいます。 オシベで作られる花粉は、花粉塊と呼ばれるかたまりになっています。
花の蜜は多く、上の写真でも、花冠があふれ出た蜜で濡れています。 上で人の目には目立ちにくい花であることを書きましたが、蜜が多い花には虫たちは敏感で、いろんな虫が集まっていました。 下の1枚目はカナブン、2枚目はアリたちです。
花に集まる虫たちを狙ってでしょうか、葉の上にはアリグモも来ていました(下の写真)。
※1 この記事の写真は全て、6月27日に、「堺自然ふれあいの森」で撮影したものです。
※2 花と訪花昆虫との関係、特に共進化について、コメント欄にいろいろ書いています。
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ウコギの仲間(ウコギ科ウコギ属)にも、ヒメウコギ、オカウコギ、ヤマウコギ、ケヤマウコギ、ミヤマウコギ、ウラジロウコギ、エゾウコギなど、たくさんの種類があります。 いずれも掌状複葉で、互いによく似ていて、分類の難しいグループです。
米沢藩第九代藩主上杉鷹山公がウコギの垣根を奨励したのは、たぶん中国原産のヒメウコギだと思います(米沢を訪れて確認したわけではありませんが・・・)が、このヒメウコギは、新芽が美味しく、切り和えやおひたしなどの郷土料理にも使われています。
そんなたくさんの種類のあるウコギの仲間のうちでは、少し珍しい部類に入るミヤマウコギが、金剛山で花を咲かせていました(上の写真)。 といっても、目立たない花ですが・・・
金剛山では、ミヤマウコギはあちこちで見ることができます。
他のウコギの仲間からミヤマウコギを区別する場合、次のような特徴がそろっていたらミヤマウコギだとしていいでしょう。
まず、複葉の葉柄には小さな刺があります。 小葉の質は薄く、不揃いな重きょ歯縁で無柄です。 そして、花序は今年伸びた長枝の先につきます。 それぞれの花の花柱は2個です。
上の写真では、花盤から蜜が噴き出しています。 このような拡大した写真を見ていると、大きさはかなり違いますが、ヤツデに似ていて、ウコギの仲間もヤツデも同じウコギ科であることに納得させられます。
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5月19日の記事で、サカハチチョウの春型のことを書きましたが、その夏型です。
翅の裏はそんなに違わないのですが、表はかなり様子が違い、夏型では逆さ「八」の字がくっきりと分かります。
ところで、チョウの脚は何本? 昆虫の脚は何本? チョウは昆虫?
この質問は、このブログによく来ていただいている人には何の問題も無いですね。 忘れた人は下で復習を。
チョウの足は何本?
タイワンウチワヤンマ(トンボの足は何本?)
4本の足で止まる①(コシアキトンボ、チョウトンボ)
4本の足で止まる②(ヒメアカタテハ、ナシイラガ)
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